3774.通貨戦争に勝つ方法



日本の円が上昇して、1ドル=81円後半にまでなっている。人民
元はドルとのリンクで円に対しても非常に低くなっている。米FR
Bは、ドル札のばら撒きを行うと宣言している。米国は経常収支の
赤字であり、ドルは低くなる方向で推移する。

中国は月200億ドル規模の経常黒字であり、人民元は対ドルに対
して論理的には高くなる必要がある。しかし、中国人民銀行の為替
介入で、1ドル=6.6元の前後で調整されている。相対的に安い
ので、世界から資金が流入するので、資金流入を抑える処置もして
いる。そして、外貨準備高が巨大になり、その資金運用で日本の円
を高くするために、短期国債を買い入れて、日本を困らせるなど、
いろいろな外交カードに利用し始めている。

あまりにも、中国の身勝手に対して、国際社会は中国人民元の市場
化を求め始めているが、中国は、その要求に応じない。一方、日本
は1985年に「プラザ合意」で円の切り上げを受け入れて、円高によ
り、賃金の安い国に工場を移転する企業が増えて、空洞化が始まっ
た。

しかし、ある程度の経済規模になったとき、その国の優遇策を取り
払い、先進国と等しい立場で競争するべきである。この原則の下、
日本が欧米諸国の要求に応じたのが、プラザ合意である。中国も世
界第2位の経済大国になり、優遇処置を返却する時期がきた。

しかし、これに抵抗している。このため、為替操作をし放題の1930
年代に起こったことが再度、起こる可能性が出てきた。為替値下げ
競争は、恐らく貿易保護の方向になる。
            津田より

0.はじめに
世界銀行のゼーリック総裁は、「近隣窮乏化政策」に未来がないこ
とは歴史によって示されていると指摘し、「問題が対立や保護主義
に発展すれば、1930年代の失敗を繰り返すリスクを負う」と述
べ、世界の首脳に対し、大恐慌の失敗を繰り返さないよう通貨をめ
ぐる緊張緩和を呼び掛けた。

しかし、9月の米雇用統計で、非農業部門の就業者数が前月より9
万5千人減り、4カ月連続で減少し、米連邦準備制度理事会(FR
B)が、11月初めの連邦公開市場委員会(FOMC)で追加緩和
に踏み切るとの観測が高まった。すでに、FRBはこの1年間に
1兆7000億ドルにのぼる資産を買い入れているとしているが、この規
模がだんだん、大きくなるようだ。FRBは、自国通貨ドルの価値
下落させる方向で政策を打ち始めている。

このため、10月08日のニューヨーク外国為替市場で、ドル相場は主
要通貨に対して下落した。円に対し一連の15年ぶりの安値圏に下落
し、一時は1ドル=81.72円に落ち込む。しかし、人民元はドルにリ
ンクしているので、1ドル=6.6元に固定したままである。

この状況で、主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が10月
08日夜に開かれ、中国の人民元切り上げを促す姿勢で各国は一致し
た。世界的な「通貨安競争」をどう食い止めるかについては、G7
が団結して取り組むことを確認した。 

それを受けて、ガイトナー米財務長官は10月9日、国際通貨基金
(IMF)本部で始まった国際通貨金融委員会(IMFC)で、各
国の為替政策と外貨準備をため込む慣行について、IMFが監視を
強めるべきだと要請した。自国通貨ドルの下落をしない人民元をど
うにかしたいということである。為替介入なしにドル下落を図り、
為替介入する中国を攻め立てることになる。

政府・日本銀行は9月15日、外国為替市場で6年半ぶりに「円売り
ドル買い」の為替介入に踏み切ったし、日銀もやっと10月05日に「
包括緩和」と名付けた追加金融緩和策を打ち出したが、両政策を行
っても円高を止められないでいる。

「包括緩和」とは、「ゼロ金利政策への復帰」「ゼロ金利の期限を
設ける時間軸政策」「金融資産購入などにあてる基金の創設」の3
点セットであるが、FRBに比べて規模が小さい。

このため、世界の主な通貨と比べると、日本の円が2008年秋の
米リーマン・ショック直前より3割近く「円高」になっている。各
国通貨で最も上昇しており、世界中で突出して買われている状況だ。
しかし、G7で為替介入ができなくなり、日銀・日本政府も金融緩
和、財政政策、外貨準備の高度利用などの方法を駆使して、円安に
向ける必要が出てきている。

一方、中国の温家宝首相は、プラザ合意後の日本を研究しているの
で、人民元の20−40%上昇を容認した場合、「どれほど多くの国内
工場が破産し、どれだけの国内労働者が職を失うか、都会に出てい
る労働者のうちどれほど多くが地方に帰るか、想像もつかない」と
し、「中国は重大な社会的混乱に苦しむだろう」と語り、絶対に人
民元の市場化はしないと宣言している。

1.財政政策
まず、日本は約5兆500億円の追加経済対策を決定したが、これ
は経済の落ち込みを少なくする対策でしかない。円安に対応した政
策を早急に策定する必要がある。円高は日本にとって有利であると
いう論調があるが、過去の歴史を見ると円高で雇用が失われて、日
本の将来を失っている。

また、円高が売り上げに「悪影響」を与えると答えた企業が、全体
の36・7%に上った。一方、「好影響」は6・9%にとどまり、
円高が日本経済の重荷との構図が浮き彫りになっている。

また、P100号で述べたように、国家ヘッジファンドを作り、円
高時に売り、円安時に買う行動を取ると、大儲けができるし、非不
胎化すると円札が大量に市場に出ることで、量的緩和になるはずで
あったが、これを国家がやることはできなくなった。国際的な取り
決めができることで為替介入と思われる可能性が高い。

日銀は、長期貸し出しも0金利であるから、民間銀行や民間ヘッジ
ファンドが行うことである。大量の円を借りて、ヘッジファンドが
円高時に売り、円安時に大量に買うことで、利益を得ることができ
る。政府も出資して、儲けを配分してもらい、それで国債償還に使
えばよい。次善の策がある。

参考資料:
3739.(p100)新しい国家運営方法を求めて
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/220905.htm

2.金融政策
 日銀は、量的な緩和をすることである。もう1つが当座預金金利
をマイナスにして、民間銀行から手数料を取り、緩和した円が市場
にスムーズに出ることを目指すことである。この政策をスウェーデ
ン国立銀行は1970年代に行っている。

スウェーデン国立銀行は、世界最初の中央銀行であり、紙幣も最初
である。また、ノーベル経済学賞はスウェーデン国立銀行賞である
。このため、経済学理論に忠実に運営していることで有名。横にそ
れた。

円札を市場に出して、市場通貨流通量を増やして、物価上昇率を2
%程度にする必要がある。こうすると銀行預金0近傍金利であり、
持っていると損をすることができる。実質的なマイナス金利にでき
る。

貯蓄が損であるという状態を作り、資金が市場に流れ出すことであ
る。今の日本はデフレであり、貯蓄をしている老人を優遇している。
貯蓄している資金は価値が毎年上がるので、持っていた方が得にな
る。これでは資金が市場に出てこないことになる。

もし、これでも効果がないと、ゲゼル通貨の導入に踏み切ることだ。
まずは年金給付金の一部をマイナス金利通貨で支払うことである。
老人は貯金があり、年金は毎3ケ月で使うように仕向けることであ
る。預金できないようにしてしまう。これで、通貨流通量が増える。

商店などは値引きしないで商品を売り、それを銀行に持っていくと
、普通通貨に返還できる仕組みを作れば、問題が少なくなる。

もう1つ、毎年年金生活者が増えることで、通貨流通量が増えるこ
とになる。

3.通貨安競争の後には
しかし、中国の人民元の水準を平等にしないと、日本から工場など
が逃げて、雇用が減り続けて、日本の将来は非常に貧しいものにな
る。これは日本だけではなく、欧米諸国もそうなる。ということは
、中国に対する貿易障壁を設けることになると思う。欧米日が中国
に対する相殺関税を行い、それに対応する形で中国も関税を高める
ことになる。

これは第2次世界大戦前と同様なことになる。そうすると、中国は
生存権を確保するために、海上権益を求めることになる。中国とア
フリカを結ぶラインになるはず。これは中国対インドの戦いになる。
インドは民主主義国家であり、欧米日はインドを味方することにな
る。

中国にとっても大変なことになる。「プラザ合意」を拒否すると、
大戦前夜になり、被害はより大きくなることを中国が知ることにな
る。

「プラザ合意」で、少し経済に影響はするが、それを乗り越える方
が被害がすくなくなると見るがどうであろうか??

さあ、どうなりましか??

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ドル、ユーロと円に対し下落-NY市場で円は一時81円台
2010年 10月 9日 6:10 JST 
WSJ
 【ニューヨーク】8日のニューヨーク外国為替市場で、ドル相場は
主要通貨に対して下落した。この日発表された9月の米雇用統計が予
想より弱かったことで、米連邦準備理事会 (FRB)が低迷する米
景気てこ入れに向け新たな政策に近づいている可能性があるとの確
信が一段と強まったことが背景だった。 

 ドルはこの日、円に対し一連の15年ぶりの安値圏に下落し、一時
は1ドル=81.72円に落ち込む場面もあった。これを受けて、投資家
の間では日本の当局による円高阻止に向けた為替市場での介入の兆
候に対し警戒感が高まった。トレーダーらは、この日の米午前中の
取引では日本の当局による動きの兆候はみられていないと指摘した。
玉木林太郎財務官はコメントを避けた。 
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米、IMFに為替政策の監視強化要請 中国に照準か
2010年10月10日0時38分

 【ワシントン=尾形聡彦】ガイトナー米財務長官は9日、国際通
貨基金(IMF)本部で始まった国際通貨金融委員会(IMFC)
で、各国の為替政策と外貨準備をため込む慣行について、IMFが
監視を強めるべきだと要請した。名指しは避けているものの、中国
の為替政策や外貨準備の運用方法について、IMFによる監視を求
める狙いがあるものとみられる。 

 ガイトナー長官は、IMF改革の具体策として、「(各国の)為
替政策と外貨準備積み立て慣行について、IMFによる監視機能を
強めるべきだ」と表明。IMFは今年、中国の人民元について「大
幅に過小評価されている」との判断を示していることから、米国は
こうした監視機能をさらに強めたい意向とみられる。また、中国が
膨大な外貨準備を使って各国の国債に投資し、「外交カード」とし
て使う姿勢を見せているだけに、IMFを通じて歯止めをかける狙
いがありそうだ。 
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G7、人民元の切り上げ促す姿勢で一致
2010年10月9日13時31分

 【ワシントン=尾形聡彦】主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議
(G7)が8日夜、当地で開かれた。為替介入について野田佳彦財
務相は日本の姿勢を各国に説明した。また、中国の人民元切り上げ
を促す姿勢で各国は一致した。世界的な「通貨安競争」をどう食い
止めるかについては、G7が団結して取り組むことを確認した。 
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追加経済対策5兆500億円 民主、自公に露骨な配慮
2010年10月9日 東京新聞

 政府が八日に閣議決定した約五兆五百億円の追加経済対策は、自
民党や公明党の提案を大幅に取り入れた。経済対策を含む二〇一〇
年度補正予算案の早期成立を目指した露骨な配慮だが、野党への大
盤振る舞いには連立与党を組む国民新党からも不満が噴出。自公両
党にすり寄る民主党の平身低頭ぶりが浮き彫りになった。 
(後藤孝好)

 菅直人首相は八日の参院本会議で、補正予算案に関する公明党の
山口那津男代表の質問に「与野党間で意見交換して合意を目指した
い」と強調。同党の福祉政策を「考え方は共有している。社会保障
の議論で積極的な提案を期待している」と持ち上げた。

 追加経済対策は自民党が求めた五兆円、公明党の四兆円に見合う
規模。内容も自民党案から主要都市間を結ぶ高速道路建設などの公
共事業や中小企業支援策の項目を取り込んだ。公明党への配慮では
、項目だけでなく、同党が主張する「地域活性化交付金」の創設と
いう制度そのものを丸ごと採用した。

 民主党が自公両党を重視するのは、与党が過半数割れした参院で
どちらかが賛成に回れば法案が成立するからだ。特に、公明党は対
決姿勢を崩しにくい自民党よりも、部分(パーシャル)連合の相手
になり得る可能性が高いとみている。
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9月の米雇用統計が悪化 追加緩和の観測強まる
2010年10月8日22時18分

 【ワシントン=尾形聡彦】米労働省が8日発表した9月の米雇用
統計で、非農業部門の就業者数が前月より9万5千人減り、4カ月
連続で減少した。ほぼ横ばいとの事前の市場予測より大幅に悪く、
米景気の減速に対する懸念が加速する可能性がある。同時に発表さ
れた失業率は前月と変わらず、9.6%だった。 

 雇用情勢で予想以上の悪化が続いていることが明らかになり、米
連邦準備制度理事会(FRB)が11月初めの連邦公開市場委員会
(FOMC)で追加緩和に踏み切るとの観測がさらに高まりそうだ。
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IMFと世銀、通貨めぐる緊張緩和を呼び掛け
2010年 10月 8日 09:18 JST

 [ワシントン 7日 ロイター] 世界銀行のゼーリック総裁は
7日、世界の首脳に対し、大恐慌の失敗を繰り返さないよう通貨を
めぐる緊張緩和を呼び掛けた。

 また国際通貨基金(IMF)は、2008年の金融危機の際に打
ち出された世界的な協力の精神が弱まりつつあると警告した。

 世界的な通貨戦争への懸念は週末のIMFと世界銀行の会議で主
要議題となる見込み。

 これらの会合では、人民元問題への対処や米ドルの下落、新興国
通貨の上昇について活発な議論が交わされるとみられている。

 世銀のゼーリック総裁は「問題が対立や保護主義に発展すれば、
1930年代の失敗を繰り返すリスクを負う」と述べた。

 また「近隣窮乏化政策」に未来がないことは歴史によって示され
ていると指摘し、IMFや世界貿易機関(WTO)のような国際機
関が深刻化する前に通貨をめぐる緊張緩和に寄与できる可能性を指
摘した。
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日銀包括緩和「効果なお時間」 変わらぬ円高…株価も一服感 
2010.10.9 05:00サンケイ

 日銀が5日に打ち出した「包括緩和」と名付けた追加金融緩和策
への関心が高まっている。8日の東京市場では長期金利の0.9%
割れが続くなど一定の効果が出ているが、1ドル=82円台前半の
円高水準は変わらない。いったんは急上昇した日経平均株価も一服
感が見え始めた。日銀は「効果を見極めるには、なお時間がかかる
」としているが、今後、効果の息切れが鮮明になれば、政府・与党
からもう一段の対応を求める声が強まりそうだ。

 「追加緩和の効果が、市場に浸透しているとの印象を受ける」。
先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に出席するため米ワ
シントンに入った日銀の白川方明総裁は8日、記者団にこう述べた。

 今回の追加緩和は「ゼロ金利政策への復帰」「ゼロ金利の期限を
設ける時間軸政策」「金融資産購入などにあてる基金の創設」の3
点セット。
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円、世界で独歩高 実質実効レート、2年間で27%上昇
2010年9月24日3時1分

 世界の主な通貨と比べると、日本の円が2008年秋の米リーマ
ン・ショック直前より3割近く「円高」になっていることがわかっ
た。各国通貨で最も上昇しており、世界中で突出して買われている
状況だ。 

 国際決済銀行(BIS)が58カ国・地域の通貨を比較している
実効為替レートの公表資料でわかった。10年8月の実質実効レー
トでは、円は7月より1.4%高い104.25。08年8月の
82.41に比べて26.5%も円高になった。 
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米FRB、勝利なき通貨ゲームに参入
2010年 9月 23日 14:23 JST 
WSJ
 【ニューヨーク】米連邦準備理事会(FRB)は自国通貨の価値
下落を模索する世界の中銀のリーダーとしての地位を固めた。 

 FRBは、日本の当局が先週行ったような通貨市場での介入を実
施する可能性は低いが、ドル安を支持している。これは、米国のイ
ンフレが責務と一致すると考える水準よりも低いとした、14日の連
邦公開市場委員会(FOMC)閉会後の声明の要点だ。FRBは声
明で、必要であれば追加の量的緩和措置を講じる意欲を示した。 

 追加の流動性を注入する可能性を残すことで、FRBはドルの価
値を押し下げていると多くの関係者が主張するだろう。FRBはこ
の1年間に1兆7000億ドルにのぼる資産を買い入れている。確かに14
日の声明の発表後、ユーロやその他の通貨は当初、ドルに対して上
昇した。 
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中国首相:人民元の20%上昇は「重大な社会的混乱」招く

9月22日(ブルームバーグ):中国の温家宝首相は、人民元が20%
上昇すれば、深刻な失業や社会不安を招く可能性があると述べた。
首相の発言は、中国が元高を求める米議員らとの衝突に向かってい
ることを示唆している。 

  温首相は22日のニューヨークでのスピーチで、中国が要求を受
け入れて人民元の20−40%上昇を容認した場合、「どれほど多くの
国内工場が破産し、どれだけの国内労働者が職を失うか、都会に出
ている労働者のうちどれほど多くが地方に帰るか、想像もつかない
」とし、「中国は重大な社会的混乱に苦しむだろう」と語った。
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政府・日銀、6年半ぶり為替介入 15年ぶり円高水準で
2010年9月15日11時33分

 政府・日本銀行は15日、外国為替市場で6年半ぶりに「円売り
ドル買い」の為替介入に踏み切った。同日朝の東京外国為替市場で
、対ドル円相場は一時、1ドル=82円94銭付近をつけ、15年
4カ月ぶりの円高水準になった。急激な相場の動きを食い止め、輸
出産業への悪影響を和らげるのが狙いとみられる。
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3カ月連続で200億ドル突破=8月の中国貿易黒字
 【北京時事】中国税関総署が10日発表した8月の同国貿易黒字
は200億3000万ドル(約1兆6800億円)と、3カ月連続
で200億ドルを突破した。輸出は同34.4%増の1393億ド
ルと、過去最高だった前月を下回った。一方、輸入は同35.2%
増の1192億7000万ドルと、伸び率は前月から12.5ポイ
ント拡大。貿易黒字は前月比では30.4%減少した。
 ただ、今年3月に輸入急増で6年ぶりの貿易赤字を記録して以降
は、高水準の黒字が続いている。中国当局は6月に人民元の相場変
動を弾力化する方針を発表したが、上昇はわずかな幅にとどまって
おり、巨額の対中赤字を計上する米国などでは不満が高まっている
。(2010/09/10-11:51)
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「円高は悪影響」37% 企業調査
 帝国データバンクが3日発表した円高に対する企業の意識調査に
よると、円高が売り上げに「悪影響」を与えると答えた企業が、全
体の36・7%に上った。一方、「好影響」は6・9%にとどまり
、円高が日本経済の重荷となっている構図が浮き彫りとなった。「
影響はない」は34・9%だった。

 悪影響と答えた企業を業界別に見ると、「製造」が47・4%で
最も多く、「運輸・倉庫」(42・0%)が続いた。

 また、輸出企業に円高対策をたずねたところ、「海外生産比率を
上げる」(10・1%)や、「海外生産拠点の拡充・新設」
(9・2%)など、海外生産の拡大を考えている企業が多いことが
わかった。

 調査は8月下旬に行い、1万1578社が回答した。

(2010年9月4日 読売新聞)
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スウェーデン国立銀行
ウィキペディアより
スウェーデン国立銀行の誕生は1668年であったが、それ以前にスウ
ェーデン国立銀行の前身として「ストックホルム銀行」が存在した。
ストックホルム銀行は1656年にヨハン・パルムストルヒが創設した
民営の為替銀行であり、当時のスウェーデン国王カール10世の承認
の下に設立された。

当時のスウェーデンには通貨原料となる銀や銅の不足に悩まされて
おり、深刻な問題となっていた。そこで、ストックホルム銀行は
1661年にヨーロッパで最初の紙幣を発行して、銀貨や銅貨の代替貨
幣として流通させた。だが、十分な担保を確保しないまま過剰な紙
幣を発行したために倒産した。パルムストルヒは経営責任を問われ
死刑判決を受けたが、後に寛大な措置が採られ刑の執行を免除され
た。

1668年9月17日、スウェーデン議会において新銀行の設立を認可する
法律が制定された。この法律では、ストックホルム銀行での失敗を
教訓とし、国王の干渉を防止するために新銀行の経営権を議会の監
督下に置く義務を課した。法律の制定と同時にストックホルム銀行
の経営は新銀行の国立諸階級銀行 (Riksens Standers Bank) へと移
管され、スウェーデン議会の指揮の下、同日に経営が開始された。
その後1866年に、スウェーデン議会によって国立諸階級銀行の名称
がスウェーデン国立銀行 (Sveriges Riksbank) へと改称された。

ストックホルム銀行での失敗から、設立当初のスウェーデン国立銀
行では紙幣の発行が許可されていなかった。しかしながらスウェー
デン経済を悩ませていた通貨不足の問題は解決せず、1701年にいわ
ゆる信用紙幣の発行が議会によって認可されて、再び紙幣の流通が
始まった。その後、信用紙幣の流通額は1710年代後半から急激に増
加したため、1726年に議会はスウェーデン国立銀行の信用紙幣を法
定通貨として認可した。
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本来の金融政策の効果とは?

(高橋洋一 『日本経済のウソ』より)

 海外の例のなかでもおもしろいのはスウェーデンのエピソードで
す。
 
 一般にノーベル経済学賞といわれますが、正式名称はアルフレッ
ド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞といいます。残念
ながら日本人の受賞者はまだいません。授賞式などは他のノーベル
賞と同じように行われていますが、ノーベルが遺贈したものではな
く、スウェーデン国立銀行が設立した賞です。
 スウェーデン国立銀行とはスウェーデンの中央銀行で、日本の日
銀に相当します。世界最初の中央銀行として知られ、1931年に
スウェーデンを襲った危機に対して、インフレ目標を導入し、大恐
慌からいち早く抜け出したことで有名です。そうした歴史と伝統の
ためでしょうか、国民は経済学を信頼しており、ノーベル経済学賞
の創設にもつながっています。
 ちなみに、今ユーロ圏は一国の経済破綻というギリシャ問題に苦
悩しています。ユーロ圏の国は、共通通貨で広い市場を享受できま
すが、一方で金融政策を失うことにもなります。こうした事情から
、スウェーデンは、イギリス、デンマークなどとともにまだユーロ
圏に参加していません。
 そのスウェーデンもリーマン・ショックにみまわれました。
 スウェーデン国立銀行は、消費者物価指数で年率2%プラスマイ
ナス1%のインフレ目標をとっていました。ホームページには、温
度計でインフレ率が示されており、1%以下は「寒い」青色ゾーン
、3%以上は「暑い」赤色ゾーンになっています。スウェーデンの
消費者物価指数は、リーマン・ショック以降急速に低下し青色ゾー
ンになり、2009年4月から11月までにマイナスにまでなりま
した。
 しかし、リーマン・ショック以降、スウェーデン国立銀行は、た
だちに比伝統的金融政策(ゼロ金利と量的緩和)に踏み切り、バラ
ンスシートの規模をそれ以前の3倍以上にしました。そして、
2010年2月、1.2%とインフレ目標の範囲に戻り、今でも維
持されています。
 当時、スウェーデン国立銀行のステファン・イングブス総裁が行
った説明はとても簡単です。彼は、貨幣数量式(一年間に行われる
取引総額が、使われた貨幣総額に等しいという関係を示したもの)
を描きました。

 M(貨幣ストック)×V(流通速度)= P(価格)×Y(生産量)

 これは、大学で経済学を学んでいる学生であればおなじみのはず
です。
 そして、非伝統的金融政策の効果は、いろいろな人がいろいろと
いいますが、この式でいいのです、危機になると、流通速度は小さ
くなります。それでも、価格が下がらないように、また生産も下が
らないようにするためには、貨幣ストックを増やすしかありません。
 ノーベル経済学賞のスポンサーの中央銀行総裁が経済学の授業の
ような説明をするのかと、私はとても驚きました。彼の説明は、海
外の中央銀行もやっているからやろう、だけでした。

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