3787.日中関係はどうなるか?



一連の欧米が繰り出す中国バッシングに対応して、中国は応戦して
いる。この影響を受けるのが日本だ。今後の日中関係はどうなるの
か検討しよう。         Fより

尖閣問題で日中関係がおかしい時に、ノーベル平和賞が民主化運動
家で作家・詩人の劉暁波(リウ・シアオ・ポー)氏に決まり、中国
国内での民主化運動が再熱したが、それを弾圧して止め、またノル
ウェイとの交流事業も止めた。

次に地元政府当局が事前に承認していた「官製」の反日デモを四川
省成都など3都市で行われせた。しかし、この時期、日中関係の修
復の動きが出ているので、このことと矛盾した反日デモであり、胡
金濤国家主席や温家宝首相とは違うために、党内闘争の様相を呈し
ていた。このことが党大会に影響したことが明確である。

しかし、インターネットなどで広がった反日デモの勢いは当局の想
定を超え、承認していない都市にも飛び火するなど統制を失った。
このため、共産党中央宣伝部が国内メディアに対し、反日デモや日
本関連の報道について規制を強化する通達を出したようだ。

この反日デモが各地で行われている時期、中国共産党の第17期中
央委員会第5回全体会議(5中全会)が開かれて、習近平国家副主
席を軍の最高指導機関、中央軍事委員会の副主席に選出することを
決め、胡錦濤国家主席の後継者となることが内定した。

習近平氏は、太子党であり保守派である。胡金濤国家主席は団派で
あり、温家宝首相とともに政治改革を進めて、国際的にも協調外交
を行う方向であったが、太子党が政権を取る事で、今後の中国の動
向予測すると、共産党一党独裁体制の堅持に尽きる。民主化を弾圧
していくことは確実である。

胡金濤国家主席と温家宝首相は、民主化に積極的であった胡耀邦に
見出された人材であり、中国の民主化を徐々に進めると期待された
が、江沢民前国家主席が前半は中央軍事委員会主席でガードしてい
てできず、後半は習近平副主席が軍の支持を背景に力を持ち、結局
、胡主席の特色など出せないまま終わることが明確になった。

この習近平副主席が次期トップになることが確定した時点から、欧
米への対応も変化している。中国の強硬な外交が始まった。まず、
日本だけではなく、米欧にもレアアースの禁輸を拡大して、中国へ
のバッシングに対抗し始めている。

G20に向けて、中国包囲網を突破するために、欧米にも対応して
、ASEANでもミャンマー・タイ・インドネシアなどに近寄り、
南シナ海問題などを米国の干渉をさせない布陣を作る意向である。

日本との関係は、反中的な前原外相を強く非難するが、日中首脳会
談を行い、当面のG20、APEC、ASEAN会議を乗り切る意
向のようであるが、日中関係は、当分ギスギスした関係が続くこと
になる。

それに呼応して、日本のマスコミは中国関係の記事が少なくなって
いる。欧米メディアを見ていないと、分からないことが多くなって
いる。自主規制というが、メディアとしての価値が無いことになる
と思う。

ツイッターで知る中国関係の事件が多すぎるし、国内の反中デモも
報じることである。どう判断するかは読者に任せるべきで、社説で
批判するなりのことも中国対応情報を伝えるべきだ。

これでは報道が自由な民主的な国家と日本を見なせなくなる。日本
も同じことをしていると見られので、思想戦争が中国と出来ないこ
とになり、日本は不利になる。
==============================
中国高官、前原外相を強く非難 「毎日、中国を攻撃」
2010年10月21日21時50分

 【北京=古谷浩一】中国の胡正躍外務次官補(アジア担当)は
21日、今月末のハノイでの東アジアサミットの場での日中首脳会
談の実現見通しについて、「適切な条件と雰囲気」が十分ではない
との認識を表明。その理由として、前原誠司外相が同会談について
「焦らなくていい」などと語ったことを指摘し、前原氏を強く非難
した。 

 温家宝(ウェン・チアパオ)首相の東アジアサミット出席などに
関する記者会見で語った。公の場での日本政府高官に対する名指し
批判は極めて異例。尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で緊張した両国
関係は、ベルギーでの非公式首脳会談を機に修復に向け動き始めて
いるが、前原氏に対し、中国政府が極めて強くいら立っていること
があらわになった。 

 前原氏は15日の記者会見で日中首脳会談について「時期は焦ら
なくていい」「ボールは向こう側にある」などと語っていた。これ
に対し、胡氏は「分からない。なぜ急がなくていいのか。(前原氏
は)毎日、中国を攻撃する発言をし、外交官の口から出るべきでな
い極端な言葉さえ使っている」と強く反発した。 
==============================
反日デモ、当初は当局承認 ネットで勢い拡大、統制失う
2010年10月22日3時0分

【北京=峯村健司】中国四川省成都など3都市で起きた16日の反
日デモについて、地元政府当局が事前に承認していたことがわかっ
た。中国政府関係者が明らかにした。だが、インターネットなどで
広がったデモの勢いは当局の想定を超え、承認していない都市にも
飛び火するなど統制を失ったという。 

 中国では、デモは事前に地元当局に申請して承認を受ける必要が
あり、3都市では今回、数日前に承認されていたという。成都での
デモは、申請したのは100人前後の大学生らだったという。 

 申請を認めた背景には、デモを通じて日本への不満を表明する狙
いがあったという。中国政府は尖閣諸島沖の漁船衝突事件で悪化し
た日中関係の修復に動き始めていたが、前原誠司外相は尖閣諸島の
領有権について「1ミリとも譲る気持ちはない」などと発言。16
日には日本で中国大使館を包囲しようという反中デモの計画もあり
、中国側には「日本側に改善の姿勢が見られない」と映ったという。 

 だが、いったん火がついた反日デモはインターネットや携帯電話
を通じて拡大。成都では参加者が1万人以上に膨れあがり、店のガ
ラスを割るなどの破壊行為に発展したため、取り締まりに乗り出し
た。 

 また、17日以降に起きた四川省綿陽や湖北省武漢などのデモは
、事前に認められていなかったという。この関係者は「想定外だっ
た」といい、中国メディアは一切報じていない。また、別の中国政
府関係者も「ここまで広がるとは思わなかった」と明かしている。
==============================
反日デモで報道規制=中国
 【北京時事】中国各地で大規模な反日デモが発生したのを受け、
共産党中央宣伝部が国内メディアに対し、日本関連の報道について
規制を強化する通達を出したことが20日、分かった。中国紙関係
者が明らかにした。反日デモ拡大による社会の不安定化などを懸念
した対応とみられる。
 通達は、反日デモの報道については国営新華社通信の記事を採用
し、独自の取材・報道はしないことなどを求めている。関係者によ
ると、尖閣諸島沖で起きた漁船衝突事件後にも、報道内容を制限す
る内容の指示があったという。(2010/10/21-00:58)
==============================
中国、米欧にもレアアース禁輸拡大か 米紙報道
2010年10月20日12時2分

 【ワシントン=尾形聡彦】米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版
)は19日、中国がハイテク製品の製造にとって重要なレアアース
(希土類)の禁輸を米国や欧州にも拡大している、と報じた。米通
商代表部(USTR)の広報官は19日夜、朝日新聞の取材に「報
道は目にしており、情報収集している」とし、調査に入っているこ
とを明らかにした。 

 同紙は、産業筋の関係者の話として、中国が日本だけでなく「(
米国などに)禁輸を拡大している」と指摘。17日に中国の政府幹
部が米国の貿易措置について非難したのに続き、18日朝から、レ
アアースを巡って幅広い輸出制限が課され始めたという。同紙は「
中国は、日本に禁輸しているレアアースの一部について、米国や欧
州への出荷も静かに止めた」としている。
==============================
「一党独裁安定への決意」 矢吹晋・横浜市立大学名誉教授
2010.10.19 00:18サンケイ

習近平氏の党中央軍事委員会副主席への就任は、中国共産党の体制
を何が何でも守るということを内外に示した。一党独裁体制につい
て批判されても安定させようとする決意が見える。

 第17回党大会で現指導部の体制が決まったが、後継指導者が習
氏で、次期党大会で習氏と李克強副首相以外のほとんどが指導部を
去ることは明白。李副首相が台頭するのではないかと見る向きもあ
ったがあり得ない話だ。習氏の就任は当然の結果だ。

 習氏が軍の要職に就任したことで、胡錦濤国家主席がレームダッ
ク(死に体)化するのではないかとの見方もあるが、そもそも胡体
制の前半は江沢民前国家主席によるリモコンがあり、後半は軍をバ
ックとする習氏がのし上がってきており、胡主席の特色など出せな
いままだった。現在の李副首相を後継者にできなかった17回党大
会ですでに負けていたのだ。

 次期党大会で胡主席は軍事委主席の座は2年ほどは渡さないので
はないか。完全引退すれば、習氏が属する高級幹部子弟グループ「
太子党」が露骨に勢力を配置し、牛耳られる可能性があるからだ。
しかし、それも面目を保つ受け身的な意味でしかない。(談)
==============================
習時代」へ党独裁強化、外交さらに強硬姿勢も

 中国共産党の第17期中央委員会第5回総会(5中総会)は18
日、習近平・国家副主席を胡錦濤総書記の後継者に選んだ。

 21世紀の超大国への道を突き進む中国は、同時に、「習近平の
時代」への助走を始める。過渡期の安定確保を最重視する党は、国
内では一党独裁をさらに強める構えだ。対外的にも、従来以上の強
硬姿勢を取ることになりそうだ。

 5中総会が閉幕した18日、ノーベル平和賞の受賞が決まった民
主活動家、劉暁波氏(54)の妻、劉霞さん(49)が軟禁状態に
ある北京の自宅前は、公安当局による厳戒態勢が続いていた。劉氏
の自宅方向に行く通行人は、警官に身分証の提示を求められる。
その周辺では、携帯電話の遮断、尾行、訪問阻止などが続く。

 「社会主義民主政治を発展させ、社会主義法治国家の建設を加速
する」。5中総会声明は高らかにうたった。しかし、現実は違う。
劉氏の自宅前に行こうとして私服警官に阻止された民主活動家の男
性は「ここが、中国の現状を象徴する場所だ」と訴えた。

 メディア関係者によると、当局が厳重な監視対象としている人物
は北京だけで50人前後に上るという。北京から行方不明となって
いる活動家も数人いる。

 「習近平の中国」に向かう過程で、共産党は変わるのか。民主化
は前進するのか。この問いに、党関係者は首を振って明かした。

 「党は、西側民主主義に対し、宣伝攻撃をしかける準備を進めて
いる」

 その手始めとして、まず、インターネット上で、ノーベル平和賞
に反対する声がどんどん掲載されるようになるという。

 総会声明は「積極的に穏当に政治体制改革を推進すべきだ」とし
た。だが、それは、劉氏らが求めた民主化への改革ではなく、独裁
下で行政サービス向上などを徐々に進める「中国式政治改革」でし
かない。

 ノーベル平和賞の価値観など認めるつもりはない。
(北京 佐伯聡士、関泰晴)

(2010年10月19日07時18分 読売新聞)
==============================
習氏、胡主席後継に内定 中国・軍事委副主席に
2010年10月18日21時45分

 【北京=峯村健司、吉岡桂子】北京で開かれていた中国共産党の
第17期中央委員会第5回全体会議(5中全会)は18日、習近平
(シー・チンピン)国家副主席(57)を軍の最高指導機関、中央
軍事委員会の副主席に選出することを決めた。軍の人事を握る要職
に就いたことで胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席(67)の後継
者となることが内定した。会議はまた、来年から5年間の中国経済
の指針となる「第12次5カ年計画」の基本方針を決めた。 

 軍事委副主席のポストは、最高指導者になるための最重要条件の
一つ。習氏は共産党序列6位の政治局常務委員でもあり、党、国家
、軍の要職がそろったことになる。胡氏も総書記就任の3年前に
このポストに就き、次期最高指導者の地位を確定させた。大幅な世
代交代が進むとみられる2012年の第18回党大会で、胡氏は2
期10年の任期を終えて党総書記を退き、代わって習氏が22年ま
での最高指導者になる見通しとなった。 

 副首相を務めた故・習仲勲氏を父に持つ習氏は82年、河北省の
県幹部を皮切りに、25年間にわたり福建、浙江などで地方行政に
携わってきた。江沢民・前国家主席(84)や、「太子党」と呼ば
れる高級幹部の子弟グループの曽慶紅・前国家副主席(71)らの
後押しで、07年の第17回党大会で政治局常務委員に抜擢(ばっ
てき)された。 

 胡氏も務めた中央党校校長や、党務を仕切る党中央書記局筆頭書
記に就いた後、08年3月に国家副主席になった。北京五輪(08
年)の責任者として国家的イベントをこなして権力基盤を固め、「
第5世代」と位置づけられる次期指導部の中心的存在になっていた。 

 習氏は昨年9月の4中全会で軍事委副主席への選出が有力視され
ていた。党関係者によると、直前の党内部会議では選出が内定して
いたものの、「時期尚早」との理由で先送りされたという。 

 09年の訪日時は天皇陛下とも会見。今年5月に北朝鮮の金正日
(キム・ジョンイル)総書記が訪中した際には胡氏とともに首脳会
談に臨むなど、対外的にも有力な後継候補であることをアピールし
てきた。 

 今後、習氏を中心とした後継体制作りの動きが活発化するとみら
れるが、習氏に近い「太子党」と、胡氏の政治基盤であり次期首相
就任が有力視されている李克強(リー・コーチアン)・副首相(55
)が属する共産主義青年団(共青団)グループとの間で、人事をめ
ぐる駆け引きが激化しそうだ。 
==============================
中国 反日デモ 保守派主導の可能性
2010/10/18 07:49更新サンケイ
 【北京=矢板明夫】中国各地で16、17の両日に起きた一連の
反日デモは、発生時期や場所などから自然発生的なものではなく、
当局による「官製デモ」だった形跡がいくつもうかがえる。胡錦濤
指導部が最近、見せ始めた日中関係の修復の動きとも矛盾しており
、対日強硬姿勢を求める保守勢力がデモを主導した可能性もある。

 今回の反日デモで最も腑(ふ)に落ちないのは、沖縄・尖閣諸島
(中国名・釣魚島)の周辺で起きた中国漁船衝突事件で、日本側に
勾留(こうりゅう)された中国人船長が釈放、帰国してから約3週
間が経過し、全体の空気としては事態が“終息”に向かっている中
で行われたという点だ。

 船長が9月25日に帰国したことを受け、中国メディアによる日
本批判のトーンは徐々に弱まり、インターネットの反日の書き込み
も減少する傾向にあった。しかし、デモの参加者は、最も反日感情
が激しい時期だった9月18日の北京におけるデモの約200人に
比べ、今回は数万人に膨らんだ。
==============================
ノーベル平和賞、中国人人権活動家の劉暁波氏
2010年10月8日23時46分

 【オスロ=伊東和貴、北京=古谷浩一】ノルウェーのノーベル賞
委員会は8日、2010年のノーベル平和賞を、中国共産党による
一党独裁の見直しや言論・宗教の自由などを求めた「08憲章」を
起草した中国人人権活動家で作家・詩人の劉暁波(リウ・シアオ・
ポー)氏(54)に授与すると発表した。「中国での基本的人権を
求める非暴力の闘い」を評価した。中国外務省は8日夜、「(授与
は)平和賞を汚すものだ」と激しく反発する談話を出した。 


コラム目次に戻る
トップページに戻る