米国財務省は、10月に中国を為替操作国に認定するかを決定する。 Fより 前回7月の米財務省の為替政策報告書では、6月19日から始めた人民 元相場の弾力化方針を評価した上で、中国の為替操作国への認定は 見送った。 これに対して、米共和党のグラム上院議員は、中国が示した人民元 弾力化方針を単なるジェスチャーに過ぎず、実質的な改革ではない との認識を示した。 このため、「注意深く定期的に人民元の切り上げを監視していく」 とし、10月の次回の報告書発表までの人民元相場の動きを見た上 で、切り上げペースが不十分なら、為替操作国に認定するとオバマ 大統領は言っていた。 しかし、6月19日から直近までの上昇率は0.4%しか上昇せず、対ユ ーロで3%下落、対円で6.4%下落となり、中国は貿易輸出量を増や した。このように現状の状況を見ると、グラム上院議員の見解が正 しかったことになる。中国はうまくやったことになるが、しかし、 世界第2位の経済大国が自国経済のための通貨安維持は世界経済に大 きな歪さをもたらしている。 もう1つ、中国は通貨安維持のために大量の介入をして溜め込んだ ドルで米国債を買っているので、米国は容認しているとの見解があ るが、6月時点で、中国の米国債保有額が240億ドル減の8437 億ドルとなり、かなり米国債を市場で売っていることがわかる。 この中国の大量な米国債売りの金利上昇分を相殺するために、ニュ ーヨーク連邦準備銀行は米国債を買い取った。このように中国は米 国と経済戦争に突入する寸前の様相である。 これは今まで、このコラムで述べたことであるが、その経済的な衝 突の上に南シナ海や東シナ海での軍事的な問題がからみ、米中関係 はかなり悪化していた。このため、中国の胡主席は訪米を延期した。 このことで、米中間の経済・軍事面の対立が表面化した。 このような状態で、今年第2四半期(4-6月)の米GDPは1.6%増と 急減し、非農業部門の就業者数も前月より5万4千人減り、3カ月 連続で減少した。 このため、バーナンキ議長FRBは8月27日、「長期証券の追加 的な購入は、さらなる金融緩和に効果的だ」などと追加緩和に向け た具体策を述べている。また、オバマ大統領も包括的な経済対策案 への取り組みを表明した。このように米国経済は二番底に向かう可 能性もある。 しかし、過度な金融緩和を行うと通貨供給量が増えて、通貨の希釈 化で、高水準での失業が続くなかでインフレが加速し、2004年に見 られたような予測モデルから逸脱した物価上昇が再び起こる可能性 もある。 このため、金融緩和だけでは経済活性化は無理で、どうしても米国 内の雇用を創造することが必要であり、このためには、中国に逃げ た工場を呼び戻して、雇用を作ることが必要になっている。 また、貿易赤字の多くは中国からの輸入である。この面からも人民 元の30%程度の切上げは必要であると米国経済専門家は見ている。 このような中で、サマーズNEC議長が訪中することになり、中国 に人民元の切り上げを求めるものとみられるが、不調であると、今 度こそ、為替操作国の認定になると見る。 さあ、どうなりますか?? ============================== サマーズ議長訪中、人民元切り上げ要請か 【ワシントン=岡田章裕】米ホワイトハウスは2日、サマーズ国 家経済会議(NEC)議長が4日から3日間の日程で、中国を訪問 し、王岐山副首相や戴秉国国務委員ら中国政府幹部と会談すると発 表した。 国家安全保障担当のドニロン大統領次席補佐官も同行する。 ホワイトハウスは、会談のテーマについて、「2国間、多国間の 幅広い問題について話し合う」としただけで、詳細は明らかにして いない。 中国は6月19日に人民元相場の弾力化方針を発表したが、切り 上げ幅は小幅にとどまっており、11月の中間選挙を前に米議会で 不満が高まっている。このため、サマーズ議長は、中国に人民元の 切り上げを求めるものとみられる。 (2010年9月3日19時25分 読売新聞) ============================== 包括的経済対策案を表明へ=「経済は良い方向」―米大統領 2010年9月4日1時6分 【ワシントン時事】オバマ米大統領は3日、来週中に包括的な経 済対策案への取り組みを表明すると語った。「中間所得者層に対す る減税の延長や雇用創出が見込める分野への投資」などが内容で、 減速著しい景気や低調な雇用情勢に対応する。 大統領はこの日発表された8月の雇用統計に関し、8カ月連続で 民間雇用が増えており、「経済は良い方向に向かっている」と指摘 。一方で、雇用創出の速度は十分ではなく、一段の対策が必要だと 主張した。 その上で、雇用創出の要である中小企業の支援法案の可決を急ぐ よう議会に求めるとともに、「今後数週間にわたり、経済に関する 幅広い包括案の詳細について協議する」と言明した。 [時事通信社] ============================== 米の8月の就業者数、5万4千人減 失業率は9.6% 2010年9月3日23時57分 【ワシントン=尾形聡彦】米労働省が3日発表した8月の米雇用 統計で、非農業部門の就業者数が前月より5万4千人減り、3カ月 連続で減少した。政府の一時雇用の減少分を民間雇用の増加で補い きれず、雇用減に陥る状態が続いている。同時に発表された失業率 は前月より0.1ポイント高い9.6%に上昇した。失業率上昇は 4カ月ぶり。 非農業部門の就業者数は、米国の雇用動向を示す代表的な指標。 8月は、米国勢調査の終了などに伴って政府部門の雇用が前月比で 12万1千人減る一方、民間雇用は同6万7千人の増加にとどまっ た。オバマ大統領は同日、「経済は前向きな方向に向かっている。 (民間)雇用は創出されている。ただ、必要とされている速さでは 創出されていない」と述べ、来週にも追加の景気刺激策を打ち出す 方針を示した。 ============================== 米FRB議長、追加緩和の姿勢 景気減速鮮明化を受け 2010年8月28日1時1分 【ジャクソンホール(米ワイオミング州)=尾形聡彦】米連邦準 備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長は27日、当地のシンポ ジウムで「長期証券の追加的な購入は、さらなる金融緩和に効果的 だ」などとして、追加緩和に向けた具体案を詳細に述べ、米経済が さらに減速すれば、さらなる金融緩和策に踏み切る姿勢を示した。 従来、金融緩和からの出口戦略に置いていた重点を転換し、追加的 な金融緩和に踏み出す姿勢を強く示唆した形だ。 ============================== 米インフレ、04年のような予想外の加速も−ストック、ワトソン氏 8月27日(ブルームバーグ):全米経済研究所(NBER)の景気 循環判定委員会メンバーのジェームズ・ストック、マーク・ワトソ ンの両氏は、高水準での失業が続くなかでインフレが加速し、2004 年に見られたような予測モデルから逸脱した物価上昇が再び起こる 可能性があるとの見方を示した。 ハーバード大学教授のストック氏とプリンストン大学教授のワ トソン氏は27日、ワイオミング州ジャクソンホールで開かれている 米連邦準備制度理事会(FRB)のシンポジウムでリポートを発表 し、「04年の物価上昇に対する説明がない状況では、この先数四半 期において物価が同様の思いがけない上昇を見せる可能性を排除で きない」と指摘した。 ============================== 第2四半期の米GDP、1.6%増に下方修正 2010年 8月 28日 6:43 JST WSJ 米経済は今年第2四半期(4-6月)に速報よりも一段と鈍化していた ことが明らかになるとともに、企業利益も減速感が顕著となり、米 景気回復が失速しつつある一段の証拠が示される形となった。 米商務省が27日に発表した第2四半期の米実質国内総生産(GDP )改定値(季節調整済み)は、前期比年率で1.6%の増加となった。 前月発表された速報値では2.4%増とされていた。第1四半期の成 長率は3.7%だった。 しかし、今回の改定値も、ダウ・ジョーンズ経済通信がまとめた エコノミスト予想の1.3%増は上回った。 ============================== 絶妙だった中国の通貨弾力化‐2カ月で0.4%しか上昇せず 2010年 8月 24日 11:22 JST WSJ 6月19日、中国は自国通貨人民元について、ドル相場に連動するの を幾分やめ、より「弾力化」した方法で浮動させると鳴り物入りで 発表した。中国政府はその際、大きな通貨変動を予想すべきでない と釘を刺していたが、人民元は主要国通貨に対して大幅に上昇する だろうと世界中が期待したものだ。 あれから2カ月経った今日、大幅上昇は実現しなかった。人民元は 対ドルでせいぜい1%前後上昇しただけで、現在、弾力化発表前日と ほぼ同一のレートで推移している。(全体として、人民元はドルに 対して約0.4%の上昇にとどまっている。) この間、ドルはユーロと円に対して下落した。これは人民元もユ ーロと円に対して下落したことを意味する。その結果、中国の輸出 品は一段と競争力が増した。(人民元は過去2カ月間で対ユーロで3 %下落、対円で6.4%下落した。) 国際通貨基金(IMF)の元中国デスク責任者で米コーネル大学 教授のエスワー・プラサド氏は、中国の人民元をめぐる措置は、こ の国がいかに抜け目なかったかを示すと語る。同氏は「振り返って みれば、ドルがピークに達したのとほぼ同時期に中国政府が対ドル 弾力化を発表したのは、絶妙だった」と言う。 短期的には、それは恐らく正しいだろう。しかし長期的には、中 国の通貨政策は米国、日本、欧州、そして中国輸出製品と競争して いる途上国諸国の間で保護貿易主義的な風潮を助長するはずだ。 米国の議会が11月の中間選挙を控えて、中国の為替政策を標的に した懲罰的な措置を通過させる時間が十分にあるかどうかは未知数 だ。しかし民主党は今年秋、製造業界を救済する法案を通過させよ うと計画している。それは反中国法案の拠り所となる可能性もある。 プラサド氏は、中国は人民元を対ドルで1〜2%急激に上昇させる ことで事態を収拾できると恐らく考えているのではないかとみてい る。「中国は、自分たちに打撃になる政治的な逆風が吹き始めたと みれば、人民元をかなり上昇させるだろう。そうすれば対中圧力は なくなると踏んでいる」というのだ。 ============================== 6月対米証券投資は5カ月ぶり売り越し、中国の財務省証券保有が減少 2010年 08月 17日 01:29 JST [ワシントン 16日 ロイター] 米財務省が発表した6月の海 外投資家による対米証券投資は67億ドルの売り越しとなり、前月 の171億ドルの買い越しから売り越しに転じた。売り越しは5カ 月ぶり。 一方、長期有価証券(株式スワップ等除く)は444億ドルの買 い越しとなり、前月の同353億ドルから買い越し額が拡大した。 国別の財務省証券保有は、中国の保有額が240億ドル減の 8437億ドルと、2カ月連続で減少。一方、第2位の日本は 169億ドル増の8036億ドルだった。 ============================== 追加金融緩和で、米国債買い取り NY連銀、総額2180億円 【ニューヨーク=小谷野太郎】米連邦準備制度理事会(FRB) 傘下のニューヨーク連邦準備銀行は17日、総額25億5100万 ドル(約2180億円)の米国債を金融機関から買い取ったと発表 した。 FRBが10日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、満期を迎 えた住宅ローン担保証券(MBS)や政府機関債などの償還資金を 米国債に再投資し、米景気を下支えする追加緩和策を決めたことに 伴う措置だ。 ニューヨーク連銀は19日にも同様の入札を行い、9月13日ま でに計9回の入札で約180億ドルの米国債の購入を予定している。 FRBは2008年秋の金融危機に対処するため、MBSや長期 国債などを約2兆ドル規模で買い入れ、市場に資金を供給してきた 。9月13日以降も購入を続ける方針で、再投資の規模は年1000 億〜2400億ドルになるとみられる。 (2010年8月19日 読売新聞) ============================== 中国:胡主席の訪米延期か 米中関係悪化受け…香港紙報道 【北京・米村耕一】来月を念頭に調整中だった中国の胡錦濤国家 主席の米国訪問が、米空母の演習や南シナ海を巡る米中関係の悪化 を受けて延期となった模様だと10日付の香港の英字紙サウスチャ イナ・モーニング・ポストが報じた。 同紙は「訪米準備のための米中間の事務レベル協議が予定通り進 んでいない」との中国外交官の発言を引用。「胡主席の訪米が近く 実現する可能性は低い」との分析を伝えた。 毎日新聞 2010年8月10日 20時15分 ============================== 中国人民元問題、米議会の厳しい対応が必要=グラム上院議員 2010年 07月 10日 04:49 JST [ワシントン 9日 ロイター] 米共和党のグラム上院議員( サウスカロライナ州選出)は9日、中国が最近示した人民元を弾力 化する方針について、単なるジェスチャーに過ぎず、実質的な改革 ではないとの認識を示した。 同議員は、米財務省が前日公表した為替報告書で中国を為替操作 国に認定しなかったことは、人民元上昇を容認するよう中国政府に 求める米国の取り組みに効果がないことを浮き彫りにしたと指摘。 「今回の為替報告書は、為替操作への対策を定める法案を米議会 で可決するより解決方法がないことを強調している。人民元相場の 歪みはあまりに長期化しており多くの米国民から職を奪っている」 と話した。 ============================== 米、中国の為替操作 10月再判断 人民元切り上げへ駆け引き 2010年 07月 09日 【ワシントン=岡田章裕】米財務省は8日、主要な貿易相手国・ 地域の為替政策に関する為替政策報告書を公表し、人民元相場の弾 力化方針を評価した上で、中国の為替操作国への認定は見送った。 ただ、「注意深く定期的に人民元の切り上げを監視していく」とし 、引き続き、中国の為替政策を注視する考えを示した。 オバマ大統領は6月下旬の主要20か国・地域(G20)サミッ ト(首脳会議)後の記者会見で、中国の切り上げ姿勢は、「3か月 ではっきり分かる」として、期限を明示した上で中国側に対応を迫 っている。10月の次回の報告書発表までの人民元相場の動きを見 定めた上で、切り上げペースが不十分なら、為替操作国に認定する ことも辞さない構えとみられる。