3817.再度のEU金融危機



ユーロ危機が再度、訪れている。ドルは金融緩和して、世界に出て
行くが、ユーロ危機は加盟国国債の借り換えが出来ない自体で起こ
る。ギリシャの次ぎは、アイルランドである。アイルランドはつい
最近まで、欧州で一番成長している優等生の国であったはずである。

その優等生が、国債デフォルトの危機になる。これはユーロ通貨制
度自体の設計に問題があると思われてもしょうがないようである。
しかし、ドイツのメルケル首相はユーロ通貨を維持するという。

ドイツはユーロが自国通貨にした時に比べて、通貨価値が低く抑え
られるために輸出競争力を強めることができることで大きなメリッ
トがある。しかし、経済力が弱い国は、自国通貨に比べて通貨価値
が高くなり、経済力を高めることが出来ず、経済危機の調整手段が
ないことになる。
           津田より

0.はじめに
ユーロ圏諸国が危機になると、唯一の黒字国であるドイツがユーロ
加盟国のほとんどの国を助ける必要になる。ドイツ一国でEU全体
を助けるしかない。

このため、欧州版IMF設置の際、独メルケン首相は「鉄の女」に
なった。現行の新基本条約(リスボン条約)は加盟国間で公的債務
肩代わりを禁じている。これに反するため、原則にこだわるメルケ
ル首相らは、財政規律を守れなかった支援国のEUの議決権停止な
どの制裁導入を含めて条約の大幅改正を求めた。

これは、財政赤字を垂れ流してきた南欧諸国への不信感とドイツ国
内で欧州版IMF設置反対を抑えようとの思惑がある。しかし、危
機が起こると、独メルケン首相は単一通貨ユーロが欧州をつなぎと
める接着剤の役割を果たしているので、アイルランド救済は欧州統
合維持の代償となると述べて支援することを強調している。

このアイルランド危機で、ドイツの銀行はアイルランドの債券、
1380億ドルも保有していて、デフォルトになるとドイツの銀行
の倒産になる可能性もあるために、救済するしかないのである。

アイルランドのお隣、英国の銀行も1500億ドルを保有して多く
、この2ケ国が支援することになる。自国銀行の危機に結びつくた
めである。

アイルランドは銀行救済費用がかさんで今年の財政赤字が国内総生
産(GDP)比で32%にのぼり、財政再建が急務になっている。
EUとIMFによる救済が必要だとの観測が高まっていたが、アイ
ルランド政府は強く否定してきた。

そして、アイルランド政府は債券市場の活用は必要としていない。
10年物アイルランド国債は薄商いが続いており、利回りは8%超の高
水準に達しているが、これは流通市場でのことで、今後当分の国債
償還にも資金の手当てがついている。

このため、財政安定化基金の活用による救済策をアイルランド政府
は受け入れようとしない。しかし、ユーロ圏16カ国の財務相は今、
そこを必死に説得している。

何を意味しているかというと、国債利回りが示しているのは、アイ
ルランド国債の市場価値の落ち込みで、アイルランド国債を保有す
る欧州各国の銀行のバランスシートに大きく影響する可能性がある
ということで、ドイツをはじめとするアイルランド国債を抱えるそ
の他欧州諸国の銀行利益の保護を、意図しているようにみえる。 

しかし、アイルランドを解決すると、それで終わりかというと違い
、ポルトガルに市場の投機圧力が重くのしかかっている。

ポルトガルの10年国債利回りは6.92%と、アイルランドの8.31%や
ギリシャの11.71%の水準に迫り、次の標的がポルトガルである。

ポルトガルのドスサントス財務相は、「(支援要請に追い込まれる
)危険性は高い」と述べ、支援を申請する可能性を示唆した。

 財務相は「我々が直面しているのは一国だけの問題ではなく、ギ
リシャ、ポルトガル、アイルランドの問題だ」と述べ、信用不安が
連鎖的に拡大している現状を説明した。

しかし、次にはスペインやイタリアが続いている。このようにユー
ロ危機は無間地獄なのである。

1.ユーロ圏破綻への道
ユーロ圏にとっての大きな問題は「危機の飛び火」ではなく、支払
い能力だ。アイルランドを救済したからといって、ポルトガルやス
ペイン、フランスの支払い能力が今後向上することはない。救済費
用は、ユーロ圏加盟各国が負担しなければならないが、ドイツ以外
は財務破綻の可能性が高い。このため、実質、黒字国のドイツから
資金の出して貰いしかない。そのドイツでも無限大には資金を出せ
るはずがない。

また、各国の銀行に「モラルハザード」がおきている。銀行など債
権者は、このまま行くと国債の価値削減の受け入れざるを得ないこ
とになる。この価値を削減させないという銀行の「モラルハザード
」ではユーロ全体が持たないことになる。

そして、銀行の倒産を免れようとEU諸国がもがけば、それだけ多
額の費用が必要になり、ユーロ圏諸国の財政問題が大きくなる。す
ると、財政問題から次ぎの破綻国が出る可能性が増す。

もう1つが、最初に述べたように経済活動の調整する通貨の切り上
げ機能がないために、経済活性化の手段がし縛られているので、一
度、経済が不活性になると、財政削減などに走り、ますます経済が
沈下することになる。

このため、ユーロ圏の経済成長にも大きな影響を与えている。GDPは
Q2の1%の成長からQ3は0.4%に低下した。通貨戦争の中心にあ
る諸国のひとつ、独はQ2の2.3%の上昇に対してたった0.7%
成長しただけだ。スペインやイタリアは変わらずだが、ギリシャは
Q3に1.1%収縮した。これは経済活動の調整に財政規模の大幅削
減をしたことが効いていると見る。

このようのユーロという通貨の根本的な問題を解決できずに、ユー
ロ圏諸国の統一通貨をしても加盟国の経済発展に結びつかないよう
に感じる。

解決の道は2つで、ユーロ連邦とい統一国にして、財政・経済・開
発を一元的に管理する道と、ユーロを止めて、経済連合のような緩
やかな仕組みにするかである。

2.欧米の理念が失敗に終わるか??
欧州は米国に変わるためにユーロ通貨でドルに並び、経済力を強化
しようとした。この経済連合で米国経済より大きくなり、圧倒する
かと思われたが、このユーロという実験も失敗だったのかもしれな
い。

米国は金融資本主義で、次々とバブル経済を起こして、経済活性化
を行ってきたが、それもとうとうやる手段をなくしている。このた
め、バーナンキFRB議長もドル札を大量に発行して景気の回復を
図るが、そう簡単には経済は活性化しない。

欧米同時に経済的な苦難になってきたのは、その欧米の持っている
理念主義という文明の欠点が出ているように感じる。

3.次の時代へ
このように欧米的なものの見方が、問題を起こしていると見る。人
間中心で、分析的な手法に限界が見えてきたようだ。

日本は西洋文明を明治以後、取り入れて、そのよさと戦後、東洋文
明の自然主義的な統合的見方で、いろいろな日本的物の見方をして
きた。とうとう、おのような見方が次の時代を開くようである。

東洋的なものの考え方を入れた複合文明にUPできるのは、日本し
かないように思う。それが、日本の役割である。
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1兆4800億円の預金流出=信用不安で―アイルランド大手銀
時事通信 11月20日(土)5時55分配信

 【ロンドン時事】一部国有化されているアイルランドの大手銀ア
ライド・アイリッシュ銀行は19日、今年初めから今月16日までに、
顧客預金が130億ユーロ(約1兆4800億円)減少したと発表した。同
国の債務・金融をめぐる信用不安拡大により、多額の預金が流出し
た格好だ。
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アイルランドがEU支援に期待 中央銀行総裁が表明
2010年11月19日0時13分

 【ロンドン=有田哲文】財政不安に苦しむアイルランドのホノハ
ン中央銀行総裁は18日、地元ラジオに出演し、欧州連合(EU)
や国際通貨基金(IMF)からの緊急融資の可能性について「
(EUやIMFとの)協議は効果的なものになるだろう。融資が使
えるようになり、必要に応じて引き出されるだろう。彼らも私もそ
う期待している」と語った。5月に決まったギリシャ支援に続き、
アイルランドも支援される方向が固まった。欧州財政危機が終わっ
ていないことが浮き彫りになった。 

 支援額については「我々が十分な武器を持っていることを市場に
示すため、額は大きなものになるだろう」として、数百億ユーロに
のぼるとした。 
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2011年世界経済成長は減速へ、米回復出遅れ=OECD
2010年 11月 19日 00:41 JST

 [パリ 18日 ロイター] 経済協力開発機構(OECD)は
18日、最新の経済見通し(エコノミック・アウトルック)を発表
し、米経済の回復が予想より遅く、新興国の成長が緩やかになって
いることから、世界的な経済成長は減速しているとの見方を示した。
 OECDは年2回公表する経済見通しの中で、通貨をめぐる世界
的な緊張の高まり、欧州債務危機の恐れなど複数の要因を挙げ、見
通しがさらに下方修正される可能性があるとした。

 OECDは世界全体の成長率について、2011年は10年の
4.6%から4.2%に減速し、12年には4.6%に回復すると
予測した。

 前回5月の見通しは10年が4.6%、11年が4.5%。12
年については示さなかった。

 OECDの主席エコノミスト、ピエール・カルロ・パドアン氏は
ロイターとのインタビューで「回復は続いているが、ペースはやや
減速している」と語った。

 OECDは米国の成長率を下方修正。2010年は2.7%、
11年は2.2%、12年は3.1%とした。

 前回5月の見通しは2010年と11年ともに3.2%だった。
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アイルランドの陰に身を隠すポルトガル−緊張緩和すれば次の標的 

11月19日(ブルームバーグ):アイルランドの債務危機が解決すれば
、ポルトガルに市場の投機圧力が重くのしかかることになりそうだ。 

  欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁など欧州の当
局者は、アイルランドの救済がユーロ圏における金融の圧力を軽減
するとの見通しを示しているが、シティグループとノムラ・インタ
ーナショナルのアナリストらは、緊張の緩和は一時的なものにすぎ
ず、残りのユーロ圏周辺国のうち最も脆弱(ぜいじゃく)な国に投
資家の注目が向けられると予想する。 

  ポルトガルの10年国債利回りは6.92%と、アイルランドの8.31
%やギリシャの11.71%の水準に迫り、次の標的がポルトガルである
ことを市場は示唆している。同国のドスサントス財務相は15日、
「影響が波及するリスクが存在する」としながらも、同国が金融支
援を要請することを必ずしも意味しないと語った。 
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【社説】アイルランドの救済はユーロ圏破綻への道
2010年 11月 17日 15:13 JST 
WSJ
  ユーロ圏16カ国の財務相は今、ブリュッセルに会し、今年春の
ギリシャ危機後に設立された財政安定化基金の活用による救済策を
アイルランドに受け入れさせようと必死に説得を試みている。 

 今週欧州の至る所で繰り返し耳にするのが、市場の安定化と危機
の飛び火の回避には救済が必要だ、との通説だ。 

 だが、ユーロ圏にとっての大きな問題は「危機の飛び火」ではな
い。支払い能力だ。アイルランドを救済したからといって、ポルト
ガルやスペイン、フランスの支払い能力が今後向上する公算が大き
くなるわけではない。また、アイルランドの債権者を救済すること
で、その他ユーロ圏諸国の支払い能力が向上するわけでもない。 

 それどころか、それら国々の問題を悪化させる可能性がある。救
済費用は、ユーロ圏加盟各国が負担しなければならないからだ。 

 アイルランドに関する重要な問題は、長期的に見て、アイルラン
ド政府にとって銀行再建コストが債務償還能力を圧倒するかどうか
、ということだ。 

 たとえアイルランドがEUからの支援を受け入れても、この疑問
の答えが得られるわけではない。EUに対する債務返済期限が到来
するまで、回答を単に先送りすることになるだけだ。あるいは、ポ
ルトガルの財政状態が持続可能であるかどうかが、明らかになるわ
けでもない。 

 現在のところ、アイルランド政府は債券市場の活用は必要として
いない。10年物アイルランド国債は薄商いが続いており、利回りは
8%超の高水準に達しているが、これは流通市場でのことだ。アイル
ランドの実際の債務コストを表しているわけではない。少なくとも
、現在のところはそうだ。 

 それら利回りが示しているのは、アイルランド国債の市場価値の
落ち込み具合だ。すなわち、アイルランド国債を保有する欧州各国
の銀行にとって、それを売却せざるを得なくなった場合、バランス
シートに大きく影響する可能性があるということだ。 

 となると、提示されている救済策は、アイルランドの貸し手、す
なわちドイツをはじめとするアイルランド国債を抱えるその他欧州
諸国の銀行利益の保護を、意図しているようにみえる。 

 「モラルハザード」という言葉が意味するのは、それら債権者が
ヘアカット(担保価値削減)の受け入れを免れるようにすることだ
。しかも、EU自身も気を付けなければ、現在のアイルランドと同
じような状況に陥る可能性がある。 
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SDR構成比、日本円10%割れ=世界経済での地位低下鮮明に―IMF

【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)は15日の理事会で、加盟国
が外貨と交換できるSDR(特別引き出し権)の新たな通貨構成比率
を決定したと発表した。日本円は現在の11.0%から来年1月以降は
9.4%に低下する。SDRは円のほか米ドル、ユーロ、英ポンドで構成
、今回の見直しで円は単独4位に落ちる。構成比は国際貿易での通貨
の相対的な重要性を反映しており、日本の地位低下が鮮明となった。
 SDRは、IMFが外貨不足に陥った加盟国を支援するために創設した
国際準備資産で、加盟国は出資比率に応じて配分されたSDRを必要に
応じて外貨と引き換えることができる。主要4通貨による構成比は、
各通貨が貿易や各国の外貨準備で利用される割合などに応じて5年ご
とに決定。日本はこれまで英ポンドと並び3位だった  
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EU・ECB・IMF、財政不安のアイルランドと協議へ
2010年11月17日10時35分

 【ロンドン=有田哲文】共通通貨ユーロを使う欧州各国でつくる
ユーロ圏財務相会合は16日、欧州連合(EU)の行政執行機関で
ある欧州委員会と欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF
)の3機関が、財政不安のアイルランドとの間で、財政金融問題の
協議を始めることで合意した。EUやIMFの緊急融資枠をつかっ
てアイルランドを救済する必要があるかどうかを検討するとみられ
る。 

 ユーロ圏財務相会合は声明で、協議の目的について「銀行部門な
ど市場リスクに対処するための最善の方法を決める」としている。
ロイター通信によると、フランスのラガルド財務相は協議は数日か
かると語った。 

 アイルランドは銀行救済費用がかさんで今年の財政赤字が国内総
生産(GDP)比で32%にのぼり、財政再建が急務になっている
。政権基盤が弱体化していることに加え、不安になった投資家が国
債を売り、10年物国債金利は今月に入り一時9%に達した。EU
とIMFによる救済が必要だとの観測が高まっていたが、アイルラ
ンド政府は強く否定してきた。 
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ポルトガル:EUに緊急金融支援要請か 市場で観測広がる
 【ロンドン会川晴之】財政難に陥っているポルトガルが、欧州連
合(EU、加盟27カ国)に緊急金融支援を要請する可能性がある
との観測が15日、欧州で広がった。同国のドスサントス財務相が
、英フィナンシャル・タイムズ紙に対し「(支援要請に追い込まれ
る)危険性は高い」と述べ、支援を申請する可能性を示唆した。

 財務相は「我々が直面しているのは一国だけの問題ではなく、ギ
リシャ、ポルトガル、アイルランドの問題だ」と述べ、信用不安が
連鎖的に拡大している現状を説明した。ユーロ圏(加盟16カ国)
諸国は16日午後、ブリュッセルで定例の財務相会合を開き、アイ
ルランド問題も含め対応を協議する。

 一方、同じく財政悪化に苦しむアイルランドに対しても、早期に
支援を申請するよう圧力が高まっている。ドイツのメルケル首相は
15日、「ユーロが失敗すれば欧州も機能しなくなる」と述べ、欧
州の単一通貨・ユーロの信認を維持するため、財政危機に陥った国
々が、緊急支援要請を含め早期に対策を講じるよう間接的に求めた。

 また、欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁も同日、
アイルランド支援について「用意が整っている」と述べ、同国政府
の対応を待つ考えを示した。

 アイルランドのカウエン首相は同日、地元メディアに、改めて「
支援を申請していない」と、申請そのものは否定したが、EU諸国
と断続的に協議を続けていることは認めている。

毎日新聞 2010年11月16日 10時31分
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【コラム】破たん連鎖のユーロドミノ、行き着く果ては通貨分裂
                           −リン

11月16日(ブルームバーグ):次はどの国だろうか。最初はギリシ
ャが倒れた。今はアイルランドが欧州連合(EU)と国際通貨基金
(IMF)に救済される瀬戸際にある。 

  アイルランド救済が現実になれば、危機の伝染が食い止められ
、ユーロ圏の基盤は強まり、共通通貨ユーロはこれで安泰だという
心強いコメントが数多く飛び交うことだろう。プロジェクト「欧州
」の重要性について、壮大な美辞麗句をたっぷり聞かされるはずだ
。投機家に対する厳しい断罪が大陸中に鳴り響くだろう。 

  これらに耳を貸してはいけない。ユーロは破たんマシンになっ
てしまった。市場がアイルランドを片付けたら、次はポルトガルへ
、スペインへと移っていくだけだ。その先にはイタリアとフランス
が控えている。ドミノ効果で次から次へと破たんの連鎖が続き、ユ
ーロが分裂するまでドミノ倒しは止まらないだろう。 

  アイルランド危機はユーロにとって、ギリシャ危機よりもはる
かに深刻だ。かつてケルトの虎と呼ばれたアイルランドを救うのは
今や、同国経済を救出するという他のユーロ圏諸国の明確な約束以
外にない。救済が現実になることは疑いの余地がない。アイルラン
ドの財政に対する信頼を立て直すために何百億ユーロもの資金が投
じられるだろう。 

  それにしても、ユーロを信じる者にとって、なぜこのような事
態になったか説明するのはとても難しい。ギリシャはうまくごまか
してユーロに加わった。ユーロ圏は決してギリシャを仲間に入れる
べきではなかった。入れてしまった以上は、迅速に改革を進めなけ
れば脱退させると言い渡しておくべきだった。 

             優等生 

  アイルランドにこれは当てはまらない。アイルランドは過去20
年にわたって、最も成功した世界経済の優等生の一つだった。アイ
ルランド政府は放漫財政におぼれる浪費家ではなかった。危機に見
舞われた時も、ギリシャのように現実から逃避したりせず、想像し
得る限りの緊縮財政措置をとり、外部に支援を求めることなく問題
を自力で解決するべく全力を尽くした。 

  要するに、問題はアイルランドではなく、ユーロなのだ。この
理屈から逃れることはできない。そして、問題が共通通貨ユーロに
あるなら、危機はアイルランドで終わらない。 

  次はどこか。まず考えられるのはポルトガルだ。 

  ポルトガルの2009年財政赤字は国内総生産(GDP)の9.3%だ
った。これはアイルランド、ギリシャ、スペインに次いで高い割合
。政府はこれを10年に7.3%まで減らす計画だが、達成できるかどう
かは疑わしい。国債利回りは多くの投資家がこれを疑問視している
ことを示唆している。先週のブルームバーグ・ニュースの調査では
、世界の投資家の38%が、ポルトガルがデフォルト(債務不履行)
に陥る公算が大きいと答えた。 

             単純な真実 

  今回の危機は国から国へと伝染していく。唯一の恒久的解決策
は、ユーロ圏をもう少し管理可能な共通通貨圏へと分割することだ
。ユーロ圏の指導者らがこの単純な真実を認めるまでは、救済を繰
り返しても、攻撃の矛先が別の標的へと転じるだけだろう。
(マシュー・リン) 
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メルケル独首相:「ユーロが倒れれば欧州が倒れる」−統合維持の
決意 

11月15日(ブルームバーグ):ドイツのメルケル首相は、単一通貨
ユーロが欧州をつなぎとめる接着剤の役割を果たしていると述べた
。アイルランド救済は欧州統合維持の代償となる可能性があること
を示唆した格好だ。 

  欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)が15日発表したユ
ーロ圏全体の2009年の財政赤字は、EU規定の上限である3%の2
倍を超えた。そうした中でメルケル首相は、ユーロを欧州統合の死
活問題へと引き上げた。同首相はアイルランドには触れずに、ドイ
ツの役割は債務危機の再来を防ぐために「欧州で新たな安定の規範
を根付かせる」ことだと表明した。 

  メルケル首相は、自身が率いるキリスト教民主同盟(CDU)
の総会で演説し、「ユーロが倒れれば、欧州が倒れる」と言明。ユ
ーロ圏の崩壊は、第2次大戦後の欧州大陸に平和と繁栄をもたらし
た「欧州統合という観念」の終わりを示唆すると述べた。 
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EU、アイルランドに救済受け入れを訴え
2010年 11月 15日 10:24 JST 
WSJ
 欧州連合(EU)高官らによると、EU当局者はアイルランドに
救済受け入れを促している。同国が返済能力に対する信頼を回復し
、金融市場の混乱が他のユーロ加盟国に拡大するのを防ぐためだ。

 欧州の多くの国々は、アイルランドが市場に強いられて自ら動く
のを待つよりも早期に手を打った方がいいとの考えを強めている。
先のギリシャ救済が何度も遅れ、ユーロ圏全体に対する投資家の信
頼感が崩壊寸前になったためだと当局者は言う。 

 アイルランド国債に対する投資家の信頼喪失がポルトガルやスペ
インに飛び火しかねないとの懸念が高まるなか、EU当局者は今週
、救済の可能性を協議する。 

 アイルランド政府は依然、救済によって主権を喪失し、緊縮財政
の強化を迫られることを避けたがっている。関係筋によると、EU
主導の救済パッケージには、国際通貨基金(IMF)と連携して策
定した厳しい政策プログラムが含まれる見通し。 
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ユーロが対ドルで7営業日ぶり安値−欧州債務問題やドル安けん制警戒 

11月9日(ブルームバーグ):午前の東京外国為替市場では、ユー
ロが一段安の展開となった。対ドルでは一時1ユーロ=1.3847ドル
と、10月29日以来、7営業日ぶりの安値を付けている。ユーロ圏で
債務問題が再燃しているほか、欧州当局者からのドル安けん制発言
も警戒され、ユーロ売り圧力が強まった。 
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from:Eiichi Morino 
「世界経済は停滞ないし景気後退にさえころがり込んでいる。その
証拠は世界の隅々で積み上がっている。

欧州:ユーロ圏のGDPはQ2の1%の成長からQ3は0.4%に低下した
。通貨戦争の中心にある諸国のひとつ、独はQ2の2.3%の上昇に
対してたった0.7%成長しただけだ。スペインやイタリアは変わ
らずだが、ギリシャはQ3に1.1%収縮した。ギリシャの赤字はい
GDPの15.4%、公的債務は126.8%だ。アイルランドは公的
債務の危機に向かっているし、それは欧州中に広まると恐れられて
いる。広く、債務危機がEUを引きちぎるかもしれないとの怖れがあ
るのだ。

アジア:日本のデフレの苦しみはアジアの日本製品への需要薄と円
高のゆえに輸出が停滞するので続く。中国の中央政府は食品価格の
高騰、コモディティや住宅のバブルで融資を引き締めはじめている
。中国当局は外国人の不動産所有を制限し、年間10%上昇した食
品価格を統制すると述べた。コモディティや株式市場はすでに急速
に上昇した。それは減速する経済に強烈な否定的衝撃を与えるだろ
う。

米国:連邦政府は通貨戦争の引き金をひくドル安に対する批判に直
面している。住宅保有者は抵当物件がいまだ水面下で住宅価格は過
剰供給で下落している。雇用の創出も足りない。・・・」
==============================
from:Eiichi Morino
国家破産の恐怖
独の銀行はアイルランドの債券、1380億ドルを保有

アイルランドへのファイナンスがつかないと独の銀行はえらい損失
をみることになるという記事。

British and German banks, which hold a combined 288 billion 
dollars worth of Irish debt, are looking on with increasing 
unease as Ireland's debt crisis worsens. 

英国の銀行は、アイルランドの債券1500億ドルを保有
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EU首脳会議、欧州版IMF設置へ
2010.10.29 18:33サンケイ

 【ロンドン=木村正人】欧州連合(EU)は28、29の両日、
ブリュッセルで首脳会議を開き、ギリシャのような財政危機の再発
を防ぐため緊急時に欧州単一通貨ユーロ導入国(16カ国)を救済
する欧州版の国際通貨基金(IMF)を設けることで合意した。ド
イツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領が主導したもので
、ユーロ安定の前提となる導入国の財政健全化を急ぐ方針だ。

 今年に入り、ギリシャ財政危機による信用不安がポルトガルやス
ペインなど南欧諸国やアイルランドに飛び火し、ユーロが大幅に下
落。5月に、EUはIMF融資を含め最大7500億ユーロ
(約84兆1500億円)の緊急融資を決めた。

 しかし、緊急融資は3年間の暫定措置で、その後ギリシャの債務
再編は避けられないと市場がみてギリシャ国債の信用が回復しない
ため、EUは危機メカニズムの常設を迫られていた。2013年半
ばまでに欧州版IMFを稼働させる。

 EU加盟国の財政主権を尊重する現行の新基本条約(リスボン条
約)は加盟国間で公的債務を肩代わりするのを禁じている。常設の
危機メカニズムはこれに反する恐れがあるため、原則にこだわるメ
ルケル首相らは、財政規律を守れなかった国のEUの議決権停止な
どの制裁導入を含めて条約の大幅改正を求めていた。

 「合意の女王」と呼ばれることが多かった調整型のメルケル首相
がギリシャ財政危機を境にサッチャー元英首相ばりの「鉄の女」に
変身した背景には、財政赤字を垂れ流してきた南欧諸国への不信感
とドイツ国内で政治的求心力を回復させようとの思惑がある。

 しかし、独仏などEU主要国のくびきにつながれることを避けた
い国々はメルケル案に強硬に反対。EUの執行機関、欧州委員会の
バローゾ委員長も「非現実的で受け入れられない」と批判した。

 条約を大幅に改正するとなるとアイルランドの国民投票で再び否
決されて手続きが長期化する恐れが十分にあるため、今回は制裁導
入を見送り、手続きが簡素な小幅改正にとどめることで決着した。
メルケル首相は「危機メカニズムの適用には厳格さが求められる」
とユーロ導入国に対し財政規律の徹底を図る意向だ。

 ファンロンパイEU大統領(首脳会議常任議長)が具体案をまと
め、12月のEU首脳会議で決定する。

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