3567.日本国債の危機



日本国債の消化が、今後数年のオーダできるかどうか疑問視されて
いる。この対応を亀井金融相は、日本郵政の国営化、限度額の引き
上げなどを行い、郵貯資金を国債消化原資としたい意向である。

しかし、100兆円に迫る財政規模になり、財政赤字は40兆円以
上となり、これらは赤字国債を発行することで日本の政治経済は成
り立っている。しかし、このような政治経済は後数年で成り立たな
くなる。日本国債の消化ができなくなり、長期金利が上昇して郵貯
資金の枯渇が起きて、国債消化の切り札がなくなる。

2009年10月のロンドンで行われたヘッジファンドの会議で、「日本
は新興衰退国だ」と結論づけられたし、11月に明らかにされたIM
Fの世界経済見通しでは、日本の政府債務残高(GDP比)は、2009年
は219%、2014年に246%、2019年には300%になっていると報告され
た。              津田より

0.亀井金融相の思惑
亀井金融相が、いくら郵貯の限度額を撤廃にしても、団塊世代の貯
蓄は定年退職で切り崩されていく。このため、全体の貯蓄量1400兆
円は今後減少していくことになる。後の世代は日本経済が下り坂の
時代になり、貯蓄量を団塊の世代ほど持っていないし、今後もこの
ままの日本経済では持てない。

そして、この団塊の世代の増える預金で日本の国債を郵貯は買って
いた。預金量の1/4程度が日本国債で、この預金運用を郵政民営
化で自由化されると国債消化に支障をきたすと言うのが、亀井金融
相の意見である。国債消化が出来ないと長期金利が上昇して、経済
に大きな悪影響をもたらす。

そのため、財政規律を復活して、なおかつ経済の活性化を行うこと
が必要になる。雇用は企業が作るべきで、雇用を政府が生み出すと
財政規模が拡大するので、日本の持続的な発展はできなくなる。

亀井金融相は、日銀に国債受け入れを迫ったが、財政法第5条で日
銀は国債受け入れが出来ない。しかし、国会の議決を経た金額の範
囲内では、この限りでない。このため、現時点で長期国債保有額も
50兆円で、全銀行券発行残高は80兆円であり、差が30兆円し
かない。しかし、この30兆円は1年間の国債発行の量以下である。

もし、お札の量以上に国債発行を容認すると歯止めが効かずに日銀
・政府の信用を失い、国民や銀行は国債を売って海外の通貨に逃避
することになる。このため、円が暴落して日銀がいくら国債受け入
れても国債売りが国債売りを引き起こす。また円が暴落してハイパ
ーインフレが起こり、国債発行ができなくなるので財政破綻が迫っ
てくる。このため、戦前の教訓を元に戦後、財政法が出来たのであ
る。

このため、日銀サイドは、亀井金融相の日銀の国債受け入れの意見
に反対して「(市場に)財政ファイナンス(財政の資金繰り支援)
と誤解され、長期金利が実体経済の見通しから離れて上昇する副作
用のリスクに注意しなければならない」と述べた。

このように日本国債がギリシャ危機から日本の危機的な将来を予測
され始めている。日本が直面する「深刻な」経済危機のリスクは主
要10カ国G10で最大だと米金融大手ゴールドマン・サックスのジム
・オニール氏は指摘している。このように虎視眈々と日本を狙って
いるヘッジファンドが激しく襲い掛かる時期を待ち受けている。

日本の前にヘッジファンドが目標としたのが英国であり、ポンド下
落が起こっている。大量にポンド売りを仕掛けてくるヘッジファン
ドになすすべがないのが今の英国中央銀行である。これと同じこと
が日本でも起こる可能性がある。

危機的な日本を変える責任があるのは今の民主党政権である。財政
危機を起こした自民党に文句を言っても仕方がない。自民党は野党
であり、現時点では何も出来ない。民主党政権が危機を乗り越える
手段を考えるしかないのである。

1.民主党政権の政策
国債の消化ができないと長期金利が上昇する。そうすると、財政に
占める国債償還費用が嵩み、通常の予算支出ができなくなる。そろ
そろ国債発行量の限界点に来ているが、民主党政権は消費税の切上
げを4年間はしないし、子供手当ては行うなど、財政支出を増加さ
せるマニフェストを公表している。

これには、さすがに拙いと言うので、参院選へマニフェストの見直
しを行うことになる。しかし、そこでは衆議院選挙みたいなバラ色
の夢が書けないことになる。責任政党として財政バランスを見た政
策を書くしかないのである。

しかし、日経世論調査によると見直しが必要と思う政策を複数回答
で聞いたところ、高速道路無料化が52%、子ども手当の創設36%な
ど、財源不足に応じて政策内容を見直すことに一定の理解があるこ
とが分かる。というように自民党政権での財政出動による景気刺激
ではない刺激策を国民も望んでいる。

民間資金を活用した社会資本整備(PFI)を交通インフラに広げ
、東京外郭環状道路など高速道路や整備新幹線、港湾などにも使え
るようにする。PFI推進に向けた法改正も検討し、公共事業費を
削るなかで、民間の資金と知恵をインフラにも活用する。

また、阪大の小野善康教授、元東工大教授を内閣府参与に任命した。
小野教授は、規制緩和など企業活力の向上を狙う政策は人員余剰に
つながると反対で、環境インフラへの財政支出などが需要を増やし
日本経済を活性化させるとしている。このように企業にとっては、
企業減税は無く、環境税導入などで非常に厳しいことになる方向に
日本経済は向いてくることが確実になっている。

日本企業の世界化・グローバル化が待ったなしにの緊急的な課題に
なっていることが、この内閣府参与人事からも分かる。拡大日本を
主導するのは日本企業である。その日本企業が、日本を出て行く覚
悟が問われいる。

2.国内は、環境問題対応
国内産業の成長分野は環境問題対応の設備販売である。菅財務相や
小沢環境相が環境税賛成で、企業の意向を受けた直嶋経産相は環境
税に反対しているが、経団連所属の企業などの意見を聞かないで見
切り発車の可能性が高い。そのため、環境関連分野はこれから成長
分野になる。

すでに東京都は環境条例を作り、CO2排出量削減を1年に600
万kwh以上の電気や石油を使う施設に対して、5年で8%の削減を義
務つけている。これと同じような環境基準ができることが考えられ
る。東京都が環境条例を作成したことで工場を地方に移転する動き
が出たが、今後は日本から工場をアジアに移転させることになる。

ここでも、企業は世界展開をすることになるし、国内産業は環境関
連になる。しかし、この環境系事業だけでは、日本のGDPは不足する
ので、日本文化を前面に出した観光やイノベーションを推進するな
どの企業イノベーションを促進する必要がある。

このイノベーション分野として、2次電池、電気自動車、燃料電池
、スマートグリッドやいろいろな植物を組合せ育てる有機農法、養
殖マグロなど水産業、植物工場、量子ドット、IPD細胞などが出てき
ている。

3.さいごに
日本の思想では、自然と人間が共生して生きることは当たり前であ
った。自然を利用して、農産物を作ることは江戸時代の農業書で研
究されている。江戸時代の本草学では品種改良などの研究がされて
日本は農業生産額が飛躍的に延びている。

このように日本の自然観が今、環境問題を解決するのに必要とされ
ている。有機農法などを見れば、当初、有機農法の農家は江戸時代
の農業書を参考にして、農法を改良している。このように日本の江
戸文化が今、世界にも必要とされている。

この資源を有効利用して、次の日本をつくるしかない。
さあ、どうなりますか??
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郵貯限度額上げ、亀井担当相「決めていない」
 亀井静香郵政・金融担当相は5日の閣議後の記者会見で郵政事業
の見直しに関し、日本郵政への政府の出資比率や郵便貯金の預入限
度額の引き上げについて「まだ決めていない」と語った。預入限度
額は現行法の下でも政令を改正すれば変更できるが、郵政相は「(
郵政見直しの全体像と)同時に示した方がいい」と述べ、先行実施
にはやや否定的な認識を示した。

 郵政見直しを巡っては政府出資と郵貯限度額の扱いが焦点となっ
ている。関連業界への影響も大きいため政府・与党関係者も慎重に
議論を進めており、2月上旬の素案段階では決定を先送りした。郵
政相は今月中旬には決定したい考えだ。(13:09)
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「日銀は国債直接引き受け検討を」金融相
 亀井静香郵政・金融担当相は2日の閣議後の記者会見で「日銀が
国債を直接引き受けて財源を一時的に確保することは、何も不思議
な話でない」と述べ、財政状況が厳しいなかで日銀による国債の直
接引き受けを検討すべきだとの持論を改めて展開した。金融相は「
このような財政状況の場合は大きな仕組みを考えないと(いけない
)」と指摘し、「単純な国債だけでなく、無利子非課税国債の発行
も前向きに検討する時期だ」と述べた。(15:01) 
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国債買い入れに副作用 金利上昇リスクと日銀委員
 日銀の野田忠男審議委員は4日、大津市で講演し、市場からの長
期国債の買い入れを金融緩和のために増やさないのかとの声がある
ことに関して「(市場に)財政ファイナンス(財政の資金繰り支援
)と誤解され、長期金利が実体経済の見通しから離れて上昇する副
作用のリスクに注意しなければならない」と述べた。

 野田委員は「長期金利上昇のリスクは、多くの先進国が直面して
いる」と指摘。今後とも市場に日銀が財政を補てんしているとの誤
解を与えないように、金融調節上の資金供給手段として国債買い入
れを続けていく方針を強調した。

 野田委員は、財政の持続可能性への信認喪失が長期金利急上昇に
つながったギリシャの例を挙げて「(日本も)財政再建の道筋を明
らかに示し、それを適切なタイミングで着実に実行することが重要
」と述べた。
2010/03/04 12:23   【共同通信】 
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Q:日本銀行が国債の引受けを行わないのはなぜですか?
A:日本銀行における国債の引受けは、財政法第5条(注)によっ
て原則として禁止されています(これを「国債の市中消化の原則」
と言います)。

 これは、中央銀行がいったん国債の引受けによって政府への資金
供与を始めると、その国の政府の財政節度を失わせ、ひいては中央
銀行通貨の増発に歯止めが掛らなくなり、悪性のインフレーション
を引き起こすおそれがあるからです。そうなると、その国の通貨や
経済運営そのものに対する国内外からの信頼も失われてしまいます。
これは長い歴史から得られた貴重な経験であり、わが国だけでなく
先進各国で中央銀行による国債引受けが制度的に禁止されているの
もこのためです。

 ただし、金融調節の結果として保有している国債のうち、償還期
限が到来したものについては、「財政法」(第5条ただし書き)の
規定に基づいて、国会の議決を経た金額の範囲内に限って、国によ
る借換えに応じています。

(注)財政法第5条:
すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、
又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはな
らない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た
金額の範囲内では、この限りでない。
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日本はG10で最大の危機リスクに直面−米ゴールドマンのオニール氏 

2月26日(ブルームバーグ):日本が直面する「深刻な」経済危機
のリスクは主要10カ国(G10)で最大だと、米金融大手ゴールドマ
ン・サックス・グループのチーフ・グローバル・エコノミスト、ジ
ム・オニール氏は指摘した。 

  オニール氏は、26日放送のブルームバーグテレビジョンとのイ
ンタビューで、日本は「国内貯蓄が底を突きつつあり、本格的な危
機の可能性に向けて状況がゆっくりと悪化している」との見方を示
した。 

  日銀は23日に公表した1月の金融政策決定会合の議事録で「財
政運営や金融政策運営に対する市場の信認を確保することが一段と
重要になっている」との認識を示した。政府統計によると、日本は
貯蓄率が米国を下回る中、公的債務の規模が家計資産に近づいてい
る。 

  25日の円相場は3週間ぶりの高値に上昇。ギリシャの格下げ懸
念を受け、円で調達した資金を高金利資産に投資するいわゆる円キ
ャリー取引を巻き戻す動きが優勢になり、一時1ドル=88円80銭と
、2月4日以来の高値に達した。 

  オニール氏は「円相場は大いに過大評価されている」と指摘。
ユーロ圏については、ギリシャの債務危機によって域内の政治的つ
ながりが強まり、より強固な共同体になる可能性があるとの見通し
を示した。 
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亀井静香サイト
http://www.kamei-shizuka.net/opinion/050729.html
2,350兆の郵貯・簡保の国民資産を金融市場に委ねることは国
  益に添わない。

 1400兆の個人金融資産の4分の1を占める郵貯・簡保の資金
は現在財投機関を通じ政府系金融機関でのお金の貸し出しや、社会
福祉・教育・公共事業等を行うことにより受注する側の民間企業に
もお金が流れている。あるいは見えざる国民負担と云われる納税義
務の免除についても国庫納付義務があり、国鉄再建時は国庫納付義
務により1兆円を負担しているというように、国民の為に有益な数
々の政策及び事業に使われている。

 また国債の管理政策の観点からみても、560数兆の国債残高の
内4分の1を郵政が保有しているが、民営化して資金運用が自由に
なり、国債の財源として確保できなくなれば金融市場は不安定にな
る。不安定な状況になれば一気に国債が値崩れし長期金利が急騰、
日本の経済は危機的状況にならないとも限らない。

郵貯・簡保は国債の財源として安定的な受け皿であり、必要な社会
保障、教育、公共事業等、これら国の為に使われ、我が国の経済を
安定的に支えている。
要するに集めたお金を無駄なものに遣うのでなく、有益なものに遣
えばいいのであって、お金を集めるのを止めると云うことは国民生
活に重大な影響が生まれる。実際、緊縮財政路線で支出を抑えてい
る現政権下に於いても国債の発行は必要。
350兆の膨大な国民資産を昨年12月のアメリカ国務省の郵政民
営化を求める対日要求に応え、民間金融機関に流れ込むようにして
外資が圧倒的にこれを飲み込んでいった場合、日本経済に与える影
響は決定的にマイナスである。
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民主、参院選へマニフェスト見直し 子ども手当など焦点
2010年2月4日16時26分ASAHI
 民主党は3日、今年夏の参院選に向けて、昨年夏の衆院選で掲げ
たマニフェスト(政権公約)を見直す方針を固めた。子ども手当を
2011年度から満額支給することの是非や、ガソリン税など暫定
税率の廃止を修正するかどうかが焦点となる。向こう4年間の工程
表も含めて新たなマニフェストを作成する。 

 参院選マニフェストは先月中旬に立ち上げた対策チームで検討す
る。細野豪志副幹事長や桜井充参院政審会長のほか、松井孝治官房
副長官、古川元久内閣府副大臣が参加。 
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マニフェスト見直し項目、高速無料化が最多 日経世論調査 
 日本経済新聞社の世論調査で、税収の大幅減などで財源不足が指
摘されている民主党のマニフェスト(政権公約)を巡り、見直しが
必要と思う政策を複数回答で聞いたところ、高速道路無料化が52%
と最も多かった。子ども手当の創設(36%)などが続いており、財
源不足に応じて政策内容を見直すことに一定の理解があることが分
かった。 

 高速道路の無料化は昨年11月調査でも、見直しが必要と思う政策
のトップ(48%)だった。温暖化ガスを2020年までに1990年に比べ
25%削減する目標を見直すべきだという回答は昨年11月の25%から
、今回は17%に低下した。 (09:46)
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交通網整備に民間資金 政府検討、東京外環道は事業費の3割
 政府は27日、民間資金を活用した社会資本整備(PFI)を交通
インフラに広げる方針を固めた。これまでは国の庁舎や病院など「
ハコモノ」中心だったが、今後は東京外郭環状道路など高速道路や
整備新幹線、港湾などに重点を置く。PFI推進に向けた数値目標
や法改正も検討する。公共事業費を削るなかで、民間の資金と知恵
を頼りにインフラを整える。

 内閣府と国土交通省が具体策の検討に着手した。政府が6月にま
とめる成長戦略の一つの柱として盛り込む方向だ。(07:00) 
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内閣府参与に小野阪大教授 経済政策を助言
 経済財政政策を担当する菅直人副総理・財務相は5日、阪大の小
野善康教授を内閣府参与に任命したことを明らかにした。小野教授
は阪大と兼務しながら、必要に応じて菅副総理に経済政策を助言す
る。昨年末の成長戦略の策定では有識者としてヒアリングに呼ばれ
るなど、民主党政権との距離が近いとされる。

 小野教授は規制緩和など企業活力の向上を狙う政策は人員余剰に
つながると指摘。環境インフラへの財政支出などが需要を増やし日
本経済を活性化させると訴えてきた。
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温暖化法、環境税など盛り込みは「無理」 直嶋経産相
2010/02/16 12:11更新IZA

 直嶋正行経済産業相は16日の閣議後会見で、政府が3月上旬に
も国会に提出する予定の「地球温暖化対策基本法(仮称)」に、地
球温暖化対策税(環境税)など温室効果ガス削減の具体策を書き込
むことについて「無理がある」と否定的な見通しを示した。

 環境省は15日に開かれた基本法に関する関係閣僚委員会の副大
臣級会合に、国内排出量取引制度や環境税の導入などを盛り込んだ
素案を提出した。

 これについて直嶋経産相は「(排出量削減の)国際的な枠組みが
決まらないなかで、あまり細部を議論しても仕方がない」と指摘。
排出量取引制度や環境税について「国民の声は賛否両面がある。い
まの時点で、具体的な内容まで決めていくのは率直に言って無理が
ある」とし、「基本法ではあまり踏み込んだ内容は書けないのでは
ないか。書けば先々、(政策的に)齟齬(そご)をきたすのではな
いか」と述べた。
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米、雇用・財政両立に課題 FRB議長、議会に判断促す 
 【ワシントン=大隅隆】バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)
議長は24日の下院金融サービス委員会での議会証言で、追加の雇用
対策と財政赤字の関係について「難しい折り合いを迫られる」と語
り、対策の効果と赤字増大に伴う副作用の関係について議会に判断
を促した。金融市場では米国の財政赤字の増大に懸念が広がり、米
国債の格下げを巡る観測も浮上している。議長の発言は、米政府に
よる財政出動への制約が一段と強まっていることを示した。


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