3561.一人勝ちの米国、危機的な日本



ドバイ危機より大きなギリシャ危機が起きて、米国が利益を得てい
る。中国が米国債を大量に売り出したという報道は見せ掛けだけで
あったことが判明しているし、中国が米国に楯突けない状態になっ
ている。このように米国の一人勝ちが鮮明になってきた。

一方、累積日本国債がGDPの189%にもなり、財政健全化も遅れて
いるために、日本自体がギリシャと同様に国債危機に襲われる可能
性が出ている。そこを狙っているヘッジファンドが出てきた。
           津田より

0.ギリシャの危機
 ギリシャ国債のデフォルト危機でEUは、2月11日の臨時首脳会議
で、財政危機のギリシャを支援することで大筋合意した。

通貨ユーロの信認低下に歯止めをかける狙いがある。ただ、内容は
具体策に乏しく、支援の条件としたギリシャの財政赤字の確実な削
減も実現できるかは不透明で、支援合意が伝えられた11日の外国為
替市場でもユーロ安が一段と進んだ。

しかし、EU当局は、ギリシャがデフォルトに陥った場合にほかの
ユーロ圏諸国に波及し得る影響よりも、救済に伴うモラルハザード
の方を心配しているため、簡単には支援をしない。

ユーロ加盟国に科している財政安定化協定が最重要とEU当局は見
ている。財政赤字3%超なら“罰金”をユーロ参加国に義務付けて
いるのが、財政安定化協定である。

これを守るか財政安定化協定を破るギリシャを守るかという選択を
迫られたら、EUは恐らく財政安定化協定を守るを取るだろう。

ギリシャでは今年、財政赤字がGDP(国内総生産)の12.7%相当に膨
らむ見通しだ。しかし、ギリシャはデリバティブ取引で債務や赤字
の規模をごまかしていたことが判明し、実質の赤字はこれ以上であ
ることが明らかになっている。これではEU当局は支援には動けな
い。

EUの調査団は、今年のギリシャの財政赤字を対GDP比で8.7%に
低下させるのに、36億ユーロ(約4360億円)相当の追加的な措置が
必要だと判断したが、IMFとECBは同国が公約した債務削減計
画を実行するには、既に発表された緊縮策に加え、今年約50億ユー
ロ(約6千億円)規模の歳出削減などが必要との報告をまとめた。

ギリシャは、公務員手当などの追加削減、付加価値税、燃料税増税
などの追加緊縮策を発表する予定だが、24日に大規模ゼネストを行
った労働組合側の反発は必至だ。

このギリシャの動向を見て、ドイツ国民は世論調査で、必要であれ
ばギリシャをユーロ圏から除外すべきとの回答が過半数に上った。
また、3分の2以上がギリシャ支援に反対すると答えた。このため
、当初支援を表明していたメルケル首相もドイツ政府がギリシャへ
の支援することはないとした。

この代わりに財政難に直面するギリシャ政府を支援するため、ドイ
ツの金融機関が動き始めた。今年4〜5月に迫っている国債の償還
ピークへの対応について、ドイツ銀行のアッカーマン頭取がギリシ
ャ政府と協議に入るようだ。

この状況から、一部の大手ヘッジファンドが、ギリシャの債務危機
を理由に、ユーロ売りのポジションを膨らませている。 ユーロが
1ユーロ=1ドルまで下落する可能性が高いとの見方を示した。

この危機から安定的な米国債に資金が戻り、相場は上昇。長期債を
中心に値上がりした。中古住宅販売などの経済指標が市場予想を下
回ったことや、ギリシャ格下げ懸念で米国債に対する安全需要が高
まった。米国債を大量に売り出されても、値下がりが起きないよう
なポジションを作っている。

しかし、今後ギリシャが危機を回避しても、数ケ国で国債の危機が
起こることになる。このため、その都度、米国債は安定的な資金の
逃げ場所として活用ことになる。それも短期的な視野ではだ。

過去の歴史を振り返るロゴフ教授の言葉は異次元の見解になる。

1.過去の歴史から
米ハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は、最近の共著でスペイン
帝国以前まで遡って金融危機や国際破綻の歴史を幅広い見地から検
証している。これによると、銀行危機後には大体、数年のうちに政
府債務の不履行が多く発生する。かつては救済する余力のあった米
国、ドイツ、日本が今は多大な債務を抱え、支援できなくなってい
ることが今後は非常に大きな問題となる。

 1930年代の大恐慌の後には、1950年代初めまで世界各地で対外債
務、対内債務のデフォルトがずるずると続いた。
カーマン(ラインハート・メリーランド大学教授)と私の共同研究
では、この間、実に世界の半分近くの国が政府債務の不履行もしく
はリスケジューリング(債務返済繰り延べ)に追い込まれたことが
分かっている。
1980年代初頭のコモディティ相場の崩落もその後、ラテンアメリカ
諸国を中心とするデフォルトの増加につながった。古くは、ナポレ
オン戦争後の19世紀初頭の混乱期にも、多くの国がデフォルトして
いる。

 カーマンとは、欧州、北米・南米、アジア、アフリカ、オセアニ
アの66カ国の数世紀に及ぶデータを精査したが、多くの国で金融危
機後の3年間で財政赤字が3倍に膨れ上がっていた。周知のとおり、
主要国の多くが今、そのコースを辿っている。
債務が膨らみ、不況が長引き、その後各地で高インフレや金融逼迫
が同時多発した過去と今回だけは絶対に違うと、誰がどうして言い
切れるだろうかと。

このため、ロゴフ教授の結論は明るいものではない。 
 教授はまず増税は避けられないとみている。社会保障や医療費負
担をあわせると最高税率は50%に届くかもしれないといい、401kな
どの節税対策をフル活用することを勧めている。 

 教授が正しければ、いずれインフレが到来するだろう。「仮に先
進国が債務不履行に陥るとすれば、それはインフレが引き金になる
」と教授は語る。 

 カリフォルニア州債のような米国の地方債も債務不履行の危険性
を抱えている。

バーナンキFRB議長も公聴会で追加の雇用対策と財政赤字の関係
について「難しい折り合いを迫られる」と語り、対策の効果と赤字
増大に伴う副作用の関係について議会に判断を促したように財政赤
字と景気刺激策は難しいことになる。

米国債発行上限を現行より1兆9000億ドル(約171兆円)引き上げ、
14兆2940億ドルとする法案にオバマ大統領は署名したが、そろそろ
限界点に来ているようだ。米国では深刻に考えている。

これは日本の方が深刻であり、日本国債も危機的な状況に陥ること
になると心配になる。

2.中国の動向
 米財務省は26日、米国債の国別保有残高の改定値を発表した。そ
れによると、2009年12月末時点で中国の保有残高は8948億ドル
(約79兆6000億円)と世界一を維持。16日の発表で中国は7554億ド
ルとしていたが、大幅な増額修正となった。中国は米国債を売り払
ったら、米国はどのような政策を取るかを検証した。その結果は米
国の怒りを買うことを知った。

このため、温家宝首相は27日、インターネットを通じて国民との対
話に臨み、米国との貿易摩擦について「緩和を希望する。今年が中
米の経済貿易関係であまり穏やかではない1年になるのは望まず、
双方の共同努力が必要だ」と述べた。ということは米国債を売るこ
とはしないし、もう1つの人民元の切り上げも徐々に行うことを宣
言したようなものである。

人民元の切り上げを猛反対していたのは温家宝首相、その人ですか
ら、敗北宣言である。

中国は当分、米国に楯突かないように振る舞い、トラの尾を踏む真
似はしなくなる。時期に今にあらずであるが、米国はインドに武器
輸出を積極的に行い、インドと中国を敵対させて、インドを米国は
助けていくようである。インド洋に中国が進出してきたことでイン
ドは中国を警戒している。

このように今回のことで米国も戦略を一部変更してきた。また、米
中の敵対関係を中国が回避した状態である。

さあ、どうなりますか??
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ギリシャ問題協議 米英独首脳が連携探る
 【ワシントン=大隅隆】オバマ米大統領は26日、ブラウン英首相
、メルケル独首相とテレビ会議を開き、ギリシャの財政問題など経
済・外交政策について協議した。欧州連合(EU)はギリシャの財
政再建を支援することで合意しているが、具体性に乏しいとの見方
が多い。ユーロ相場など市場への影響が広がっており、3首脳はギ
リシャ問題への対応で連携を探ったとみられる。

 英独首脳との協議はギブズ米大統領報道官が同日の定例記者会見
で明らかにした。報道官は「核不拡散、テロ、現下の経済・貿易問
題などについて協議した」と説明。ギリシャ問題については「3首
脳が議論した」と認めたものの、内容については言及を避けた。

 報道官はギリシャ支援について「これまで言ってきた通り、EU
がきちんと行動できるはずだし、そうするだろう」と強調。米国が
関与する可能性は低いとの見方を改めて示した。(11:25)
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6000億円規模の追加削減必要 ギリシャ歳出巡りIMF

 【ローマ=共同】財政危機に陥ったギリシャの財政状況を視察し
た国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)などの専門家
グループは、同国が公約した債務削減計画を実行するには、既に発
表された緊縮策に加え、今年約50億ユーロ(約6千億円)規模の歳
出削減などが必要との報告をまとめた。26日付のギリシャ主要紙が
伝えた。

 政府は近く、公務員手当などの追加削減、付加価値税、燃料税増
税などの追加緊縮策を発表する予定だが、24日に大規模ゼネストを
行った労働組合側の反発は必至だ。

 専門家グループは23〜25日の3日間視察。公表済みの公務員給与
凍結、年金受給年齢引き上げなどの緊縮策では財政赤字を目標の半
分程度しか削減できないと判断した。

 また、欧州連合(EU)のレーン欧州委員(経済・通貨担当)も
来週アテネを訪問し、ギリシャ政府と財政再建問題を協議する予定。
(07:00) 
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EU:ギリシャは財政赤字削減で36億ユーロの追加措置必要
−タネア紙

2月26日(ブルームバーグ):ギリシャ訪問中の欧州連合(EU)
の調査団は、今年の同国財政赤字を対国内総生産(GDP)比で8.7
%に低下させるのに、36億ユーロ(約4360億円)相当の追加的な措
置が必要だと判断した。ギリシャ紙タネアが26日、情報源を明らか
にせずに報じた。 

同紙によると、調査団は今週、ギリシャが予想以上に深刻なリセッ
ション(景気後退)と債務の利払い負担増加のリスクに直面してい
るとの結論に達した。ギリシャ政府は今年の同国経済成長率をプラ
ス0.3%と見込んでいるが、EUは2%のマイナス成長を予想すると
ともに、利払いも10億ユーロ増えると試算。また、脱税摘発による
12億ユーロの税収増という見込みにも疑問を呈したという。 

同紙によれば、ギリシャ政府は来週にEUの行政執行機関、欧州委
員会のレーン委員(経済・通貨担当)と会談し、その後に措置を発
表する予定。追加措置には付加価値税の税率引き上げや燃料税のさ
らなる引き上げ、公務員ボーナスの一段の削減などが盛り込まれる
可能性があるという。 
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独金融機関、ギリシャ支援を検討

 【ベルリン=赤川省吾】財政難に直面するギリシャ政府を支援す
るため、ドイツの金融機関が動き始めた。ブルームバーグ通信は26
日、独政府系金融機関が資金繰り支援を検討していると報道。一方
、独フランクフルター・アルゲマイネ紙はドイツ銀行のアッカーマ
ン頭取がギリシャ政府と協議に入ると伝えた。今年4〜5月に迫っ
ている国債の償還ピークへの対応について助言するとみられる。

 金融市場での信用不安が拡大する場合に備えて欧州連合(EU)
と欧州主要国は水面下で支援策を討議している。これまでも各国政
府の共同出資で救済基金を設立する案などが取りざたされた。ただ
、EUはまずギリシャによる自力の財政再建を優先させるべきだと
の立場を表向きは崩していない。(27日 23:44) 
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独紙世論調査、過半数が「ユーロ圏からギリシャ除外すべき」と回答

[ベルリン 14日 ロイター] 14日付の独紙ビルト日曜版に
掲載された世論調査によると、必要であればギリシャをユーロ圏か
ら除外すべきとの回答が過半数に上った。また、3分の2以上がギ
リシャ支援に反対すると答えた。

 複数の政府高官が週末、ギリシャ支援に懐疑的な見方を示すなど
、メルケル首相率いる連立政権内でも支援に反対する声が高まって
いる。

 調査機関Emnidが実施し、ビルト日曜版に掲載された世論調査では
、53%が、欧州連合(EU)は必要であればギリシャをユーロ圏
から除外すべきと回答した。

 メルケル首相は、ギリシャは取り残されることはないとしながら
も、自らの問題を解決するのはギリシャ政府に任されると述べ、支
援に対して慎重な姿勢を示している。

 世論調査では、67%が、ドイツなどEU加盟国によるギリシャ
支援に反対すると回答した。
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大手ヘッジファンド、ユーロ売りのポジション拡大=報道 
2010年 02月 26日 15:29 JST 

 [ニューヨーク 25日 ロイター] ウォールストリート・ジ
ャーナル紙は25日、一部の大手ヘッジファンドが、ギリシャの債
務危機を理由に、ユーロ売りのポジションを膨らませていると報じ
た。 

 SACキャピタル・アドバイザーズ、ソロス・ファンド・マネジ
メントなど、大手ヘッジファンドの関係者は2月8日にニューヨー
クで開かれた夕食会に参加、その際、一部の参加者は、ユーロが
1ユーロ=1ドルまで下落する可能性が高いとの見方を示したとい
う。  

 「アイデア・ディナー」と銘打たれたこの夕食会は、調査・証券
会社のモネス・クレスピ&ハートが主催。夕食会では、3人の運用
担当者が、欧州の債務危機について話をしたという。 

 このうち、SACの運用担当者、アーロン・コーウェン氏は、ギ
リシャ債務危機でユーロはさらに下落すると予想。ただ、SACが
どのようなユーロのポジションを保有しているかは不明という。 

 ヘッジファンド、ブリッジ・キャピタルのドナルド・モーガン代
表も、ギリシャ危機は拡大し、最終的には米国の社債・地方債・国
債にまで波及すると予測。 
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米国債(26日):上昇、経済指標やギリシャ格下げ懸念
:2月26日(ブルームバーグ)

 米国債相場は上昇。長期債を中心に値上がりした。中古住宅販売
などの経済指標が市場予想を下回ったことや、ギリシャ格下げ懸念
で米国債に対する安全需要が高まった。

 10年債と30年債の利回りは2週間ぶり低水準を付けた。この日発
表された1月の米中古住宅販売は市場の予想外に減少。また第4四
半期(10−12 月)の米実質国内総生産(GDP)改定値では、個人
消費が速報値から下方修正された。市場予想は横ばいだった。

 野村ホールディングの金利戦略責任者、ジョージ・ゴンキャルベ
ス 氏は「今週債券市場ではパーフェクトストームが起きた」とし、
「脆弱(ぜいじゃく)な経済指標や、国家財政懸念、不安定なポジ
ションがパーフェクトストームを呼び込み、利回りの低下につなが
った。市場では不透明感が強く、米国債を売る理由は特に見当たら
ない」と指摘した。
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EU、ギリシャのデリバティブ取引報道について同国に説明を要請
2010年 02月 16日 10:11 JST

[ブリュッセル 15日 ロイター] 欧州連合(EU)は、ギリ
シャが米投資銀行とのデリバティブ取引に関わっていたとする一部
報道について、ギリシャに説明を求めた。ギリシャはこうしたデリ
バティブ取引で債務や赤字の規模をごまかしていた可能性があると
されている。

 米紙ニューヨークタイムズは、ギリシャが将来的な空港着陸料や
宝くじ収益を担保に現金を受け取るデリバティブ取引に関与してい
た疑いがあると報道。得られた現金は債務償却に利用されていたと
している。

 同紙によると、この取引は、ギリシャがユーロ圏に加盟しようと
していた2001年に行われ、融資ではなく為替取引として扱われ
たため、ギリシャはEUの赤字の制限を満たしながら、この取引を
公の目から隠すことが可能だったという。

 ギリシャのパパコンスタンティヌ財務相は15日、同国が金融規
則を軽視した可能性があるとの見方を否定。ギリシャが関与した取
引は当時、許されたものだったと指摘した。

 同相はブリュッセルで、記者団に対し「一部の新聞が報道したデ
リバティブ取引は、当時は合法的だった。こうした取引を利用して
いたのはギリシャだけではない」と述べ、「違法とされた後は、ギ
リシャでは行われていない」と加えた。

 EUの執行機関である欧州委員会は、ユーロスタット(統計局)
が報告を受けていないことから、ギリシャに対し、関与した取引に
ついて説明するよう要請したことを明らかにした。

 欧州委のアルタファジ報道官は15日の定例記者会見で、「ユー
ロスタットはこうした取引について関知していない」と言明。「た
だ、このような報道を受け、ユーロスタットは実際のところすでに
ギリシャ当局に対し2月末までに説明するよう求めている」と述べ
た。

 ギリシャが関与していたとされるデリバティブ取引はEUの財政
ルールに違反しないかとの質問に対しては「実際に取引があったと
すれば、その内容やギリシャ財政への影響についての情報が必要だ。
まだこれらの情報は得られておらず、情報提供を要請している」と
語った。  
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EU、ギリシャ支援合意
 【ブリュッセル=是枝智】欧州連合(EU)は11日の臨時首脳
会議で、財政危機のギリシャを支援することで大筋合意した。

 通貨ユーロの信認低下に歯止めをかける狙いがある。ただ、内容
は具体策に乏しく、支援の条件としたギリシャの財政赤字の確実な
削減も実現できるかは不透明で、支援合意が伝えられた11日の外
国為替市場ではユーロ安が一段と進んだ。

 EUのファンロンパイ常任議長(大統領)は11日、欧州中央銀
行や国際通貨基金(IMF)に協力要請すると表明。「必要であれ
ばユーロ圏安定のために協調行動をとる」と述べ、EUやユーロ圏
各国によるギリシャへの緊急融資もあり得るとの考えも示した。
16日のEU財務相会合で詳細を詰める。

 ギリシャは2010年中に、国債の償還や利払いなどで計532
億ユーロ(約6兆5000億円)を必要とする。しかし、ギリシャ
の長期国債の流通利回りが急上昇し、国債発行による資金調達が難
しくなっていた。

 ユーロも投機筋から売り浴びせられ、支援を否定してきたEUは
方針転換した。

 09年のギリシャの財政赤字は国内総生産(GDP)比で
12・7%で、EU加盟国に義務づけられた「GDP比3%以下」
の基準を大幅に上回る。ギリシャ政府は、公務員給与の1割カット
や増税などで財政赤字の比率を10年に8・7%、12年に2・8
%まで圧縮する計画だ。このうち、EUはまず10年の目標達成を
強く求めたが、10日に計画に反対する数千人の大規模ストがアテ
ネで起きており、計画実現は容易ではない。

 ユーロ圏では、ポルトガルなども財政悪化が問題視されており、
問題収束にはなお時間がかかりそうだ。

(2010年2月12日  読売新聞)
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米国債保有残高、中国がやっぱりトップ 09年末、大幅改定
 米財務省は26日、米国債の国別保有残高の改定値を発表した。そ
れによると、2009年12月末時点で中国の保有残高は8948億ドル
(約79兆6000億円)と世界一を維持。16日の発表で中国は7554億ド
ルとしていたが、大幅な増額修正となった。前回の発表時には日本
の保有残高が1年4カ月ぶりに首位となり「中国のドル資産離れの
象徴」との見方も浮上したが、実際は中国が米国債の最大保有国と
いう状況が続いていた。

 改定値では日本の09年12月末の保有残高は7657億ドルで、今回発
表した中国の残高よりも14.4%少なく、中国に次ぐ2位のままだっ
た。

 米財務省は国別の米国債保有状況について、6月末時点の詳しい
調査に基づき、月次のデータを算出している。今回は26日に09年6
月末時点の詳しい調査がまとまったことに伴い、月次のデータを改
定した。今回は特に大きな修正となり、いったん発表した日中の順
位が入れ替わる事態を招いた。(ワシントン=御調昌邦)(10:43) 
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米との貿易摩擦、中国首相「緩和を希望」
 【北京=佐藤賢】中国の温家宝首相は27日、インターネットを通
じて国民との対話に臨み、米国との貿易摩擦について「緩和を希望
する。今年が中米の経済貿易関係であまり穏やかではない1年にな
るのは望まず、双方の共同努力が必要だ」と述べた。米政府が中国
製タイヤに発動した特別セーフガード(緊急輸入制限)にも言及し
「摩擦は話し合いで解決すべきで、制裁は不要だ」と強調した。

 「新世紀に入り経済が最も困難な1年」とした昨年を乗り切り、
今年を「中国経済が最も複雑な1年」と位置付けた。「経済の安定
的で比較的早い発展」「経済構造調整」「インフレ予想の的確な管
理」の3つの政策課題の関係をどう調整するかが最も重要との認識
を示したうえで「中国経済の発展に自信を持つ」とも語った。(01:26) 
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米、連邦債務上限を171兆円上げ 大統領、財政規律も強調
 【ワシントン=御調昌邦】オバマ米大統領は12日、連邦政府債務
の上限を現行より1兆9000億ドル(約171兆円)引き上げ、14兆2940
億ドルとする法案に署名し、同法が成立した。財政規律を維持する
ために、急を要しない新たな財政支出を含む法案には、増税や他の
歳出削減などの財源確保を必要とする内容も盛り込まれている。

 オバマ大統領は13日、週末恒例のラジオとインターネットを通じ
た演説で、財政規律の重要性を指摘。そのうえで「どこかで歳出を
1ドル削らなければ、1ドルを使えない」と強調した。米政府は雇
用創出に力を入れる方針で「(歳出で)削れるところは削らなけれ
ばならない」と述べた。

 大統領は財政再建には、超党派の協力が欠かせないとの認識を改
めて示した。超党派の委員会を設置することを提案したが、上院が
却下。このため「(法的手続きを伴わない)大統領令で創設する」
と正式に表明した。(13日 22:01) 
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ロゴフ教授:数カ国でデフォルト発生の恐れ−債務増大で

 2月23日(ブルームバーグ):米ハーバード大学のケネス・ロゴ
フ教授は、債務が膨れ上がっていることから、数カ国がデフォルト
(債務不履行)に陥り、米国は歳出削減を余儀なくされる可能性が
あるとの見方を示した。同教授は2008年に大手米銀の破たんを予測
している。 

  国際通貨基金(IMF)調査局長を務めたロゴフ氏は23日、東
京でのフォーラムで講演し、銀行危機後には「大体、数年のうちに
政府債務の不履行が多く発生する。今回もそうなるとみている」と
述べた。 

  同氏はまた、講演後のインタビューで、米国は歳出削減の前に
金融政策の引き締めを行い、市場に「衝撃波」を与える公算が大き
いとの見方を示した。財政政策については、債券利回りが急騰し
「大きな痛みを伴う」増税や歳出カットを迫られるまでは抑制され
ることはないだろうと述べた。 

  出口戦略については、「若干インフレが生じるとしても、緩や
かな金融政策を続けながら、徐々に緊縮的な財政政策を取り始める
こと」が望ましいとの認識を示した。 

  ロゴフ氏はまた、財政赤字問題を抱えるギリシャは最終的に欧
州連合(EU)ではなくIMFに救済されることになると予想。ギ
リシャは財政緊縮計画を「数週間以内に」発表し、EUはつなぎ融
資を行うとみられるが、その規模は長期的には十分ではないだろう
と語った。 
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米、雇用・財政両立に課題 FRB議長、議会に判断促す 

 【ワシントン=大隅隆】バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)
議長は24日の下院金融サービス委員会での議会証言で、追加の雇用
対策と財政赤字の関係について「難しい折り合いを迫られる」と語
り、対策の効果と赤字増大に伴う副作用の関係について議会に判断
を促した。金融市場では米国の財政赤字の増大に懸念が広がり、米
国債の格下げを巡る観測も浮上している。議長の発言は、米政府に
よる財政出動への制約が一段と強まっていることを示した。

 議長は米経済の現状について「失業が最大の問題」と指摘し、政
府・議会が検討する追加の雇用対策についても経済の下支え効果が
あると認めた。ただ、雇用対策の規模が過大になれば財政赤字の懸
念が市場で強まり金利急騰などを招く懸念があり、この関連につい
ては「議会が判断すべきこと」と強調した。

 米政府の財政赤字は国内総生産(GDP)比で10%前後で推移し
ている。オバマ政権の予算教書の中期見通しは4〜5%の水準が続
く可能性を示唆した。 (19:02) 



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