3620.米国の順次戦略対中国の累積戦略の戦い



リデルハートによる間接戦略が地政学で言う累積戦略とリデンルハ
ートがいう直接戦略が地政学の順次戦略である。

イラクやアフガニスタンなどのテロ側は「累積戦略」に来て、米国
は順次戦略で戦っている。

累積戦略は、多数の個別の独立した行動の結果を積み上げていく、
という時間をかけた攻撃を行うので、気がつかない。これを中国は
経済と絡めて行うし、一番世界的に弱いアフリカから行うという目
に見えない戦略で、覇権を取ろうとしている。

これに対して、米国は最初、中国の累積戦略に気が付かなく、太平
洋に中国海軍が乗り出した現時点で気が付いたようである。

このように累積戦略にどの戦略で対抗していけばいいのかという問
いが欧米日民主国家群は突きつけられているようである。

しかし、米国が「真珠のの首飾り」という風に中国の戦略を暴いて
しまうと、中国は猛反発することになる。

また、アメリカは累積戦略が伝統的に下手ですから、どうしても
すぐ結果のでる順次戦略をやりたがって失敗している。今回の中国
の累積戦略に対応するのは非常に難しいようだ。しかし、米国は、
中国の危険性にやっと気が付いたようである。

また、交流とか相互依存とかが日本人は好きだが、これに中国の累
積戦略で効果には限界があることを知る必要があるようだ。

ツイッターでの議論中から(コバケン、YS、アルルさんたちと)
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http://blogs.yahoo.co.jp/japanesedenbo/31656178.html
J.C.ワイリーが、名著『戦略論の原点』で、戦略には順次戦略と累
積戦略とがあると述べている。

「順次戦略」とは、言わば、商店の経営のようなもので、顧客数や
売り上げ、仕入れを、過去のデータを基に順次組み立てていくもの
で、これは目に見えるかたちである程度の予測が立つことを基に、
次の戦略を練るというものです。

これに対して「累積戦略」は、それぞれに全く関連性の無い個別の
戦いの積み重ねが、ある段階を境に一挙に効果を発揮するという戦
略です。

 ワイリーは自著の中で、この「累積戦略」の例として、
第二次大戦中に米軍が行った日本の商船や補給船等への潜水艦によ
る攻撃・撃沈を挙げています。

米軍側も日本側も、この攻撃が戦争全体の結末にどの程度影響を与
えたかは分かっていなかったようなのですが、太平洋のあちこちで
日本の商船等の撃沈(兵站・補給路の寸断)を積み重ねていったこ
とで、日本軍ばかりか日本全体が窮してしまったのは事実なのです。


この「累積戦略」は、具体的に数字をあげたりすることは難しいの
ですが、現代のテロとの戦争も、サイバー・テロも、心理戦や情報
戦も、実はこの「累積戦略」に該当しています。



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