3572.米海軍力減少で地政学が変化へ



フリードバーグはアジアが米国率いる海洋派と中国率いる大陸派に
分裂すると指摘したが、この観点はスパイクスマンの地政学を前提
条件としている。シーパワー対ランドパワーの戦いという視点であ
る。

しかし、スパイクスマンの冷戦構造的な地政学は、米海軍が600隻も
あり、その他の諸国が米海軍に対抗できないことを大前提にしてい
る。この構造が崩壊しているために、スパイクスマンの地政学が役
立たない。そのため、フリードバーグも間違えている。
            津田より

0.米海軍力減少と中国・インド海軍力増強で
ロバート・カプラン氏は、米海軍艦船は600隻から250隻に近々大幅
な削減がされるという。これは衝撃的である。スパイクスマンの大
前提が崩壊していることになる。日本でさえ123隻の艦艇があり、中
国海軍は日本以上の900隻程度の艦艇を持っている。反対に日本周辺
にいる米艦艇は40隻以下になることを意味する。しかし、中国海軍
の近代化、大型化が進み、空母2隻も持とうとしている。中国海軍力
の増強で、世界的な規模で中国海軍は行動が出来るようになってい
るのだ。

中国の軍部Zhu Chenghu少将が「空母を開発するから、太平洋のハワ
イから東部を米国がとり、西部を中国がとるというのはどうか」――。
米太平洋軍のキーティング司令官は上院軍事委員会で、中国軍幹部
からこんな「提案」があったことを明らかにした。キーティング氏
は「冗談とはいえ、中国軍の戦略的考え方を示唆している」と語っ
た。 2008年03月12日18時58分asahi
と言ったが、中国は着実に軍拡を進めて、その実現を目の前にして
いる。

これでは米海軍は単独では世界の海上覇権を維持できない。インド
も同様にインド洋に多数存在する中国海軍艦艇や海軍基地の中国海
軍に対抗して増強している。インド海軍艦艇は140隻で2隻の空母を
所有するが、単独では中国海軍に対抗できない。このため、中国海
軍力に対抗する勢力と中国同盟国とに2分され始めているように感
じる。この国際情勢を構築する理論形成にはスパイクスマンの地政
学では無理がある。

このようにモデルスキーの覇権循環説を裏付けているような傾向に
米国も中国もなっている。しかし、スパイクスマンは、戦前ユーラ
シア大陸を非民主的な国家が占めると、その非民主的な国家が支配
する圏内には自由民主など人権が確立されないことになり、その心
配から自由民主諸国連合でソ連に対抗したのである。しかし、この
非民主的な国家が世界の覇権を取る心配が再度、出てきている。

しかし、ランドパワーと思われていた中国がシーパワーでも強大に
なり、マハンから始まった米国地政学のスパイクスマン理論である
海上権力を確立する勢力と陸上権力を確立する勢力の攻防というシ
ナリオが成り立たなくなっている。中国はスリランカ・モザンビー
クなど島を重要な同盟国にしている。リムランド国家を味方にして
いるために、リムランド対ハートランドという考え方自体がおかし
い。その考え方は現時点の中国には通用しない。

これに代わる理論として、中国からは中国の軍拡を正当化するよう
な新しい地政学である「海陸和合論」が提案されているが、海上権
力の増強で、この理論も中国は修正することになる。中国一国で世
界の広範な安全保障を行うことができる海軍力になり、和合理論で
はおかしいことになっている。

このため、ランドパワーであるドイツが戦前構築した地政学を代表
するハウスホーファーの生存圏理論を拡大して、理論化する必要が
あると見る。「パン・リージョン」に似た自国権益範囲を確立する
動きを中国はしていると見える。

1.米国の新しい東アジア政策
このように中国海軍力が拡大して、米国の海軍戦略も変更する必要
になっている。このため、ミッチェル米国防筆頭副次官補は、東ア
ジア・太平洋地域における安全保障戦略の指針となる「東アジア戦
略報告」(EASR)を12年ぶりにまとめる考えを明らかにした。中国
海軍力増強で東アジアだけではなく、世界の覇権構造は激変してい
る。

しかし、中国の意図は分からないために、世界、特に自由民主諸国
は中国海軍の拡大にどう対応すればよいのか見えない。中国自身も
自分の行動や海軍力の拡大が世界にどう見られているかわからない
ようである。どう見られるかを知るために、世界の有名な評論家の
言動に注意している。このため、ロバート・カプラン氏の講演会に
も中国大使館員を送り込み、中国に対する言論に不満を述べること
になる。

米軍もそのため、行動するしかない。その1つが、大西洋上に展開
する米海軍艦艇を太平洋またはインド洋に展開することである。大
西洋はEU統一軍に任せて、中国海軍が多い太平洋とインド洋に移
動させて、米国・同盟国と合同で中国に対応するしかないと米軍は
見ているようだ。それも明確な形ではなく暗黙的に監視し情報交換
する。

250隻の艦艇にした理由は、米国の財務状況が悪化して米軍が世界を
守ることが出来ず、米本土だけを守る方向にシフトするしかないた
めである。そして、米本土を守るためにはレーザ砲の完成が必要で
あったが、目処がついた。これにより完全にミサイル防衛ができる
ことになり、米本土防衛上、広範囲に米海軍艦艇を配置しなくても
自国の防衛できるからである。米国が世界覇権を放棄し始めたこと
になる。

しかし、自由民主的な国家ではない中国が人権問題に対して非常に
冷淡であることで、中国拡大に対応して自由民主諸国連合が組織さ
れ始めている。この中心は欧米日韓豪などであり、普通選挙がある
インド・ロシアなどもこの自由民主諸国連合に参加する可能性が高
い。

これに対して、中国は、上海機構など反米組織をそのまま中国支持
組織化しようとしているが、うまくいかないように感じるがどであ
ろうか。

2.ロシア・インドの行動
ロシアもインドも普通選挙を行う自由な議会制民主国であるので、
国民を弾圧する中国とは違う。このため、欧米諸国はロシアを敵と
は見なしていない。

それと、ロシアは中国と貿易面で競争競合関係にある。スホイ27
、スホイ30は、中国にライセンス生産しているが、そのコピー版
であるジェット戦闘機を世界に輸出している。ロシアの大事な武器
市場に中国は参入して、ロシアの顧客を奪っている。反対に天然ガ
スの大きな市場はEU諸国であり、このEUに対してロシアは協調
的にする方向である。

このようなことから、イラン問題でも欧米諸国と合同で制裁処置を
取ると述べている。イランに大きな権益を持つため、イラン制裁に
中国のみが反対している。

ロシアからインドへの空母「ビクラマジチヤ」などインドはロシア
武器輸出での大きな顧客であるし、インドの仮想敵国は中国である
ことで、ロシアも中国に対して武器輸出をしない方向である。

インド空母「ビクラマジチヤ」の名前は、イスラム教に破壊された
最後の仏教大学の名前である。インドは仏教もヒンズー教の一派で
ある見ているので、イスラム教への復讐心を名前に込めている。

このイスラム教徒はパキスタンであり、タリバンなどイスラム教強
硬派が問題であると見ている。このパキスタンを支援しているのが
中国であり、中国に対してもインドは警戒している。中国はグワダ
ルに大きな海軍基地を建設中で、その規模が大きい。

露印同盟は確固としている。このため、非同盟諸国の中では中国対
露印が対立している。しかし、非同盟を旗印にしていたので、米国
との同盟が出来にくい。このため、米国とは対中で暗黙的な同盟に
なる可能性が高くなる。

4.中国の動向
中国は明確な戦略を持たずに軍事力拡大を続けてきたが、気が付い
たら、世界的な海軍力になり、インド洋を中心に多数の海軍基地を
持つ大国になっている。

この現実に対応して、海上権力を確保する法整備をしている。相当
に周辺諸国には高圧的な法律になっている。「海陸和合論」とは違
う方向に、中国は向かっている。この高圧的な対応で中国に対して
周辺諸国は警戒をし始めている。インドネシアなど非同盟諸国でも
米国のプレゼンスに期待することになる。周辺国家との紛争に備え
て、有事法体系も整備している。

中国の温家宝首相は、外交政策について「20カ国・地域(G20)財
務相・中央銀行総裁会議など多国間の取り組みを主な土台に、積極
的に国際システム改革のプロセスに参与し、発展途上国の利益を擁
護する」と非同盟諸国の盟主として活動するとした。

どちらにしても、今後、中国が世界覇権獲得に乗り出してきて、自
国を民主化しないし、独裁国家や非民主国家などを支援することに
なる。非民主国家に港湾を作り、そこを拠点として中国海軍は活動
することになる。

5.さいごに
軍事大国ドイツ語圏対その他欧州諸国という第1次大戦前夜の構図
が、再度、世界規模で蘇ったような構図になってきている。第3次
世界大戦に向かって、世界は進んでいくことになりそうである。

心配な構図になってきた。さあ、どうなりますか??

参考:
2884.米国が仕掛ける紛争
http://www.asahi-net.or.jp/~VB7Y-TD/L0/200315.htm
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「海陸和合論」― 新地政学への模索 
             清華大学国際問題研究所教授 劉江永
http://www.peopleschina.com/maindoc/html/fangtan/200607.htm

1.時代遅れの地政学戦略思想
 西側の伝統的な地政学戦略の学説は、その多くが、歴史と地理的
観点から、いかにして世界に覇を称えるかを論じている。19世紀末
の「海の覇権論」も、20世紀初めの「陸の覇権論」も、人類の歴史
を、陸と海の勢力の争う歴史とみなしている。

 しかし、その後の世界の歴史はそうではなかった。例えば2回の世
界大戦においては、「陸の国家」間の戦争もあれば、「海洋国家」
間の戦争もあったのである。戦争の禍機は、帝国主義国家の植民地
と世界の覇権をめぐる争奪から始まり、戦争の結果は、侵略者の徹
底的な失敗に終わった。

 1930年代のドイツ地政学は、ヒットラーがいわゆる「生存空間論
」を提起したように、ただ戦争の発動の口実として利用されたに過
ぎない。そのころ、日本の地政学は「皇道」と「八紘一宇」を「指
導理念」として、大日本帝国の侵略戦争を正当化しようとしたもの
であった。戦後、平和主義が優勢だった日本では、経済地理学の研
究はあるが、伝統的な地政学は、国際政治学界で、いかなる地位も
占めることができなかった。
 
 しかし、現在、伝統的な地政学戦略論は、依然として、米国のグ
ローバルな戦略を策定する上で、重要な拠り所となっている。米国
の一部の人はいまも、米国、日本、オーストラリアなど「海洋国家
」が手を結んで、中国を抑えこむべきだと主張している。
 
 日本でも最近、自国が「海洋国家」であることをあまりにも強調
して、国家戦略を論ずる人が増えているようである。その中には、
日本は「海洋国家」として、日米同盟を強化すると同時に、アジア
太平洋地域の海の国々と緩やかな「海洋連邦」を結成して、「大陸
国家」である中国を牽制し、それによって、日本は「太平洋統合体
のリーダー」になるベきだと主張している人もいるほどである。
 
 これは、時代遅れの「海陸対立論」から来るのであり、中米、中
日の間に地政学的戦略的対抗を生み出すだけで、有害無益である。
したがって、国家の政策決定を誤らず、時代の潮流に順応するため
に、「海洋国家」と「大陸国家」が平和的に協力する「海陸和合論
」を提起することは、特に重要な現実的意義と理論的価値がある。
その理由は、次の通りである。
 
 第1に、「地は政の本なり」と管子が言うように、21世紀の経済の
グローバル化と地域経済統合という趨勢の下で、正しい地政学の樹
立は、まず植民地主義時代の発想の束縛から、脱却しなければなら
ないからである。
 
 第2に、21世紀においては、「海陸対立」より「海陸和合」こそ、
時代の流れである。統計によれば、17世紀から19世紀にかけて商業
のシーレーンなどを巡る戦争は、当時の戦争全体の36%以上を占め
たのに対して、それが20世紀から現在にいたるまで、3%にもなって
いないのである。
 
 第3に、東アジアは、「海洋国家」と「大陸国家」からなってい
るので、「海陸和合」がなければ、いわゆる「東アジア共同体」の
設立は、机上の空論になってしまうからである。実際に、「海陸対
立論」の視点から、「東アジア共同体」構想に反対する人も、日本
国内にいる。だが、このような方々が、「海陸和合」の必要性に少
しでも耳を傾けて下されば幸いである。
 
 第4に、「海陸和合」は、主観的願望や理念であるばかりでなく、
海と陸の国家間に客観的に存在する地理的な経済の相互補完性にも
合致するからである。21世紀においては、平和と協力があってこそ
はじめて、海と陸の国家に持続可能な共同繁栄と共同発展をもたら
すことができるのである。

2.「海陸和合」のあり方と役割
 「海陸和合論」の実質は、平和的なやり方で、海と陸の国家間の
地政学的関係をうまく管理し、利用し、それによってその国や、そ
の地域、また世界の恒久平和と安全、発展と繁栄を促進することに
ある。
 
 その基本的な内容と、追求する基本的な目標は、次のことを含む
ベきであると思う。
 
 第1に、海と陸の国は、互いに侵犯せず、相互に武力行使や武力に
よる威嚇をせず、相互に内政干渉せずに、平和共存を目指すこと。
 
 第2に、海と陸の国は、それぞれ、それ自身の持つ地理的な経済の
優位性を発揮し、平等互恵の経済協力と相互信頼の安全協力を展開
すること。
 
 第3に、海と陸の国は、相互に開放し合い、相手側の発展と相互協
力のために、地理的に有利な条件を提供し、政治対話と話し合いを
通じて、両者の間に存在する矛盾や問題を解決すること。
 
 第4に、海の国と陸の国は、海と陸で線を引いて敵や味方を作るこ
とをせず、平和と協力を共同の目標として、「海陸の調和」の実現
を目指すこと。
 
 第5に、海と陸の国は、「海陸和合」の実現に努力するだけでなく
、さらに「海洋国家」間の「海海和合」も、「大陸国家」間の「陸
陸和合」も、同時に追求しなければならないこと。
 
 「海陸和合」は、アジアの地理的経済関係によって決定されるもの
である。アジア諸国は、山河が相連なり、海洋の島国もあれば内陸国も
あり、また海と陸の両方の特徴を持つ国もある。関係諸国は、互いに隣
り合う地理的な経済の優位性を利用し、海運や空輸、鉄道、高速道路網
を通じて、いくつかの地域経済圏をつなぐアジア広域経済圏を形成す
ることができる。
 
 報道によれば、中韓両国の地方政府は、中国の山東省煙台市と韓
国の仁川との間に、列車を乗せて海を渡るフェリーを就航させよう
と計画している。これによって、オランダのロッテルダムから来た
列車が、海を渡って直接、日本の東京に到着できるようになる。た
だ、この計画の実現は、もし「海陸和合」の国際環境がなければ、
想像することもできない。
 
 「海陸和合」は、海と陸の国の共通利益と相互補完性を体現してい
る。アジアには、中国、日本、韓国などの石油・天然ガスの輸入国もあ
れば、ロシアや中東、中央アジアの多くの産油国もあり、海運やパイプ
ラインの設置で、エネルギーを安定的に輸送して、相互利益をもたら
すエネルギー需給ネットワークが形成できる。
 
 「海陸和合」は、安全保障の分野で、海と陸のエネルギールート
の安全を確保するために、これまでになかった各種の新な脅威と挑
戦に対応するうえで必要である。現在は、アジアの「大陸国家」も
、マラッカ海峡やペルシャ湾を通過して、 原油を輸入し、海運を利
用して、国際貿易に従事しているので、シーレーンの安全保障は、
すでに、海の国家と陸の国家の共同の利益となっている。
 
 安全保障の概念は、すでに伝統的な安全保障の概念を超えている。
海の国でも、陸の国でも単独でテロや海賊を含む国境を越えた犯罪
、生態環境の破壊など、非伝統的な安全保障分野での挑戦に対応し
きれない。国境を越えた協力によってのみ、それに有効に備え、対
処することができるのであろう。
 
 「海陸和合」は、「良好な二国間関係プラス平和的多国間主義」
の道を避けて通れないと思う。アジアにおける「海陸和合」のモデ
ルの一つは、東南アジア諸国連合(ASEAN)10の成功した実践である。
それに、ASEANと中国(10+1)、ASEANと中日韓(10+3)の協力
メカニズムの発展も、「平和的多国間主義」の流れにつながってい
る。それと同時に、なお困難があるにもかかわらず、「6者協議」は
、平和的対話を通して朝鮮半島の非核化を実現する唯一の道であろ
う。
 
 今年4月、中国の温家宝総理がオーストラリア、フィジー、ニュー
ジーランド、カンボジアを訪問し、さらに第1回「中国―太平洋島嶼
国の経済発展協力フォーラム」に出席したことは、「海陸和合」の
新たな一ページを開くものとなった。これに引き続き、中国の胡錦
涛国家主席の米国訪問も、太平洋両岸の2つの大国間の「海陸和合」
を増進した。

3.「海陸和合」と中日米の関係
 「海陸和合」は、「海陸対立」を避け、「海陸のウィン・ウィン
」を実現するうえで必然的な選択であり、中日関係がとるべき方向
でもある。歴史の経験が繰り返し証明しているように、平和と協力
があってこそ、それぞれの国にとって有利である。海と陸で線を引
いて敵や味方をつくり、人為的に「脅威」と「対抗」を作り出すよ
うなやり方では、結局、その国にとって不利になる。
 
 中日両国は、「海陸和合」を追求してこそはじめて、アジアの地
理的経済の巨大な潜在能力を十分に発揮し、中日両国の子孫に幸せ
をもたらすことができる。現在、統計から見る香港を含む中国は、
すでに日本の最大の貿易相手国となっている。日本は「海洋国家」
としても、そのエネルギー、資源、市場は、中国、ロシア、中東国
家などを含む「陸の国家」と切り離すことはできない。したがって
、「海陸和合」の実現は、日本の国益にもっとも合致するのである。
 
 中日両国が、もし交渉を通じて東中国海の係争海域にある石油・
天然ガス資源の共同開発を実現できれば、中日関係史上、初めての
事業となるであろう。両国政府が『国連海洋法条約』の精神に基づ
いて、対立を協力に変え、係争海域で共同開発を実現することを、
私は心から期待している。
 
 現在、日米の一部の人が「中国脅威論」を持っている。それは、
中国の軍事力の増強について、大袈裟な話を真に受けていることか
ら来ている。しかし、中国の経済の速い成長に伴う物価上昇幅がか
なり大きい状況の下で、名目上、毎年2桁の国防費の支出増加率は、
隣国に対する脅威にはまったくならない。実際には、1955年から
1980年までの25年間で、日本の防衛費は17倍に増加し、年平均の増
加率は、2桁以上になった経緯もある。
 
 中日両国が「海陸和合」を実現することは、日米関係を損なうど
ころか、かえって、中日米の3カ国関係の協調的な発展にとって一筋
の活路となることができるであろう。「海陸和合論」は、日米間の
「海海和合」をも提唱しているからである。
 
 米国はいまもなお、中ロを地政学的な戦略競争と警戒の相手とし
ている。しかしもう一方では、「9・11 」(米国の同時多発テロ事
件)以来、かつてなかった安全保障分野から来る圧力などによって
、米国政府は、中ロがテロなど安全保障面での挑戦に、共同対応す
るパートナーとなるよう、促すようになった。
 
 中国の台湾問題について、米国当局は、それを中米関係の戦略的
枠組みの中で、利害をはかりながら、処理しているように思われる。
要するに、未来を展望すれば、中米、中日の間で、長期にわたり、
平和共存と協力拡大ができるかどうかは、アジア太平洋における
「海陸和合」の成敗に関わるキーポイントとなるであろう。
(2006年7月号より)
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弾道ミサイル防衛システムの空中レーザー砲による目標ブースト段
階でのレーザー照射破壊実験が成功しました。米ミサイル防衛局
(MDA; Missile Defense Agency)の2月11日の発表です。
http://obiekt.seesaa.net/article/141048755.html
エアボーンレーザー(空中レーザー)砲の迎撃破壊実験成功の報は
、兵器の新たな時代の幕開けを告げるものとなるでしょう。レーザ
ー兵器による弾道ミサイル迎撃の可能性が開けた事は、将来の技術
革新によって弾道ミサイルが完全無力化される未来すら有り得るの
です。今の技術では射程や威力の関係から、国境線より奥深くに配
置されたICBMを迎撃する手段にはなり得ませんが、SRBMやIRBMを完
封する力を与える事は夢物語ではありません。遠い将来では無く、
近い未来で実現可能です。

今回の実験では2月3日に固体燃料型の弾道ミサイルを実験で撃墜済
みで、2月10日に液体燃料型の弾道ミサイルを実験で撃墜に成功して
います。

> http://www.gizmodo.jp/2007/11/yal1a.html
これは、貨物機ボーイング747をベースに、米軍がレーザー砲を搭載
した「YAL-1A」です。
まず赤外線でミサイルを探知、低出力のレーザーでミサイルを追跡
しながらスピードを算出、最後にメインレーザーが発射されてドカ
ン! だとか。どのくらい遠くのミサイルを補足・爆破できるのか
は、軍事的に内緒にされています。
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年内にも東アジア戦略報告発表=12年ぶり策定へ−米国防副次官補
3月10日8時42分配信 時事通信

 【ワシントン時事】ミッチェル米国防筆頭副次官補は9日、ワシン
トン市内で講演し、東アジア・太平洋地域における安全保障戦略の
指針となる「東アジア戦略報告」(EASR)を12年ぶりにまとめる考
えを明らかにした。中国の軍事力拡大、普天間移設問題を含む米軍
再編が焦点となりそうだ。
 同副次官補は「安全保障に関する米国の関与を(東アジア・太平
洋)地域が再確認できるよう、報告書を出すことを望んでいる。12
年も(EASRを)出していない」と述べた。講演後、記者団に対し「
年内にまとめることを希望している」と述べた。 
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インド、中国にらみ軍拡 戦闘機などロシアから大量購入
2010年3月13日0時17分ASAHI
     
 【ニューデリー=武石英史郎】インドのシン首相は12日、同国
を訪問中のプーチン・ロシア首相と会談し、空母や艦載機の購入を
はじめ軍事分野で幅広い合意に達した。インドは、空母建造で遠洋
進出を本格化させようとしている中国に対抗。同様に対中警戒感を
強めているロシアは、インドへの武器の売り込みを加速させている。 

 インドにとって、ロシアは兵器の60〜70%を供給する最大の
調達先。主力戦闘機の供給や巡航ミサイル、原子力潜水艦の開発な
どで幅広い関係を築いてきた。近年、イスラエルや米国がインドに
急接近する中、総額100億ドルとされる巨額合意でロシアが巻き
返しを図った。 

 会談の目玉は、旧ソ連時代の1987年に配備された空母アドミ
ラル・ゴルシコフ(約4万5千トン)の引き渡しだ。2004年に
9億7400万ドルで基本契約が結ばれたが、インド側が装備の刷
新を求めて価格の調整が難航。今回、23億ドルで妥結し、ロシア
側は12年末までの引き渡しを明言したと伝えられている。 

 インドは現在、英国から購入した空母1隻(約2万8千トン)を
保有している。1950年代に建造され、82年のフォークランド
紛争で使用された年代物で老朽化が激しく、代替艦の入手を急いで
いた。ゴルシコフに加え、南部ケララ州の港で4万トン級の国産空
母を建造中で2014年ごろの就航を目指している。 

 両国間には、ゴルシコフの艦載機ミグ29K戦闘機を16機売買
する契約があり、その一部が昨年末、インド側に引き渡された。イ
ンドは今回、さらに29機を追加購入することで合意し、国産空母
にも配備する方針だ。 

 インドが海軍力整備を図る背景には、62年に国境紛争を経験し
た中国への対抗意識がある。中国は2隻の空母の建造を急ぐ一方、
パキスタン、スリランカ、ミャンマー(ビルマ)で、インドを取り
巻くように港湾を建設。「将来の軍港への布石ではないか」(海軍
筋)とインド側は警戒感を募らせていた。 

インドは、国防予算を09〜10年度に前年度比23.7%増加さ
せ、10〜11年度予算案でも同8%増を計上。5年間で300億
ドルをかけた軍事力近代化の真っ最中だ。 

 最近では軍備開発部門のトップが、中国全土を視野に入れた射程
5千キロの長距離弾道ミサイルの発射実験を1年以内に実施する方
針を表明。ベンガル湾の戦略上の要衝アンダマン諸島で、中国とパ
キスタンを除く東南アジアなどの13カ国の海軍を招き、合同軍事
演習を実施。中国を意識した動きが際立っている。 
==============================
インド・ロシア:軍事協力を強化 タリバンとの和解に憂慮
 【ニューデリー栗田慎一】インドのシン首相とロシアのプーチン
首相は12日、ニューデリーで会談し、アフガニスタンなどでの「
過激主義の台頭」に協力して対処することで合意、軍事関係の一層
の強化も確認した。ともにイスラム勢力のテロ活動に頭を悩ますイ
ンドとロシアが、アフガンで勢力を回復した旧支配勢力タリバンの
周辺地域への影響拡大に懸念を示した格好だ。

 インド外務省によると、両首脳は会談で、アフガンのカルザイ政
権がタリバンを政権に取り込むため和解交渉を進めていることに共
に「憂慮」を表明。「パキスタンからインドに越境してくるテログ
ループの活動」に関するインド側制作のビデオを鑑賞したという。

 一方、両首脳は、ロシアからインドへの空母「ビクラマジチヤ」
(元ロシア空母アドミラル・ゴルシコフ)の売買契約料の上積みや
、ロシアの艦載戦闘機「ミグ29K」29機の売買などでも合意し
、契約書に署名した。昨年12月に締結した両国の民生用原子力協
定に基づき、ロシアがインドに原子炉16基を供与することでも合
意した。

 中国やパキスタンとの緊張が続き、80年代まで準社会主義体制
を敷いていたインドは、旧ソ連崩壊後もロシアとの関係を重視。イ
ンド軍の兵器の約7割は旧ソ連製やロシア製で占められている。
==============================
中国、国際システム改革に積極参加 途上国の利益擁護
 【北京=佐藤賢】中国の温家宝首相は5日の政府活動報告で、外
交政策について「20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議
など多国間の取り組みを主な土台に、積極的に国際システム改革の
プロセスに参与し、発展途上国の利益を擁護する」と強調した。東
南アジア諸国連合(ASEAN)との経済協力や、上海協力機構(
SCO)の枠組みでの連携強化も訴えた。

 温首相は昨年を「中国の国際的地位と影響力を大いに向上させた
」と振り返った上で「地球規模の問題の適切な解決に向けて建設的
な役割を果たす」と力説。特に地球温暖化に関しては「気候変動対
応の国際協力に前向きな姿勢で臨み、国際的な取り組みが新しい進
展を遂げるよう推し進めなければならない」と意欲を強調した。

 台湾との関係では、中台間の自由貿易協定(FTA)にあたる経
済協力枠組み協定(ECFA)の締結に向けた協議を進める方針を
示した。日本に対する言及はなかった。(00:25) 
==============================
中国、国防費7.5%増 「任務多様化に対応」 
 【北京=佐藤賢】中国の全国人民代表大会(全人代、国会に相当
)の李肇星報道官は4日の記者会見で、国防費の増額について「多
様な安全の脅威に対応し、軍事任務の多様化に主に充てられる」と
説明した。遠洋での作戦任務やテロ対策など幅広い任務への対処を
加速する方針を示唆した。ただ、国防費の詳しい内訳は明らかにせ
ず、不透明さが国際社会の中国に対する警戒を増幅させている。

 中国の2010年度(1〜12月)予算案の国防費は前年度実績比7.5%
増の約5321億元(約6兆9000億円)。09年度まで21年連続で2けた
を示してきた伸び率が1けたにとどまるのは1988年度以来、22年ぶ
り。伸び率の抑制は国際社会の「中国脅威論」に配慮した面のほか
、建国60周年で軍事パレードを実施した09年度の実績額が当初予算
より多くなった要因も働いた。

 国防費の国内総生産(GDP)に占める割合は1.4%。李氏は「米
国は4%を超えており、中国は比較的低い」と強調した。ただ、「
軍経費の一部を国防予算に含めていない可能性がある」(台湾の林
中斌・淡江大学教授)との見方もある。 (00:27)
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ロシア、イランへの制裁実施を検討
 フランスを訪れているロシアのメドベージェフ大統領は1日、話し
合いを通じて、イランの核計画を放棄させることができない情況の
下で、ロシアはイランを制裁することもあり得ると明らかにした。 

 これはメドベージェフ大統領が当日フランスのサルコジ大統領と
会談した後述べたもの。メドベージェフ大統領はその中で「国際社
会はイランの核問題について積極的に取り組んできたが、イラン側
から無視され、情勢はかえって"悪化"している。ロシアはイランへ
の制裁を極力を避けようとしているが、しかし、このような情況で
は、制裁の実施を考えざるを得ない」として、「制裁を実施する前
提として、そのやり方は"効果的"であり、"巧妙"なものでなければ
ならないし、一般人を対象としない」と強調した。
 「中国国際放送局 日本語部」 2010年3月2日
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イラン核問題、制裁に依然慎重 中国外務省 
 【北京=佐藤賢】中国外務省の秦剛副報道局長は2日の記者会見
で、イラン核問題について「現在も外交努力の余地が依然あるとみ
ている。関係各国が外交努力を強化して対話のプロセスを維持、推
進すべきだ」と述べ、制裁に慎重な姿勢を堅持する立場を示した。
先週訪中したイスラエルのヤアロン副首相に対しても、対話による
解決に努めるよう求めたことを明らかにした。 (02:40) 
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中国国務院: 「海島保護法」 日本の尖閣諸島/ 南沙諸島にも適用
3月1日11時33分配信 産経新聞
 【北京=矢板明夫】離島の資源開発を管理し、その生態系を保護
する中国初の「海島保護法」が3月1日から施行された。

 昨年12月に可決された同法は、中国近海に浮かぶ6000以上
の無人島に対する管理を強化することが主な目的。これまでは“無
法地帯”の状態に置かれていた島も多く、観光開発のために樹木が
乱伐され、動植物の生態系が深刻な影響を受けるケースもあった。

 無計画な採石の影響も甚だしく、ここ数年で200以上の島が消
滅したという。

 同法では「住民のいない島の所有権は国家に帰属し、国務院(政
府)が国家を代表して島の所有権を行使する」と規定している。

 しかし、日本に対して領有権を主張している東シナ海の尖閣諸島
(中国名・釣魚島)や、マレーシア、ベトナムなど5カ国が領有権
を主張している南シナ海の南沙(英語名・スプラトリー)諸島も同
法の保護対象となっている。

 新法施行に伴って始まる無人島周辺への艦船による巡視活動で、
周辺海域への中国の監視体制が強化されることになり、周辺国の反
発を招く可能性もある。 
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中国で国防動員法成立 有事の軍「法治」整備
 【北京=佐藤賢】中国の全国人民代表大会(全人代=国会に相当
)常務委員会で26日、有事の際のヒトやモノの動きを統制する規定
を盛り込んだ「国防動員法」が成立した。中央や地方政府による民
間物資の備蓄・徴用や、国民動員の規定を明記。安全保障の基本法
である「国防法」を補完する有事法制整備の一環で、法に基づいた
軍の統治を進める狙いがある。

 有事で動員できるのは18〜60歳の男性と18〜55歳の女性で、軍の
後方支援や社会秩序維持の任務に当たる。会社や個人に政府による
民間物資徴用に応じることを義務付ける一方、損失を与えた場合に
政府が補償する規定も盛り込んだ。(1)有事で軍事任務に当たる予備
役の訓練・招集(2)軍用品の開発・生産・修理(3)国防義務意識と愛
国意識の向上――も規定した。(26日 23:02) 
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北崩壊時中ロ共同で北朝鮮占領の可能性も、米研究者
2010年2月19日(金)09:40

【ワシントン18日聯合ニュース】米ハドソン研究所のリチャード・
ワイツ上席研究員は18日、韓米経済研究所主催の討論会に出席し、
「ロシアと南北韓:過去の政策と未来の可能性」と題した研究論文
を発表。北朝鮮が崩壊した場合、中国軍とロシア軍が共同で占領す
るシナリオが考えられると述べた。
 北朝鮮が崩壊すると、人道的次元の災害が生じるのを防ぐと同時
に、北朝鮮の核爆発装置や武器がテロリストや犯罪者、不良政権の
手中に渡る前にこれらを確保するため、他国も軍隊を北朝鮮に送る
ことを考慮する可能性があると見通した。
 その上で、「中国とロシアが、米軍が自分たちの国境に近付くこ
とを許す前に、その地域(北朝鮮)を占領することを望むことが考
えられる」と分析した。中ロはすでにこうした共同占領の総練習と
なり得るウォー・ゲームを実施していると述べ、2005年8月に北朝鮮
に近い地域で重要な軍事訓練を行ったことなどを指摘した。
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堪忍袋の緒が切れた? 
  中国のインド洋シーレーン支配の思惑が不快?
  ロシアがミャンマー軍事政権に虎の子のミグ29戦闘機を供与
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2010年2月17日

 ロシアはミグ29ジェット戦闘機を十機、ミャンマー軍事政権の
空軍へ輸出する。
ミャンマーと言えば国際的孤立をすくって軍事物資、民生物資をひ
たすら援助しているのは中国であり、かわりにアンダマン沖合の無
人島を中国の軍事基地として貸与し、インド洋の海底ガス田の開発
権利を中国に与えた。

だからミャンマーは中国の家来と考えがちである。
実際にミャンマーを南北に縦断する道路を造成しているのは中国企
業、経済の流通を握るのは華僑とされる。

 ジェット戦闘機でいえば、中国がソ連製ミグを模倣した「殲」シ
リーズがあり、とくに「殲10ジェット戦闘機」はロシア製のミグ
29よりはるかに安い。スホイ27,スホイ30は中国がライセン
ス生産をしている。

 にもかかわらず最大援助国の中国を袖にしてミャンマーがロシア
から買う動機はバランス外交以外の何ものでもないだろう。

 ロシアにとって、目の前の動機は輸出競争力である。
 石油、ガスのほかは武器しか輸出品目のないロシアとしては、自
動車産業のテコ入れを本格化させ、てはじめに極東から日本車を追
い出す作戦を09年から開始した。関税を二倍近くに引き上げたた
め、日本からの中古車輸出産業はほぼ壊滅、ロシア向けで潤った日
本海沿岸の諸港湾、新潟、富山、金沢、鳥取などは閑古鳥。

くわえて2012年にウラジオストックAPECを開催するために
極東開発にエンジンがかかり、これを契機に極東に一大輸出工業拠
点を構築する。
 だが米韓条約、日米安保条約、台湾関係法があってロシアの武器
を北東アジアには事実上、輸出できない。



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