3624.ギリシャ国債のデフォルト回避



ギリシャ国内波乱で、世界の株式市場暴落を引き起こしている。こ
の検討。         Fより

2008年10月にはアイスランドが、経営破綻した同国の銀行に
預けていた英国人や団体の預金を補償できないと表明し、かつ2009
年3月の国民投票で返済を否決したが、返済金額は約50億ドルである。

そして、2009年12月にはドバイ・ワールドなど政府系企業の返済猶
予案が出て、株価は大きく下落した。この時の金額は約220億ドル
でアイスランドの4倍になった。

そして、ギリシャ国債の償還ができない事態に直面している。徐々
に問題が大きくなっている。それと関係する人たちが増加し、金額
が増加してくる。今回の金額は約1100億ユーロ(1300億ドル)とい
うようにドバイの6倍という金額になっている。アイスランドと比べ
ると26倍にもなる。

もう1つが、国家債務を見えなくする手法で国家財政破綻の発見を
遅くする手法も開発された。ゴールドマンは、為替のスワップ契約
を利用してギリシャ政府の公的債務を簿外化して、EUが加盟国に課
している対GNP債務比率の制限から、見かけ免れるよう仕向けた。

このようにギリシャの財政赤字の額は、GDPに対して13.6%
と財政赤字を拡大して、とうとう国債償還のための国債発行で、格
付けが「投機的」になり、買い手が付かなくなったのである。
このため、金利は7%以上にもなったことで、EU諸国はやっと救
済をし始めた。

ギリシャ国債のうち約7割はドイツなどの欧州の銀行が持ち、もし
ギリシャが国債デフォルトすると多大な損を出す恐れがある。また
欧州の銀行はギリシャの民間企業にも多くのお金を貸している。こ
れも焦げ付き、損がふくらむ可能性がある。リーマンショクと同じ
ことになる可能性が出ている。このため、世界の株式市場は下落し
たのである。

しかし、ポルトガル、イタリア、スペインなどギリシャに続く「P
IGS」諸国が破綻する可能性も高い。しかし、ギリシャは経済規
模がユーロ圏の2〜3%を占めるに過ぎない小さな国だが、他の諸
国は、ギリシャより相当に大きい。ギリシャ国債規模を100とす
れば、スペインは160、イタリアは500だ。救済しようとすれ
ば、支援規模はPIGSだけで5000億─1兆ユーロに膨れ上が
る。このため、必要な金額は大幅に増加する。

今回、ドイツの支援金額は約224億ユーロであるが、ポルトガルなど
他の諸国も救済すると、金額も大幅に増えるので、さすがにドイツ
も国民を説得できない可能性が出てくる。IMFも資金が枯渇して
くる事態も予想できる。

しかし、ギリシャへの資金提供はEU、特にドイツから救済ではな
く、ギリシャへの融資であるために5%の金利が付いている。この
資金返済ために、緊縮財政策として、公務員の削減や賞与廃止、年
金の削減や受給年齢の引き上げ、付加価値税増税などが盛り込まれ
て、ギリシャ国民は反発した。48時間のゼネストに突入し、一部
が暴徒化して3名の死者も出している。しかし、ギリシャは緊縮財
政で景気は悪化して、財政健全化計画は遂行できくなることが予想
できる。

著名投資家のジョージ・ソロス氏は、5%という資金調達コストで
は、景気後退と歳入減少という「死のサイクル」に陥ると述べてい
る。

ケネス・ロゴフ教授は「恐らく向こう2、3年以内にユーロ圏で少
なくともあと1カ国にIMFの支援プログラムが必要となるだろう
」と指摘し、ヌリエル・ルービニ教授「今日の市場はギリシャを懸
念しているが、ギリシャは氷山の一角、もしくはもっと広範囲にわ
たる財政問題がひそんでいることを知らせる炭鉱のカナリアにすぎ
ない」と日米英の財政赤字拡大に警鐘を鳴らしている。

ギリシャ問題を解決する方法は、3つしかない。第1は欧州の危機
解決システムを構築することだ。マーストリヒト条約を破棄し、互
いに財政支援をしあう仕組みを作ればいい。第2は、財政政策の一
体化だ。各国共通のユーロ債を発行することだ。第3は欧州域内の
経常赤字/黒字を解消し、不均衡を是正することだと草野氏は指摘
するが、国家主権を制限することになりEUは実行できない。する
と、ヨーロ解体も視野に入れて見るしかないことになる。

リーマンショックから立ち直り、レバレッジで膨れ上がった金融機
関やヘッジファンドがこの国家的なリスクに振りまわされ、再度安
全資産に流れ込むことになると見る。一瞬、円高になることを意味
する。

さあ、どうなりますか??

参考:
3618.ギリシャ財政危機問題
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/220501.htm
==============================
ギリシャ支援、3年で224億ユーロ拠出 独で法案可決
2010年5月7日23時47分

 【ベルリン=金井和之】ドイツの連邦議会(下院)と連邦参議院
(上院)は7日、財政危機に陥ったギリシャを支援するため、3年
間で最大計約224億ユーロ(約2兆6千億円)を拠出する法案を
可決した。 
==============================
ギリシャ国会、緊縮法案を可決 大規模抗議再発の恐れも
2010年5月7日1時24分

 【アテネ=南島信也】ギリシャ国会は6日夜、欧州連合(EU)
と国際通貨基金(IMF)の同国への融資条件となる政府提出の緊
縮策関連法案を賛成多数で可決した。融資実行に向けて大きく前進
した。 

 同法案は、公務員の削減や賞与廃止、年金の削減や受給年齢の引
き上げ、付加価値税増税などが盛り込まれ、EUとIMFによる総
額1100億ユーロ(約13兆2千億円)の融資の条件となってい
た。 

 採決では、前政権時代に危機の原因となった財政赤字を隠してい
たとして批判されている中道右派の野党・新民主主義党(ND)な
どが反対したが、パパンドレウ政権を支える中道左派の与党・全ギ
リシャ社会主義運動(PASOK)が押し切った。 
==============================
デモ隊の火炎瓶で3人死亡 ギリシャ一斉スト大混乱
2010年5月5日23時42分

【ローマ=南島信也】ギリシャで5日、欧州連合(EU)と国際通
貨基金(IMF)による総額1100億ユーロ(約13兆5000
億円)の融資の条件として政府が受け入れた緊縮策に抗議し、官民
二大労組による一斉ストライキが行われた。首都アテネ中心部では
、一部のデモ参加者が投げた火炎瓶で建物が炎上し3人が死亡、約
20人が負傷した。 
==============================
ギリシャの公務員労組、48時間ストに突入 全土で混乱
2010年5月4日20時20分

 【ローマ=南島信也】財政危機に陥っているギリシャで4日、公
務員労組「ギリシャ公務員連合」(組合員数約75万人)が公務員
の昇給や賞与廃止などの政府の財政再建策に抗議し、48時間のス
トライキに突入した。テレビ局に乱入したり、古代遺跡パルテノン
神殿で政府批判を繰り広げたりするなど、全土で混乱が広がりつつ
ある。 
==============================
ギリシャ:財政危機 支援14兆円決定 欧州中銀、国債担保受け
入れ
毎日
 【ロンドン会川晴之、ブリュッセル福島良典】欧州連合(EU)
のユーロ圏16カ国は2日夕、ブリュッセルで緊急財務相会合を開
き、財政危機に陥ったギリシャに対し、今後3年間で総額1100
億ユーロ(約14兆円)の融資を国際通貨基金(IMF)と共同で
実施することを決めた。融資規模は過去最大。EUはギリシャ支援
によってユーロ防衛の決意を示し、危機が他のユーロ加盟国に飛び
火する事態の回避を目指す。

 また、欧州中央銀行(ECB)は3日、信用不安拡大を防ぐため
、金融機関に資金を供給する際の担保基準を緩和、すべてのギリシ
ャ国債を担保として受け入れると発表した。
==============================
ユーロ発、世界経済危機を警戒 EUなどギリシャ支援
2010年5月2日23時30分

 【ロンドン=有田哲文】欧州連合(EU)の国々や国際通貨基金
(IMF)が、ギリシャ支援を、緊急融資の額を増やしたうえ、予
定も早めて決めることにしたのは、早く問題を片付けないと世界経
済危機の引き金になってしまうとの恐怖感からだ。 

 ギリシャは、経済規模がユーロ圏の2〜3%を占めるに過ぎない
小さな国だ。しかし、ギリシャが発行している国債のうち約7割は
外国の投資家が買って持っている。その中心は欧州の銀行で、もし
ギリシャが国家破綻(はたん)し国債による借金を返せなくなれば
、たくさん損をする恐れがある。欧州の銀行はギリシャの民間企業
にも多くのお金を貸している。これも焦げ付き、損がふくらむ可能
性がある。 

 ギリシャと同じように財政力が弱いユーロ圏の国に、危機が伝播
(でんぱ)することも心配されている。ギリシャの09年の、税収
が足りず借金をしなければならなかった財政赤字の額は、国内総生
産(GDP)に対して13.6%。スペインは11.2%、ポルト
ガルは9.4%だ。 
==============================
ケネス・ロゴフ教授: IMFの救済、ギリシャがユーロ圏最後の国
ではない公算 (ブルームバーグ)

4月26日(ブルームバーグ):米ハーバード大学のケネス・ロゴフ
教授は、アイルランドやスペイン、ポルトガルは「目立って脆弱(
ぜいじゃく)」であり、ギリシャが国際通貨基金(IMF)の救済
を必要とするユーロ圏で最後の国である可能性は低いとの見解を示
した。 

IMFの元調査局長で、金融やソブリン債の危機に関する書籍を共
同執筆した同教授は電話インタビューで、「恐らく向こう2、3年
以内にユーロ圏で少なくともあと1カ国にIMFの支援プログラム
が必要となるだろう」と指摘。「欧州の多くの国で必要な予算削減
は大規模だ」と付け加えた。 

ロゴフ教授は、ユーロ圏16カ国中のギリシャ以外の複数の国が結局
はIMFの支援を要請することになる確率は「五割以上だ」と述べ
た。また同教授は、IMFが現在提示している最大150億ユーロ
(約1兆9000億円)よりも多額の融資をいずれギリシャに提供する
ことになると予想している。 
==============================
ルービニ教授:政府債務の増加を警告−高インフレかデフォルト招
く 4月28日
(ブルームバーグ):

米ニューヨーク大学のヌリエル・ルービニ教授は、日米欧の政府債
務の増加は最終的にインフレ加速、あるいは政府のデフォルト(債
務不履行)を招くとの見通しを示した。 

  ルービニ教授は28日、カリフォルニア州ビバリーヒルズで開か
れたミルケン・インスティチュート・グローバル・コンファレンス
で金融市場について討論した際、「今日の市場はギリシャを懸念し
ているが、ギリシャは氷山の一角、もしくはもっと広範囲にわたる
財政問題がひそんでいることを知らせる炭鉱のカナリアにすぎない
」と指摘。こうした結末を回避するには税収を増やすだけでは不十
分との見解を示した。 
==============================
ギリシャ国債の保証料、大幅上昇 ポルトガル・スペインも
日経
 【NQNニューヨーク=滝口朋史】5日の欧米のCDS(クレジ
ット・デフォルト・スワップ)市場では、ギリシャ政府が発行する
国債のデフォルト(債務不履行)を保証する保証料率(プレミアム
)が大幅に上昇した。同国の財政再建に対する懸念が根強いためで
、米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が同国
債を投機的水準に格下げした4月27日以来の高さとなった。ポルト
ガルやスペインの保証料率も上昇し、市場の不安心理は周辺国にも
拡大している。

 情報会社マークイットによると、5日のロンドン市場の取引終了
時点(速報値)でギリシャ国債の5年物CDSのプレミアムは815と
、前日比73ポイント上昇。財政悪化が表面化した2009年10月以降で
最大だった4月27日の822に迫った。欧州連合(EU)と国際通貨基
金(IMF)による支援策の妥結期待が強まった同月29日から131ポ
イント上昇するなど、警戒感が再燃している。

==============================
収まらない世界同時株安 金融危機再燃の懸念も
2010年5月8日2時0分

 ギリシャの財政危機をきっかけにした欧州発の信用不安が、世界
の金融市場を大きく揺さぶっている。7日の東京株式市場は、2日
連続で大幅に値下がり。欧米、アジア市場でも株価の値下がりがと
まらず、「世界同時株安」が収まらない。 

 前日、誤発注が原因ともみられる急落があったニューヨーク株式
市場は7日、続落した。大企業で構成するダウ工業株平均は一時、
前日終値より279.09ドル(2.65%)安い1万0241.
23ドルまで下落した。 
==============================
欧州中銀 担保基準の緩和継続…ギリシャ支援、2010年末まで
 【ロンドン=是枝智】欧州中央銀行(ECB)は8日、フランク
フルトで理事会を開き、短期金融市場に資金を供給する際に金融機
関から受け入れる担保の基準について、一部を除き緩和措置を
2010年末まで継続することを決めた。

 ギリシャ支援を念頭に置いたものだ。

 財政危機のギリシャの国債は格下げされ、ECBの通常の担保基
準であれば不適格になり、ギリシャの銀行の資金繰りが急激に悪化
しかねない。このため、受け入れ担保の最低基準を「BBBマイナ
ス」まで4段階引き下げた現行の緊急対策を続ける。
(2010年4月9日 読売新聞)
==============================
ユーロ圏が「勝ち組」と「負け組」が鮮明に別れた
  ドイツは「マルク」(世界最強通貨のひとつ)に復帰するのか?
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2010年4月1日2926号

 思えばサッチャー元英首相が「通貨統合は主権の放棄」といって
英ポンドがユーロに加わらなかったことは正解だった(拙著『ヨー
ロッパの悪夢』、カッパブックス参照)。

 推薦。「ドイツはユーロから離脱し、独創的な通貨同盟を再構築
するべきだろう」(ヨアチム・スタバッテリ<独チュービゲン大学
客員教授>、ヘラルドトリビューン、3月29日)。
==============================
ギリシャ問題にIMF関与 EU、自力支援を断念
2010年3月26日11時59分

 【ブリュッセル=有田哲文、井田香奈子】欧州連合(EU)のユ
ーロ圏16カ国の首脳による会議が25日行われ、財政危機に苦し
むギリシャへの金融支援策について、加盟国の協調融資を中心に、
国際通貨基金(IMF)の融資を組み合わせる枠組みで合意した。
1999年の通貨統合から最大の危機を迎えたユーロ圏は加盟国の
みによる自力支援を断念し、国際機関の関与に道を開いた。
==============================
親愛なるパパンドレウ・ギリシャ首相殿。
ブルームバーグ
ドイツの救済措置には、財政支出の厳格な上限設定や、汚職の一掃
、退職年齢の75歳への引き上げが含まれることでしょう。そんな
必要はまったくありません。ギリシャの精神に逆行しています。
ドイツをいら立たせ、救済措置を政治的に不可能なものにしてしま
いましょう。

 次にすべきことはデフォルト(債務不履行)です。障害はないは
ずです。債券保有者に資金が不足していることを伝え、債務1ユー
ロ(約122円)につき0.5ユーロの返済を提示し、その責任を
信用不安連鎖のきっかけを作ったドバイ首長国に押し付ければいい
のです。イタリアとスペイン、ポルトガル債の利回りは大幅に上昇
するでしょう。投資家の間でユーロ加盟国の債務は保証されていな
いとの見方が強まるためです。だからといってギリシャが気にすべ
きことは何もありません。忘れてはならないのは自己中心的に考え
ることです。投資家がどのような反応を示そうと、それは投資家自
身の問題です。ギリシャ債がデフォルトすれば、その利回り動向な
どほとんど問題にならないでしょう。

 もちろん、ギリシャ債が紙くず同然になれば、保有する銀行は打
撃を受けます。とはいえ、その大半はフランス、ドイツそして英国
の銀行です。こうした銀行の救済は今回もそれぞれの国の政府に任
せましょう。

 もちろん問題もあります。ギリシャの財政赤字、貿易赤字、そし
て財務省が抱える隠れた赤字をどう穴埋めするかです。話はここか
ら面白くなります。電話を活用すればいいのです。
(コラムニスト Mattew Lynn)
==============================
ドイツ、ギリシャ支援に厳しい条件を設定
2010年 03月 24日 10:15 JST
 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのコンスタンシオ・ポル
トガル中銀総裁は23日、ギリシャに「通常の」金利で融資するこ
とは救済にはあたらず、ギリシャ支援のために欧州連合(EU)の
条約を変更する必要はないとの見方を示した。

 その上で「融資は当然ながら救済には当たらない。融資は融資だ。
補助金としてではなく、通常の金利で融資を行った場合、それは救
済とは解釈できない」と述べ、ギリシャに救済は必要ないとした。
==============================
2010年03月18日
EUが支援決定怠ればユーロに打撃=ギリシャ財務次官

 [アテネ 17日 ロイター] ギリシャのサヒニディス財務次
官は17日、欧州連合(EU)が債務危機に直面する加盟国への支
援決定を怠れば、それはユーロに長期的影響を及ぼすことになる、
との考えを示した。
==============================
ギリシャ債務危機でユーロは「生き残れない可能性も」−ソロス氏 

2月28日(ブルームバーグ):ユーロはギリシャの財務危機で「厳
しい試練」を受けており、「生き残れない可能性もある」――。著
名投資家ジョージ・ソロス氏は米CNNの番組でこうした見方を示
した。 

ソロス氏は欧州には「共通の中央銀行があるのに共通の財務省がな
い」ためユーロの通貨としての構造には「欠陥がある」と述べ、「
為替レートは一定だ。一加盟国が困難に陥っても通貨は切り下げる
ことが不可能だ」と指摘した。 

ギリシャの債務問題のあおりでユーロは対ドルで2008年11月以来最
長の下げを見せている。投資家の間ではスペインなどほかのユーロ
圏諸国の財政赤字にも懸念が強まっている。 

ソロス氏はギリシャが財政危機を乗り越えるだろうと予想した上で
、「だがそれでもスペインなどほかの加盟国も」同様の困難に直面
しており、「欧州が赤字の埋め合わせに必要な組織的な措置を今講
じなければ、事実上、ユーロは生き残れない可能性がある」との見
方を示した。 


コラム目次に戻る
トップページに戻る