3733.Re: もしかしたらBIを配らなくても、同じ効果



Re: もしかしたらBIを配らなくても、同じ効果を実現できる?かも
From: Eiichi Morino 

ご質問です。

> 小沢さんのプランは、フラットタックスでBIができる可能性に
>ついてのたたき台としては、とても評価するのですが、

どこがどう評価しうるのですか。

> 私は、賛成ではありません。

どの点がどのような理由で賛成できないのですか。


税の問題を考えるキホン視点はどうあるべきか、お教えいただける
とたすかります。

> あと、経済屋さんのなかには、「累進課税については、格差是
>正の効果は薄い」という人もいらっしゃいますね。このあたりは
>どうなんでしょうか。

どういう推論で格差是正の効果は薄いとご指摘なんでしょうか。
試算や分析はどこにございますでしょうか?

ご教示いただけると幸甚です。
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白崎です。
 
> どこがどう評価しうるのですか。

これは、単純で、BIは、途方もない夢物語ではなくて、現行の税制
を工夫すれば「できるかも?!」というたたき台をつくってくださ
ったからです。
> 
> どの点がどのような理由で賛成できないのですか。

やはり、税収のおちこみや、現物給付財源のバランスなどで一律
45%というのに窮屈な印象をうけます。ただ、これは、印象では
まずいので、いつか、どこかに試算をしてみたいと思います。あと
、年金を全廃するときの移行の部分で「反発する階層」がありえま
す。まあ、一律45%に反発する階層は、「いつも」ありえますが。

> 税の問題を考えるキホン視点はどうあるべきか、お教えいただけ
>るとたすかります。

加えて、上記のこととからむんですが、「税」というのは、国家権
力をなりたたせている、そして、権力行使の最後の砦というか、最
終ゴールの(ひとつ)ようなもんですね。それで、歴史的には、
「税」は、戦争と奴隷制の歴史の延長にできあがってきたものだと
いう認識が私にあります。近代租税国家は、それを「平和的」に政
党政治を用いて「分配」するということで凌いできたのですが、
それが、最近の政党政治のありかたをみていると、怪しくなってい
ます。これは、租税国家の欺瞞があらわれてきたんではないかとーーー。
そういう基本的観点からは、税は、最終的には、ないほうが望まし
いと考えています。アダム・スミスの時代であれば、「租税の役割
は、自分の生産物・私有財産を保護してくれる
夜警国家への
費用としてのもの」だったと思うのですが、ワーキングプアという
人々が、1500万人以上もでてくる国家とは、何だろうーーというこ
とですね。そんな国家の「税」は欺瞞ではないかとーーーー。
プルードンのは、読んでみたいですが、当然、邦訳はないでしょう
から、仏語ですか?
英訳ならありますか?一部、内容をお教えいただけますとありがた
いですがーー。

> 
>> あと、経済屋さんのなかには、「累進課税については、格差是
>>正の効果は薄い」という人もいらっしゃいますね。このあたりは
>>どうなんでしょうか。
> 
> どういう推論で格差是正の効果は薄いとご指摘なんでしょうか。
>試算や分析はどこにございますでしょうか?
> 

これは、私もわからないんです。でも、岩波の「世界」に伊藤光晴
さんという経済学者さんが、上記のことを述べておられたので、逆
に??と思い、お聞きしたしだいです。伊藤さんに質問してみたい
ですね。橘木さんなどであれば、お教えいただけるかもしれません
がーーーーーー。
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From: Eiichi Morino 

> これは、単純で、BIは、途方もない夢物語ではなくて、現行の税
>制を工夫すれば「できるかも?!」というたたき台をつくってくだ
>さったからです。

この程度の作表でできるのですか。実施が楽しみです。

> 窮屈な印象をうけます。ただ、これは、印象ではまずいので、
>いつか、どこかに試算をしてみたいと思います。あと、年金を全廃
>するときの移行の部分で「反発する階層」がありえます。まあ、
>一律45%に反発する階層は、「いつも」ありえますが。
> 

現実を把握したうえで、徴税の不公平も考慮し、試算してくださいね。

> プルードンのは、読んでみたいですが、当然、邦訳はないでしょうから、仏語ですか?
> 英訳ならありますか?一部、内容をお教えいただけますとありがたいですがーー。

このMLの第一次のころでしたかね、議論したことがあります。
近代的な租税理論の基礎になっていますが、上記のようなご理解は
ユニークでらっしゃいますね。
機会をみて再度紹介したいですね。論文のコンペで第一席となった
著作ですね(レオン・ワルラスのが二番だった)。
税を広義の交換範疇で捉える議論です。

> これは、私もわからないんです。でも、岩波の「世界」に伊藤光晴さんという
>経済学者さんが、上記のことを述べておられたので、逆に??と思い、お聞きし
>たしだいです。伊藤さんに質問してみたいですね。橘木さんなどであれば、
>お教えいただけるかもしれませんがーーーーーー。

累進課税を強化すれば需要喚起になるだの、税制をいじることでなんでもできそ
うという議論が流行ですね。

経済政策も金融政策も、各種構造政策もすべて不要らしい。
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From青木
森野さん こんにちわ〜

>ピープルズプランの方ですね。以前お会いしたことありました。
>この方、いつマルクス主義者をおやめになったんでしょう(笑)。

いまは「みどり」に宗旨替え(?)されている(笑)
原稿料が掲載誌2冊というのは「情況」とかいう雑誌とおなじですね(爆)

>まあ、共産主義者同盟あがりの方々がこの国の権力を掌握してい
>らっしゃって、最低でも10年以上は続くんでしょうから、国民
>を籠絡する政府万能主義的な手管は利用できるものはなんであれ、
>吹聴され、時代の気分を作っていくんでしょうね。

いまの経済状態、財政状態を逆手にとってプロパガンダに使って
いくんでしょうが、基礎的自治体が財源的にもはや中央政府の指
令に付いていけなりつつあるのが、もしかすると救いになるかも
しれません。

>経済学は金融危機で信用を失い、他方で経済史の教訓は
>隠されていて知る機会を奪われている状況をうまく利用して、
>国権主義的ななんともな議論が目立ちます。

意識的にそれをやっている輩にはまだしも対抗せねばと思います
が、付和雷同的にその煽動に乗かっちゃっている純粋な人たちま
ではとても手に負えそうにありませんね。

まあでも、そういうのが「彼ら」の狙いなのかもしれませんが。
             ↑
断っておきますが「ロスチャイルド」ではありませんよ(^_-)

>やれ、国家紙幣を発行しろの、それはシニョレッジ(貨幣
>発行益)だの、そのために日銀に言うことをきかせるように
>日銀法を改正しろだの、まあ、90年代中頃、日銀法を改正
>したときには、みなさんなんておっしゃってました?と
>いいたくなりますね。こんどはどのように日銀法を改正するの?
>シニョレッジが欲しいのであれば、明治期の国立銀行によって
>フリーバンキングしていた頃は各国立銀行から貨幣発行益を
>政府は召し上げていたわけだけど、そもそも中銀を無くす選択肢
>だってあるんじゃないの?(笑)明治以来の大蔵官僚の各種奸計はま
>るでドラえもんの道具箱みたいにたくさんありますが、「国民のみな
>さん」という言葉づかいで蔑視する一般大衆は簡単にだませるとでも
>思っていらっしゃるよう。

とはいえ、下村治ほどの緻密な構造分析もできず、田中角栄ばりの剛胆
さもなく、高田保馬程度の独創性すらない。

官僚も政治家も学者も、「大衆」受けを狙った小賢しい理屈をただただ
捏ね回す、御身大切の小心者ばかり、「在野においてもしかり」の状態
になっているような気がしますね。

>税制についても、どのような税制が最適か、しっかり議論すること
>はないようです。思想でアタマでっかちになっているのであれば、じ
>ぶんたちにいちばん不都合な反政府万能主義的なP・J・プルードンの
>『租税の理論』くらいからしっかり読んでほしいところ。衆庶を小馬鹿
>にした議論が多すぎですね。

まあ、われわれの側も馬鹿にされる程度の教養しかないのかもしれませ
んが…(苦笑)
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From: Eiichi Morino 
> いまは「みどり」に宗旨替え(?)されている(笑)
> 原稿料が掲載誌2冊というのは「情況」とかいう雑誌とおなじですね(爆)

ドイツの緑の党もそうですが、赤いことを隠さんとして赤の方々が
入ってきてから、ひどいことになりましたね。

> いまの経済状態、財政状態を逆手にとってプロパガンダに使って
> いくんでしょうが、基礎的自治体が財源的にもはや中央政府の指
> 令に付いていけなりつつあるのが、もしかすると救いになるかも
> しれません。

日銀法、貨幣法を改正して、各都道府県に中銀を作れ(笑)。
日銀は内国版、国際清算同盟のようにして、各都道府県中銀口座
がプラスの場合はマイナス金利を適用し、名地方間の不均衡を
解消しろ(笑)。

> 意識的にそれをやっている輩にはまだしも対抗せねばと思います
> が、付和雷同的にその煽動に乗かっちゃっている純粋な人たちま
> ではとても手に負えそうにありませんね。

まあ、先導されて最期に婆を掴まされることになるでしょう。
太政官札だって、それで儲けたのは安田財閥の創設者でしたし。

> 官僚も政治家も学者も、「大衆」受けを狙った小賢しい理屈をただただ
> 捏ね回す、御身大切の小心者ばかり、「在野においてもしかり」の状態
> になっているような気がしますね。

ほんとに劣化しました。

> まあ、われわれの側も馬鹿にされる程度の教養しかないのかもしれませ
> んが…(苦笑)
> 
衆庶にして立たねばならんですね。近代日本の悲惨を繰り返す
のはちとごめんこうむりたいです。しかしみながお望みなんです
からレミングは海に向かうでしょうね。

かつて、90年代の日銀法改正のとき書いた原稿で、「犬が
吠えても隊商は進む」というアラブのことわざを引用した
ことがあります。

隊商は進むにしても犬は吠えなきゃ犬じゃあない。わたしども
蚊の鳴くような吠え声ですが(泣
==============================
From: "青木
>ドイツの緑の党もそうですが、赤いことを隠さんとして赤の方々が
>入ってきてから、ひどいことになりましたね。

でも、そのことは「みどり」の内実が分かっている人はけっして
口外しません。利口というべきか?卑怯というべきか?

>日銀法、貨幣法を改正して、各都道府県に中銀を作れ(笑)。
>日銀は内国版、国際清算同盟のようにして、各都道府県中銀口座
>がプラスの場合はマイナス金利を適用し、名地方間の不均衡を
>解消しろ(笑)。

↑の森野さんの提案は、じつはユーロ危機に対する唯一の処方箋なん
だよな(笑)

そうなんですよね。ギリシャ危機はユーロ全体からみたら、一自治体
の財政破綻なんであって、わが国と比較するなら地方財政の問題。

破綻の経過なんて夕張市とどこが違うのか、そっくりトレースしてい
るようなもの。

そうこれからギリシャ的苦境を経験するのは都道府県レベルの自治体
なんですよ。福岡県の県内総生産はギリシャより大きいんです。

>まあ、先導されて最期に婆を掴まされることになるでしょう。
>太政官札だって、それで儲けたのは安田財閥の創設者でしたし。

どのみち救えない人は救えない。

>隊商は進むにしても犬は吠えなきゃ犬じゃあない。わたしども
>蚊の鳴くような吠え声ですが(泣

たぶん遠吠えにもなりませんが、とうぶん吠え続けますか(たは)
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From: Eiichi Morino 
> ↑の森野さんの提案は、じつはユーロ危機に対する唯一の処方箋なん
> だよな(笑)

若い時分から欧州の統合には興味があって、それが米国型の均質的な
フェデラリズムでなく、国家連合的な(コンフェデラルな、その意味で
スイス型の拡大版)になるような方向にどれだけ進むのかが興味の
中心でした。しかし、ECBの創設は巨大な統一市場出現の熱狂のなか
で、創設が急がれてしまう。欧州合衆国はまるで米国型に向かうかの
ように。そこで、昨今のように域内不均衡、勝ち組(ドイツ)と負け組
(PIIGS)が結果する。各国はECBに貨幣大権を委譲し、しかし財政政策、
経済政策はばらばら、加盟国間の利害が角逐する。
清算同盟案を応用するなら、欧州合衆国は米国型ではないConfederation 
helvetique(スイス連邦)のような、連合の新しい展開が経済的にも
保証されると思ってきました。

しかしこれは夢。統一市場の期待させる利益は大規模なM&Aを生み、
EUは米国型目指して突き進んだ感があります。これは米国との
衝突コースでもあったでしょう。ユーロと欧州に対する市場の攻撃
はそうしたコースを辿りながら、しかし内部にはらんだ不十分性
を突かれたかっこうです。

ドイツ一人勝ちの欧州にもはや夢はいだけないのでしょうね。




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