3694.細部に宿るもの



細部に宿るもの100715
From: Eiichi Morino 

先般FTの評論を読んでいてうまいこというなと思った。
「悪魔は細部に宿る」というのだ。もちろん、「真理は
細部に宿る」という格言をもじっている。

多くの理論的提言は作り込まれた細部の議論を含んでいる
ものだ。しかしそれを受け止める人々にはそれぞれに屈託
があり時間に追われている。いきおいその理論を現実化
しようとするときには、細部はおおむねそぎ落とされる。
マイクロブログふうの短文によるコミュニケーションに
のせられることで、真理のやどるべき細部は消え失せる。

しかし現実化するさいには、それ固有の細部が作られて
いく。そぎ落とされた細部と、それは異なることが多い。
そうして、今度の細部には悪魔が宿っているかもしれない。

なるほどな、狭く貨幣改革論に限ってもそういえるかもしれ
ないなと思った。ましてや現実に深く関与する理論ほどそう
だし、その理論の提唱者自身も新たな細部に揺れていくという
こともある。

ダグラス主義の場合は、イデオロギー次元で一世を風靡した
英国の状況より新大陸の状況との関連で外観しておいたほうが
よいかもしれない。

ダグラス主義といえば、共産主義者からみれば危機に対する
右翼的(ファッショ的)反動であるという位置づけで、第二次
大戦前の大衆社会の到来で、高学歴化しながら十分な職や
社会的地位を得られず、ルサンチマン(怨念)をため込んだ
知識層の暴発と捉えられる。

たしかにそう性格付けできるかもしれないが、なんだか今日
と似ているな。

カナダのアルバータ州でダグラス派の社会信用党が州議会
議員選挙で大勝利を収めたのは1935年8月22日である。
指導者は党首のウィリアム・エバーハート。31日には
彼を首班とする州内閣が成立する。この党はダグラス理論
を党是とするもので、ダグラスは自己のアイデアの実現部隊
をもつことになった。それは第一次大戦後の独革命で、
ミュンヘンのレーテ評議会の財務担当人民委員にゲゼルが
就任したのと似ていなくもない。

しかし両者の議論には一致点もあれば他の理論に由来する
相違点もあった。しかしそのコアはダグラスの社会信用論
であったといえる。なにしろ社会信用党が政権を奪取する
以前からダグラスはアルバータに乗り込み同州の財政顧問
を務めていたからだ。

エバーハートが実際にアルバータで社会信用を実施するさい
独自に着想し、ダグラスと異なる点はなにか、アルバータの
実情と理論との関係で興味深いので、アルバータ社会信用党
及びエバーハートの考えからおさらいしておきたい。
それは、ダグラスにとって悪魔であったのか真理であったのか、
最期に分明となるだろう。
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森野さん こんにちわ〜

>
>先般FTの評論を読んでいてうまいこというなと思った。
>「悪魔は細部に宿る」というのだ。もちろん、「真理は
>細部に宿る」という格言をもじっている。

今日のダイヤモンドオンラインに「悪魔は細部に宿る」という
ことに関して、スティグリッツの見解が載っていました。

曰く…
「例によって「悪魔は細部に宿る」のであり、金融部門のロビイストたちは、
新しい規制の細部が自分たちの雇い主にとって有利なものになるよう熱心に
活動してきた。そのため、アメリカ議会が最終的に制定する法律のよしあし
をわれわれが評価できるのは、おそらくずっと先のことになるだろう。」

全文が欲しい方はDMをください。PDF化して添付いたします。
青木
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From: Eiichi Morino 
欧米の金融規制はうまくいきませんね。

日本の官僚も細部に悪魔を宿らせるクチで、一般庶民は
政治家が無能であればあるほど、よほど注意してかからん
といかんですが、役人にすり寄る人ほど悪魔のエジキか(笑)
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>欧米の金融規制はうまくいきませんね。

根本はお金の「作られ方」にあるんですからねぇ。
無闇矢鱈と信用創造したら確実に「損」を取ることになるような
制度に組み替えないと、抜け道を本質的に塞げないでしょうね。

>日本の官僚も細部に悪魔を宿らせるクチで、一般庶民は
>政治家が無能であればあるほど、よほど注意してかからん
>といかんですが、役人にすり寄る人ほど悪魔のエジキか(笑)

最近は、消費税↑の法人税↓の大合唱になりつつありますね。

官僚嫌い(のポーズをとる)「みんなの党」もこれには賛成らしい。
たぶん、この党では財務官僚は官僚のカテゴリーから外れるのでしょう。

昨日の言いましたが、悪魔が細部に宿った「租特」をそのままして
法人税の税率を下げられたら、財務省もたまったものでない。

でも自分らに美味しいところまでは切らせない。

ということで、次の段階では「租特」が浮上してきて、彼らに
あまりメリットのない中小企業向けや農林水産業向けの特別措置は
「仕分け」されるよう仕向けるために、学者やマスコミを動員する
んでしょう。

筋を読めばそんなところでしょうか。
青木
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From: Eiichi Morino 
> 制度に組み替えないと、抜け道を本質的に塞げないでしょうね。

米国人は自国の金融規制の長い伝統とそれが堀り崩される
歴史を振り返るべきですが、なにぶんにも金融部門が
大きく成りすぎ力を持ちすぎました。この構造は
変わらんですね。今回の危機を通して、コミュニティバンカー
のような州法銀行はばたばた潰れて悪徳の大手は救済された
うえで大もうけ、部門内再編が進んだだけです。

> 最近は、消費税↑の法人税↓の大合唱になりつつありますね。

IMFまでかさにかかって増税の勧告ですからねえ。
ひとのよい日本人は騙され放題。

詳しくは調べてませんが、欧米諸国は法人税ひとつ
とっても、切り下げ競争における自国優先のやりくち
は巧妙です。

間接税を我が国も上げるのなら、そうして複数税率
を導入するなら、インヴォイス方式は不可欠です
から、一般大衆は、ギリシャ人のように脱税を
よくいわれるように、「国民的娯楽」にして、
アングラ経済をGDPの2〜3割に高めなきゃなりま
せん(笑)。ギリシャ人にできて、日本人にできない
ことはない(笑)。

国民総背番号制を実施するなら、資産状況を把握させな
いために、銀行の利用を止めて、すべて現金でもてば
いいか(笑)。

この国の国民はマスコミにカンタンに説得されてしまう
性格を改めないと生き抜けない時代がきていますね。
よその国の方々はしっかりしていますよ。

> たぶん、この党では財務官僚は官僚のカテゴリーから外れるのでしょう。

みん党ってはやい話がネオリベラル。
欧米の新聞では、your party とか Ihre Parteiって訳されてたけど、
our party てめえたちの党だろ〜がと、ついつぶやいてしまった(笑)

> 「仕分け」されるよう仕向けるために、学者やマスコミを動員する
> んでしょう。

この国には左から右まで、アクマくんとお付き合いするのが
好きで仕方がないエライ人たちが多いですね。
正直で弱い存在ほどばかをみるように事が動く。



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