3810.覇権交代の時が来た



このコラムでは何度も、経済の強い国が世界を助けないと、世界は
保護主義や通貨切り下げ競争、そして、武力が強い国は戦争を始め
ることになる。経済の強い国の通貨は強いので、世界を助けること
ができるが、米国のように経済が強くない国の通貨は暴落の可能性
が増して、自国の利益しか考えることができない。と言ってきた。

とうとう、米国は中国の人民元を切り下げて、輸出に有利にする政
策を容認できなくなり、自国も金融緩和という手法でドルの切り下
げを始めた。このため、中国がドルペッグ制を取り続けると資源・
食料価格がドル下落の影響で高騰することになり、スーパーインフ
レが起こる。

なぜ、ドルにリンクさせているかというと、米国への輸出を有利に
するためであるが、その米国は輸出を制限する経常収支黒字国の4
%以上は輸出をさせないという取り決めを世界に要求した。このた
め、輸出に有利というドル・リンクの意味を失うことになった。
         津田より

0.はじめに
この経常収支4%以上の制限に掛かる国は、中国とドイツであり、
両国がG20でも反対したようである。G20でも「米国は基軸通
貨としての責任を果たしていない」との批判が相次いだ。

G20では、世界経済の不均衡問題について、来年中に過度な不均
衡かどうかを判定する指針を定めて評価を始めることを盛り込んだ
首脳宣言を採択し、閉幕したが、時代を区分する大変なG20であ
ったと見る。このように評論する評論家がいないのに驚くが。

特に中国はドル・リンクのメリットが無くなり、胡錦濤国家主席は
、人民元改革について「穏やかに為替レート形成メカニズムの改革
を推進していく」とした。人民元の緩やかな切り上げの方向性を示
唆したものだ。人民元改革の条件として「中国の主導性、コントロ
ール可能性、漸進性の原則」を守り進めるとした。

しかし、反対にドルの基軸通貨制度を世界は認めないことになる。
中国やフランスを中心として、ドルから新たな基軸通貨体制の見直
し議論に発展するはずで、次回G20では大きな議論になる。

米国のゼーリック世銀総裁も、「ブレトンウッズ3」と呼ぶ、世界
金融システムの見直しの議論が必要であるとした。このようにドル基
軸通貨制度見直しは避けて通れないことになっている。

今後は中国が覇権国家を目指して欧州と連合を組んで、米ドル基軸
体制の崩壊を進めることになるが、中国と欧州は同床異夢であり、
欧州は次の覇権国は欧州連合と思っている。

一方、ドルの基軸通貨制度が無くなると、今までのような経済は成
り立たなくなり、米国はドル防衛をするしかないことになる。
1971年の金ドル交換停止によるニクソン・ショック以降、基軸
通貨という「信用」を背景に、米国には世界中から投資資金が集ま
り、繁栄と巨額の財政赤字を支えてきた。もし、ドル基軸通貨制度
が崩壊して、世界の中央銀行が持っている米国債を売り払うと、ド
ルは大暴落して世界経済は大きなダメージを受けるが、それ以上に
米国は発展途上国化することになる。

このため、米オバマ米大統領は、「民主主義は最も効果的な政府の
形態だ」と中国の覇権国化に反対して、また環太平洋パートナーシ
ップ協定(TPP)に参加する理由については「21世紀にも、ア
ジアを率いる用意がある」というように盟主としての米国を強調し
ている。ドル基軸通貨制度防衛に向けて、新しい米国経済圏を作る
必要がでてきているのだ。

また、日米首脳は「中国が国際的なルールの中で適切な役割を行う
ことが重要」とし中国の覇権国化を牽制、「日米同盟の深化」とい
うように日米合同覇権国化を確認したのだ。覇権国の争奪戦が始ま
っている。このことを菅首相は分かっていないようだ。

菅首相は「このたびの日中、日ロ間で生じた問題について、日本を
力強く支持していただいたことをうれしく思う」と表明。さらに「
日米安保条約の重要性と米軍のプレゼンスを多くの地域や国民が感
じた」と語ったように、発想の次元があまりにも低い。

米国が参加できるAPECは今後目指すべき姿を「共同体」と位置
付け、ASEAN諸国を含めたメンバーの関係緊密化を図ることに
なる。中国を排除してアジア・南北アメリカ諸国を米国が率いる体
制にして、経済的・政治的に世界の覇権を維持する考えである。

これに対して、中国は米国を排除したASEAN+3の東アジア共
同体へ向けていくようであるが、中国の東シナ海・南シナ海での領
土紛争で、国内世論優先で対応することになり、中国は保守派でも
ある習近平国家主席の時代、これから12年以上は、東アジア共同
体は動かないことになる。国内保守派が領土保全を目指して、軍拡
大、対外軍事威圧の主張を中心に国内政治と外交を行うことで、国
際的な影響力を無くしていくことになる。

ベネズエラ、ミャンマー、北朝鮮など専制国家群しか中国の味方に
ならない時代が続くことになる。

1.ドル基軸通貨制度崩壊に向けて
欧州は、ユーロの信頼性を守る6100億ドル基金の国際通貨基金
(IMF)の欧州版を2013年に創設する。アジアは既に日本を
中心として基金1200億ドルのチェンマイ・イニシアティブとい
うアジア版IMFがある。IMFは基金1兆ドルであるので、欧州
IMFの大きさは欧州危機の大きさを見て取れる。

IMFもSDRという通貨バスケット制度があり、この中で中国の
出資比率を6%に引き上げて、人民元をバスケットに組み込む準備
ができている。現時点、ドル、ユーロ、ポンド、円の4通貨のバス
ケットである。

日本は6.5%の出資であり、中国は3番目に大きな出資になる。
米国は17.6%と筆頭になり、欧州全体で18%程度を占めてい
る。このため、専務理事は欧州、拒否権を米国が持っている。日本
は現在、副専務理事を出している。

このように1971年のスミソニアン合意、1985年のプラザ合
意を経て、米国は徐々にIMFの権力を他国に渡している。プラザ
合意以後を「ブレトンウッズ2」と呼ぶ。

このため、「ブレトンウッズ3」という次の基軸通貨体制を確立す
ることが、必要になっているのである。と中国は言っている。

この「ブレトンウッズ3」に向けて人民元を強くする必要があり、
中国は人民元建て貿易決済を拡大している。国際化の加速がないと
SDRのバスケット通貨にはならない。勿論、ドルペッグなどはで
きない。為替介入が出来ないことになる。中国の人民元改革も待っ
たなしの状態になっている。

2.米国の準備
 米国は財政赤字が2年連続で1兆ドルを突破し、過去2番目の水
準となる。この状態はドル基軸通貨体制で無くなると米国債を世界
は買わなくなり、維持できないことになる。

このため、米政府の財政赤字解消に向けて、オバマ大統領に歳出削
減策を提言する超党派の諮問機関「財政責任・改革国民委員会」を
立ち上げた。この委員会が11月10日に共同委員長草案を発表し
た。この草案では、2020年までに赤字を計4兆ドル削減するた
めの58の具体策を提示。2012会計年度予算から削減を始め、
2015会計年度には、政府職員の給与削減などで約1千億ドル、
国防関連予算の減額で約1千億ドルの歳出削減を目指すべきだ、と
している。 

 国防分野では、欧州やアジアの米軍基地に駐留する15万人の米
兵を10万人に減らせば、85億ドルを節約できると提言。在韓米
軍は1万7千人を減らし、駐留兵の家族用施設の整備計画も見直す
よう求めている。 

というように国防費の削減が求められている。これでは覇権維持の
ための軍事力は持てない。米国だけでは覇権を維持できないことに
なる。

3.日米共同覇権の構想
いままでの吉田ドクトリンが崩壊した。中国の軍事力増強に、日本
は米国の軍事力で対応して、日本は補助的な役割に終始していたが
、米国軍事力の縮小で日本も軍事力を増強する必要が出てきた。

中国は、反日感情を利用して国内民衆の不満を抑えるために、日本
との敵対関係を構築することになる。日中戦争準備も行うことにな
る。このような関係が現在、出来上がっている。日中首脳会談も出
来ない状態は異常以上の意味を持つ。

こうなったら、日本も中国との戦争に準備するしかない。米国と合
同軍を作ることである。それが意味することは日米共同覇権の構築
という次元で利害を調整するしかない。経済・軍事の利害を一致さ
せないと、軍事だけの共同では両軍ともに力がでない。

そうすると、日本の利益も主張して、原子力や鉄道などの輸出、武
器輸出なども日米共同で行うことになる。経済も合同的な仕組みに
なる。日米の経済・軍事共同体化といっても良い状態を作ることで
ある。

日本は遠慮せずに米国に要求し、米国も日本と米国の両方の利益を
考えることが必要になる。ジャパメリカになる可能性もある。英国
はフランスと軍事共同したことで、米国とは疎遠になる。

米国は日本のまだ力ある経済におんぶして経済力を立ち上げる必要
にある。ドルの下落で、おそらく中国工場労働者より米国の労働者
賃金は安くなる。そちらに工場を移転させていくことで日米経済は
一体化してくる可能性がある。

4.日本経済の方向
国際エネルギー機関(IEA)は、2010年の「世界エネルギー見通
し」を発表し、現在のエネルギー政策を各国政府が継続した場合の
シナリオとして 2035年の原油価格が1バレル243.8ドルに上昇する
と予想した。田中伸男事務局長はエネルギーを巡る状況について「
前例のない不確実さに直面している」と述べた。

というように、付加価値の低い工業製品から付加価値の高い資源・
植物加工に日本経済はシフトすることになる。エネルギーは石油か
らすすきや藻を利用したエタノールが主流になるであろうし、プラ
スチックは木から取るリグニンを利用したリグパルになる。資源の
リサイクルで多くは都市鉱山から生み出されることになる。この先
兵が日本企業と日本の大規模農家である。

というように経済体制も変更されてくる。一番良いのがシーレーン
防衛を必要としていない。海軍軍事力の拡大や自国勢力圏を拡大す
る必要が無いことで、軍事力を自国周辺の防衛に限ることででき安
上がりになる。中国と世界的な攻防をする必要がない。

というように、石油経済から自然利用経済でコンパクト化すること
ができるようになる。その仕組み自体が日本を経済覇権を取る力に
なる。

さあ、どうなりますか??
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日中外相が会談 戦略的互恵で協議
 前原誠司外相と中国の楊潔チ外相は14日午前、横浜市内で会談
した。菅直人首相と胡錦濤国家主席が13日の首脳会談で合意した
戦略的互恵関係の推進に向けた具体策のほか、日中双方が権益を主
張する東シナ海ガス田の共同開発やレアアース(希土類)の対日輸
出停滞問題を協議する見通しだ。

 日中外相会談は当初、首脳会談の事前調整として開催が模索され
たが、アジア太平洋経済協力会議(APEC)中の日程確保が難し
く、見送られる方向だった。しかし首脳会談が22分間の短時間に
とどまり、両国間の懸案の多くが積み残しになったことから、急き
ょ実施することで日中の思惑が一致したとみられる。

 日中外相は10月末、ハノイで1時間20分にわたり会談し、日
中関係の改善で一致。しかし、その後に予定されていた菅首相と温
家宝首相の会談は中国側が直前にキャンセルし、見送られた経緯が
ある。
2010/11/14 10:22   【共同通信
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日米首脳、中国を牽制 「適切な役割が重要」会談で一致
2010年11月13日13時46分

 菅直人首相は13日午前、アジア太平洋経済協力会議(APEC
)首脳会議出席で来日したオバマ米大統領と横浜市内で約1時間会
談した。海洋権益拡大を図る中国を主要テーマの一つにあげ、オバ
マ氏が「中国が国際的なルールの中で適切な役割を行うことが重要
」としたのに対し、菅氏も同意。両首脳で中国を牽制(けんせい)
した。また「日米同盟の深化」を確認。大統領は来年春ごろの菅首
相の訪米を招請し、それに向けて同盟深化の新日米共同声明を取り
まとめることでも合意した。 

 会談に同席した福山哲郎官房副長官によると、冒頭で菅首相は「
このたびの日中、日ロ間で生じた問題について、日本を力強く支持
していただいたことをうれしく思う」と表明。さらに「日米安保条
約の重要性と米軍のプレゼンスを多くの地域や国民が感じた」と語
った。 

 これに対し、オバマ大統領は「日米同盟は新しい時代に即して深
化していく必要があり、両国民に支持されることが必要だ」と述べ
た。 
(金子桂一、伊藤宏) 
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胡主席「人民元レート改革推進」 緩やかな切り上げ示唆
2010年11月13日13時41分

 中国の胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席は13日、横浜市で演
説し、人民元改革について「穏やかに為替レート形成メカニズムの
改革を推進していく」と述べた。人民元の緩やかな切り上げの方向
性を示唆したものだ。 

 胡主席は人民元改革の条件として「中国の主導性、コントロール
可能性、(段階を追って取り組む)漸進性の原則」を守りながら進
めると説明。「中国は国際収支の均衡化の促進を、経済の安定を維
持するための重要な任務とすることを認識している」と述べた。 
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オバマ大統領「アジアを再び率いる」 演説で連携へ決意
2010年11月13日11時56分

 オバマ米大統領は13日、横浜市で演説し、「アジアを再び率い
る」として、経済や安全保障面でアジアとの連携を深める意向を鮮
明にした。「民主主義は最も効果的な政府の形態だ」とも強調した
。中国を牽制(けんせい)した発言とみられる。 

 米国がAPECで貿易障壁の削減に取り組んだり、環太平洋パー
トナーシップ協定(TPP)に参加交渉したりする理由については
「成長するこの地域にとどまる強いメッセージを送るためだ。我々
は運命を共有している」と説明。対アジア太平洋外交について
「20世紀に米国は、この地域の安全保障と繁栄に貢献してきた。
新世紀にも、再び(アジアを)率いる用意がある」と強調した。 

 民主主義の重要性についても触れ、「指導者が国民に対して説明
責任を有するとき、その国民が繁栄する可能性が高いことは真実だ
」と言及した。そうした米国の価値観は「大変な試練と変化の時代
に不可欠だ」と訴えた。(尾形聡彦) 
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G20“増刷”米に集中砲火、中仏連合主導か ドル基軸通貨、
見直し機運
2010年11月13日(土)08:00sankei

 【ソウル=橋本亮】12日閉幕した20カ国・地域(G20)首
脳会議では、大規模な金融緩和でドルを“増刷”する米国が集中砲
火を浴びた。基軸通貨ドルへの不信が高まる中、来年のG20議長
国であるフランスや米国批判の急先鋒(せんぽう)の中国が主導し
、新たな基軸通貨体制の見直し議論に発展する可能性がある。そう
なれば、ドルへの信認はさらにゆらぎ、米国からの資金流出とドル
暴落のリスクが高まり、円高の逆風が日本にも吹き付ける恐れがあ
る。

 ≪思惑一致≫
 「フランスと中国が手を握った」。G20首脳会議を前に金融市
場では、こんな観測が駆け巡った。

 中国の胡錦濤国家主席は今月4日、フランスを公式訪問し、サル
コジ大統領と会談。航空機など総額200億ドル(約1兆6千億円
)規模の売買契約を締結し、来年のG20に向けた協力を約束した。

 その後、サルコジ大統領はソウル入りする直前に、「不安定な為
替レートは世界経済の成長に大きな脅威だ」と述べ、米国のドル安
政策を牽制(けんせい)。国際通貨協調のための新たな枠組み作り
に意欲を表明した。

 さらに、フランスのラガルド経済・産業・雇用相も、中国がドル
に代わる準備通貨として国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権
(SDR)の活用を提案していることに言及。「G20で協議して
いく」と、言及した。

 フランス国内では、「2012年の大統領選で劣勢が伝えられる
サルコジ氏には、経済面での中国の支援が不可欠」(外交筋)との
声が強い。中国も、人民元切り上げを強硬に迫る米国に対抗するた
め、欧州との関係を強化しており、両国の思惑は一致する。

 ≪「資産略奪」≫
 会議の本番では、中仏連合に呼応するかのように、「米国は基軸
通貨としての責任を果たしていない」との批判が相次いだ。

 「強いドル」の建前を繰り返すガイトナー米財務長官。追加緩和
によるカネ余りで通貨としての価値を自らおとしめる行為は、各国
が持つドル資産の目減りにつながっており、「一種の資産略奪」(
中国・人民日報)との声も上がる。

 ドルの信認は低下するばかりで、米国を震源地とするリーマン・
ショックで高まった基軸通貨見直し議論が再燃するのは必至だ。米
国内でも、ブッシュ政権の中枢にいたゼーリック世銀総裁が、金を
指標とした国際通貨体制を提言し、波紋を広げている。
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不均衡判定、来年中に指針決め評価 G20首脳宣言採択
2010年11月12日23時41分

 【ソウル=福田直之】ソウルで開かれた20カ国・地域首脳会議
(G20サミット)は12日午後、最大の課題だった世界経済の不
均衡問題について、来年中に過度な不均衡かどうかを判定する指針
を定めて評価を始めることを盛り込んだ首脳宣言を採択し、閉幕し
た。各国は通貨安競争を避けることでも合意したが、例外として、
先進国の金融緩和で資金流入が続き通貨高となっている新興国は、
為替相場を強く操作しないなら、資本規制などの通貨安措置をとっ
てもよいことにした。 

 G20首脳会議は、経済の状態が過度な不均衡かどうかを判定す
る参照指針を複数の指標で構成することにした。米韓は10月、経
常収支の不均衡を数値基準で是正しようと提案したが、是正幅が大
きくなる国から強い反対意見が出された。このため、国ごとに異な
る経済の状態をなるべく公平に判断できるようにした。 

 指針は、来年前半にG20各国の財務相と中央銀行総裁が具体的
に議論し、来年中に最初の評価を実施する。菅直人首相は会議閉幕
後、記者団に「G20の存在が定着してきた」と歓迎の姿勢を示し
た。 

 G20首脳会議では、新興国の通貨の価値が、金融緩和を繰り返
す先進国からの資本流入で、急上昇していることも問題視された。

 首脳宣言では、10月の慶州での財務相・中央銀行総裁会議の共
同声明を引きついで、通貨安競争の回避が盛り込まれた。一方、ブ
ラジルなど資金流入が続く新興国には、緊急避難的に通貨の上昇を
抑制する政策をとることを認めることにした。ただ、あえて外貨準
備の水準が適切で、柔軟な為替政策をとっている場合に条件を限定
。継続的な為替介入によって、自国通貨人民元の価値を低く抑えて
いる中国の政策は、正当化できないようにした。 

 貿易の自由化を支援する議論も行われ、輸出規制や輸出刺激策に
ついて、「いかなる新たな保護主義的措置も是正する」とした。中
国によるレアアース(希土類)の輸出規制に、G20として懸念を
共有し、示した形だ。 

 また、国際的に活動する銀行の自己資本の質を高める「バーゼル
3」規制に合意したことも承認。世界展開する大きすぎてつぶせな
い金融機関に経営の健全性を義務づける具体的な規制を来年末まで
に決めるとした。  

■首脳宣言の骨子 
・為替レートの柔軟性を向上させるとともに、通貨安競争を回避する 
・為替レートが過大評価されている新興国は、注意深く設計された
 マクロ健全性措置で対応可能 
・大規模で継続した対外不均衡を評価するための指針は、2011
 年前半に財務大臣と中央銀行総裁が議論する 
・不均衡の是正の指針に基づいた最初の評価はフランスが議長国を
 務める来年中に始める 
・輸出規制など、いかなる保護主義的措置も是正する 
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経済統合へ道筋示す APEC首脳会議開幕

 日本や米国、中国など21カ国・地域が参加するアジア太平洋経
済協力会議(APEC)首脳会議が13日、横浜市のパシフィコ横
浜で開幕する。地域経済統合に向けた道筋づくりが最大の焦点で、
2日間の討議を経て首脳宣言「横浜ビジョン」をまとめる。

 日本での開催は1995年の大阪会合以来、15年ぶり。議長と
なる菅直人首相は、首脳会議直前の9日に閣議決定した、貿易自由
化を進める環太平洋連携協定(TPP)をめぐり関係国と協議入り
する政府の基本方針を、2日間の会期中に説明。APECの域内統
合構想「アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)」実現に向け、議
長国として指導力を示したい考え。
2010/11/13 05:54 【共同通信
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米中首脳、人民元問題など協議 予定上回る1時間20分
2010年11月11日23時14分

 【ソウル=尾形聡彦、吉岡桂子】オバマ米大統領と中国の胡錦濤
(フー・チンタオ)国家主席は11日、G20サミットが開かれる
ソウルで会談した。オバマ氏は中国・人民元の対ドル相場での切り
上げを進めるよう改めて要請、胡氏は人民元改革を徐々に進める方
針を改めて示した。オバマ氏は表現の自由の重要性を訴え、政治犯
の釈放を求めた。米政府高官によるとレアアース(希土類)問題は
議論されなかったという。 
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「在外米軍の規模を3分の2に」 米諮問委が歳出削減案
2010年11月11日19時51分

 【ワシントン=望月洋嗣】米政府の財政赤字解消に向けて、オバ
マ大統領に歳出削減策を提言する超党派の諮問機関「財政責任・改
革国民委員会」が10日、共同委員長草案を発表した。在外米軍の
駐留規模を現在の3分の2に縮小するなど、国防分野での大幅な削
減を求めている。 

 草案は、2020年までに赤字を計4兆ドル削減するための58
の具体策を提示。2012会計年度(2011年10月〜12年9
月)予算から削減を始め、2015会計年度には、政府職員の給与
削減などで約1千億ドル、国防関連予算の減額で約1千億ドルの歳
出削減を目指すべきだ、としている。 

 国防分野では、欧州やアジアの米軍基地に駐留する15万人の米
兵を10万人に減らせば、85億ドルを節約できると提言。在韓米
軍は1万7千人を減らし、駐留兵の家族用施設の整備計画も見直す
よう求めている。 

 また、米軍普天間飛行場に配備予定の新型輸送機MV22オスプ
レイの調達を現計画の3分の2以下となる288機にとどめる▽日
本への導入も検討される次世代ステルス戦闘機F35の調達数も現
計画の半分に減らす▽F35の海兵隊仕様の開発を中止する、など
と提案している。 

 ゲーツ国防長官は今後5年間で国防予算から1千億ドルの「ムダ
」を削り、必要な分野に振り分ける効率的な支出を進めている。こ
れに対し提言は、削った分を転用しなければ15会計年度には
280億ドルが節約できるとしている。 

 同委員会の最終提言には、18委員のうち14委員の承認が必要
。最終案について12月までに投票する予定という。 
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金本位制支持者ではない=ゼーリック世銀総裁
2010年 11月 10日 21:09 JST 
WSJ
世界銀行のゼーリック総裁は、1920年代の世界的な金本位制への回
帰を求めていると捉えられたが、総裁自身はそうではない、と言っ
ている。 

 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の論説で総裁は、将来の
金融システムは金に主役を担わせるべきだと提案。これを受け、世
界中で議論が沸きあがった。 

 総裁の提案は、多くのエコノミストが大恐慌の発生と深刻化の原
因とみなす、金本位制への回帰の要求であると広く解釈された。 

 それは誤解だ ─ ソウルで開催される20カ国・地域(G20)
首脳会議に向かう途中、シンガポールに立ち寄った総裁は10日、こ
う語った。総裁が「ブレトンウッズ3」と呼ぶ、世界金融システム
の見直し後の体制について、幅広い議論が喚起されることを意図し
たものだったという。 
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佐々木の視点・考え方

国際エネルギー機関(IEA)は9日、2010年の「世界エネルギー
見通し」を発表し、現在のエネルギー政策を各国政府が継続した
場合のシナリオとして 2035年の原油価格が1バレル243.8ドルに上
昇すると予想した。
 田中伸男事務局長はエネルギーを巡る状況について「前例のない
不確実 さに直面している」と述べた。
 「見通し」は温暖化対策や省エネなど各国政府の政策の実現規模
に対応して3つのシナリオを用意。各国政府が表明済みの温暖化対
策を実行に移した場合の中心シナリオでは35年の価格は1バレル
204.1ドルと予想した。思い切った温暖化対策が採用された場合のシ
ナリオでは1バレル162.6ドルと予測している。
                日経11月10日

 この半世紀は「安い石油の時代」と呼ばれる。現在の世界のシス
テムは 輸送も動力源も電力も衣服も日用品も低価格の原油が供給
されることを前提に出来ている。

 この前提が崩れる可能性が高いと指摘するのが、今日のIEAの
報告書。中国も含めて世界中が地球温暖化を避けるために化石燃料
の利用を大きく制限し、原油需要は今と変わらないとする、現実と
は異なる夢のようなシナリオでも25年後の原油価格は現在の2倍
になるとみている。たぶんこうなるだろうなというシナリオでは4
倍になる。

 何が問題かといえば、国際エネルギー機関の専門家が世界中の油
田を見て回った結果、巨大に限らず多くの油田の採掘が進み、採掘
量が経年で大きく減少していること。

 IEAの今回の調査結果は、現在日量約7千万バレル産出してい
る現在稼動中の油田は2035年には2千万バレル以下に、つまり
5千万バレル減るとした。

 新規油田の開発は進むが、どれも小粒で高コストのものばかりし
かない。一方で、新興国の一人当たり石油利用量は先進国の何倍も
少ないから、新興国が経済成長を犠牲にしてまで利用自粛はしない
となっている。

 これに、「CO2排出で地球が温暖化している」という研究報告
は、データの捏造で誤りだったと分かってしまった。このなかでコ
ストをかけてCO2削減をするはずも無い。

 ニュースでは「原油価格が高騰する」「中国が世界のエネルギー
需要をけん引」となっているが、IEAの主旨は「ピークオイルに
なりました」だ。

 20世紀の多くの戦争の原因が原油を巡る争いということを考え
れば、今日のニュースのインパクトは、世界中の人にとって大きな
ものになる。
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米景気回復は世界の回復に重要、ドルを下支え=FRB議長
2010年 11月 6日 07:49 JST 

[ジャクソンビル(米フロリダ州) 5日 ロイター] 米連邦準
備理事会(FRB)のバーナンキ議長は5日、米経済が勢いを取り
戻すことは世界の安定に「非常に重要」とし、FRBによる国債追
加買い入れの決定の重要性を強調した。同時に、米経済成長の加速
はドルを下支える、との見方を示した。

 議長は討論会での質問に対し「米景気の回復は米国民にのみなら
ず、世界の回復にとり非常に重要だ」と語った。さらに、米当局者
は主要準備通貨としてドルの役割をしっかりと認識してきるとし、
「経済が力強く拡大している状況がドルにとり最適のファンダメン
タルズだ」と語った。
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米FRB大幅な追加緩和 6千億ドルの長期国債買い入れ
2010年11月4日11時18分

 【ワシントン=尾形聡彦】米連邦準備制度理事会(FRB)は3
日、金融政策を決める連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、来
年6月末までに6千億ドル(約49兆円)の長期国債(米国債)を
金融機関から買い入れることを柱にした追加の金融緩和策を決めた
。国債購入を通じて低金利で大量のお金を流し、米国景気を刺激す
るのが狙いだ。 

 FOMC後の声明で、来年6月末までに月間750億ドル(約6
兆円)のペースで長期国債を購入すると表明した。「購入規模や買
い入れペースは定期的に検証し、雇用の最大化と物価安定に資する
ように調整する」とし、景気がさらに悪化すれば、国債購入額を増
やして一層の追加緩和に踏み切る可能性も示した。短期金利の誘導
目標も従来通り0〜0.25%とし、事実上の「ゼロ金利政策」を
維持する。 
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欧州版IMF、2013年に創設へ EU首脳会議
2010年10月29日10時18分

 【ブリュッセル=井田香奈子】欧州連合(EU)の首脳会議は
29日未明、ユーロ圏で財政危機に陥った国に各国が緊急融資する
常設の融資制度を2013年に創設することを決めた。ユーロの信
頼性を守るのが狙い。国際通貨基金(IMF)の欧州版に相当する
もので、これに伴うEU条約の改正にも合意した。 
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米ドル発行は「抑制きかない」状態、中国にインフレ脅威=中国商
務相
2010年 10月 27日 09:16 JST

 [北京 26日 ロイター] 中国の陳徳銘商務相は、米国のド
ル発行は「抑制がきかない」状態となっており、中国にインフレの
脅威をもたらしているとの認識を示した。新華社が26日伝えた。

 新華社によると、陳商務相は講演で、輸出業者は人件費の増加や
為替相場の変化に首尾よく対応したが、突然の新たな課題に直面し
ていると指摘。「米国のドル発行に抑制がきいておらず、国際的な
商品相場が継続的に上昇していることから、中国は輸入インフレに
さらされている。この(事態に関する)不透明性が企業にとって大
きな問題となっている」と述べた。
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米財政赤字、2年連続1兆ドル超え
 【ワシントン=岡田章裕】米財務省は15日、2010会計年度
(09年10月〜10年9月)の財政赤字が2年連続で1兆ドルを
突破し、過去2番目の水準となる1兆2940億9000万ドル(
約105兆円)になったと発表した。

 ただ、赤字幅は2月の予算教書で予測した1兆5560億ドルよ
りは小さく、過去最大だった前年度(1兆4157億2400万ド
ル)から8・6%減少した。国内総生産(GDP)に占める割合も
10・0%から8・9%に低下した。

 歳入は2・7%増の2兆1617億4500万ドル、歳出は1・8
%減の3兆4558億3500万ドルだった。金融危機が峠を越し
て金融機関の破綻(はたん)処理費用が減少し、公的資金の注入額も
減ったことなどから歳出削減が進んだ。歳入面では、緩やかな景気
回復で法人税収などが増えた。

(2010年10月16日10時52分 読売新聞)
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歴史年表
1929年:NY証取で株が暴落世界大恐慌が開始
1930年:ストーム・ホーレー法を施行で、各国がブロック経済
      圏化
1932年:グラス・スティーガル法で銀行から証券を分離
1932年:満州国建国
1933年:フランクリン・ルーズベルトが大統領
      ニューディール政策
1933年:ナチスがドイツの政権を取る
      日本とナチス・ドイツが国際連盟から脱退
1934年:ヒットラーが総統になる。
      ソヴィエト連邦が国際連盟に参加
1935年:ドイツはヴェルサイユ条約の破棄と再軍備を宣言
1936年:ドイツ軍はラインラントに進駐
      日独防共協定を締結
1937年:イタリアが国際連盟から脱退
1938年:オーストリアを併合(アンシュルス)、ズデーテン
      地方の割譲
1939年:第2次世界大戦開始
1945年:終戦
1944年:ブレトン・ウッズで会議
1945年:ブレトン・ウッズ体制で米国の経済覇権が確立
1945年:IMF、世銀、国際連合が発足
1949年:1ドル=360円の為替レートを設定
      吉田ドクトリン
1951年:サンフランシスコ講和条約
1950年:警察予備隊設立
1950〜1953年:朝鮮戦争
1954年:自衛隊発足
1956年:国連加盟
1960年:池田内閣成立、高度成長が始まる
1963〜1975年:ベトナム戦争
1971年:ニクソン・ショック(金・ドル交換停止)
      スミソニアン合意で、1ドル=308円に
1972年:日米繊維協定調印、沖縄返還
1973年:日本が変動相場制でブレトン・ウッズ体制の崩壊
      (ブレトン・ウッズ2ともいう)
            第一次オイルショック:高度成長が終わる
1976年:IMFは変動相場制を正式承認(キングストン合意)
1978年:第二次オイルショック
1985年:プラザ合意 1ドル=240円に
1986年:英国で金融自由化
1987年:ブラックマンデー
1988年:スーパー301条施行(ジャパンバッシング)
1989年:日米構造協議
            ベルリンの壁が崩壊
1990年:大蔵省の総量規制でバブル景気崩壊
            東西ドイツ統一
1991年:ソヴィエト連邦が崩壊
            湾岸戦争
1993年:クリントン政権
1997年:アジア通貨危機
1998年:LTCM破綻(ロシア通貨危機)
1999年:米国で金融自由化、
      EUのユーロ取引開始
2001年:ブッシュ大統領、小泉内閣成立
            エンロンが破綻、911テロ事件
2003年:イラク戦争
2007年:サブプライム問題が判明
2008年9月:米国発金融危機(リーマンショック)
2009年:日本は民主党政権へ
      ユーロ危機
2010年:経常収支の容認幅を規定(G20で)


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