3783.習氏、胡主席後継に内定



第17期中央委員会第5回全体会議(5中全会)は18日、習近平国
家副主席を軍の最高指導機関、中央軍事委員会の副主席に選出する
ことを決めた。

これで胡錦濤国家主席の後継者となることが内定した。「習近平の
時代」への助走を始める。過渡期の安定確保を最重視する党は、国
内では一党独裁をさらに強める構えだ。対外的にも、従来以上の強
硬姿勢を取ることになりそうだ。

上海派、太子党の勝利、政治改革を目指した胡錦濤の団派と温家宝
の負けになった。ノーベル平和賞を自由民権活動家が受賞するハプ
ニングで、中国の世論が分裂、改革派のほうに風が吹きかけた。

が、それを敏感に感じ取った上海派は、かれらの影響力の強い四川
省、陝西省、河南省、湖北省で官製の「反日デモ」を組織化し、反
日を演出、一部地域に暴動、社会擾乱のタネをまいて、この政治改
革派の思惑を潰した。

これで上海派の勝利、太子党との連立政権が射程に入った。
尖閣衝突は、江沢民の上海派の謀略工作の可能性が高く、外交安定
を狙った胡政権をがたがたに揺さぶった。

太子党は軍部の支持が強く、中国の次期政権は軍事的冒険に打って
出てくる危険性も、現政権より高くなる。日本によっては有難くな
いが、胡錦濤ら「団派」はレイムダック入りし、団派の李克強の首
相も無理で、上海派の王岐山らの名前も取りざたされている。

民主化も弾圧されることになる。中国は当分、世界から異端視され
るが、見方によっては日本は自由民主国と日米同盟で東南アジアに
存在感を維持できることになる。喜ばしいことかもしれないとYSさん。
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習氏、胡主席後継に内定 中国・軍事委副主席に
2010年10月18日21時45分

 【北京=峯村健司、吉岡桂子】北京で開かれていた中国共産党の
第17期中央委員会第5回全体会議(5中全会)は18日、習近平
(シー・チンピン)国家副主席(57)を軍の最高指導機関、中央
軍事委員会の副主席に選出することを決めた。軍の人事を握る要職
に就いたことで胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席(67)の後継
者となることが内定した。会議はまた、来年から5年間の中国経済
の指針となる「第12次5カ年計画」の基本方針を決めた。 

 軍事委副主席のポストは、最高指導者になるための最重要条件の
一つ。習氏は共産党序列6位の政治局常務委員でもあり、党、国家
、軍の要職がそろったことになる。胡氏も総書記就任の3年前にこ
のポストに就き、次期最高指導者の地位を確定させた。大幅な世代
交代が進むとみられる2012年の第18回党大会で、胡氏は2期
10年の任期を終えて党総書記を退き、代わって習氏が22年まで
の最高指導者になる見通しとなった。 

 副首相を務めた故・習仲勲氏を父に持つ習氏は82年、河北省の
県幹部を皮切りに、25年間にわたり福建、浙江などで地方行政に
携わってきた。江沢民・前国家主席(84)や、「太子党」と呼ば
れる高級幹部の子弟グループの曽慶紅・前国家副主席(71)らの
後押しで、07年の第17回党大会で政治局常務委員に抜擢(ばっ
てき)された。 

 胡氏も務めた中央党校校長や、党務を仕切る党中央書記局筆頭書
記に就いた後、08年3月に国家副主席になった。北京五輪(08
年)の責任者として国家的イベントをこなして権力基盤を固め、「
第5世代」と位置づけられる次期指導部の中心的存在になっていた。 

 習氏は昨年9月の4中全会で軍事委副主席への選出が有力視され
ていた。党関係者によると、直前の党内部会議では選出が内定して
いたものの、「時期尚早」との理由で先送りされたという。 

 09年の訪日時は天皇陛下とも会見。今年5月に北朝鮮の金正日
(キム・ジョンイル)総書記が訪中した際には胡氏とともに首脳会
談に臨むなど、対外的にも有力な後継候補であることをアピールし
てきた。 

 今後、習氏を中心とした後継体制作りの動きが活発化するとみら
れるが、習氏に近い「太子党」と、胡氏の政治基盤であり次期首相
就任が有力視されている李克強(リー・コーチアン)・副首相
(55)が属する共産主義青年団(共青団)グループとの間で、人
事をめぐる駆け引きが激化しそうだ。 

 一方、第12次5カ年計画の基本方針については、会議後に発表
されたコミュニケによると、向こう5年の経済の主な目標として、
「安定した比較的速い経済成長」などと並んで、「国民の収入の比
較的速い増加」も盛り込まれた。所得の配分の見直しも促した。頻
発するストライキにうかがえる労働者の不満に対応したものとみら
れる。 

 会議では、気候変動の問題にも積極的に対応し、省エネ・環境を
重視した発展を目指すことでも一致した。 

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「習時代」へ党独裁強化、外交さらに強硬姿勢も

 中国共産党の第17期中央委員会第5回総会(5中総会)は18
日、習近平・国家副主席を胡錦濤総書記の後継者に選んだ。

 21世紀の超大国への道を突き進む中国は、同時に、「習近平の
時代」への助走を始める。過渡期の安定確保を最重視する党は、国
内では一党独裁をさらに強める構えだ。対外的にも、従来以上の強
硬姿勢を取ることになりそうだ。

◆「宣伝攻撃の準備」
 5中総会が閉幕した18日、ノーベル平和賞の受賞が決まった民
主活動家、劉暁波氏(54)の妻、劉霞さん(49)が軟禁状態に
ある北京の自宅前は、公安当局による厳戒態勢が続いていた。劉氏
の自宅方向に行く通行人は、警官に身分証の提示を求められる。
その周辺では、携帯電話の遮断、尾行、訪問阻止などが続く。

 「社会主義民主政治を発展させ、社会主義法治国家の建設を加速
する」。5中総会声明は高らかにうたった。しかし、現実は違う。
劉氏の自宅前に行こうとして私服警官に阻止された民主活動家の男
性は「ここが、中国の現状を象徴する場所だ」と訴えた。

 メディア関係者によると、当局が厳重な監視対象としている人物
は北京だけで50人前後に上るという。北京から行方不明となって
いる活動家も数人いる。

 「習近平の中国」に向かう過程で、共産党は変わるのか。民主化
は前進するのか。この問いに、党関係者は首を振って明かした。

 「党は、西側民主主義に対し、宣伝攻撃をしかける準備を進めて
いる」

 その手始めとして、まず、インターネット上で、ノーベル平和賞
に反対する声がどんどん掲載されるようになるという。

 総会声明は「積極的に穏当に政治体制改革を推進すべきだ」とし
た。だが、それは、劉氏らが求めた民主化への改革ではなく、独裁
下で行政サービス向上などを徐々に進める「中国式政治改革」でし
かない。

(2010年10月19日07時18分 読売新聞)
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中国 反日デモ 保守派主導の可能性
2010/10/18 07:49更新サンケイ
 【北京=矢板明夫】中国各地で16、17の両日に起きた一連の
反日デモは、発生時期や場所などから自然発生的なものではなく、
当局による「官製デモ」だった形跡がいくつもうかがえる。胡錦濤
指導部が最近、見せ始めた日中関係の修復の動きとも矛盾しており
、対日強硬姿勢を求める保守勢力がデモを主導した可能性もある。

 今回の反日デモで最も腑(ふ)に落ちないのは、沖縄・尖閣諸島
(中国名・釣魚島)の周辺で起きた中国漁船衝突事件で、日本側に
勾留(こうりゅう)された中国人船長が釈放、帰国してから約3週
間が経過し、全体の空気としては事態が“終息”に向かっている中
で行われたという点だ。

 船長が9月25日に帰国したことを受け、中国メディアによる日
本批判のトーンは徐々に弱まり、インターネットの反日の書き込み
も減少する傾向にあった。しかし、デモの参加者は、最も反日感情
が激しい時期だった9月18日の北京におけるデモの約200人に
比べ、今回は数万人に膨らんだ。
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 習近平が軍事委員会副主席、これで次期「皇帝」が確定
  胡錦濤ら「団派」は、レイムダック入り。李克強の首相も無理
では?
 「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2010年10月19日 

 権力闘争にいちおうの決着が付いた。
 やはり上海派の勝利、太子党との連立政権が射程に入った。第17
期第五回共産党中央委員会全体会議(五中全会)で、習近平(国家
副主席)の党軍事委員会副主席入りが正式に決まり、これで次の総
書記、国家主席、軍事委主席の三権独占がほぼ確定した。

 いったん沈静化した日中間の尖閣衝突は、小誌が記してきたよう
に最初から江沢民派の謀略工作の可能性が高く、外交安定を狙った
胡政権をがたがたに揺さぶった。「中華思想」を全面にだして領土
のメンタリティで攻めると、愚民大衆は拍手喝采する。
 背後でリモート・コントロールするのは「院政」を敷く江沢民で
ある。

 ところがノーベル平和賞を自由民権活動家が受賞するハプニング
があり、中国の世論が分裂、改革派のほうに風が吹きかけた。
この危機を敏感に感じ取った上海派は、かれらの影響力の強い四川
、陝西省、河南省、湖北省で「反日デモ」を組織化し、反日を演出
、一部地域に暴動、社会擾乱のタネをまいた。
 
まさに毛沢東がいったように「国内矛盾は対外矛盾に転化せよ」
農民、学生、大衆の政府への不満をガス抜きし、五中全会土壇場で
胡錦濤執行部から主導権を奪った。

習近平はこれという指導力もなく、官僚的ボス体質が強い、リーダ
ーシップが欠落した利権屋あがり。要するに江沢民の傀儡的なミニ
チュアである。
習近平には若き日の軍歴があり、夫人が軍幹部(専属歌手)である
ために軍の受けがいい。
二年後、2012年の第十八回共産党大会で党軍事委員会主席にな
り、2013年3月全人代で「国家軍事委員会主席」のポストを抑
えると、完全に統帥権を確保することになる。

中国は軍事色を強め、軍の支持が強い政権となるために軍事的冒険
に打って出てくる危険性も、現政権より高くなる。

日本の一部が期待した李克強は、線が細く、事務屋あがり。あの阿
修羅の修羅場、中南海の権力闘争の火力に燃えつきて、次の首相さ
え危ないのではないか。李とのコネが強かった小沢一郎の政治力も
日本で沈没したし。

リリーフの暫定首相に王岐山らの名前も取りざたされている。太子
党と巧妙に組んで、共産党独裁体制の維持を狙い、民主化を阻止す
る上海派主導の天下がまだ続きそうである。
 嗚呼、それにしても中国に明るい未来は描けませんね。


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