3579.民主党政権の評価



民主党政権が出来たときには、多くの国民が期待をした。民主党は
次の日本のあるべき姿を知っていて、その実現に向かって進んでい
くのだと見ていた。しかし、自民党政権を否定することしかしてい
ないで、次の日本の姿を全然示さない。とうとう、民主党が日本の
長期ビジョンを持っていないと国民は見なし始めている。自民党の
否定形でしかない。このため、国民の期待を完全に裏切った格好に
なっている。                津田より

0.普天間問題
1つに事例として普天間基地移転問題がある。普天間基地移転では
沖縄県外・国外に基地を作るとして、沖縄県知事や名護市長が承認
していた日米・沖縄県が10年以上掛けて合意したシュワブ沖海上
案を簡単に潰した。もし、そのまま承認していたら、この案で実行
できたが、自民党案は全て悪いと否定して、それ以上の案を作るこ
とにした。しかし、このような長期の合意形成の結果できた案を否
定すると、新しい案はそう簡単には作れない。

しかし、県民の期待に答えるという格好よい鳩山首相の言葉で県民
などの期待も強くなる。県知事もメンツを潰されたので、県民の意
向を最優先にするしかない。米国もメンツを潰されて意固地になる。
官僚も今までの経緯を知っているので、新しい案の検討には手を出
さない、出せない。

このような状態では県外や国外の案はできないことになる。そして
、とうとう普天間移設の「県外は難しい」と鳩山首相は23日に述べ
たが、それでは現状の案である県内移転先であるキャンプ・シュワ
ブ陸上案や米軍ホワイトビーチ周辺の沖合に米国が合意するかと言
うと、難しいということになる。

米国は当初の自民党案でないなら、米海兵隊トップのコンウェイ総
司令官は「普天間基地の現状維持が続くことになる」と述べ、普天
間返還が実現しない状況が継続すると警告した。

5月に決まるのは、日米で合意できる普天間基地の継続的な使用と
なることが確定的だ。最初に自民党案を否定する前に、何個かの案
を米国に打診をしておくなどの外交の基本動作が欠けていたことで
こうなったのである。

このように鳩山首相は、戦後最悪な日本の指導者となることが確定
的になっている。沖縄県民としても一番悪い結果になったので、当
初の自民党案の方がよかったことになる。

このため、5月首相辞任という事態にもなる可能性が出てきたし、
このような政治的なダメージを犯しても首相を継続すると、6月の
選挙は荒れることになる。自民党は嫌いであるが、民主党もそれよ
り嫌いとなる国民は、自民党を逃げ出した政党の議員に投票するこ
とになると見る。

このため、自民党の参議院議員は見切りをつけて、みんなの党など
に移籍するべきである。そうすれば、ある程度は選挙に当選するは
ずであり、鳩山首相と小沢幹事長が参議院選挙まで止めない事が、
他政党に得票が集まることになる。

1.文化文政時代の雰囲気
民主党の平野博文官房長官は自民党政権を潰して、政権交代は明治
維新の革命以上であり、神武天皇の東征にも匹敵するとした。

しかし、自民党政治の否定形だけという民主党改革は、元禄期以後
経済的問題になったときに田沼意次が出て、重商主義の政治にした
がそれを否定した松平定信の寛政改革に当る。この時代は文化文政
時代であり、その時代の雰囲気に現在の日本は雰囲気が非常に似て
いる。

田沼改革と似ているのが小泉政権の改革で、英米的な重商主義の政
策をしたが、貧富の差が大きくなったと反対されて、民主党政権で
小泉政治を全否定した状態になっている。このため、民主党政権の
位置づけは田沼を否定した松平定信の寛政改革となる。そして、自
民党を支えた企業も同罪と見なされて、企業の意見を民主党政権は
聞かないようである。これでは、次の日本のあるべき姿を示すビジ
ョンは描けない。政治主導は良い制度であるが、そのときには政治
は日本のビジョンや方向性が必要である。現時点、これがない。

文化文政時代は、はじめ質素倹約の政策が引き継がれたが、貨幣悪
鋳による出目の収益で幕府財政が一旦潤うと、大奥での華美な生活
に流れ、幕政は放漫経営に陥った。江戸時代の衰退の始まりである。

一方では、商人の経済活動が活発化し、都市を中心に庶民文化が栄
えた。しかし、農村では貧富の差が拡大して各地で百姓一揆や村方
騒動が頻発し、治安も悪化した。外国船打払令も出るなど海外との
関係を悪化させている。

文化文政文政時代が終わると、1853年にペリーが来航してきて
江戸末期に突入する。そして、やっと、江戸時代は終わり、明治維
新が起きる。この明治期の日本は欧米文化を吸収して追いつくこと
と一君万民制にして、国民平等という制度などの大改革を行う。

現時点の日本は、まだ次の時代の日本の方向性を民主党も自民党も
国民も描けないでいるようである。しかし、世界的にも米国覇権の
時代は終わり、次の時代の準備が始まっている。これに合わせて日
本も改革が必要になっている。今回の民主党政権は革命でなく、前
政権の否定形でしかない。

3年後の衆議院選挙が自民党や民主党の否定ではなく、新しい日本
のビジョンを持った政党ができて、その政策が日の目を見ることに
なりそうである。と期待したい。そして、やっと本当の維新になる。

2.民営化郵政の国営化
小泉政権は郵政も民営化したが、小泉改革全否定であるので国営化
して現時点26万人の職員を後10万人を追加雇用をするという。

しかし、郵便は基本的に赤字であり、このため郵貯の預金資金を1
%の日本国債から6%程度の米国債で運用し、雇用の人件費にする
と亀井金融相は言う。また、郵貯の預金限度を無限大にして、銀行
から郵貯に資金を移していくようである。米国債に移行するので、
今までの郵貯は日本国債の有力な引き受け手であったが、郵貯が引
き受けないので、日銀が日本国債を全面的に引き受けさせるという。

しかし、日銀には長期国債の保有残高をお札の発行残高以内に抑制
する規則(銀行券ルール)があるが、その差はあまりないので、こ
のルールを無視しても国債を引き受けさせるとすると、戦前と同様
にインフレになる。そのインフレや下手をするとハイパーインフレ
になるが、それを見越して鳩山首相はデノミを検討している。

また、企業の内部留保にも課税するとか、CO2排出量削減でも
21%分を国内産業が削減させるとか、非正規社員を正規社員化さ
せるとか、企業経営上では1つの良い事もこの政権下ではない。こ
れは工場や企業を日本から追い出すことであるし、企業が雇用を生
まないので国営企業を作り、そこで雇用を生むという。これは社会
主義であり、自由市場主義国家とは違う。このように日本衰退は確
定的になる。

自由な市場経済を前提にした普通の経済原理を民主党政権は否定し
ているが、このような経済はソ連崩壊で成り立たないと歴史的な実
験をして否定されている。マル経が世界的に否定されているが、そ
の経済政策を行うと言う政治家たちが運営する政権であると見えて
しまう。

非常に日本が心配になってきている。

3.さいごに
日本も未来は暗い。その暗い将来を明るくするには戦略的に政治を
するしかない。時代を読み、世界を読み、その上で日本のあるべき
姿を考えて、それに向かって政治をするという基本動作を変える事
が重要になるのだ。

さあ、どうなりますか??

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首相、普天間移設「県外難しい」 政府案23日にもとりまとめ
 政府は19日、沖縄県の普天間基地の移設問題で23日に平野博文官
房長官、岡田克也外相、北沢俊美防衛相らによる非公式の関係閣僚
協議を開き、政府の移設案をとりまとめる方針を固めた。政府内で
は、キャンプ・シュワブ陸上案や米軍ホワイトビーチ周辺の沖合を
埋め立てる案などを検討しており、複数案を提示する可能性が大きい。

 鳩山由紀夫首相は19日、首相官邸で記者団に「県外(への移設)
は難しいけれども、沖縄県民の気持ちからすれば(県外が)望まし
いという気持ちを大事にしたい。その中で難しいけれど頑張ってい
る」と述べ、現状では県外移設は困難との認識を示した。(07:00) 
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普天間「決着なければ現状維持」 米海兵隊トップが警告
 【ワシントン=弟子丸幸子】米海兵隊トップのコンウェイ総司令
官は17日、米軍普天間基地の移設問題について「(5月末までに決
着しなければ)現状維持が続くことになる」と記者団に述べ、普天
間返還が実現しない状況が継続すると警告した。一方、対日政策を
担当する国防総省のシファー次官補代理は議会の公聴会で、現行計
画が「最善」だと強調した。

 コンウェイ司令官は普天間基地の移設が実現しなければ「(同基
地に)海兵隊を配置し、地域の国々を防衛する」と述べ、継続利用
する方針を明確に示した。日本が目指す3月末までの米国への移設
案提示に不透明感も漂うことに関しては「5月(決着)に大きな望
みを持っている。さらなる遅延は2014年の(移設)完了予定を危機
にさらすからだ」と語り、早期決着が必要だと訴えた。(10:02) 
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首相、「5月危機説」に焦り? 指導力演出に懸命 
 鳩山由紀夫首相がにわかに「指導力」を演出し始めた。19日には
持論である「東アジア共同体」構想の5月末までの具体化を指示。
18日は水俣病の未認定患者の救済を「首相判断」で決定した。沖縄
県の米軍普天間基地移設先の決定期限と絡めた政権の「5月危機」
がささやかれるなか、首相の焦りも透けて見える。 

 「旧政権と大きく違うのは、東アジア共同体を積極的に構想する
ことだ」。17日、都内で開いたシンポジウムで、首相は予定時間を
7分超えて熱弁を振るった。この2日後に全閣僚に出した具体化指
示の期限は5月末。政権の「5月危機説」とタイミングが重なる。
 (07:00)
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日銀の国債保有残高、2月末50兆円超す 資金供給拡大受け
 日銀の国債保有残高(月末ベース)が2年3カ月ぶりに50兆円を
超えた。市場への資金供給を増やすため、買い取り続けた国債が積
み上がっている。日銀には長期国債の保有残高をお札の発行残高以
内に抑制する規則(銀行券ルール)がある。お札の発行残高は伸び
悩んでおり、その差が少しずつ縮まってきた。

 2月末の国債保有残高は51兆5691億円で、前月末比3.3%増えた。
日銀は2009年3月、金融危機対応の一環として毎月の国債買い取り
額を4000億円増額し、1兆8000億円とした。この措置が残高の増加
に拍車をかけた。(10:20) 
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鳩山首相:政権発足後にデノミ検討、藤井財務相辞任で頓挫か
−日経 
3月19日(ブルームバーグ):鳩山由紀夫首相が昨年9月の政権発
足後、デノミネーション(通貨呼称単位の変更)を検討していたと
19日付の日本経済新聞朝刊が報じた。周辺によると、首相は、政権
交代の象徴として藤井裕久財務相(当時)に頼んでいたものの藤井
氏が1月に辞任して「いなくなってしまった」と漏らしたという。 

更新日時: 2010/03/19 07:40 JST 


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