3782.多文化主義は完全な失敗



ドイツのメルケル首相の多文化主義は完全な失敗という演説で、と
うとうEUのフランス・ドイツ・イタリアなど主要国で移民政策の
見直し、移民の追い出しに拍車がかかることが明確になっている。

ドイツはトルコからの移民を受け入れていたが、それを中止するこ
とになる。特に、EUにトルコを加盟させることは、このドイツの
移民政策の見直しで絶対にないことである。

今までも、イスラム教の女性が被る頭巾であるブルカの公的建物で
の着用禁止、イスラム教の建築物の規制などをフランスが法律化し
ていたが、同じEUの民族であるロマ人の排斥に出ている。

一番肝要なドイツでも移民政策の失敗としたことで、EU主要国は
EU内民族移動も禁止することになり、EUが1つという理念が持
てなくなることになる。

各国でナショナリズムを全面に出した右翼が、力を持ち始めている
。中間階級の没落で、自国民優先主義に向かうことになる。移民政
策はなくなる。これは米国の同様である。

日本は移民を認めなかったために、移民がいない。少子化社会で人
口が減少しても頑なに守っている。これが結果的に良かったようで
ある。

次に来るのが各国が雇用を守るために保護貿易になり、新興国から
の商品を排除することになる。排除の仕方は通貨切り上げ要求か相
殺関税という方法である。何でもFTAの時代は終了し、補完関係
にあるFTAの時代になった感じである。

1930年代の政策が参考になる時代が来た。政治家も経済評論家
も、時代背景を見て仕事をしてほしいものである。
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「多文化社会は失敗だ」 メルケル独首相、内向き志向強める
2010/10/18 01:26更新サンケイ

 「ドイツの多文化主義は完全な失敗だった」。アンゲラ・メルケ
ル独首相(56)は16日、支持者らへの講演でこう断言した。ド
イツは第二次大戦後、戦争を起こし、ユダヤ人を大量虐殺したとい
う贖罪(しょくざい)意識と、奇跡的経済復興を遂げた旧西ドイツ
の労働力不足を背景に、積極的に移民を受け入れ、現在では人口
8200万人のうち約10%をトルコや東欧からの移民が占めてい
る。ドイツ人と他宗教・異民族の移民とが支え合って共生すること
をいわば「国是」としてきたが、首相の発言はこれを否定するもの
だ。欧州は今後、内向きで狭い国益ばかりを追求する「新たなドイ
ツ」問題を抱えることになるのか。

 メルケル首相の講演は、ベルリン南西郊外のポツダムで開催され
た、自身が党首を務める保守政党「キリスト教民主同盟(CDU)
」の青年部会で行われた。ロイター通信などによると、若い党員や
支持者を前にメルケル首相は「ドイツに多文化社会を建設するとい
う試みは完全な失敗だった。そして、この30−40年の失敗は、
すぐには穴埋めできない」と訴え、その上で「移民はドイツ語を学
び、ドイツ社会に融合しなければならない。すぐにドイツ語を話さ
ない人は、誰一人歓迎されない。ドイツ社会で生きてゆくなら、法
に従うだけでなく、私たちの言語を習得しなければならない」と言
い切った。

 一連の発言は、15日にCDUの姉妹政党である「キリスト教社
会同盟(CSU)」の党首、ホルスト・ゼーホーファー氏(61)
=独南部のバイエルン州首相=が地元で「多文化主義は完全に死ん
だ」などと演説し、大喝采を受けたことを意識したものだった。

 しかし、メルケル首相の発言は、異文化(多文化)を許容せず、
ドイツ社会で生活するなら、これに同化することを強要したに等し
い。今後、具体的に移民のハードルが高くなれば、不法移民の排斥
に始まり、ドイツを追われる正規の移民が出てくることも予想され
る。

 欧州各国では現在、失業率が高止まりし、国民の間には移民が職
を奪っているという意識が芽生え、移民排斥を唱える極右政党が躍
進する下地が形成されている。ドイツでも、最近のユーロ安に伴う
輸出の伸びを背景に改善されつつあるが、まだ失業率は7%台と高
い。

 国民の歓心を買うため、政権を担うメルケル首相は、徐々に内向
きとなり、欧州や国際社会に対する責務をひとえに縮小させる道を
進んでいる。ギリシャの債務危機救済策をまとめる過程では、あく
まで欧州連合(EU)域内での解決を主張するニコラ・サルコジ仏
大統領(55)を説き伏せ、国際通貨基金(IMF)にも関与させ
る道を強要した。ドイツの負担を少しでも減らすことが狙いだった。

 サッカー好きで知られるメルケル首相は講演で、「イスラムはド
イツの一部であることは明らかだ。サッカー選手のメスト・エジル
のことだけではない」と、トルコ生まれのドイツ・ナショナルチー
ムの若きエースを引き合いに出し、融合と異文化否定は異なること
を強調した。しかし、一度「寛容の精神」を失えば、事は言語だけ
の問題にとどまらないであろうことは、ドイツの歴史が語っている。
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ロマ追放で大規模デモ 移民排斥政策に批判
2010/09/05毎日

フランス全土で4日、国内を放浪するロマ族の国外追放や、移民出
身の犯罪者の「国籍はく奪」などを打ち出したサルコジ政権に対す
る大規模な抗議デモが行われた。欧州各地の仏大使館前でも同日、
同様の抗議行動があり、「移民・外国人排斥」施策への国内外の批
判の高まりを改めて示した形となった。 

 抗議デモはロマを支援する人権団体や労組が組織し、フランスで
は、内務省によると7万7300人(主催者発表10万人)が参加
した。うち5万人に上ったパリでは、サルコジ政権による不法キャ
ンプ撤去で行き場を失ったロマも参加。「ロマ追放反対」「フラン
スは非人道的な政策を続けている」などの横断幕を掲げた。 
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EUを揺るがす仏「ロマ人排斥」
問い直される共同体の「人権理念」
選択 
 今年夏以降、フランス政府がキャンプ生活するロマ人一千人以上
を集中的に摘発し、国外に退去させた波紋が、欧州連合(EU)全
体に広がっている。欧州最大の少数民族とされるロマ人は長年、差
別され、居場所を追われてきた。フランスの措置は、加盟国国民に
域内の自由な移動を保障するEU法に違反する疑いがあるが、イタ
リアなど同調する国もあり、他の加盟国も様子眺めの様相が強い。


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