3584.米中対立で日本はどうするか?



1月に書いた中国の生存圏拡大は世界を敵に回すと言うという見通
しが実現している。      Fより

現状の中国は国内のナショナリズムが大きくなり、米国や世界の世
論を聞く耳を持たないし、米国や世界の意見を中国国内で報道でき
ない。このため、益々、中国の民衆はナショナリズムの国威高揚感
のレベルを高めている。

この現状は戦前の日本である。欧米に対抗できるとしてアジア解放
という大義名分を立て、国内のナショナリズムが欧米との戦争を志
向していくことになった。この原因は報道の自由が無く、国民が欧
米の実体を知らぬままに国威を高揚した結果であった。この過度な
ナシュナリズムは国益に反するという反省が、戦後の日本を作って
きた。

しかし、この日本の戦前と同じ道を中国は歩いている。その結果は
世界からの総反撃になる。人民元の切り上げの回避や環境問題でも
途上国としての中国の権利を主張すると、実質的に強い中国へ米国
が最初に相殺関税を掛けて、その相殺関税を世界が同時に真似する
ことになる。

中国国民に世界の大勢が人民元の切り上げをのぞみ、それを実現し
ないと中国にとっても大きな損をすることになるという報道が重要
である。今の中国では海外と国内の意見では国内の強硬派が力を持
ち、その意見に政府首脳は影響されているが、そのは国益を台無し
にする。戦前の日本を見れば分かる。

中国でも国際派であり、世界の意見も知っている中国人民銀行の周
小川総裁は人民元切り上げという「雑音が多過ぎる」ことは有益で
はないと述べているが、国内の強硬派が米国の中国批判で意固地に
なって、まともな政策ができないということである。

周小川総裁の気持ちを知る親中派のガイトナー米財務長官は「中国
が人民元相場の上昇を再び容認することが重要だ」とした上で、「
いずれ中国政府は行動する」と期待を示した。

しかし、米国の民主党系親中派の大学教授などでも「ここまで経済
成長したのに、アナクロな情報統制を続けるのには絶望した」と反
中的意見になっている。米国の民主党は労働者党であり、中国の安
い商品で雇用を奪われているとして、米国議会に中国を通貨操作国
と認定して、相殺関税を掛ける法案を上程している。

もう1つ気がかりなのが、米中の対話が出来ていないことである。
米オバマ大統領は国内での保険改革法案で手がいっぱいになり、中
国胡錦濤国家主席も党幹部の多くが「人民元切り上げは中国企業の
輸出競争力を損なわせる」と反対を公言するなど指導力がない。

このため、日中関係筋によると中国側は日本に対し日米中3カ国に
よる包括対話機関設置を打診している。これを受けて、鳩山首相は
日本は米国とも中国とも等距離になると述べているが、普天間問題
の解決がないと、日米間の対話も出来ずに、その上の日米中3ケ国
対話は実現しない。中国は日本が普天間問題に関わること事態が中
国の国益を失いかねないと危惧している。

日本にとって、米中対立になると日本のポジションが安定すること
になる。中国も米国も日本を必要とするからである。しかし、鳩山
政権はそのチャンスを物にできていないことになる。

早く、米軍の普天間継続使用で沖縄県民の期待を裏切り、社民党を
閣外に追い出して、民主党政権の大改造でビックチャンスを物にす
るべきである。

対応が遅くなると、米国はロシアと同盟を結び、中国包囲網を作り
日本は中国サイドに追いやられることになる可能性も出ている。
オバマ大統領は、ロシアと核軍縮条約で合意し、ウクライナなどで
も親ロシア派を妨害しないようにしてロシアを尊重し始めている。

次の驚きが米国は行う可能性が高い。欧米露印同盟であり、日本も
当然、その中に居るべきである。このため、あまり中国に寄り過ぎ
ないことである。

さあ、どうなりますか??
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首相「日中関係が良くなれば日米、米中も良くなる」
 鳩山由紀夫首相は19日、首相官邸でエジプト紙アルアハラムのイ
ンタビューに応じ、日中両国の経済協力関係を「密接不可分」とし
たうえで「日中関係が良くなれば日米、米中関係も良くなる」と強
調した。日本と中韓両国との関係については「連携が不可欠。今ま
で以上に良好になると信じている」と語った。

 平野博文官房長官は同日の記者会見で、5月末に開く方向で調整
中の日中韓首脳会談について「中国とは戦略的互恵関係、韓国とは
2国間の連携をさらに深めていく。前向きな議論がされると思う」
と期待を示した。(19日 20:35) 
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グーグル問題でオバマはどこまで「本気」か?
newsweekjapan
冷泉彰彦  2010年03月26日
「民主党のアメリカ」は親中、「共和党のアメリカ」は親台湾とい
う対立構図がひっくり返ったということです。民主党系の人になる
と、かなり親中派の大学教授などでも「ここまで経済成長したのに
、アナクロな情報統制を続けるのには絶望した」というようなこと
を言います。
とにかく共和党=親中、民主党=嫌中というように軸がひっくり返
っているのは事実です。

今回の「中国への圧力」は少しニュアンスが違うと思います。
それは、中国がこれ以上の経済成長を続けるには、物真似ではなく
ソフト産業も含めた高付加価値創造のための自発的な文化が必要だ
し、これ以上消費を拡大するには同じように目の肥えた自立した消
費者が必要、また食の安全など短期的利益と社会正義を両立するに
は厳罰主義ではなく自由なジャーナリズムが必要、という極めて実
務的な観点から、堂々と外圧をかけてきたのだと思います。
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「中国がアメリカに背を向ける理由」
[BM時評])「インターネットで読み解く!」

「ニューズウィーク日本版」の「中国がアメリカに背を向ける理由
」がネット世論こそ中国政府を動かしていると指摘しています。 

 「中国が自信満々だという印象を受けるかもしれないが、実際は
違う。いま中国の指導者を突き動かしているのは、底知れない不安
だ」「今や世論の動向を無視すれば、共産党支配の存続が脅かされ
かねない。『現在の中国政府はこれまでなかったほど、国民のナシ
ョナリズムの高まりに応えて振る舞いを決めなくてはならなくなっ
た』と、中国屈指のアメリカ専門家との呼び声も高い北京大学国際
関係学院の王緝思(ワン・チースー)院長は言う」「『世論とは主
にネットユーザーの意見のこと』だと、中国人民大学国際関係学院
の金燦栄(チン・ツァンロン)副院長は言う。『中国のネットユー
ザーは、アメリカより1億5000万人多く、3億8400万人。
中国の指導者は方針を決める際、この層の多数意見に大きく注目す
る』」 

 民主主義のシステムを持たない国だからこそ、「世論」は無視で
きないはずです。自由な世論調査を許さない以上、膨大な参加者の
間から勝手に出来上がってくるネット世論を尊重せざるを得ない理
屈になります。だからこそ、グーグルと衝突している、ネット上の
言論統制は捨てられないのです。 
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米金融大手幹部経験者が中央銀行副総裁就任か、中国紙報道
2010.3.26 19:14

【上海=河崎真澄】中国の英字紙チャイナ・デーリー(電子版)は
26日、複数の関係筋の話として、米金融大手のゴールドマン・サ
ックスでアジア担当責任者を務めた経験を持つ中国出身のフレッド
・フー(胡祖六)氏(47)が、近く中国人民銀行(中央銀行)の
副総裁に就任するとの見通しを伝えた。実現すれば、西側企業の幹
部ポスト経験者が初めて中国当局の要職に就くことになる。

 中国政府は日米欧などの有力企業の勤務経験のある中国人を
1000人規模で帰国を働きかけ、政府機関や国有企業の幹部とし
て迎える計画で、胡氏の採用もその一環という。 
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人民元問題は複雑、「雑音」は有益でない=中国人民銀行総裁

[カンクン(メキシコ) 22日 ロイター] 中国人民銀行(中
央銀行)の周小川総裁は22日、人民元相場をめぐる「雑音が多過
ぎる」ことは有益ではないと述べた。

 当地で開催されている米州開発銀行(IDB)の年次総会に出席
している同総裁は、米国の政策担当者は失業率を引き下げる圧力に
さらされているが、中国も「雇用創出の非常に大きな課題」に直面
していると指摘。「(人民元問題)は非常に複雑」で、「国際間で
どのように政策協調できるか協議することは可能」としながらも、
「雑音が多すぎること」は有益ではないと述べた。

 また、政策立案にあたってはデータやモデルを用いた「確かな経
済分析」をベースにし、かつ「相互の利害を考慮する」必要がある
との考えを示した。
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人民元の上昇容認を=中国、いずれ行動−米財務長官
 【ワシントン時事】ガイトナー米財務長官は24日、CNNテレ
ビとのインタビューで、「中国が人民元相場の上昇を再び容認する
ことが重要だ」とした上で、「いずれ中国政府は行動する」と期待
を示した。インタビューは同日夜に放映される。
 CNNが事前に公表したインタビューの内容によると、ガイトナ
ー長官は「中国は主権国家であり、為替相場は自らが決める」「米
国は変化を強要できない」と指摘。一方で、「中国は人民元を上昇
させることが利益だと判断する」と語った。(2010/03/25-07:51)
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人民元めぐり“米中通貨戦争”懸念 「制裁」「報復」なら世界経
済に波及…3月22日7時56分配信 産経新聞

 中国の通貨、人民元切り上げを求める米国と、拒否する中国の対
立が激化している。これまでの人民元をめぐる米中摩擦は水面下で
の調整により和らげられたが、今回は米中間の対話が途絶えている。
米中間で「制裁」と「報復」の応酬が始まれば、世界景気の不安要
因にもなりかねない。

 エスカレートする米中対立を止めるには対話が欠かせないが、今
回は不発である。

 日中関係筋によると、中国側は日本に対し日米中3カ国による包
括対話機関設置を打診しているという。「胡錦濤政権はオバマ政権
とのまともな対話ができず、困り切っている」(同筋)からだ。

 人民元問題に限らず、地球温暖化対策などでの中国側のその場し
のぎの対応は、米側をあきれさせた。チベット仏教最高指導者ダラ
イ・ラマの訪米や米国の台湾への武器輸出では形だけ米国に抗議し
た後、どう修復するか、まとまった対米方針が決まっていない。

 背景には、胡錦濤総書記の党内における政治基盤の脆弱(ぜいじ
ゃく)さがある。江沢民前総書記を中心とする「上海閥」に押され
、党の最高意思決定機関である党中央常務委員会(胡総書記ら9人
で構成)では多数の支持を得られない不安を抱える。しかも、党幹
部の多くが「人民元切り上げは中国企業の輸出競争力を損なわせる
」と反対姿勢を公言するようになった。党内をまとめられない中、
人民元問題で譲歩すれば「米国に屈した」として指導部はいっそう
政治的な苦境に立たされる。

 秋の議会中間選挙が迫るというのに、オバマ政権も景気や雇用の
回復に手間取り、世論の支持率が下落している。そこで、オバマ大
統領は今後5年間で輸出を倍増させる戦略を打ち上げた。最大の貿
易赤字相手である中国には、特に人民元の切り上げなど強硬策しか
ない。

 外国為替市場を不当にゆがめて対米通商を有利にしている貿易相
手と米財務省がみなす「為替操作国」の認定期限は4月15日。中
国が認定されれば、議会は法案採決へと一挙に勢いづく。

 北京側はかたくなに「外圧」を拒否し、ひたすら人民元の現行制
度の正当性を強調するしかない。
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対中貿易赤字、米の統計「実際より3割多い」 中国商務省
 米側統計が示す「対中貿易赤字」は実際より約3割多い――。中
国商務省は19日、米商務省と共同で実施した米中の貿易統計の食い
違いをめぐるこんな研究結果を明らかにした。香港経由の貨物を「
中国発」とみなすかどうかなどの違いで、両者の統計に大きな差が
生じていると結論づけた。

 米国は中国に貿易黒字を削減する手段として、人民元相場を切り
上げるよう圧力を強めている。中国側には今回の研究結果を「米国
が言うほど中国の貿易黒字は大きくない」と反論する材料に使う思
惑があるようだ。

 研究によると、2006年の「米国の対中輸入額」は「中国の対米輸
出額」より843億ドル(約7兆6000億円)多かった。中国から香港や
韓国、メキシコなどを経由して米国に届いた貨物について、米側統
計は「中国からの輸入」に計上しているのに対し、中国側統計は
「米国への輸出」に算入しておらず、両者の差が広がったという。
(北京=高橋哲史)(00:15) 
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「米国債購入、市場安定に貢献」中国政府高官
 【北京=高橋哲史】中国商務省で米国などを担当する何寧局長は
19日の記者会見で、米中間の貿易摩擦が激しくなっていることに関
連して「中国による米国債の購入は米国の金融市場の安定に役立っ
ている」と述べた。両国経済の相互依存関係が深まっていることを
強調。「経済貿易関係を政治化し、感情的になるのは避けるべきだ
」とし、中国を批判する米国をけん制した。

 中国の米国債保有額は世界最大。輸出で稼いだ外貨の7割を米国
債などドル資産で運用している。何局長は米国が人民元相場を切り
上げるよう圧力を強めていることについては「経済貿易関係や人民
元の問題を解決するための米中間のルートは滞っていない」と主張
し、対話を通じた解決に自信を示した。(14:24) 
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米国企業に差別、中国政府

【3月23日 AFP】在中国米国商工会議所は22日、中国に進出している
米国企業の間で、差別的な政府の方針や、一貫性のない法的措置を
受けたことにより中国市場で「歓迎されていない」と感じる米企業
が増加しているとの報告書を発表した。

 在中米商工会議所は、会員企業203社に質問を実施。「中国に進出
した米企業は、政府系企業や官公庁との契約で、製品差別を受けて
いると考えている」との声明を発表した。

 調査によると、中国市場に参加し競争することについて「歓迎さ
れていない」と感じる企業は38%に上った。2009年第4四半期の調査
では26%だった。企業が最も懸念していたのは、「一貫性のない規
制適用と法的措置」だった。

 また、中国政府が、数十億ドルにのぼるPCや備品などの行政契約
から、外国企業を閉め出す動きが出ているとの報告も出た。

 中国当局は認可済み製品の購入を推奨する方針を出している。し
かし、「国産イノベーション」キャンペーンの一環として、ハイテ
ク製品では、新たに中国の知的財産が含まれていることが条件に加
わったため、外国企業が排除されることになっているという
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ロ首脳、核軍縮条約で合意 戦略核を3分の1削減
2010年3月27日0時45分

 【ワシントン=望月洋嗣、モスクワ=副島英樹】オバマ米大統領
とロシアのメドベージェフ大統領は米東部時間26日午前10時(
日本時間同日午後11時)から電話で会談し、第1次戦略兵器削減
条約(START1)の後継となり、両国の戦略核を約3分の1削
減する新たな核軍縮条約に最終合意した。 

 両首脳は4月8日、チェコのプラハで新条約に署名する。米ロは
、オバマ大統領が唱えた「核のない世界」に向けた核軍縮の新たな
具体的一歩を踏み出した。 



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