もしかしたらBIを配らなくても、同じ効果を実現できる?かも
From:青木
冷蔵庫の片隅で眠っていた保冷剤で頭を冷やしながら、この前紹介いたした
↓に載っている「小沢プラン」が具体的にどんなものか、思考実験というか
ごくごく単純にした試算をしてみました。
>◆ベーシック・インカムのすすめ/白川真澄
>http://www.peoples-plan.org/jp/modules/article/index.php?content_id=67
>(『市民の意見』No.121より転載)
BI 一般所得 BI+GI 税控除 課税所得 税率 所得税 所得保障 手取所得
A 8.00 0.00 8.00 8.00 0.00 0.45 0.00 0.00 8.00
B 8.00 3.60 11.60 8.00 3.60 0.45 1.62 0.00 9.98
C 8.00 7.60 15.60 8.00 7.60 0.45 3.42 0.00 12.18
D 8.00 11.60 19.60 8.00 11.60 0.45 5.22 0.00 14.38
E 8.00 15.60 23.60 8.00 15.60 0.45 7.02 0.00 16.58
F 8.00 19.60 27.60 8.00 19.60 0.45 8.82 0.00 18.78
G 8.00 19.60 27.60 8.00 19.60 0.45 8.82 0.00 18.78
H 8.00 23.60 31.60 8.00 23.60 0.45 10.62 0.00 20.98
I 8.00 27.60 35.60 8.00 27.60 0.45 12.42 0.00 23.18
J 8.00 31.60 39.60 8.00 31.60 0.45 14.22 0.00 25.38
K 8.00 35.60 43.60 8.00 35.60 0.45 16.02 0.00 27.58
計 88.00 196.00 284.00 88.00 196.00 88.20 0.00 195.80
小沢さんはBIを「税金」から配るといわれていますが、実際のところ所得の
ない人は待ってはいられないので、おそらく先に配らなければならなくなると
思われます。
でもそうすると、年累計額で115兆円、月額9・6兆円ほどの購買力が「純」
に国民経済に付加されてしまうわけで、うっかりすると
偽金一味の寓話(http://www.grsj.org/colum/colum/guuwa.html)で示されて
いるような状況を招きかねないことが危惧されるのではないでしょうか。
それに所得制限なしの定額給付金や子ども手当にかなりの反発があるように、
わが国では金持ちまで基礎所得を配るとなると、蜂の巣を突いたように反対世
論が沸騰し、たぶんそのままでは日の目を見ないことになる可能性が強いよう
な気がします。
そこで、BIを配らなくても同じような所得状況が実現できないか、ちょっと
考えてみました。
BI 一般所得 BI+GI 税控除 課税所得 税率 所得税 所得保障 手取所得
A 0.00 0.00 0.00 8.00 ▲ 8.00 0.00 0.00 8.00 8.00
B 0.00 3.60 3.60 8.00 ▲ 4.40 0.00 0.00 6.38 9.98
C 0.00 7.60 7.60 8.00 ▲ 0.40 0.00 0.00 4.58 12.18
D 0.00 11.60 11.60 8.00 3.60 0.00 0.00 2.78 14.38
E 0.00 15.60 15.60 8.00 7.60 0.00 0.00 0.98 16.58
F 0.00 19.60 19.60 8.00 11.60 0.04 0.82 0.00 18.78
G 0.00 19.60 19.60 8.00 11.60 0.04 0.82 0.00 18.78
H 0.00 23.60 23.60 8.00 15.60 0.11 2.62 0.00 20.98
I 0.00 27.60 27.60 8.00 19.60 0.16 4.42 0.00 23.18
J 0.00 31.60 31.60 8.00 23.60 0.20 6.22 0.00 25.38
K 0.00 35.60 35.60 8.00 27.60 0.23 8.02 0.00 27.58
計 0.00 196.00 196.00 88.00 108.00 22.92 22.72 195.80
これも単なる机上の試算に過ぎませんが、集めなければならない税金は、小沢
プランの1/4くらいで済みそうです。それと、よりお金のある人により多くの
税負担していただくことになるので、税制は超過累進のかたちとなるはずです。
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From: 白崎
小沢さんのプランは、フラットタックスでBIができる可能性に
ついてのたたき台としては、とても評価するのですが、私は、賛成
ではありません。が、まあ、議論としてはいいと思います。
それから、8万円という数字は、現行の生活保護の生活扶助部分の
金額におよそ対応しているわけで、そのかぎりでは、他の住宅補助
部分などをどうしてねん出するのか?という疑問がでてきます。
小沢さんは、先般の「現代思想」のBI特集でそのあたりもだいじ
ょうぶである(ねん出できる)という試算をされています。私は、
その部分は、税収の落ち込みなど時間軸も含めて再検討の余地があ
るとは思います。あと、同志社の立岩さんなんかは、「税を直す」
(青土社)などの著作もありますが、累進課税の強化でBIもいけ
るんではないかーーというプランのようです。
で、このあたりの詳細な検討(反論)は私もまだ、できていないん
ですが、資産課税なども含めて、税の問題はいろいろ考えてみたい
ところです。あと、経済屋さんのなかには、「累進課税については
、格差是正の効果は薄い」という人もいらっしゃいますね。このあ
たりはどうなんでしょうか。
それで、最後にご質問ですが、上記の「偽金一味の寓話」は、とて
も納得のいく寓話ですが、それと小沢プランの結果が同じになると
いうのは、どのような意味においてでしょうか。ご教示いただける
と幸甚です。
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From:青木
「超過累進」ということの意味合いを本当に理解していないから、
そういう物言いになるのではないでしょうか?
ただし、わが国の場合、所得税減税で一番「恩恵」を受けたのは、
じつは年収700万円〜2000万円くらいのアッパーミドルないしはロ
ウワ−アッパーといった中間所得層なんですよね。
ここの税負担がずいぶん軽くなっている。最高税率を引き上げると
ともに、超過累進の刻みを復元しないと所得再分配後のジニ係数を
1980年代中盤の状態にまで戻すことはできないでしょう。
>それで、最後にご質問ですが、上記の「偽金一味の寓話」は、
>とても納得のいく寓話ですが、それと小沢プランの結果が同じにな
>るというのは、どのような意味においてで
>しょうか。ご教示いただけると幸甚です。
それこそまさにBI推進論者の方に考えていただきたいところです。
「答え」は保留させていただきます(微苦笑)
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From: Eiichi Morino
> >◆ベーシック・インカムのすすめ/白川真澄
> >http://www.peoples-plan.org/jp/modules/article/index.php?content_id=67
> >(『市民の意見』No.121より転載)
ピープルズプランの方ですね。以前お会いしたことありました。
この方、いつマルクス主義者をおやめになったんでしょう(笑)。
まあ、共産主義者同盟あがりの方々がこの国の権力を掌握してい
らっしゃって、最低でも10年以上は続くんでしょうから、国民
を籠絡する政府万能主義的な手管は利用できるものはなんであれ、
吹聴され、時代の気分を作っていくんでしょうね。
経済学は金融危機で信用を失い、他方で経済史の教訓は
隠されていて知る機会を奪われている状況をうまく利用して、
国権主義的ななんともな議論が目立ちます。
やれ、国家紙幣を発行しろの、それはシニョレッジ(貨幣
発行益)だの、そのために日銀に言うことをきかせるように
日銀法を改正しろだの、まあ、90年代中頃、日銀法を改正
したときには、みなさんなんておっしゃってました?と
いいたくなりますね。こんどはどのように日銀法を改正するの?
シニョレッジが欲しいのであれば、明治期の国立銀行によって
フリーバンキングしていた頃は各国立銀行から貨幣発行益を
政府は召し上げていたわけだけど、そもそも中銀を無くす選択肢
だってあるんじゃないの?(笑)明治以来の大蔵官僚の各種奸計はま
るでドラえもんの道具箱みたいにたくさんありますが、「国民のみな
さん」という言葉づかいで蔑視する一般大衆は簡単にだませるとでも
思っていらっしゃるよう。
税制についても、どのような税制が最適か、しっかり議論すること
はないようです。思想でアタマでっかちになっているのであれば、じ
ぶんたちにいちばん不都合な反政府万能主義的なP・J・プルードンの
『租税の理論』くらいからしっかり読んでほしいところ。衆庶を小馬鹿
にした議論が多すぎですね。