3794.基軸通貨ドルの不信



米国のドル減価策を検討しよう。  Fより

米銀行はサブプライムでの住宅ローン破綻者の住宅を差し押さえは
できるが、競売に必要な所有者の証明ができずに、競売できなくな
っている。このため、住宅ローンの回収が不能であることと金融規
制法ができて、ゴールドマン・サックス・グループやシティグルー
プに代表される米銀の収入は縮小しつつあり、今後も減り続ける恐
れがある。米金融機関が米GDPの40%程度を占める国家経済の
担い手であったが、この金融機関の収入が落ちて、次の米国家経済
の担い手を見つける必要がある。

しかし、2010年7〜9月期の実質国内総生産(GDP)は、年
率換算で前期比2.0%増だった。5期連続のプラス成長となった
が、米FRBは、追加金融緩和に踏み切る方向である。

その規模は、少なくとも5000億ドルの国債を買い入れる計画以
上のものになる可能性が高い。40兆円という大規模な金融緩和を
計画していることになる。これは米国ではスタグフレーションを起
こすことが確実である。しかし、これをするしか政策がなくなって
いる。

この理由は、財政赤字が2年連続で1兆ドルを突破して、ティーパ
ーティの大きな政府と社会保障制度への支出を批判されたことによ
る。このため、これ以上の景気対策、構造改革としての財政出動が
できないことで、米FRBと政府はドル札増発する金融緩和策を大々的
に行いドルを減価させて、製造業の輸出を増額させるという。

いわゆる近隣諸国困窮化政策にシフトしようとしている。製造業に
は海外生産をすると罰則の税金を掛けることも検討されている。ま
た、海外流出先の中国から呼び戻すことも視野に入れている。

しかし、米国への批判を避けるために、G20では中国の人民元な
どの為替介入を批判して、その行為が近隣諸国困窮化政策であると
して中国を批判しているが、残念ながら、その批判は米国・中国の
両方に当てはまることになる。中国を叩くのは米企業を呼び戻す意
図もあることを認識するべきである。

米中では、為替介入と金融緩和という方法が違うだけであり、その
目標は同一である。自国通貨の切り下げである。

G20財務相・中央銀行総裁会議では「(各国が)競争するように
切り下げを行うことは控える」としたが、それを大々的に行う米ガ
イトナー米財務長官が外国為替市場で、円やユーロに対して売られ
ているドルについて、「これ以上のドル安は必要ない」との認識を
示した。しかし、これはジェスチャーでしかない。

G20が終わると、中国の王岐山副首相と山東省で会い、米国債の
買い増しを頼んで、中国の人民元為替介入を認めるようである。

このように、米ドルの信認は低下している。基軸通貨としてふさわ
しくないが、代替する基軸通貨は見当たらない。と行天元財務官は
悔しそうに言う。

ドルペッグ制をとる中国の陳徳銘商務相も、米国のドル発行は「抑
制がきかない」状態となっており、中国にインフレの脅威をもたら
しているとの認識を示した。

ここに及んで、日銀も重い腰を上げざるを得なくなった。
日本銀行は、株価や不動産の投資信託を初めて市場から買う方針を
固めた。通貨を発行する中央銀行は普通は金融機関が持っている資
産の購入に限っており、市場からの「直接購入」は世界でも異例だ。

しかし、これは米国と同様なインフレ策であり、下手をするとスタ
グフレーションを起こすことになる。この日銀の方策は必要である
が、もう1つ、円の国際化を行うことである。

また、円高であり、海外企業、海外資源を買うことが今、行う必要
であるし、株価が円ベースでは安く、ドルベースでは高い今の内に
日銀やファンドは日本企業の株を海外ファンドから買い戻すことで
ある。日本資産の保全をして、竹中氏が行った日本企業を安く米フ
ァンドに売り渡した売国政策を取り戻す良い機会である。

円高で日本企業の空洞化が進むが。その円高を有利にする工夫も必
要である。
==============================
日銀、市場から初の直接購入へ 株価上場投信など
2010年10月30日3時1分

 日本銀行は、株価や不動産の投資信託を初めて市場から買う方針
を固めた。通貨を発行する中央銀行は普通は金融機関が持っている
資産の購入に限っており、市場からの「直接購入」は世界でも異例
だ。日銀が買うことで安心感を与え、株式や不動産への投資が活発
になることを狙う。 

 日銀は5日の金融政策決定会合で、国内で上場している株価指数
連動型上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J―REIT)
を買うことを決めた。今年12月〜来年末にETFを4500億円
分、J―REITを500億円分買う方針だ。 

 日銀はこれまでも国債や社債などの資産を買ってきたが、いずれ
も金融機関から。これらを買って金融機関にお金を流し、融資や投
資が増えるのを狙ってきた。だが、企業融資は伸び悩み、株価や不
動産価格も低迷したまま。市場からの直接購入に踏み切り、株式や
不動産への投資を促す必要があると判断した。
==============================
米成長率2.0%増 7〜9月期、追加金融緩和の公算大
2010年10月29日22時1分

 【ワシントン=尾形聡彦】米商務省が29日発表した2010年
7〜9月期の実質国内総生産(GDP、速報値)は、年率換算で前
期比2.0%増だった。5期連続のプラス成長となったが、米経済
は4〜6月期以降、低成長が続いていることが確認された。米連邦
準備制度理事会(FRB)が11月2〜3日に開く連邦公開市場委
員会(FOMC)で追加金融緩和に踏み切る公算が一段と大きくな
っている。 

 7〜9月期の成長率は、事前の市場予測(2.0%程度)と同じ
だった。4〜6月期(1.7%)よりわずかに高かったものの、リ
ーマン・ショック後の世界同時不況から立ち直りをみせた2009
年10〜12月期(5.0%)、10年1〜3月期(3.7%)に
比べると、回復ペースが鈍化した格好だ。 
==============================
「米銀の最悪の10年」幕開けも、大恐慌以来の収入低迷時代に突入 

10月26日(ブルームバーグ):ゴールドマン・サックス・グループ
やシティグループに代表される米銀の収入は縮小しつつあり、今後
も減り続ける恐れがある。金融業界が向かおうとしているのは、大
恐慌以来で最も収入の伸びが低迷する時代かもしれない。 

  米銀の上位6行は2009年に史上最高の収入を計上したが、ブル
ームバーグがまとめたデータによれば、今年7−9月(第3四半期
)の純収入の合計額は平均で前年同期比8%、過去2四半期で16.3
%それぞれ減少した。ゴールドマンのトレーディング収入からバン
ク・オブ・アメリカ(BOA)の住宅ローンに至るまで各方面の減
収が影響し、米銀の収入は今年これまでに4.1%減少している。口座
やクレジットカードの手数料を制限する新法だけでなく、デリバテ
ィブ(金融派生商品)・資本規制も金融機関の収入を圧迫しつつあ
る。 
==============================
米ドル発行は「抑制きかない」状態、中国にインフレ脅威=中国商
務相
2010年 10月 27日 09:16 JST

 [北京 26日 ロイター] 中国の陳徳銘商務相は、米国のド
ル発行は「抑制がきかない」状態となっており、中国にインフレの
脅威をもたらしているとの認識を示した。新華社が26日伝えた。

 新華社によると、陳商務相は講演で、輸出業者は人件費の増加や
為替相場の変化に首尾よく対応したが、突然の新たな課題に直面し
ていると指摘。「米国のドル発行に抑制がきいておらず、国際的な
商品相場が継続的に上昇していることから、中国は輸入インフレに
さらされている。この(事態に関する)不透明性が企業にとって大
きな問題となっている」と述べた。

 同相は、米金融政策の影響に懸念を表明する一方、来年の中国の
貿易については楽観的な見方を示した。

 輸出の伸びは安定し、輸入も大幅に拡大するとの見通しを示した。
==============================
米ドル信認低下しているが代替基軸通貨見当たらない=行天元財務官
2010年 10月 27日 14:02 JST

 [東京 27日 ロイター] 元財務官の行天豊雄・国際通貨研
究所理事長は27日午前、都内で開催された国際預金保険協会
(IADI)の年次総会で講演し、米ドルの信認は低下しているが
代替する基軸通貨は見当たらないと指摘。急成長を続ける中国は今
後制約条件に直面、世界のリーダーたるには条件が欠如していると
の見方を述べた。

 行天氏は、「米国一極のリーダーシップを受け入れない国々の影
響力が高まっており、米国の対外債務がドルに対する信認を落とし
てきた」と述べた。一方、「ドルに代わるグローバルな基軸通貨、
は予見される限り見当たらない」とし、「安定した基軸通貨は経済
、軍事、文化そしてイデオロギー面で影響力があり、流動性のある
通貨」である必要性があると述べた。
==============================
米FRB、11月に数千億ドル規模の国債買い入れ計画を発表する公
算=WSJ
2010年 10月 27日 12:33 JST 

 [東京 27日 ロイター] 米ウォールストリート・ジャーナ
ル(WSJ)紙は27日、米連邦準備理事会(FRB)が来週、今
後数カ月にわたる数千億ドル規模の国債買い入れ計画を発表する見
通しだと伝えた。

 WSJ紙は、国債買い入れ計画の詳細はFRB内部で調整中だが
、大枠は固まったと伝えた。情報源は明らかにしていない。

 WSJはこの計画を「控えめなアプローチ」としており、投資家
が想定するシナリオである5カ月間にわたり少なくとも5000億
ドルの国債を買い入れる計画に匹敵する。

 FRBは11月2―3日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、
追加金融緩和に乗り出すと広く予想されているが、国債の買い入れ
規模やペースをめぐっては不透明感が漂っている。

 WSJによると、FRB当局者は、国債買い入れについて、世界
的な金融危機時に用いられた「衝撃と畏怖(shock and awe)」型を回
避し、回復が進むに伴い時間とともに政策を調整することを可能に
するアプローチを取りたい意向。
==============================
G20「通貨安競争回避」声明採択し閉幕 不均衡是正も
2010年10月23日17時22分

 【慶州(韓国南東部)=尾形聡彦、稲田清英、福田直之】当地で
開催されていた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会
議が23日午後3時39分、共同声明を採択し、閉幕した。共同声
明では通貨安競争の回避が盛り込まれると共に、各国が過度の不均
衡是正に向けた政策を推進することを明記した。不均衡が続く場合
には、国際通貨基金(IMF)が査定することも盛り込まれた。 

 共同声明では、各国の基本姿勢として、まず通貨を巡って「(各
国が)競争するように切り下げを行うことは控える」とした。各国
に、為替介入などを行いにくくする効果がありそうだ。
==============================
「これ以上のドル安は不要」米財務長官が認識
 【ニューヨーク=小谷野太郎】米ウォール・ストリート・ジャー
ナル紙(電子版)は20日、ガイトナー米財務長官が「主要国の通
貨はほぼバランスが取れている」と述べ、外国為替市場で、円やユ
ーロに対して売られているドルについて、「これ以上のドル安は必
要ない」との認識を示したと報じた。

 ガイトナー長官は同紙とのインタビューで、今週末に韓国で開か
れる20か国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、世界
経済の米国への依存度の引き下げに加え、為替政策では「規範の確
立が必要」と述べた。

 意図的に切り下げられている中国の人民元や、逆に海外からの資
金流入で急速に通貨高が進む新興国など世界の為替問題を解決する
には、共通の指針が必要との考えを示した。

(2010年10月21日11時53分 読売新聞)
==============================
中国人民銀、0.25%利上げ インフレ懸念強く
2010年10月20日0時34分

 【北京=吉岡桂子、上海=奥寺淳】中国人民銀行(中央銀行)は
19日、預金と貸し出しの基準金利(期間1年)をともに0.25
%引き上げると発表した。20日から実施する。利上げは2007
年12月以来で、これまで緩和気味だった金融政策を引き締めに転
じる姿勢を鮮明にした。日米など世界的な金融緩和でだぶついた資
金が中国に流れ込み、食品の値上がりや住宅の高止まりなどインフ
レ懸念が強まっているためだ。 

 この結果、基準金利は、預金が2.5%、貸し出しが5.56%
となる。中国では食品や住宅など生活に身近な物価の上昇ペースが
警戒水準に近づいている。賃金の上昇が追いつかず、労働者の不満
はたまっている。利上げで、利子が高い人民元の資産が一層買われ
る可能性があるが、一定の人民元の値上がりを容認しても、物価を
抑える必要があると判断したようだ。 
==============================
米財政赤字、2年連続1兆ドル超え
 【ワシントン=岡田章裕】米財務省は15日、2010会計年度
(09年10月〜10年9月)の財政赤字が2年連続で1兆ドルを
突破し、過去2番目の水準となる1兆2940億9000万ドル(
約105兆円)になったと発表した。

 ただ、赤字幅は2月の予算教書で予測した1兆5560億ドルよ
りは小さく、過去最大だった前年度(1兆4157億2400万ド
ル)から8・6%減少した。国内総生産(GDP)に占める割合も
10・0%から8・9%に低下した。

 歳入は2・7%増の2兆1617億4500万ドル、歳出は1・8
%減の3兆4558億3500万ドルだった。金融危機が峠を越し
て金融機関の破綻(はたん)処理費用が減少し、公的資金の注入額も
減ったことなどから歳出削減が進んだ。歳入面では、緩やかな景気
回復で法人税収などが増えた。

(2010年10月16日10時52分 読売新聞)
==============================
日経:「先進国のデフレ」「新興国のバブル」同時進行 − 先進
国の金融緩和競争が生んだ余剰資金は新興国に流れ込み、資産バブ
ルやインフレの温床になりつつある。世界経済は「先進国のデフレ
」と「新興国のバブル」が共存する難しい局面に入った。 


コラム目次に戻る
トップページに戻る