3786.米欧にもレアアース禁輸



中国は欧米に対してもレアアースを禁輸した。これは迂回して日本
に入ることを知っているためであり、日本への禁輸だけでは禁輸に
なっていない事実を掴んでいることでもある。

小型モータの特許は日本がほとんどを押さえているので、日本メー
カの独壇場である。このため、日本メーカを狙い撃ちしていること
が分かる。

日本メーカが原料を手に入れるために中国へ工場を移転させようと
する魂胆も分かる。

さて、日本メーカはどうするかですね??

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中国、米欧にもレアアース禁輸拡大か 米紙報道
2010年10月20日12時2分

 【ワシントン=尾形聡彦】米ニューヨーク・タイムズ紙(電子版
)は19日、中国がハイテク製品の製造にとって重要なレアアース
(希土類)の禁輸を米国や欧州にも拡大している、と報じた。米通
商代表部(USTR)の広報官は19日夜、朝日新聞の取材に「報
道は目にしており、情報収集している」とし、調査に入っているこ
とを明らかにした。 

 同紙は、産業筋の関係者の話として、中国が日本だけでなく「(
米国などに)禁輸を拡大している」と指摘。17日に中国の政府幹
部が米国の貿易措置について非難したのに続き、18日朝から、レ
アアースを巡って幅広い輸出制限が課され始めたという。同紙は「
中国は、日本に禁輸しているレアアースの一部について、米国や欧
州への出荷も静かに止めた」としている。
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レアアース問題で中国非難=元米高官
 【ワシントン時事】アーミテージ元米国務副長官は20日、中国
がレアアース(希土類)の輸出停止措置を、日本だけでなく欧米に
も拡大したとの報道について、「米政府が事実関係を調査中だが、
(事実とすれば)最悪の行為だ」と厳しく非難した。ワシントン市
内で一部記者団に語った。
 アーミテージ氏は、中国はレアアースを「脅し」の手段として使
う傾向があり、こうした行為は「国際社会における中国の評価の向
上にはつながらない」と警告した。(2010/10/21-07:14)
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越とレアアース共同開発=首脳会談で合意へ、中国をけん制
時事
 政府がハイテク製品の製造に欠かせないレアアース(希土類)に
ついて、ベトナムと共同開発する方針を固めたことが22日、明ら
かになった。31日にハノイで開く日越首脳会談で合意する見通し
。世界の生産量の9割を占め、尖閣諸島沖の漁船衝突事件を機に対
日輸出を滞らせている中国をけん制し、一国依存からの脱却を目指
す。
 菅直人首相は28日からハノイを訪問し、東南アジア諸国連合(
ASEAN)関係の一連の会議に出席した後、ベトナムのグエン・
タン・ズン首相との会談に臨む。
 ベトナム北部は、液晶パネルやハイブリッド車のモーターなどハ
イテク製品の製造に不可欠なセリウムやジスプロシウムといったレ
アアースの埋蔵が見込まれる。共同開発で合意すれば、日本は探査
や製錬技術を供与して採掘を後押しする。(2010/10/22-08:29)
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【米国ブログ】欧米にもレアアースを禁輸「中国の姿勢を容認すべ
きでない」
2010/10/22(金) 11:35サーチナ 

  米ニューヨーク・タイムズ紙は19日、中国がレアアース(希土
類)の輸出停止措置を日本だけではなく、米国や欧州諸国にも拡大
したと報じた。中国側はレアアースを、人民元への切り上げへの欧
米の圧力などに対する、政治的な武器に活用しているとみられる。

  米国経済に関する情報を提供する「economyin
crisis.org」では、中国がレアアースの禁輸を国家戦略
の切り札に持ち出すことは、中国がさらに経済力を強化するのを許
すことになると懸念している。

  筆者は、尖閣諸島問題で、日本が日中両国の領海権で異義を唱
えると、中国は報復としてレアアースの輸出を禁止したとし、米国
向けレアアースの禁輸も中国当局の報復措置だと述べている。

  理由として、米鉄鋼労働組合は中国の不当なクリーンエネルギ
ー振興政策に対して、同セクターに米雇用が脅かされているとし、
米通商代表部(USTR)に調査を要請し、USTRは15日、調査
する移行を表明していることを挙げている。その後、18日朝、中国
の税関当局が輸出を停止したと説明。

  さらに「中国は、来年からレアアースの輸出を最大3割削減する
予定だ」と19日のチャイナデーリーが報じたが、この報道は当局に
よってと否定され、「中国は限りある資源を守り、持続可能な発展
を実現するために、レアアースの輸出を制限する」と中国商務省は
声明を出したと背景を説明し、世界貿易機関(WTO)のルールに
基づいた合法的措置を強調しているが、中国側の反発であるとの見
方を示している。

  中国政府は、レアアース輸入国に、ライセンス制度による輸出
管理を実施し、割当制度を導入し、レアアース原料の輸出を制限し
ているとし、これらの規制は、中国外のメーカーの価格を上げ、国
内のメーカーの価格を下げることにつながると指摘。そうすること
で、自国で必要なレアアース供給分を確保し、中国国内での生産に
移行するための強力な動機づけとなると指摘している。

  筆者は、中国が本当にレアアースの輸出を事実上停止させるな
ら、貿易摩擦によって誘発されただけではなく、中国の営利主義の
切り札として使われたとみている。

  中国は、レアアースの世界生産の97%を占める。レアアース禁
輸で困る諸国に、「中東に石油あり、中国にレアアースあり」(中
国紙)と中国は強気の態度であり、これは中国がさらに経済力を強
化するのを許すことになるだろう、と筆者は懸念を示している。
(編集担当:田島波留・山口幸治)


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