3616.国が乱れる兆候



伊藤肇の「現代の帝王学」を読んでいると、次のような箇所があっ
た。これは現代の状況であると見た。参考までに  Fより

後漢末の「申鑑」の中に「国に重い病気が4つある。」として、
「四患」を論じている。

第一に「偽」。
 国家、国政に嘘が多くなる。選挙などはその塊であろう。小沢幹
事長が政府に文句をいったように、公約が簡単に反故にされる事態
である。優先順位がないために、判断できない。

第二に「私」。
 国家、社会という公を忘れ、皆が私利私欲に走り出す。政治の悪
性は政治家とその取り巻きが私利私欲に走ったことである。しかし
、今もその悪性から抜け出せない。

第三に「放」。
 法律を無視した「放埓」が幅を利かす。普天間の解決策を潰した
ことはこのことに当ると見ている。理解もしないで解決策を否定す
ることは、それまでの努力を無に帰することになる。

第四に「奢」。
 実力もないのに贅沢だけを覚える。日本人はいったん走り出すと
 不幸なことが起こるまで彼らは止まらないのだ。とJ.カーカップ
 は言っているが、どうもそうなりそうだ。

この4つの病気で国は衰退していく。

 このような国の病気は精神的な衰退の結果であり、それを防ぐの
は人間の精神が健康であることだ。このためには、3つの問題を反
省しなければならない。

その1つは、「人生の意義」である。自分の存在、生活の意味をど
う見るか人間の根本問題である。

その2つは「人間は孤独、疎外に堪え難い」ということである。
自分の周囲から愛情、敬意、容認を得られなければならない。

その3つは自己の小さい自我の殻から解脱して、人生を少しでも高
く、大いなる目的、理想、信仰というものに精進しなけれらならぬ。

このように4つの病気のもとは、「生活が、その意義を失ってしま
った」と人々が感じ始めたことである。どうもこの原因は、日本の
伝統的な地域社会や生活習慣を古臭いとして、人間関係を切り、人
間を孤立させた戦後教育が原因であり、もう一度、江戸教育を復活
させて人間関係を作ることであると見る。地域社会の再生が重要だ。

しかし、4つの病気を放っておくと、「シンギュラー・ポイント」
「カタストロヒィー・ポイント」(特異点)に達し、急速に事態が
進行して、異変が起こることになる。国債がどうも、このシンギュ
ラー・ポイントを超えた可能性がある。そして、混乱が生じ、一挙
に破滅への道を突っ走るのである。

なんとか、このような状態を解決する必要が現在あるが、しかし手
遅れの可能性もある。民主党政権の責任は重い。

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