3591.当面の米中衝突を回避へ



中国と米国の人民元切り上げ交渉が決着した。その報告。
                     Fより

米中交渉は3月25日から始まり、対米交渉を担当する中国商務省
鐘山次官が渡米して行っていた。この交渉で、米国は財務省の報告
書で中国を為替操作国としない代わりに、中国は人民元を徐々に切
り上げて、自由化し国際通貨とするというものであるようだ。

また、米国が進めるイラン核での制裁問題でも同一歩調を取ること
が決まった。このことで米ライス国連大使は「イランへの制裁強化
に反対してきた中国が協議に加わることは前進だ」と述べている。

国内産業育成重視する中国商務省が米国との交渉をすることで、国
内強硬派を押さえ込み、米中の一致点を探ることで、まだ軍事的な
弱点を持つ中国は米国との対立を抑えた。

いつも強硬派の発言をするzu少将の発言がないので分からないが、
あと10年で中国は米国を圧倒して世界覇権を取るので、それまでは
中国は米国と譲歩することもあると発言していた。今回は、その方
向になったようである。この少将の発言は過激であるが昇進して少
将になっている。中国軍部の意向が分かる。

米中で交渉がまとまり、オバマ米大統領と胡錦濤国家主席の両首脳
は予定を大幅に超えた一時間にもわたる電話会議で米中関係の改善
を協議したようである。

そして、12〜13日にワシントンで開かれる核安全保障サミット
に胡主席が出席し、イランや北朝鮮から核兵器関連物資が流出して
核テロになることを防止するなどを共同で取り組むとした。

その代わり、米財務省が15日までに議会に提出する為替報告で、
中国を為替操作国に認定するとしたが、胡主席の訪米に配慮し認定
についての決定を延期することにしたようだ。

中国人民銀行の金融政策委員に任命された夏斌氏や李稲葵氏は、「
人民元相場に対する圧力を緩和する1つの方法は、中国が自分から
進んで調整することだ」と述べている。

この発言を裏付けるように、人民元の為替制度改革を4月に実施す
る案が、中国政府内で話し合われているようだ。「米国の圧力によ
る切り上げは受け入れられない」ものの、「国内のインフレ圧力や
資産バブルを考慮すれば、相場自体の調整は必要」という見方が共
通認識になりつつある、という。中国人民銀行の周小川総裁の国内
、米国への働きかけが功を奏した結果になっている。

また、中国人民銀行上海総部は人民元建て貿易決済について試験対
象となる海外の取引地域と企業数を拡大させるという。これは人民
元を国際通貨化することであり、日本企業も中国との貿易決済を人
民元にできることになる。これにより、為替リスクが軽減されるこ
とになる。

米中の対決は当面、一服することになるが、中国の人民元の自由化
等の進捗が進まないと、また米中は対決色になると見る。

さあ、どうなりますか??
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米中、イラン核など協議 両首脳が電話会談
2010年4月3日 東京新聞朝刊

 【ワシントン=嶋田昭浩】米ホワイトハウスは一日深夜(日本時
間二日午後)、声明を出し、オバマ大統領と中国の胡錦濤国家主席
が電話で会談し、イラン核問題や世界経済について協議したことを
明らかにした。会談は約一時間に及び、米政府による台湾への武器
売却決定やグーグル問題などで急速に冷え込んだ米中関係の改善に
向け、両首脳が歩み寄りを見せた格好だ。

 オバマ大統領はこの日、米北東部で演説などを行い、ワシントン
近郊の空軍基地へ戻る機中で胡主席と会談したが、話し合いが予定
より長引き、着陸後も約十分間、専用機を滑走路に止めたまま電話
を続けた。

 ホワイトハウスによると、オバマ大統領は電話会談で、十二、十
三の両日にワシントンで開かれる核安全保障サミットに胡主席が出
席を決めたことを歓迎し、テロ組織が核兵器関連物資を入手しよう
とする「核テロ」の阻止などに、ともに取り組む意向を示した。

 大統領は同時に、イランを国連安全保障理事会の決議など国際社
会の義務に従わせるため、米中両国が連携する重要性を強調。その
上で、二十カ国・地域(G20)首脳会合(金融サミット)の国際
公約である「均衡のとれた持続可能な成長」に向けた取り組みでも
、両国が協力する必要性を訴えたという。

 一方、米国が圧力を強め、中国が反発している、中国人民元の切
り上げが議題になったかは不明。

 米財務省が十五日までに議会に提出する為替報告で、中国を為替
操作国に認定する公算が伝えられてきたが、米紙ニューヨーク・タ
イムズ(電子版)は一日、米高官の話として、胡主席の訪米に配慮
し、認定についての決定を延期する可能性を報じた。
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アメリカのライス国連大使: 「イランへの制裁強化に反対してき
た中国が協議に加わることは前進だ」【CNN】

対イラン追加制裁協議、中国が参加に同意
米国のライス国連大使は31日、中国が核開発計画をめぐるイラン
への追加制裁の可能性を話し合う協議に参加することに同意したと
述べた。

国連安保理常任理事国にドイツを加えた6カ国は、イランの核問題
に関する協議を続けてきたが、追加制裁については中国とロシアが
強く反対している。
ライス大使はCNNに対し、「イランへの制裁強化に反対してきた
中国が協議に加わることは前進だ」と語っている。

イラン政府は、核エネルギー開発について平和的利用のみが目的だ
と主張している。これに対し、ライス大使は「平和利用目的だけで
なく軍事的側面もあることはあらゆる判断材料からみてとれる」と
している。

前日の30日には、オバマ大統領がフランスのサルコジ大統領との
共同記者会見の場で、対イラン追加制裁の実施への強い意欲を示し
ている。

また26日には、米ロが新たな核軍縮条約で合意しており、米当局
者からは、ロシアが対イランの制裁強化で態度を軟化させることを
望む声も出ている。  
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中国、9月前に人民元を調整すべき
=中銀金融政策委員に任命の李稲葵氏 
2010年 03月 30日 14:50 JST 

 [北京 30日 ロイター] 中国人民銀行(中央銀行)の金融
政策委員に任命された李稲葵氏は、海外からの圧力を阻止するため
、中国は9月前に人民元相場を調整すべき、との考えを示した。財
経が報じた。 

 李稲葵氏は「人民元相場に対する圧力を緩和する1つの方法は、
中国が自分から進んで調整することだ」と述べた。同氏は清華大学
の教授。 

 9月前に人民元政策を変更すべきと主張する根拠として、11月
の中間選挙に向けて米国で人民元が政治問題となりかねないためと
述べた。 

 同氏は、為替問題に関する長きにわたる「誤解」を解くため、中
国は米国の議員や州当局者との意思疎通を向上させるべきだ、と主
張した。 

 同じく金融政策委員に任命された夏斌氏も30日、ロイターに対
し、できるだけ速やかに人民元の段階的上昇を再開すべき、と述べ
ている。 

 中国は金融危機の影響から輸出を保護するため、08年半ばから
人民元の対ドル相場を事実上固定。米国などは人民元が過小評価さ
れ中国製品が不当に有利になっていると批判しており、米財務省が
4月中旬に公表する為替報告で、中国は「為替操作国」に認定され
る可能性がある。
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【中国】「上海で人民元決済拡大へ」人民銀関係者
4月1日8時30分配信 NNA

 全国5都市で試行されている人民元建て貿易決済について、上海市
では試験対象範囲を拡大させる方針を固めたもようだ。中国人民銀
行(中央銀行)上海総部の関係者が、3月30日に開かれた関連会議で
明らかにした。試験対象となる海外の取引地域と企業数を拡大させ
る。利用が当初の見通しほど進んでおらず、金額も予想を下回って
いる同制度について、今後対象範囲の拡大がカンフル剤となるか、
業界では注目が集まっている。【上海・黒川真吾】
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「人民元改革、4月実施検討」 中国経済誌が報道
2010年3月30日6時43分

 【北京=琴寄辰男】中国の経済誌「財経」は29日発売の最新号
で、「人民元の為替制度改革を4月に実施する案が、中国政府内で
話し合われている」と報じた。「米国の圧力による切り上げは受け
入れられない」ものの、「国内のインフレ圧力や資産バブルを考慮
すれば、相場自体の調整は必要」という見方が共通認識になりつつ
ある、という。 

 同誌によると、政策決定権を持つ指導者層が最近、中国人民銀行
(中央銀行)など関係部門の責任者を集めて人民元問題を検討した
という。物価安定を重視する人民銀、輸出企業を守る立場の商務省
など政府内で意見の違いはまだあるが、「方向性について重要な共
通認識が徐々にできている」と指摘。新たな反対意見がなければ、
為替政策を調整する政策文書の起草・調印はいつでも日程にのぼる
可能性がある、としている。 

 改革の具体策については、多くの専門家の分析として、一度に2
〜3%切り上げるのではなく、「為替レートをより市場に基づいて
弾力的に調節する意味を持つものになる」との見方を伝えた。 
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失業者2億人」中国首相発言が波紋
配信元:IZA
2010/03/25 23:37

【上海=河崎真澄】中国の温家宝首相が公開の場で、「中国の失業
者は2億人」と発言したことが波紋を広げている。

 公式統計で中国の失業率は2008年末に4・2%だったが、温
首相の発言通りなら実際は10%を大きく上回ることになる。ネッ
トサイトでは「失業者は結局のところ何人?」などと混乱した反応
や、「農村の潜在失業者を含む実態をやっと認めた」との受け止め
もある。雇用確保や失業問題は中国政府にとって最も頭の痛い問題
だけに、温首相の発言の真意に注目が集まっている。

この温首相の発言は、22日に北京で行われた経済討論会の席上、
人民元の為替レートや貿易不均衡で揺れる米中間の経済摩擦問題に
からんで飛び出した。

 英字紙チャイナ・デーリーによると、温首相は「私は米国に
200万人の失業者がいることを知っている。政府に焦燥感を与え
るのに十分な数だが、しかし中国の失業人口は2億人だ」と述べ、
中国の深刻な状況を訴えた。

 経済学者など専門家の間で、中国の実質的な失業者数が2億人を
超えるとの見方はあったが、中国の指導者が公に発言し、報じられ
たのは初めてとみられる。

 オバマ政権が中国を「為替操作国」と認定する可能性もある中で
、ケタ違いの失業者数を持ち出すことにより、米側を牽制(けんせ
い)したかったようだ。温首相は「失業者2億人」とする根拠は示
していない。

 中国で公表されている失業率をめぐっては、実際には都市部の登
録者のみで、人口の6割を占める約8億人の農村住民の就業状況は
含まれておらず、実態を反映していないとの批判があった。ネット
上では温発言を受け、農村部を含む失業者は2億2300万人、失
業率は17・4%との試算も独り歩きしている。

 だが、中国政府にとって失業者数はタブーに近い問題。失業者の
増大が社会不満を生み、体制批判に向かうことを恐れている節があ
り、新規雇用の創出で努力する半面、失業率の数字を低く抑えるよ
う操作していたとも受け止められている。

 14日に閉幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)でも
、都市部の失業率を4・6%以下に抑える目標を盛り込んだ、温首
相による建前論の「政府活動報告」が採択された。

 中国の学識経験者は「米国の攻勢が強まる人民元問題で温首相は
、社会不安増大のリスクも承知の上で、実際の失業者数を公表して
、対米攻防戦の盾(たて)にする戦術に切り替えた」との見方を示
している。
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人民元問題は複雑、「雑音」は有益でない=中国人民銀行総裁

[カンクン(メキシコ) 22日 ロイター] 中国人民銀行(中
央銀行)の周小川総裁は22日、人民元相場をめぐる「雑音が多過
ぎる」ことは有益ではないと述べた。

 当地で開催されている米州開発銀行(IDB)の年次総会に出席
している同総裁は、米国の政策担当者は失業率を引き下げる圧力に
さらされているが、中国も「雇用創出の非常に大きな課題」に直面
していると指摘。「(人民元問題)は非常に複雑」で、「国際間で
どのように政策協調できるか協議することは可能」としながらも、
「雑音が多すぎること」は有益ではないと述べた。

 また、政策立案にあたってはデータやモデルを用いた「確かな経
済分析」をベースにし、かつ「相互の利害を考慮する」必要がある
との考えを示した。
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中国商務省次官が訪米へ 貿易摩擦・人民元解決へ折衝
 中国商務省は19日、対米交渉を担当する鐘山次官が24〜26日の日
程で米国を訪問すると発表した。同省によると「2国間貿易の拡大
、経済貿易分野での協力強化などについて米側と協議する」という。
米中両国は貿易不均衡や人民元問題などを巡って対立が激しく、米
側との協議で事態打開の糸口を探るとみられる。
(中国総局)(21:00) 


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