3679.中国の動向



中国は、第2位の経済大国になることが明らかであり、この中国の
経済成長が世界経済においても重要な鍵を握るまでなってきた。

中国の景気が抑制を示したことで、投資家は世界的な景気回復のエ
ンジンが減速し、新たなリセッション(景気後退)を引き起こすこ
とに警戒感を強め始めている。

また、人民元が東南アジアやアフリカで決済手段化してきたし、東
南アジアの一部では、通貨としても国内流通している。このように
人民元の動向を追いかける必要がある。今の中国を見てみよう。
             津田より

0.人民元の動き
中国は2005年夏、ドルに事実上固定していた元相場を約2%切
り上げ、徐々に元高を進めたが、2008年夏以降は中国国内輸出
企業支援のため1ドル=6・8元台を維持していたために、欧米か
ら再三、切り上げを求められていた。

3月22日、温首相は中国の深刻な現状を「私は米国に200万人
の失業者がいることを知っている。政府に焦燥感を与えるのに十分
な数だが、しかし中国の失業人口は2億人だ」と述べた。公式統計
で中国の失業率は2008年末に4・2%だったが、温首相の発言
通りなら実際は10%を大きく上回ることになる。これは人民元切
上げはできない理由を述べたとも見られている。

米国では、米ガイドナー財務長官が中国への相殺関税を要求されて
いたが、4月3日、中国への「為替操作国」認定を再度判断延期し
て、中国との摩擦を敬遠した。

しかし、米中の貿易摩擦も起きていた。米商務省は4月22日、石
油や天然ガス輸送に用いられる中国製シームレス鋼管に対し最大
98.37%の反ダンピング(不当廉売)関税を適用する仮決定を
下したと発表した。

このように米国の重圧があるために、中国国内の圧力がないブラジ
ルで、中国の胡錦涛国家主席は4月16日に同国の為替政策につい
て、管理された変動為替相場制へ段階的に移行する方針に変わりな
いと表明し、欧米の切り上げ要求を一部認めた。

中国では、海外からの投資や元切り上げを見越した資金で経済が過
熱し、それへの警戒を強めているにもかかわらず、4月も住宅価格
指数と消費者物価の上昇幅がともに拡大し、不動産バブルやインフ
レへの懸念がいっそう強まっていた。

中国人民銀行が3月16日に都市住民へのアンケート調査を公表した
が「物価が高すぎる。受け入れがたい」と答えた人が全体の51.0%
に達していた。また、中国の国家統計局は、5月11日、北京や上
海など全国の70の都市の住宅価格指数が、先月は前の年の同じ月
と比べて12.8%上昇したという。

このため、中国人民銀行は5月2日、今年3回目の金融機関から強
制的に預かる資金の比率を示す預金準備率を0.5%幅引き上げる
、と発表した。

そして、6月17日に中国外務省は、G20(20カ国・地域)
会合は中国の為替政策を協議する場としてふさわしくないと述べて
いたが、G20の前、中国人民銀行は6月19日、人民元相場の弾
力性を高めるとの談話を発表し、元を0.5%範囲に上下させて、
現時点、1ドル=6.7元にし徐々に人民元を切り上げるようだ。

それと前後して、中国政府は、これまで限定的にしか認めなかった
人民元建て貿易決済の試験プログラムを大幅に拡大した。6月17
日、中国の決定として報じた。人民元の世界的な信認を高める狙い
があるが、具体的には、これまで香港やマカオ、東南アジア諸国連
合(ASEAN)各国との貿易のみ認められていた人民元建て決済
がすべての取引相手国に適用されることになり、日本企業も多数、
人民元での決済をし始めた。

このように人民元の国際的な通貨として動き始めたために、アジア
開発銀行(ADB)は6月24日発表したリポートの中で、人民元
は米ドルの代わりとして、急速に世界で用いられる通貨になる可能
性があるとした。

1.世界基軸通貨
 2009年4月にドル体制を批判した中国人民銀行の周総裁が発表した
「SDR構想」は、現在4カ国の通貨バスケット(ドル44%、ユーロ34%
、円11%、ポンド11%)で構成されるSDRに、中国の元を組み入れ
るというものだった。

そして、国連が6月29日に公表したリポートでもドルは、安定し
た価値を維持するという準備通貨の条件を満たしていないとし、ド
ルに取って代わる新たな準備通貨が必要と、国際通貨基金(IMF
)の特別引き出し権(SDR)が主要準備通貨としてドルに取って
代わることができるとの考えを示した。

この構想にロシアも乗り、6月18日、ロシアのメドベージェフ大統領
は、サンクトペテルブルクで開かれている「国際経済フォーラム」
で講演し、ルーブルも新たな準備通貨として真剣に議論していると
した。そして、世界には6種類程度(プラス2:ロ・中)の準備通
貨が必要ではないかとして、そのため、モスクワを世界の金融セン
ターに育てることを目指すという。

IMFの拠出より前に、世界銀行の出資比率の改革で、現在出資比
率6位の中国が、独、英、仏を抜き3位に上がる見通しとなった。
4月20日、複数の国際機関関係者が明らかにしたというように、
中国は世界支配の中心機関に徐々に勢力を拡大している。

2.世界の工場から世界の市場へ
人民元相場弾力化や賃金引き上げを求める労働争議など、「世界の
工場」となった中国でコスト上昇が意識されている。日本企業にと
って中国は従来から日用品を中心とした生産基地であったが、コス
ト上昇で、インド、ベトナム、インドネシアなどで工場を計画する
動きが増えている。中国から徐々に他国に生産基地をシフトするよ
うである。

すでにファーストリテイリングが中国に次いでバングラデシュを第
2の生産基地とし、生産能力を拡大しているなど動き始めている。

人件費の上昇は今後も続く。背景には内陸部の開発により農村の労
働力が吸収され、沿岸部の労働力が不足気味となっているためであ
る。

このため、中国政府も産業構造の変革を急いでいる。このパートナ
ーとして台湾との一体化を進めるために、中国と台湾が6月29日
、中国・重慶で中台経済協力枠組み協定(ECFA)を締結した。
事実上の自由貿易協定(FTA)で、輸入関税を引き下げ、市場の
開放を進め、貿易と投資を活発化させ、台湾のAV産業を今以上に
呼び込む狙いだ。

日本企業で、中国に新規に進出しているのは、スーパーやレストラ
ンなどの中国を市場と見る企業である。労働者の賃金が上昇すれば
、購買能力も上がる。

しかし、中国では4兆元(約53兆円)規模の景気対策の下で実施さ
れた内陸部開発のプロジェクトが終了し、数百万人の臨時雇用が打
ち切られることで、来年は深刻な雇用喪失が発生する恐れがあると
いう。中国のリセッションが起こる可能性もある。そのときまでに
欧州のユーロ危機問題を解決している必要がありそうである。

3.経済規模
中国のGDPは1〜3月期も実質成長率が前年同期比11・9%と
高い伸びを記録し、4〜6月期の成長率も10%程度は見込めると
した。このため、今月中旬にも発表される今年4〜6月期のGDP
規模が日本を上回る見込みだという。

そして、中国人民銀行の李稲葵氏は、中国経済はユーロ圏の債務危
機問題にもかかわらず力強いペースで成長を続け、改革を推進する
ことで向こう10年間に年9─10%の成長率を達成できるために
経済規模は2020年に米国を抜いて世界最大になるとの見方を示
した。

4.さいごに
 米国にとってアジアでの最重要パートナーは中国であると。外務
省が米国で行った対日感情についての世論調査で、有識者の56%
がそう答えた。米国は中国から離れているために、脅威感が薄いし
、米国債を大量に買ってもらい、かつ経済的な結ぶつきも大きくな
っている。このため、このような世論調査になる。米中が敵対関係
という思い込みはしないほうが良い。

また、途上国の一人当たりGDPが3000〜8000ドルに達す
ると、経済成長は頭打ちになり、所得格差が拡大して社会紛争が起
きがちとなる。中国もこの危険水域に入っており、すでに厄介な社
会兆候が現れている。

要するに、経済は拡大しているが、人々は貧しくなったと感じ、不
満を募らせる。この解決には格差の是正と民主化が必要であるが、
中国は共産党独裁であり、この仕組みを変更する予定はない。

どう解決するのかお手並み拝見である。

さあ、どうなりますか??
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中国経済の軟着陸、世界景気には懸念材料か−回復のエンジン失う
恐れ 

7月1日(ブルームバーグ):中国が景気の過熱抑制の成果を示し
たことで、投資家は世界的な景気回復のエンジンが減速し、新たな
リセッション(景気後退)を引き起こすことに警戒感を強めている。 

  1日に発表された中国の6月の製造業購買担当者指数(PMI
)は、拡大ペースが市場予想を下回った。米民間調査機関コンファ
レンス・ボードが6月29日に4月の中国景気先行指数を下方に訂正
した際は世界的な株安を招いた。 

  ゴールドマン・サックス・グループは、中国経済について、成
長率が4ポイント余り低下している途上で、過熱を回避するのに
「良い減速だ」と指摘した。ただ、欧州が財政を引き締め、米失業
率が10%近くで高止まりする中、中国の成長鈍化は投資家の意欲を
奪いかねない。米国と日本の株価指数は今週、ともに年初来安値を
更新した。 
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ドルに代わる準備通貨が必要=国連リポート
2010年 06月 30日 09:43 JST

[国連 29日 ロイター] 国連は29日に公表したリポートで
、ドルは、安定した価値を維持するという準備通貨の条件を満たし
ていないとし、ドルに取って代わる新たな準備通貨が必要との認識
を示した。

 国連は「国連世界経済・社会調査2010年」と題したリポート
で、「ドルについては、価値が安定した蓄えということは証明され
ていない。このことは、安定的な準備通貨の必要条件である」との
見方を示した。

 その上で「唯一の主要準備通貨として米ドルに依存しない新たな
世界の準備通貨システムの構築が可能だ」との考えを示し、国際通
貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)が主要準備通貨とし
てドルに取って代わることができるとの考えを示した。  
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石油産出国ロシアのSDR通貨構想
(6月19日 ブルームバーグ)
5年ごとに改定されるSDRの通貨割合が、来年2011年に改定され
る。おそらく、その次の2016年の改定をスケジュールに入れての発
表だと思うが、2009年4月に中国中央銀行の周総裁が発表した「SDR
構想」は、現在4カ国の通貨バスケット(ドル44%、ユーロ34%、
円11%、ポンド11% )で構成されるSDRに、中国の元を組み入れる
というものだ。

今年先月、6月18日、ロシアのメドベージェフ大統領は、サンクトペ
テルブルクで開かれている「国際経済フォーラム」で講演し、ルー
ブルについて、新たな準備通貨を作り出すなどという考えは「ほん
の3−5年前までは、まったく幻想でしかなかった」とした上で、
「われわれは今、それを真剣に議論している」と語り、「中国との
間で議論を続けていることを明らかにするとともに、世界には6種
類程度の準備通貨が必要ではないか」との考えを示した(プラス2
:ロ・中)。そしてそのために「モスクワを世界の金融センターに
育てることを目指す姿勢を新たするとしている。
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GDP、中国が日本超す可能性 4〜6月
 【北京共同】3日付の中国夕刊紙、法制晩報は、同国国家統計局
が2日に2009年の国内総生産(GDP)総額を改定し、世界2
位の日本との差が一段と縮まったことを受け、今月中旬にも発表さ
れる今年4〜6月期のGDP規模が日本を上回る見込みだとする専
門家の予測を伝えた。

 中国のGDPは1〜3月期も実質成長率が前年同期比11・9%
と高い伸びを記録。北京大経済学院の黄桂田副院長は同紙の取材に
対し、金融危機の影響があった昨年と比べ工業生産が急速に回復し
ているとして、4〜6月期の成長率も10%程度は見込めると指摘
した。
2010/07/03 19:35共同通信
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中台、経済協力協定を締結 自由貿易圏づくりへ前進
2010年6月30日0時49分

 【重慶=村上太輝夫】中国と台湾が29日、中国・重慶で中台経
済協力枠組み協定(ECFA)を締結した。事実上の自由貿易協定
(FTA)で、輸入関税を引き下げ、市場の開放を進め、貿易と投
資を活発化させる狙いだ。台湾は日本や韓国に先行し、中国との自
由貿易圏づくりに一歩駒を進めた。双方の交渉窓口である中国側の
陳雲林・海峡両岸関係協会会長と、台湾側の江丙坤・海峡交流基金
会理事長が協定に署名した。 
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人民元高トレンド続く中国、「世界の工場」から「巨大市場」に
2010年 06月 25日 10:29 JST

 [東京 25日 ロイター] 人民元相場弾力化や賃金引き上げ
を求める労働争議など、「世界の工場」となった中国でコスト上昇
が意識されている。こうした流れはこの先も続くと専門家は見てい
るが、日本企業にとっては、輸出生産拠点としての優位性がやや後
退しても、巨大市場の需要を取り込むための開発・生産・販売拠点
として重みを増してきている。 

  <コスト上昇のトレンド続き、生産基地の魅力は後退> 
 国際協力銀行が実施した海外進出企業を対象にした調査では、中
国の労働コストについて「安価」ととらえる企業の割合が05年の
6割超から09年には4割台になるなど一貫して減少している。中
国で事業計画「あり」と回答した企業は減少傾向が続いており、
09年には「なし」との回答は前年の1.6倍に増えた。人件費や
人民元相場なども含めて、中国で生産するメリットが以前と比較し
て小さくなったことが一因とみられる。 

 人件費の上昇は今後も続きそうだ。背景には内陸部の開発により
農村の労働力が吸収され、沿岸部の労働力が不足気味となっている
こと、一人っ子政策により若者の人口が減少に向かっていることな
どがある。物価との関係からみても、人民銀行のアンケート調査で
物価(上昇)に不満を持つ人の割合が急上昇しており、消費者物価
の上昇に賃金上昇が追い付いていないことが浮き彫りとなっている。

  <輸出型企業は生産拠点を分散へ> 
 日本にとって中国は従来から日用品を中心とした生産基地であり
、輸入額は米国の2倍、最大の輸入相手国となっている。繊維製品
や雑貨、食品、テレビやミニコンポ、コンピュータ部品などのウエ
ートが大きい。進出している日本企業にとっては、人件費上昇や人
民元高は日本での輸入価格に跳ね返る。

 このため、中国に代わってインド、ベトナム、インドネシアなど
で事業を計画する動きが増えている。すでにファーストリテイリン
グ(9983.T: 株価, ニュース, レポート)が中国に次いでバングラデ
シュを第2の生産基地とし、生産能力を拡大しているが、人件費や
人民元の上昇によるコストアップを避けたい輸出型企業の生産拠点
の分散投資は今後も続きそうだ。
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人民元、いずれ準備通貨となる可能性=ADB
2010年6月25日
アジア開発銀行(ADB)は24日発表したリポートの中で、人民
元は米ドルの代わりとして、急速に世界で用いられる通貨になる可
能性がある、との見通しを示した。

 リポートは「人民元はまだ国際的な通貨とはなっていないが、多
くの人々が考えているよりはるかに早くそうなる可能性がある。人
民元は国際化により、ユーロと同様、米ドルの代わりの通貨となり
、世界の準備システムを複数通貨構造に導く可能性がある」と指摘
した。

 リポートはコロンビア大学アース・インスティチュートとの共同
研究として、ノーベル賞を受賞したジョセフ・スティグリッツ氏ら
、11人のエコノミストがまとめた。

 リポートは、人民元が準備通貨となる時期については触れていな
いが、多くのアナリストは、中国政府が上海を国際的な金融センタ
ーにすることを目指す2020年までに、完全な交換通貨になると
予想している。【ロイター18:12】
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人民元切り上げへ 相場を再び弾力化

 【北京共同】中国人民銀行(中央銀行)は19日、人民元相場の
弾力性を高めるとの談話を発表した。カナダ・トロントで26日か
ら開かれる20カ国・地域(G20)の首脳会議(金融サミット)
を控え、改革努力をアピールする狙いがある。元は2008年夏以
降、2年近くドルに対し固定されてきたが、週明けの21日以降、
管理された変動相場制に戻し徐々に切り上げる方針とみられる。

 人民銀行は19日の報道官談話で「人民元の相場形成メカニズム
改革を一段と進め、元相場の弾力性を高めることを決めた」と表明
した。元相場の1日の変動幅はこれまで通り基準値の上下0・5%
以内とし、急激な相場変動は避ける。

 ガイトナー米財務長官や野田佳彦財務相は19日、切り上げ方針
をそれぞれ歓迎。ただ、元につられて円もドルに対し上昇、日本の
輸出産業に打撃となる恐れもある。

 中国は05年夏、ドルに事実上固定していた元相場を約2%切り
上げ、徐々に元高を進めたが、08年夏以降は国内輸出企業支援の
ため1ドル=6・8元台を維持。巨額の対中貿易赤字を抱える米国
の議会などは中国製品が不当に安く輸入されていると非難し、早期
切り上げを求めていた。

2010/06/20 00:33共同通信
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中国が転換点に直面−労働争議激化で
ウィリー・ラム
2010年 6月 15日 18:08 JST 
WSJ
 中国共産党が譲歩することは珍しい。しかし最近、深刻な労働争
議を受け、初めて譲歩している。これは単に異例なことではなく、
国内4億人の労働者が一段と発言力を求めている中、中国の経済動向
が真の転換点を迎えていることを示すものだ。問題は中国当局が
この自然の流れをどこまで容認するかだ。 

 「世界の工場」である中国では南東沿海部から内陸部に加え、北
東地域の省で労働争議が拡大している。罷業など労働争議は、台湾
系大手電子機器メーカーの富士康集団やホンダなど外資系の企業が
操業している工場のほか、少なくとも二十数社の国内企業の工場で
も起きている。胡錦濤国家主席を含め、政府高官が直々に問題家解
決に乗り出していることから、事態の深刻さが浮き彫りになってい
る。 

 労働者の不満は、政府の改革が断片的であることが一因。胡主席
は今年のメーデーで「中国人は威厳をもって働かなければならない
」と述べた。珠江デルタ地域などでの労働者不足などに対応するた
めにも中国政府は4月以来、1回限りの賃上げなど、労働者に対する
分配率引き上げに配慮してきた。中国政府は、2011年から2015年ま
での第12次5カ年計画で、労働者に対する経済的パイ配分拡大を公約
している。公式統計によると、国内労働者の賃金が国内総生産
(GDP)に占める比率は過去20年余りで20%ポイント低下してい
る。ただ、同計画では具体的な賃上げ率は発表されていない。 


 労働者が当局に圧力をかけることができる地方レベルでは、対策
が講じられている。約24の省と主要都市の最低賃金は、過去1年間に
その権限内で最大28%引き上げられた。広東省のほか上海と北京で
は最近、最低賃金が月1000元(約1万3000円)を超えた。しかし、中
国社会科学院の社会学者である唐鈞氏によると、この程度の賃上率
よりも生計費の上昇率が上回っているという。実際の生計費の上昇
率は、3.1%とされる公式統計よりも深刻だという。 
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中国国際金融:来年は深刻な雇用喪失発生も、景気対策事業の終了
で 
6月16日(ブルームバーグ):中国では4兆元(約53兆円)規模の
景気対策の下で実施されたプロジェクトが終了し、数百万人の臨時
雇用が打ち切られることで、来年は深刻な雇用喪失が発生する恐れ
がある。中国国際金融(CICC)のエコノミスト、哈継銘氏らが
顧客向けのリポートで警告した。製造業における最近の賃金上昇や
最低賃金引き上げの動きも、雇用者側が採用に一段と慎重になるの
を助長する可能性があるとみている。
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G20、人民元を協議する場としてふさわしくない=中国
2010年 06月 17日 16:39 JST

 [北京 17日 ロイター] 中国外務省スポークスマンは17
日の定例会見で、G20(20カ国・地域)会合は中国の為替政策
を協議する場としてふさわしくないと述べた。
 同スポークスマンは、人民元は世界的な金融危機の原因ではなく
、国際経済のリバランスという問題の解決策でもないと述べた。
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中国が人民元建て貿易決済拡大へ
2010年 06月 18日 02:12 JST

[北京 17日 ロイター] 中国政府は、これまで限定的にしか
認めなかった人民元建て貿易決済の試験プログラムを大幅に拡大す
る。国営ラジオが17日、中国国務院(内閣に相当)の決定として
報じた。
 人民元の世界的な信認を高める狙いがあるとみられている。

 具体的には、これまで香港やマカオ、東南アジア諸国連合
(ASEAN)各国との貿易のみ認められていた人民元建て決済が
すべての取引相手国に適用される。

 さらに、中国の20の省の取引業者に対して人民元建て貿易決済
が認可される。現在、同プログラムへの参加が認められているのは
、上海や広東の一部業者のみ。省としてはロシアとの人民元建て貿
易決済の認可を申請していた黒竜江省などが含まれる見通し。
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中国の経済規模、2020年に米国抜く=人民銀金融政策委
2010年 06月 18日 14:04 JST

[北京 18日 ロイター] 中国人民銀行の金融政策委員である
李稲葵氏は、中国経済はユーロ圏の債務危機問題にもかかわらず力
強いペースで成長を続け、経済規模は2020年に米国を抜いて世
界最大になるとの見方を示した。
 18日付人民日報(海外版)が報じた。

 一方同氏は、最近の金融市場の混乱にもかかわらず、中国は経済
構造改革を断行すべきと主張。改革を推進することで向こう10年
間に年9─10%の成長率を達成できるとの見方を示した。
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「米のパートナー」中国が日本上回る 外務省が米で調査
2010年6月2日8時8分

 米国にとってアジアでの最重要パートナーは中国――。外務省が
米国で行った対日感情についての世論調査で、有識者の56%がそ
う答えた。日本と答えたのは過去最低の36%で、中国が日本を上
回ったのは1985年以来25年ぶり。中国と日本の差の20ポイ
ントは、この質問を始めた75年の調査以来最大となった。 

 調査は外務省が米世論調査会社ギャラップ社に委託。一般人
1201人と、政官財界や学術、マスコミ関係者らの有識者202
人を対象に、今年2、3月に行った。 

 有識者に対する調査で中国を最重要パートナーとした回答は前年
比14ポイント増と大幅に増えたのに対し、日本は8ポイント減り
、逆転した。中国を選んだ理由は「貿易・経済関係」が34%、
人口など「国の特質」が25%と多かった。日本を選んだ理由は
「政治的な結びつき」が52%で、同盟関係などを重視する回答が
目立った。 

 一般人を対象にした調査では、「最重要パートナー」は日中が
44%で並んだが、昨年の調査では日本が46%、中国が39%だ
った。 

 一方、日本は信頼出来る友好国かどうかを聞いた質問では、有識
者の90%、一般の79%が「信頼出来る」と回答、昨年からほぼ
横ばいだった。日米協力関係を「極めて良好」「良好」とする答え
も有識者で86%、一般で72%あった。 
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中国 住宅と物価の上昇幅拡大
5月11日 15時39分NHK

中国では、政府が経済の過熱への警戒を強めているにもかかわらず
、先月も住宅価格指数と消費者物価の上昇幅がともに拡大し、不動
産バブルやインフレへの懸念がいっそう強まっています。

中国の国家統計局は、11日、北京や上海など全国の70の都市の
住宅価格指数が、先月は前の年の同じ月と比べて12.8%上昇し
たと発表しました。住宅価格指数の上昇は11か月連続で、上昇幅
は3月の11.7%からさらに拡大しています。また、先月の消費
者物価指数は、食品価格の上昇などを背景に2.8%上昇して6か
月連続のプラスとなり、こちらも上昇幅が3月より0.3ポイント
拡大しました。中国政府は、先月中旬、住宅価格の高騰を抑えるた
め、3軒目以降の住宅を購入する個人への融資を抑制するなど、対
策を強化しましたが、先月末の金融機関の融資の伸びは拡大し、こ
れまでのところ十分な効果は出ていません。また、消費者物価指数
の上昇率は、政府がことしの目標とする3%に近づいており、中国
では、不動産バブルやインフレへの懸念がいっそう強まっています。
会見した国家統計局の盛来運報道官も「物価の上昇は大きな圧力と
なっている。中国経済が今抱えているこうした問題を注視しなけれ
ばならない」と述べ、警戒感を強調しました。
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中国、バブル抑制へ預金準備率引き上げ 今年3回目
2010年5月3日6時48分

 【上海=琴寄辰男】中国人民銀行(中央銀行)は2日、金融機関
から強制的に預かる資金の比率を示す預金準備率を0.5%幅引き
上げる、と発表した。人民銀は1月に1年7カ月ぶりに預金準備率
を引き上げた後、2月にも引き上げを実施。今回で今年に入って3
回目となる。 

 10日から実施し、農村の小規模金融機関などは対象外とする。
引き上げ後の預金準備率は、中国銀行など大手国有商業銀行で17
%になる。
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中国製鋼管に反ダンピング税=最大98%−米商務省が仮決定
 【ワシントン時事】米商務省は22日、石油や天然ガス輸送に用
いられる中国製シームレス鋼管に対し最大98.37%の反ダンピ
ング(不当廉売)関税を適用する仮決定を下したと発表した。
 中国製シームレス鋼管をめぐっては米鉄鋼大手USスチールや全
米鉄鋼労組(USW)などが不当に安い価格で輸入されているとし
て提訴。同省の最終決定は9月の予定で、国際貿易委員会(ITC
)が米国内産業への被害を最終的に認定すれば、関税は正式決定す
る。(2010/04/23-08:05)
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中国、世界銀行の出資比率3位へ 独・英・仏ごぼう抜き
2010年4月21日15時1分

 【ワシントン=尾形聡彦】世界銀行の出資比率の改革で、現在出
資比率6位の中国が、独、英、仏を抜き3位に上がる見通しとなっ
た。20日、複数の国際機関関係者が明らかにした。中国が、欧米
中心だった国際機関で出資上位に躍り出るのは初めて。中国は今後
、国際経済の舞台で、1位の米国、2位の日本に次ぐ役割を担うこ
とになる。 

 関係者によると、経済規模が拡大していることや、中国により大
きな責任分担を求めるゼーリック世銀総裁の意向などもあり、中国
の出資比率を大きく高めることで主要各国の間に合意が形成された。
今週末にも正式に決まる。 
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中国の胡錦涛国家主席:管理された変動為替相場制へ段階的に移行
する方針 2010/04/16【ロイター】

 [ブラジリア 16日 ロイター] 中国の胡錦涛国家主席は、
同国の為替政策について、管理された変動為替相場制へ段階的に移
行する方針に変わりないと表明した。

 国家主席は「管理された段階的な方法の下で、われわれ自身の主
導で行動するという原則に基づき、これまで常に変動為替相場の導
入を目指してきた」と述べた。

 また、中国は責任のある国だとし、信用危機が発生して以来、人
民元の安定が世界の金融の安定に寄与したと主張した。
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中国、6年ぶりの貿易赤字 景気回復、輸入増える
2010年4月10日14時17分

 【北京=琴寄辰男】中国税関総署が10日発表した3月の貿易統
計によると、貿易収支が72億ドル(約6700億円)の赤字とな
った。単月の赤字は2004年4月以来、約6年ぶり。 

 中国国内景気の順調な回復などで、輸入額が前年同月比66%増
の1194億ドルと大幅に伸びたことが大きな理由。輸出額は同
24.3%増の1121億ドルで、大きな伸びを記録した前月
(45.7%増)からは勢いが弱まった。
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中国への「為替操作国」認定、米が判断延期 摩擦を敬遠
2010年4月5日1時7分

 【ワシントン=尾形聡彦】ガイトナー米財務長官は3日、15日
が期限だった米議会への半年ごとの外国為替に関する報告書の提出
を延期する、と発表した。中国の人民元が対ドル相場で不当に安い
として、中国を16年ぶりに「為替操作国」と認定するかが焦点だ
った。胡錦濤(フー・チンタオ)中国国家主席は4月上旬に訪米す
る予定で、米国側も柔軟姿勢をみせた形だ。 
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中国人研究者が表明した「北京コンセンサス」の終わりとは 
2010.2.10公開 
 フォーリン・アフェアーズのウェブで最近、公開された「北京コ
ンセンサス」の終わりが世界のメディア、フェースブック、ツィッ
ターで取り上げられ、話題となっている。

 「中国の体制内学者による政治改革の必要性を唱えた論文」が、
ウェブ版とはいえ、フォーリン・アフェアーズに取り上げられたこ
との意味合いはたしかに大きい。 

 姚洋(ヤン・ヤオ)北京大学国家発展研究院・副所長の議論をま
とめると、次のように要約できる。 

 一般に途上国の一人当たりGDPが3000〜8000ドルに達
すると、経済成長は頭打ちになり、所得格差が拡大して社会紛争が
起きがちとなる。中国もこの危険水域に入っており、すでに厄介な
社会兆候が現れている。要するに、経済は拡大しているが、人々は
貧しくなったと感じ、不満を募らせている。国有企業などの特権を
持つパワフルな利益団体や、まるで企業のように振る舞う地方政府
が、経済成長の恩恵を再分配して、社会に行きわたらせるのを阻ん
でいるからだ。経済成長路線と引き替えに共産党の絶対支配への同
意を勝ち取る中国共産党の戦略はもはや限界にきている。CCPが
経済成長を促し、社会的な安定を維持していくことを今後も望むの
であれば民主化を進める以外に道はない。 

 欧米の研究者が、こう主張しても、何の違和感もないが、北京大
学国家発展研究院・副所長の主張となると話は違ってくる。より、
具体的に論点を追うと、次のようになる。 

・正統性のない共産党政府が、民衆の政治的支持を勝ち取るには、
社会不満を抑え込んで経済成長を何としても持続させるしかない。
これを北京は絶対的な最優先課題に据えてきた。 

・こうした思惑から、大規模な財政出動を行い、2009年の成長
率は9%に達し、多くの人がこれを賞賛しているが、長期的にみれ
ば、政府の介入は、経済効率を低下させ、より生産性の高い民間投
資を締め出して、結局は経済成長を抑え込むことになる 

・中国の経済成長路線が当初から輸出主導型で、製造業をもっぱら
重視し、農業を軽視してきたために、都市と地方の所得格差が拡大
してしまった。格差是正対策は場当たり的で、抜本的な解決にはな
らない。 

・しかも、中国には所得・富の再分配構造が存在しない。 

・中央政府は、地方政府に与えているのはほとんどインフラ投資用
の予算で、しかも、地方政府は、自らを企業のようにみなして自己
利益の確保に余念がなく、人々に恩恵が行きわたらない。 

・より多くの人が参加できるような制度を、政治改革をつうじて導
入しない限り、人々の不満と怒りは抑えられなくなる。 

・これまでのような、経済成長至上主義で体制を維持するのは難し
くなってきており、中国共産党が経済成長を促し、社会的な安定を
維持していくことを今後も望むのであれば、民主化(政治改革)を
進める以外に道はない。 

これは、欧米の専門家たちとまったくといっていいほど同じ見方だ。 

 フォーリン・アフェアーズ リポートの最近の号だけをみても、
2009年12月号のスティーブン・ローチ「中国経済は本当に成
長しているのか」、スティーブン・デュナウェイ「中国経済の今後
が明るくない3つの理由」、1月号のミンシン・ペイ「今後をめぐ
る中国指導層の自信と不安」の論調と大筋ではほぼ同じだ。 
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「失業者2億人」中国首相発言が波紋
配信元:IZA
2010/03/25 23:37

【上海=河崎真澄】中国の温家宝首相が公開の場で、「中国の失業
者は2億人」と発言したことが波紋を広げている。

 公式統計で中国の失業率は2008年末に4・2%だったが、温
首相の発言通りなら実際は10%を大きく上回ることになる。ネッ
トサイトでは「失業者は結局のところ何人?」などと混乱した反応
や、「農村の潜在失業者を含む実態をやっと認めた」との受け止め
もある。雇用確保や失業問題は中国政府にとって最も頭の痛い問題
だけに、温首相の発言の真意に注目が集まっている。

 英字紙チャイナ・デーリーによると、温首相は「私は米国に200
万人の失業者がいることを知っている。政府に焦燥感を与えるのに
十分な数だが、しかし中国の失業人口は2億人だ」と述べ、中国の
深刻な状況を訴えた。

 経済学者など専門家の間で、中国の実質的な失業者数が2億人を
超えるとの見方はあったが、中国の指導者が公に発言し、報じられ
たのは初めてとみられる。
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中国都市部住民、「物価が高すぎる」5割超す 人民銀調査 
2010/03/17 
 【北京=高橋哲史】中国人民銀行(中央銀行)が16日発表した都
市住民へのアンケート調査で「物価が高すぎる。受け入れがたい」
と答えた人が全体の51.0%に達した。前回(昨年11月)調査の46.8
%を大幅に上回り、1999年の調査開始以来の最高となった。住宅価
格についても「高すぎる」との答えが7割を超えた。インフレ予想
の高まりを警戒する人民銀は、金融緩和策を引き締め方向に修正す
る動きを強めそうだ。

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