3708.米中関係に秋風が吹く



1930〜40年代と同じようになるというのは、第2次世界大戦
前夜、急激な経済発展を遂げていたドイツは、国家資本主義でかつ
軍事力を増強して、周辺国の領土を自国領土と主張して奪っていっ
た。これが第2次世界大戦の原因である。

現在、これと同じようなことをしている国家がある。それは中国だ。
第2位の経済大国になり、軍事力も米国と並び立つレベルになって
きた。そして、南シナ海を自国領海と一方的に宣言し軍隊を派遣し
て基地を作るという行為をしている。ナチ・ドイツと同じである。

東シナ海では日本と領海を争い、ガス田を開発している。このよう
な中国の傲慢さが、第3次世界大戦になりはしないかと心配になる。
特に韓国哨戒艇沈没事案での安保理審議以降の中国の行動は、欧米
韓日印露ASEANなど周辺諸国から脅威の眼で見られ始めている。

0.はじめに
国連安全保障理事会は7月9日、韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事件
の議長声明を全会一致で採択した。中国は議長声明の採択をもって
事態を収束させて、その上で6者協議の早期再開を呼びかけた。

これに対しては、即座に米国は6か国協議再開について、「交渉復
帰を検討する前に、北朝鮮には特別にすべきことがある」と述べ、
早期再開に慎重な姿勢を示した。

また、北朝鮮は、議長声明について「明確な判断や結論もない。米
国と南朝鮮(韓国)の誤算を証明している」と述べ、満足感を示し
た。反対に韓国では、声明の中に北朝鮮を名指しした非難は見送ら
れ、「外交の失敗」との声があがった。

このため、北朝鮮への「軍事力誇示」の意味合いを持つ韓米合同軍
事演習を、攻撃された場所である韓国西部の黄海で行おうとした。
しかし、太子党の中国軍、羅援少将は黄海の米韓合同軍事演習を挙
げ、「中国への敵意を含む行動には対抗措置が必要だ」とした。

この中国の反発を受けて、米韓合同軍事演習「不屈の意志」を7月
25〜28日の4日間、日本海で実施した。しかし、両軍は九月に
も、朝鮮半島西側の沈没事件が起きた黄海で、合同演習を行う方針
とした。これに対し、中国は米国に、韓国の軍事宣伝放送や軍事演
習を自制するよう非公式に働きかけていた。

しかし、成功しないと見るとこの米韓合同軍事演習をけん制するた
めに、中国軍は7月17、18日の2日間、黄海で軍事演習を実施
した。米韓合同軍事演習の実施が決まってから、中国軍は頻繁に黄
海や東シナ海での軍事訓練を展開している。

米政府は追加制裁として北朝鮮の資金凍結の方針を打ち出していた
が、武器売買など不法取引にかかわった疑いがある北朝鮮の海外の
銀行口座約200口座を特定し、銀行側に通知、資金凍結措置に着
手した。

これらに対して、北朝鮮政府は米国の対北朝鮮追加制裁や、米韓合
同軍事演習を強く批判する見解を発表し、かつ北朝鮮当局が全軍、
全住民に非常警戒態勢を敷くよう指示した。さらに「核抑止力を多
角的に強化し、強力な物理的措置で対応していく」と警告した。し
かし「物理的措置」の内容は具体的には触れなかった。 

この北朝鮮の核実験などを捕らえるために、沖縄の戦略偵察機RC
−135とEP−3が韓半島に投じて周期的に北朝鮮偵察活動をし
ている。警戒レベルを5月から高めているようだ。

また、韓国軍は、射程1500キロの地対地巡航ミサイル「玄武3
C」の開発に成功し、年内に実戦配置するとした。これで北朝鮮の
ミサイルに対応できることになる。

1.北朝鮮の状況
金正日総書記の警護部隊である護衛司令部が、金総書記が長くても
3年しか生きられないという結論を下したと、北朝鮮放送が報道し
た。金総書記がうつ病による感情の起伏も激しくなったという。

この状況を受けて、北朝鮮が6月から、中国での建築資材の買い付
けに力を入れ始めた模様だし、金総書記の銅像ができたりと、世代
交代の儀式の準備が盛んに行われている。金正雲氏への交代の準備
が着々と進んでいるようである。天安攻撃も金正雲氏が指揮したと
いう声も聞く。

中国の過敏な対応も、交代劇をスムーズに行かせる配慮とも取れる
が、韓国や米国は中国の対応に不満が蓄積している。ロシアも交代
劇で北朝鮮が崩壊したとき、羅津の利権を確保するために何らかの
行動に出る可能性がある。

このように北朝鮮は不安定になっているようだ。ロシアと米韓は、
この問題では利害が一致している。このため、米ロ韓は合同演習を
している。

2.米中激突が拡大へ
ハノイで23日に行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)地域
フォーラム(ARF)で、議長声明が発表されたが、韓国哨戒艦沈
没事件については「深い憂慮」を表明、「関係国に平和的解決を求
める」としたものの、北朝鮮の名指しは避けた。日米韓が狙った「
北朝鮮包囲網」構築には直接結びつかなかったようだ。

この会議を裏で仕切った中国は、「南シナ海は中国の領海だ」と長
々の演説をはじめた。中国の無法とも言える傲慢さに堪忍袋の緒を
切った米国クリントン国務長官は、「南シナ海には米国も関心があ
り、国際法の範囲で解決するべきである」と爆弾発言を展開した。

クリントン長官と米政府はASEAN諸国と中国、その他の諸国と
共同で紛争解決のための多国間協議の仕組みを設け、国際海洋法に
基づいて解決すべきだとした。 

これに対して、中国は南シナ海での領有権をめぐるアジア各国間の
紛争を解決するために多国間協議を推進しようとしているオバマ政
権を批判した。 

南シナ海問題を国際問題とすべきではないとし、そうすれば状況は
さらに悪化し、複雑化するだけだと指摘した。その上で、最善の方
法は中国と関係国が二国間協議で問題を解決することだと述べた。

その上で、領有権を主張する南沙(スプラトリー)諸島などを抱え
る南シナ海で、中国は7月下旬、海軍による大規模な実弾演習を行
うなど軍事力を誇示するという。

これに対応した多国間軍事演習を米・ASEANは計画することに
なり、南シナ海に戦線が拡大することになる。

そして、米国は中国への見方を変更し始めている。中国と米国はG2
と呼ばれるほど密接ではないとして、10月までの為替上昇の度合い
を見て、中国を為替操作国に認定する可能性が出ている。操作国に認
定させると、相殺関税が掛けられる。30%程度の関税であろう。し
かし、この関税は欧米の多くの国で実施されて、中国は先進諸国に輸
出できなくなり、大きな痛手を受ける。

また米企業・米経済界でも中国に幻滅する様子を見せ始めたようだ。
米経営者が今までは中国を擁護していたが、この頃、中国の批判が
多くなっている。何かの変化が米国内に起こっている。中国がナチ
ス・ドイツの行動と似てきたことによると見る。

3.日本への影響
韓国やASEAN諸国+米国と中国の対立が明確化してきた。この
ため、2014年までに予定されている在沖縄海兵隊約8000人のグアム
(Guam)移転について、グアム内のインフラ設備の不備のためとい
う理由で遅れると米国は日本に通知したが、北朝鮮の崩壊時に海兵
隊を韓国の傍である沖縄に置くことを韓国が望んでいるためと見る。
米韓の軍事的な配慮からである。

また日米で開発したミサイル防衛(MD)の海上配備型迎撃ミサイ
ル(SM3ブロック2A)について、第三国への供与を認める方向
で日本政府は調整に入った。このSM3は、中国や北朝鮮のミサイ
ルに脅える韓国・ASEAN諸国に必要な装備である。

というように、日本にも米中関係悪化は影響する。中国経済が絶好
調であり、日本は経済的には中国と友好関係を築くことが必要であ
るが、安全保障上では米国との同盟を強化することが必要になると
見るが、個々個人で見解が分かれそうな予感がする。反米を唱える
勢力が大きいために、その人たちに押し流される危険を感じる。

さあ、どうなりますか?
浮沈がかかった選択を日本は近い将来、することになると感じる。

参考資料
3686.国連安保理議長声明で決着か
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/220711.htm
3683.中韓露の東アジアでの演習について
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/220708.htm
3672.安保理での哨戒艦沈没審議
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/220626.htm
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南シナ海で中国海軍演習、米・ASEANけん制
 【北京=佐伯聡士】中国やマレーシアなど6か国・地域が領有権
を主張する南沙(スプラトリー)諸島などを抱える南シナ海で、中
国の胡錦濤政権が7月下旬、海軍による大規模な実弾演習を行うな
ど軍事力を誇示した。

 先の東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF
)で南シナ海問題に結束して対処する方針を打ち出したASEAN
や、関与姿勢を強めている米国をけん制する狙いがあるとみられる。

 人民解放軍機関紙「解放軍報」などによると、海軍は26日、南
海、北海、東海の3艦隊が南シナ海で合同演習を実施、陳炳徳・総
参謀長が視察した。南海艦隊が中心となり、敵の電磁波妨害があっ
たとの想定下で、ミサイル駆逐艦が対空、対艦ミサイルを発射した。
多数のフリゲート艦やミサイル艇、海軍航空隊も参加した。

 陳総参謀長は「情勢と任務の変化を注視し、軍事闘争の準備をし
っかり行わなければならない」と号令。「情勢の変化」とは、最近
のASEANや米国の動きを指しており、国防省の耿雁生・報道官
は30日の記者会見で、「南シナ海問題の国際化に反対する」と述
べ、米国の介入に強い警戒感を示した。
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韓国軍、黄海で対潜水艦演習へ…北の脅威に対応

 【ソウル=前田泰広】韓国軍合同参謀本部は30日、韓国軍単独
の対潜水艦軍事演習を8月5〜9日に黄海で行うと発表した。

 演習は「作戦遂行能力を高めるため」としており、3月の海軍哨
戒艦沈没事件を教訓に北朝鮮の脅威に対応する狙いがあるとみられ
る。演習には海軍の駆逐艦や潜水艦のほか、北朝鮮特殊部隊の侵入
を想定して陸軍や海兵隊も参加する。

 これとは別に、9月には米韓合同軍事演習が黄海で行われる予定
で、時期や演習内容の調整が進んでいる。
(2010年7月31日00時07分 読売新聞)
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米韓軍事演習 黄海で9月に実施へ
2010年7月29日 東京新聞朝刊

 【ソウル=城内康伸】韓国軍哨戒艦沈没事件を受け、米国と韓国
の両軍が北朝鮮への対抗措置の一環として実施していた、日本海で
の合同軍事演習が二十八日、終わった。韓国軍合同参謀本部関係者
によると、両軍は九月にも、朝鮮半島西側の沈没事件が起きた黄海
で、合同演習を行う方針。

 米韓は今回、中国が早くから黄海での演習に強く反発したことに
配慮し、日本海を実施海域に選んだ。黄海で演習が実施されれば、
中国との間で亀裂が広がるのは必至だ。
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米韓、合同演習を終了=北に軍事的圧力−日本海
 【ソウル時事】韓国哨戒艦沈没事件を受け、米韓両軍が日本海で
行っていた合同軍事演習が28日、終了した。4日間の演習では北
朝鮮の侵攻を想定し、魚雷を使用した潜水艦攻撃訓練などを実施。
両軍は強い結束を誇示し、「核抑止力に基づく報復聖戦を開始する
」などと連日警告する北朝鮮に軍事的圧力を加えた。
 演習には両軍の約8000人、米原子力空母「ジョージ・ワシン
トン」など艦船約20隻、航空機約200機が参加。米軍の最新鋭
ステルス戦闘機F22も韓国周辺での演習に初めて投入された。
(2010/07/28-17:45)
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米軍当局、海兵隊グアム移転の遅れを示唆 現地インフラ不備指摘
2010年07月28日 12:17 発信地:ワシントンD.C./米国

【7月28日 AFP】米下院軍事委員会は27日、日本に関する公聴会を開
いた。この中で、米海軍省のジャカリーン・ファネスティール次官
補(エネルギー・施設・環境担当)は、2014年までに予定されてい
る在沖縄海兵隊約8000人のグアム(Guam)移転について、グアム内
のインフラ設備の不備のため、遅れる可能性があるとの認識を示し
た。
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米韓合同軍事演習始まる 哨戒艦事件受け、北朝鮮を牽制
2010年7月26日0時59分

 韓国哨戒艦の沈没事件を受け、米韓両軍は25日、米原子力空母
も参加しての大規模な合同軍事演習を日本海で開始した。北朝鮮を
牽制(けんせい)するのが狙いだが、演習のあり方を含め、北朝鮮
に厳しく対処したい韓国側の思惑通りには進んでいない。一方の北
朝鮮は軍事演習に加え、米国が発表した追加制裁にも反発。3度目
の核実験をちらつかせ、揺さぶりをかけている。 

 「不屈の意志」と名付けられた演習は4日間の予定で、非公開で
始まった。韓国国防省によると、釜山港に停泊していた米海軍原子
力空母ジョージ・ワシントンは25日午前7時ごろ、日本海に向け
て出港。米空軍嘉手納基地に一時配備中の最新鋭戦闘機F22ラプ
ターなど両国の航空機約200機のほか、艦艇二十数隻を投入。
参加兵力は8千人以上となる見込みという。 
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中国、多国間協議に反対=南シナ海問題で
2010年 7月 26日 8:30 JST 
WSJ
 【ハノイ】中国の楊潔?(ヨウケツチ)・外相は25日、外務省サイ
トに掲載した声明で、南シナ海での領有権をめぐるアジア各国間の
紛争を解決するために多国間協議を推進しようとしているオバマ政
権を批判した。 

 同外相は、米国は南シナ海問題を国際問題とすべきではないとし
、そうすれば状況はさらに悪化し、複雑化するだけだと指摘した。
その上で、最善の方法は中国と関係国が二国間協議で問題を解決す
ることだと述べた。 

 クリントン米国務長官は23日、ベトナム・ハノイでの東南アジア
諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)で、この問題で
の多国間協議を推進する姿勢を示した。同長官は、南シナ海での各
国の対立への懸念を強めていると述べた。中国とベトナム、マレー
シア、フィリピンなどの東南アジア諸国は歴史的に南シナ海での水
路、諸島、環礁の領有をめぐり激しく対立してきた。 

 こうした中で、力を増している中国の軍事力がこの海域を支配し
ようとするのではないかとの懸念が強まっており、また、中国企業
が同海域でのエネルギー、鉱物の探査活動を活発化させていること
から緊張が高まっている。 

 クリントン長官と米政府はASEAN諸国と中国、その他の諸国
と共同で紛争解決のための多国間協議の仕組みを設けようとしてい
る。同長官は、このプロセスは国際海洋法に基づくものにすべきだ
としている。 

 同長官はARF閉幕に際して記者団に対して、「米国は、すべて
の関係国が強制されることなくさまざまな領海紛争を解決する、協
力的な外交プロセスを支持する」と述べ、「われわれはいかなる国
の軍事的圧力にも反対する」と強調した。 

 クリントン長官に同行している当局者は23日、中国政府はベトナ
ムでの討議の間に米国への反対を表明していたことを認め、同国は
南シナ海関連のいかなる問題も二国間ベースで解決すべきで、国際
社会を巻き込むべきではないと述べていたと語った。 

 楊外相は声明で、クリントン長官の「公平なように見える発言は
、南シナ海の状況が憂慮すべきものだという錯覚を作り出すことに
よって中国を攻撃することを狙っている」と批判した。 

 同会議では北朝鮮問題も大きく扱われ、クリントン長官は韓国哨
戒艦撃沈と核兵器・弾道ミサイル開発を理由に、新たな北朝鮮制裁
を実行するよう各国に求めた。一方で北朝鮮の外交官は記者団に対
して、米国の制裁は北朝鮮に対する直接的な脅威であり、同国の軍
隊がこれに返答することになると強調した。 
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中国とアメリカ、“G2”と呼ばれるほど密接ではない
toyokeizai

中国は、カナダ・トロントで開催されたG8およびG20サミットで、外
交面のしたたかさを発揮した。その1週間前に人民元の弾力化政策
を発表し、人民元の安値操作をめぐるアメリカ議会を急先鋒とする
国際的な非難を巧みにかわした。

 そのサミットの前と最中で中国が見せた巧みな外交手腕とは、次
の3つである。第1に、中国政府は人民元を急速に切り上げる意向を
まったく示さなかったことだ。アナリストのほとんどは向こう12カ
月に人民元は3%以上切り上げられることはないだろうと見ている。
第2に、中国は米議会に高まっている強烈な保護主義感情を鎮めたが
、それはほんの一時的にすぎない。第3に、米国と中国はG2と呼ばれ
るほど緊密ではない。G2とは、両国がグローバル経済や戦略的課題
について緊密に協力し合うことである。

 オバマ政権は何とも中途半端な立場に立たされている。というの
は、中国を国際的に責任のある役割を演じるようにうまく仕向けた
という評価を得たいところだが、それを証明する証拠はどっちつか
ずのミックスとなっている。

 たとえば、今回中国が踏み切った管理フロート制である。中国は
2009年に貿易黒字を2269億ドルにまで積み上げた。その結果、ここ
数カ月間、人民元の切り上げ圧力にさらされてきていた。08年7月以
来、人民元は対ドル6.83元に固定されたままだったが、それは実勢
より25〜40%過小評価されていると見られていた。
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中国への熱意を失い始めた米国企業 7月14日 
英フィナンシャル・タイムズ紙
jbpress

大方の左派からすると、多国籍企業には今も漠然と邪悪なイメージ
がつきまとう。だが、こうした企業は平和と繁栄、国際協力を強力
に推進する世界屈指の勢力だ。

 大企業の力がなければ、米中関係は何年も前に悪化していたかも
しれない。太平洋の両側には、より敵対的な関係を望む勢力がいる。
中国の国家主義者、米国の労働組合、両国の軍事機構といった存在
である。

 過去20〜30年間にわたり、中国が力と富を増すことは米国にとっ
て好ましいという反論を繰り広げてきたのが、米国の多国籍企業だ
った。このため、米国の経済界が中国に幻滅する様子を見せ始めた
ことは、企業だけでなく国際政治にとっても不吉な兆候だ。
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ARF議長声明、哨戒艦沈没に「深い憂慮」
  【ハノイ=若山樹一郎、仲川高志】ハノイで23日に行われた
東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)の議
長声明が24日夜、発表された。

 23日の会議で、日米韓と北朝鮮が激しく対立した韓国哨戒艦沈
没事件については「深い憂慮」を表明、「関係国に平和的解決を求
める」としたものの、北朝鮮の名指しは避けた。日米韓が狙った「
北朝鮮包囲網」構築への寄与には直接結びつかなかった。

 一方、声明には、韓国などの求めに応じ、哨戒艦沈没は「攻撃に
よる」ものだと明記された。北朝鮮の核問題に関し「完全かつ検証
可能な朝鮮半島の非核化を支持」することも盛り込まれた。
(2010年7月24日23時43分 読売新聞)
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迎撃ミサイル、第三国輸出容認へ 米要請受け政府
 政府は米国と共同開発しているミサイル防衛(MD)の海上配備
型迎撃ミサイル(SM3ブロック2A)について、第三国への供与
を認める方向で調整に入った。米側の要請を踏まえた対応で、供与
先として欧州などが想定されている。複数の日米外交筋が24日、
明らかにした。
2010/07/25 02:02共同通信
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米韓の軍事演習、北朝鮮外務省報道官も批判
2010年7月25日2時30分

 【ソウル=稲田清英】朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省報道
官は24日、韓国哨戒艦沈没事件を受けて米国政府が発表した対北
朝鮮追加制裁や、米韓が25日から実施する合同軍事演習を強く批
判する見解を発表。「核抑止力をさらに多角的に強化し、強力な物
理的措置で対応していく」と警告した。「物理的措置」の内容は具
体的には触れていない。 
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非常警戒態勢を指示=北朝鮮
 【ソウル時事】米政府系の自由アジア放送(RFA)は24日、
北朝鮮消息筋の話として、日本海で25日から実施される米韓合同
軍事演習を前に、北朝鮮当局が全軍、全住民に非常警戒態勢を敷く
よう指示したと伝えた。
 同筋によると、北朝鮮軍部は「米帝(米国)と南朝鮮(韓国)か
いらい軍が行う軍事訓練はわが国を狙った予備侵略戦争」と全部隊
に通達。各部隊は射撃などの訓練に入ったが、燃油不足で車両など
の機動訓練は実施できない状態だという。(2010/07/24-16:12)
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米戦略偵察機、日本から出撃して毎週2−3回北朝鮮軍監視
中央日報
 米国が天安(チョンアン)艦事件以降、戦略偵察機で北朝鮮地域
を周期的に偵察してきたことが23日に確認された。 

軍関係者は「韓米が北朝鮮軍監視レベルの対北朝鮮情報監視態勢
‘ウォッチコン’(ウォッチ・コンディション)を第3段階から第
2段階に高めた5月から、米軍当局は日本沖縄の戦略偵察機RC−
135とEP−3が韓半島に投じて周期的に偵察活動をしている」
と明らかにした。沖縄駐留偵察機の韓半島動員は異例。 
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米、北の違法な海外200口座を特定 韓国紙
2010.7.24 00:31
 【ソウル=水沼啓子】23日付の韓国主要各紙は、外交筋の話と
して、武器売買など不法取引にかかわった疑いがある北朝鮮の海外
の銀行口座約200口座を米政府が特定したと一斉に報じた。米政
府は韓国哨戒艦撃沈事件を受け、追加制裁として北朝鮮の資金凍結
の方針を打ち出している。

 中央日報は、米政府は明らかに違法な約100口座についてはす
でに銀行側に通知、資金凍結措置に着手したと報じた。米政府が通
知したのは東南アジアや南欧、中東の10余カ所の銀行。口座には
違法な武器売買などで得た資金が預けられており、偽札や資金洗浄
(マネーロンダリング)とも関連があるとされる。
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米韓合同演習:25日から日本海で 中国配慮で黄海は回避
毎日
 【ソウル西脇真一、古本陽荘】米国のゲーツ国防長官と韓国の金
泰栄(キム・テヨン)国防相は20日、韓国国防省で会談し韓国海
軍哨戒艦「天安(チョンアン)」沈没事件への対抗措置となる最初
の米韓合同軍事演習「不屈の意志」を25〜28日の4日間、日本
海で実施することで合意した。中国に面した黄海での演習は、中国
の反発に配慮して先送りした形だ。
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中国軍、黄海で軍事演習 米韓牽制ねらいか
2010年7月20日23時47分

 【北京=峯村健司】20日付の中国英字紙、チャイナ・デーリー
によると、中国軍は17、18日の2日間、黄海で軍事演習を実施
した。米韓合同軍事演習の実施が決まってから、中国軍は頻繁に黄
海や東シナ海での軍事訓練を展開しており、米韓側を牽制(けんせ
い)する意図があるとみられる。 
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米韓演習に対抗措置を=南シナ海、主権明示も提言―中国軍将官
7月18日22時57分配信 時事通信

 【北京時事】18日付中国紙・広州日報によると、中国軍系の学術
団体・軍事科学学会の副秘書長、羅援少将はこのほど、韓国哨戒艦
沈没事件を受けて計画されている米韓合同軍事演習などを挙げ、「
中国への敵意を含む行動には対抗措置が必要だ」との見解を示した。
 羅少将は、共産党機関紙・人民日報のウェブサイト「人民網」の
ユーザーとの交流で発言。軍幹部を務めた父を持ち、軍内部で影響
力を持つとされる同少将の発言は、米韓演習をけん制する動きを強
める中国軍部の声を「代弁」している可能性もある。
 羅少将はまた、他国と領有権を争う南シナ海の島嶼(とうしょ)
について、観測や通信の軍事施設を設けるなどして中国の主権を明
確に示すべきだとも提案。南シナ海の権益保護をめぐる中国軍の活
動活発化を警戒する米軍を意識した主張とみられる。
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米中、韓国に自制求める 哨戒艦事件巡る報復措置に難色
2010年7月18日3時1分

 【ソウル=牧野愛博】韓国哨戒艦沈没事件を巡り、中国が米国に
対し、韓国に軍事宣伝放送や軍事演習の自制を求めるよう非公式に
働きかけていた。韓国政府関係者らが明らかにした。米中による封
じ込めで報復措置の大幅な変更を余儀なくされたとも言える結果に
、韓国政府内からは「外交的に敗北した」との声が出ている。 
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韓国、射程1500kmミサイル年内配備へ

 【ソウル=前田泰広】聯合ニュースは17日、韓国軍と傘下の国
防科学研究所が、射程1500キロの地対地巡航ミサイル「玄武3
C」の開発に成功し、年内に実戦配置する予定と報じた。

 「2008年から開発を始め、量産に成功した」(軍関係者)純
国産ミサイルで、核施設を含む北朝鮮の主要軍事拠点を射程に収め
るとしている。

 国防省関係者によると、韓国軍は現在、射程500キロと1000
キロの巡航ミサイルを実戦配備している模様だ。安全保障問題の専
門家は「玄武3C」配備の効果について、「北朝鮮の攻撃を受けや
すい前線地域を避け、韓国南部にミサイルを配置しても北朝鮮全域
を収めるのに十分な射程を確保できる」と指摘している。
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北朝鮮、なぜ中国から建築資材を大量買い?
7月17日17時31分配信 読売新聞

 【瀋陽=比嘉清太】北朝鮮が6月から、中国での建築資材の買い
付けに力を入れ始めた模様だと、中朝関係筋が明らかにした。

 北朝鮮の金正日(キムジョンイル)政権が2012年までの目標と
して掲げる「強盛大国」実現に向けて、インフラ整備を本格化させ
る動きとみられる。

 中朝貿易の7割が取引される遼寧省丹東には6月、北朝鮮・黄海
南道などの地方政府当局者や地方政府系の貿易会社関係者のグルー
プが、少なくとも6回訪問し、鋼材、ガラス、壁紙、セメントとい
った建築資材や、鉱山開発で使用する各種設備をまとめて購入した
という。
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米韓合同演習相次ぎ実施へ=秋にPSI、日本参加歓迎―米国防総省
7月16日9時48分配信 時事通信

 【ワシントン時事】米国防総省高官は15日、韓国哨戒艦事件を受
け、米韓合同訓練を夏から秋にかけて相次いで実施することを明ら
かにした。
 来週の米韓外務・国防閣僚協議(2プラス2)後に黄海と日本海で
行う予定の合同軍事演習に続き、米韓定期演習の「乙支(ウルチ)
フリーダムガーディアン」、さらに秋には大量破壊兵器拡散防止構
想(PSI)に基づく海上封鎖訓練を韓国で実施する計画。
 同高官はPSIについて、2プラス2での協議課題の一つとした上で
「多くの国の参加を期待しており、日本が参加すれば歓迎する」と
述べた。
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中国外交部「他国はチベット独立分子に舞台を提供すべきでない」
2010/07/15(木) 11:30 サーチナ

  中国外交部の楊潔〓部長(外相)は14日、中国を訪問中のヘイ
グ英外相と会談し、両国の協力関係を重視するとの意見で一致した。
一方、「チベット独立分子に舞台を提供すべきでない」と発言し、
他国によるチベット独立派の支援の動きをけん制した。中国網など
が伝えた。(〓は竹かんむりに厂(がんだれ)、下に「虎」)
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国連軍と北朝鮮軍が実務接触 沈没事件後初
2010年7月15日11時10分

 【ソウル=牧野愛博】在韓国連軍は15日午前、北朝鮮軍との間
で大佐級実務接触を板門店で開いた。韓国哨戒艦沈没事件を巡る将
官級会談の議題を決めるのが目的。在韓米軍や韓国軍などが参加す
る国連軍と北朝鮮軍が接触するのは、3月26日に沈没事件が発生
して以来初めて。 
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米、6か国協議再開に慎重「挑発控えるのが先」

 【ワシントン=本間圭一】クローリー米国務次官補(広報担当)
は12日の記者会見で、中国が求めている、北朝鮮の核問題を巡る
6か国協議再開について、「交渉復帰を検討する前に、北朝鮮には
特別にすべきことがある」と述べ、早期再開に慎重な姿勢を示した。
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北朝鮮の護衛司令部、金正日委員長の残余寿命は最長3年
2010/07/10(Sat) 09:09

北朝鮮の金正日国防委員長の警護部隊である護衛司令部が、金国防
委員長が長くても3年しか生きられないという結論を下したと、対北
短波ラジオの開かれた北朝鮮放送が報道した

開かれた北朝鮮放送は、護衛司令部傘下の特殊診療科が、2008年の
金正日委員長の脳卒中発病以降の健康状態を総合し、このような結
論を下したと明かした。

また、金委員長がうつ病による感情の起伏も激しくなったとし、最
近、金委員長の芸術公演観覧が多くなったこともうつ病の治療を目
的にしたものだと付け加えた。
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韓国哨戒艦事件、安保理議長声明に韓国では「外交失敗」との声も
2010/07/10(土) 16:38サーチナ

  国連安全保障理事会は9日、3月26日に発生した韓国の哨戒艦沈
没事件に関する議長声明を発表した。声明では北朝鮮を名指しした
非難は見送られ、韓国では「外交の失敗」との声があがっている。

  声明では、攻撃による沈没であることを明記し、合同調査団の
「北朝鮮の魚雷攻撃による沈没」という調査結果を引用したことで
、全体の文脈から北朝鮮の攻撃を非難した。韓国政府は、全会一致
で採択された議長声明は「実質的に北朝鮮を非難した」国際社会の
声として高く評価した。

  しかし、北朝鮮を名指ししていない声明について、韓国メディ
アは「あいまいな結論」に終わったとし、「韓国政府の外交的な失
敗」と厳しく批判した。同メディアは、韓国政府に有利な解釈がで
きるとしつつも、北朝鮮を名指しせず、北朝鮮に謝罪を求めていな
いこと、そして責任者への処罰を「適切で平和的な措置」と規定し
た内容に注目し、「攻撃の主体がない中途半端な糾弾(きゅうだん
)で、天安艦外交は失敗した」との見方を示した。
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「米韓の誤算を証明」 名指し回避の声明に北朝鮮満足感
2010年7月10日10時22分

 【ソウル=牧野愛博】北朝鮮外務省報道官は10日、韓国哨戒艦
沈没事件を巡る国連安全保障理事会議長声明について「明確な判断
や結論もない。米国と南朝鮮(韓国)の誤算を証明している」と述
べ、満足感を示した。朝鮮中央通信が伝えた。 
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中国、6者協議の早期再開を呼びかけ
2010年7月10日11時12分

 【北京=古谷浩一】中国外務省の秦剛副報道局長は9日夜、韓国
の哨戒艦沈没に関する国連安全保障理事会の議長声明について「関
係各国が引き続き冷静さと抑制を維持し、これを機に、できるだけ
早く事件を乗り越えることを望む」との談話を発表した。議長声明
の採択をもって事態を収束させたいとの中国側の姿勢を示すものだ。
秦副局長はそのうえで、6者協議の早期再開を呼びかけた。 
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<国連安全保障理事会議長声明の全文>

【ソウル9日聯合ニュース】国連安全保障理事会は9日、韓国海軍
哨戒艦「天安」沈没事件をめぐり公式会合を開き、「天安」沈没を
招いた攻撃を糾弾する議長声明を全会一致で採択した。議長声明の
全文は次の通り。

1、国連安全保障理事会は2010年6月4日付の韓国国連大使名
義の安保理議長あての書簡(S/2010/281)および
2010年6月8日付の北朝鮮国連大使名義の安保理議長あての書
簡( S/2010/294)に留意する。

2、安保理は2010年3月26日に韓国海軍哨戒艦「天安」の沈
没と、これに伴う悲劇的な46人の人命損失を招いた攻撃を非難す
る。

3、安保理はこのような事件が地域の平和と安全を脅かすと規定す
る。

4、安保理は人命損失と負傷を非難し、犠牲者と遺族、そして韓国
の国民と政府に対し深い慰労と哀悼を表し、国連憲章およびその他
すべての国際法関連規定に基づき、この問題の平和的解決に向け、
今回の事件の責任者に対し適切で平和的な措置が取られるよう促す。

5、安保理は、韓国主導の下、5カ国が参加した「民間・軍合同調
査団」が北朝鮮に「天安」沈没の責任があると結論付けた調査結果
にかんがみ、深い懸念を表明する。

6、安保理は、今回の事件と関連がないと主張する北朝鮮の反応、
そしてその他関連国の反応に留意する。

7、従って、安保理は「天安」沈没を招いた攻撃を非難する。

8、安保理は今後、韓国または域内への攻撃や敵対行為を防止する
重要性を強調する。

9、安保理は韓国が示した抑制を歓迎し、朝鮮半島や北東アジア全
体で平和と安定を維持する重要性を強調する。

10、安保理は朝鮮戦争休戦協定の完全な順守を促し、紛争の回避
と状況悪化の防止を目的に、適切なルートを通じ直接対話と交渉を
可能な限り速やかに再開するため、平和的手段として朝鮮半島の懸
案解決を奨励する。

11、安保理はすべての国連加盟国が国連憲章の目的と原則を支持
する重要性を再確認する。

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