3506.中国の飛躍と問題



 中国の飛躍はすばらしく、2010年には日本を抜いて、世界第二
位の経済大国になることは確実である。

中国は2008年GDP成長率を9.0%から9.6%に上方修正した。名目
GDP総額も31兆4045億元(約420兆円)に膨らみ、世界2位の日本
(約505兆円)に一段と迫ってきた。もう少し高いという予測もある
が、2009年成長率を8%しても中国GDPは約455兆円になる。

中国は、2010年の成長率目標を8%前後に設定したので、2010年に
約500兆円になり、日本は経済成長しないとほとんど並ぶが、人民元
が上昇すると追い抜くことになる。そして、今人民元はドルリンク
で低め誘導されているが、世界第二位の経済大国かつ貿易率40%
以上の貿易国である中国の人民元を低め誘導できなくなる。という
ことで、中国は確実に2010年には日本を抜いて世界第二位の経済大
国になる。
                津田より

0.はじめに
2009年も経済成長をしている様子が分かる。11月の全国電力消費量
は前年同月比27.6%増の3283億8800万キロワット時だったようであ
り、寒波の到来で暖房用の電力消費が伸びたほか、鉄鋼などの生産
増が電力消費をけん引したというが、日本の電力消費率が大幅な減
少であるという違いがある。もう1つが、中国の都市化が急ピッチ
で進んでいる。中国政府の最新の予測では、2010年の総人口に占め
る都市人口の割合は47.7%に達し、農村人口とほぼ肩を並べるまで
になっている。

2010年度8%の目標を達成できるどうかであるが、日本と違って国
債発行もそれほど累積されていない。このため、中央経済工作会議
は金融危機対応でとってきた「積極的な財政政策」と「適度に緩和
的な金融政策」を来年も続ける方針を正式に決めた。

2009年の財政赤字額は9500億元(約12兆6千億円)程度と大幅に拡
大し、国内総生産(GDP)比2%台後半に達したもようだ。10年
は1兆元との見方も出てきた。財政の健全性を示す目安とされるG
DP比3%に迫っているが、来年も3%以内を堅持するという。
というように中国は来年も財政出動を続行するという。

また、中国人民銀行は、危機対応で実施している「適度に緩和的な
金融政策」の継続を確認したが、11月末の通貨供給量(マネーサプ
ライ)が前年同期比29.7%増になったようだ。伸び率は10月末の29.4
%を上回り、最高を更新した。

この資金提供がバブルを起こしているとして、中国政府は不動産開
発業者の土地取得規制を強化し、土地を取得する際に、まず代金の
50%以上を頭金として支払うことを義務付けた。不動産価格の高騰
が続いており、新規制の導入で開発業者の投機的な土地購入の抑制
を目指す。しかし、超低金利の米ドルを使った投機が中国に押し寄
せているために、世界銀行も「東アジアでバブル懸念がある」との
観測を発表している。

このドルが大量に流入してきているが、人民元をドルリンクにして
いるために、人民元の買いに対応するために中国は、大量のドル買
いを行い、人民元の上昇を抑えている。このため大量のドル外貨が
できて、この運用を国家戦略的に使い始めている。

1つが、2兆ドルを超す外貨準備の運用について「金の保有量を3
〜5年以内に6000トン、8〜10年以内に1万トンまで増やすべきだ
」とし、現在の保有量は約1000トンから増やす計画を表明している。
このように金価格が上昇している原因の1つに中国の金買いがある。

また、中国は来年中にも石炭の国家戦略備蓄を始める。世界最大の
石炭生産国だが、今年1〜9月は石炭輸入量が前年同期の約2.7倍
に増え、通年で初めて輸入が輸出を上回るのが確実な情勢。鉄鉱石
や原油の輸入も大幅に増えており、今年に入ってからの海外の資源
会社への総投資額は1兆5000億円規模に達する。というように外貨
を使い、海外の企業買収に乗り出している。

2009年の買収総額は350億ドル(約3兆円)前後に達し、過去最高を
更新するが、資源関連の国有企業を中心に大型M&Aが相次いだほ
か、民営企業が先端技術や新規市場を求めて海外企業を買収するケ
ースも出てきた。その1つとして、民営自動車大手、浙江吉利控股
集団は米フォードの高級車ブランド「ボルボ」(スウェーデン)を
買収する。

1.通商摩擦
中国は日の出の勢いである。40%以上のGDP寄与率である輸出も持ち
直しの兆しが出ている。10月の輸出は前年同月比13.8%減の1107億
6200万ドル(約10兆円)と、4カ月連続で1000億ドルの大台を超え
た。減少率は5月の26.4%を底に改善傾向が鮮明になっている。

しかし、この貿易にからむ通商問題が浮上している。米国は、中国
製のタイヤに続き、油井管にも最大で約99%の反ダンピング課税を
適用すると仮決定したのを受けて、中国はセダン型の米国製自動車
などを対象に反ダンピング・補助金の調査を正式に始めたと発表し
た。これに続いて、EUは中国製革靴への反ダンピング関税の延長
を決定、中国はそれに対抗する形でEU製ファスナーに臨時的な反
ダンピング措置を発動すると発表した。というように通商摩擦が、
中国の市場である欧米同時に起こっている。

このように人民元が為替操作で人為的に低めに抑えているために、
反ダンピングで中国製品は今後も問題を起こすことになる。この人
民元の低め誘導をやめる事を中国は認めていないので、徐々に人民
元を切り上げることになるが、金融市場で、中国人民銀行が人民元
相場の切り上げを再開するのは来年3月の全人代以降になるとの観
測が大勢になってきている。しかし、人民元を切り上げないと欧米
諸国は納得しないことは、周小川総裁も知っているとガイドナー米
財務長官もほんめかしている。

2.FTA
この中国との経済協力を推し進める動きも出てきている。関税撤廃
を軸とした中台間の「経済協力枠組み協定(ECFA)」の協議を
年内に始めることで合意した。中国と東南アジア諸国連合(ASE
AN)は来年から自由貿易協定(FTA)が発効し、関税の撤廃が
本格化する。また、韓国も中国とのFTAに向けた動きを強める。
FTAへの対応で日本の後れが目立ってきている。

東アジア共同体を構築するまでには、いろいろな段階があり、現時
点はFTAを東アジア全体で結ぶ必要があるが、この中心的な行動
を中国は積極的に行っているが、日本は消極的であり、この差が東
アジア共同体の主導権を中国に持って行かれそうな様相になってい
る原因である。

東アジア共同体構想をぶち上げるなら、日本も積極的に行動して行
くことが必要である。特に国内の農業問題を決着させないと難しい。
しかし、このくらいことはコトバを発する前に、準備をしてから言
うべきである。結果、ここでもコトバ先行で、何もしない日本があ
る。

諸外国が鳩山首相を信じられないのは、行動がコトバに伴っていな
いことであるし、コトバを発してからそれと矛盾したことを言うこ
とである。横に逸れた。

3.限界
 中国は1人っ子政策を行ってきたことで、2013年から労働人
口が減少する。中国の現時点を少子化が迫る1980年代後半の日
本と見ると中国もバブル絶頂期の日本のような印象を受ける。世界
の企業や土地を買い、自国の不動産は値上がりして、永遠にこの繁
栄が続くものであるという錯覚に陥ったが、現在の日本とその80
年代後半の反動で経済成長力も弱まってしまった。

このような過去の日本と中国が同じように見えるのは私だけであろ
うか。税収も伸びるので、どんどん新しい分野に予算を付けていく
ことになり、特に道路・鉄道など公共工事で景気が浮揚する。

工場もどんどん出来てきているが、環境に配慮していないために公
害やCO2排出量の大きな工場になっている。このため、日本の環境技
術導入に向け、両国政府が出資する「日中環境基金」の設立を行う
方向である。

また、反体制作家の劉暁波氏に対して国家政権転覆扇動罪で懲役
11年の判決というように自由な思想を持てないことで、自由な発
想を阻害していることで諸外国のコピー製品が横行するし、地域政
府と地域住民との間で多くの紛争を抱えている。しかし、諸外国か
らの民主化要求についても、中国は拒絶している。

紛争を抱えるので、警察力や軍事力の増強を行い、国家財政に対す
る比率も大きくなっている。その分、国民福祉などは手薄である。

その上に、世界的な経済大国になるので、責任も増加する。国連は
中国やインドなど新興国の分担率を引き上げる。分担率引き上げは
経済規模の拡大を反映させており、国連で新興国の発言力がさらに
高まる可能性がある。日本の分担率は12.530%で現行16.624%から
大幅に低下する。反対に中国の分担率は3.189%(現行比で0.522ポ
イント上昇)となる。

今後も世界第二位の大国としての責任を中国は果たしていくことを
求められる。義務をなるべき少なく、しかし権利は主張するという
中国の身勝手が許されるのは、中国経済が伸びている間であり、も
し、中国経済の伸びが止まると、内外の矛盾が噴出してくると見て
いる。

しかし、このような責任に対して、中国はまだ、よく理解していな
いようにも思う。中国も世界的な枠組みの中で動かすしかない。

さあ、どうなりますか?
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中国輸出、回復緩やか 10月減少率改善も景気は公共投資依存
2009/11/12 
 【北京=高橋哲史】中国の輸出に持ち直しの兆しが出ている。税
関総署が11日発表した10月の輸出は前年同月比13.8%減の1107億6200
万ドル(約10兆円)と、4カ月連続で1000億ドルの大台を超えた。
しかし、世界経済の先行きはなお不透明で、輸出の回復は緩やかな
ペースにとどまるとの見方が多い。2009年の貿易黒字は6年ぶりに
前年の水準を下回る見通し。中国経済の回復は当面、公共事業など
投資頼みの局面が続く。

 中国の輸出は昨年11月に前年同月比で減少に転じてから、今年10
月まで1年にわたってマイナスが続いている。ただ、減少率は5月
の26.4%を底に改善傾向が鮮明になっており、輸出額も7月に今年
初めて1000億ドルの大台に乗せた。11月以降は前年の落ち込みの反
動が出ることもあって、市場関係者の間では「12月にも輸出はプラ
スに転じる」との観測が増えている。(07:00) 
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中国、石炭を国家備蓄 今年、初の純輸入国へ2009/11/13 
 【北京=多部田俊輔】中国政府は来年中にも石炭の国家戦略備蓄
を始める。世界最大の石炭生産国だが、今年1〜9月は石炭輸入量
が前年同期の約2.7倍に増え、通年で初めて輸入が輸出を上回るのが
確実な情勢。鉄鉱石や原油の輸入も大幅に増えており、今年に入っ
てからの海外の資源会社への総投資額は1兆5000億円規模に達する。
世界の資源市場での中国の影響力が高まっている。

 中国のエネルギー消費量は全体の7割近くを石炭が占める。国家
エネルギー局の張国宝局長は「石炭への依存は当面続く」とみてお
り、政府はこのほど国営石炭大手の中国神華集団に備蓄基地の整備
などを命じた。(11:38) 
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中・台、年内協議で一致 経済協力協定 2009/11/15 
 【シンガポール=尾崎実】中国の胡錦濤国家主席は14日、アジア
太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を開催中のシンガポール
で、台湾の連戦・元副総統と会談した。関税撤廃を軸とした中台間
の「経済協力枠組み協定(ECFA)」の協議を年内に始めること
で一致した。連氏は来年中の妥結を提案したとみられる。連氏は台
湾の馬英九総統の特使としてAPECに参加した。

 中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)は来年から自由貿易協
定(FTA)が発効し、関税の撤廃が本格化する。台湾は中国との
貿易協定がなく、ASEANとの比較で対中貿易が不利になるとの
懸念が広がっている。このため中国とのECFAの早期締結を望む
声が強まっている。

 台湾で馬英九政権が発足した昨年5月以降、中台関係は急速に改
善したが、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の訪台などを
境にぎくしゃくしていた。会談では連氏が馬総統のあいさつを胡主
席に伝え、胡主席が総統への伝言を託すなど、双方が良好な関係の
アピールに努めた。 (22:31) 
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中国都市人口、5割に迫る 10年政府予測、消費拡大を後押し
 【北京=高橋哲史】中国の都市化が急ピッチで進んでいる。中国
政府の最新の予測では、2010年の総人口に占める都市人口の割合は
47.7%に達し、農村人口とほぼ肩を並べる。都市化の進展は住宅な
ど不動産価格を押し上げるほか、所得の拡大で個人消費を底上げす
る効果が期待できる。ただ生活インフラの整備が追いついておらず
、都市問題が一段と深刻化する恐れもある。

 中国政府が実施した国勢調査によると、08年末の総人口は13億2802
万人。うち都市で生活する人は6億667万人、農村住民は7億2135万
人で、都市人口の比率は45.7%だった。09年以降も都市への人口流
入は続いており、都市人口比率は5割に迫っている。10年代前半に
も都市の人口が農村を上回る公算が大きい。(11:26) 
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中国「金、10年以内に1万トン保有」 政府高官、外貨準備運用で 
 30日付の中国紙、中国青年報によると、国務院(政府)国有重点
大型企業監事会の季暁南主席は2兆ドルを超す外貨準備の運用につ
いて「金の保有量を3〜5年以内に6000トン、8〜10年以内に1万
トンまで増やすべきだ」と指摘した。現在の保有量は約1000トン。
ドル安が続くなか、政府内で金の買い増し論が台頭しているもよう
だ。 

 中国の外貨準備高は9月末時点で2兆2726億ドル。うち約7割を
ドル資産で運用し、金の比率は2%弱にとどまる。最近のドル安を
受け、政府内では外貨準備の運用をドル以外に振り向けるべきだと
の議論が再燃しており、なかでも金は「安全資産」として評価が高
まっているとみられる。 

 世界金協会によると、金の保有量(今年9月時点)は米国が8134
トンで世界一。ドイツの3408トン、イタリアの2452トンが続く。季
主席は外貨準備運用の直接の担当ではないが、今回の発言は政府内
の多数意見を反映しているとの見方が多い。中国が金を本格的に買
い増せば、最近の金価格の高騰に拍車がかかる可能性もある。
(北京=高橋哲史) (19:45)
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中国、インドに投機資金流入 株式・不動産が急騰、バブル懸念も 
 【香港=吉田渉】中国など東アジアやインドへの投資資金の流入
が続き、株式や不動産相場が高騰している。成長への期待が背景に
あるが、超低金利の米ドルを使った投機も目立つ。「東アジアでバ
ブル懸念がある」(世界銀行)との観測も台頭した。中国で5日に
開幕した共産党・政府が来年の経済運営を議論する「中央経済工作
会議」でも資産インフレ抑制策が大きな議題となる見通しだ。 

 投資資金流入は今春から本格化。アラブ首長国連邦(UAE)ド
バイ首長国の信用不安を受けて一時的にアジア投資縮小の動きがあ
ったが、株価や不動産相場は再び上昇基調を取り戻している。 (16:31)
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中国、積極財政を継続 10年方針、金融緩和変えず
 【北京=高橋哲史】中国共産党・政府が2010年のマクロ経済政策
の基本方針を話し合う「中央経済工作会議」が7日、北京で3日間
の日程を終え、閉幕した。金融危機対応でとってきた「積極的な財
政政策」と「適度に緩和的な金融政策」を来年も続ける方針を正式
に決めた。個人消費の拡大など構造改革を急ぐ考えも示したが、世
界経済の先行きに不透明感が残る中で、当面は景気対策を優先する
姿勢を前面に出した。

 中国国営の新華社が伝えた。会議には胡錦濤国家主席(党総書記
)や温家宝首相ら党・政府の首脳がそろって出席。胡主席は「経済
の発展方式の転換を加速させることは重要で、差し迫った課題だ」
と演説した。

 会議は来年の政策運営の主要目標を「マクロ調整の水準を高め、
経済の安定的で比較的速い発展を保持すること」とし、引き続き高
めの経済成長を目指す姿勢を鮮明にした。国内総生産(GDP)の
実質成長率の目標は公表しなかったが、09年と同じ「8%前後」に
設定したとみられる。(00:23) 
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中国不動産、騰勢強まる 販売価格、11月5.7%上昇 
 中国の不動産価格が急上昇している。国家統計局が10日発表した
11月の主要70都市の不動産販売価格は、前年同月に比べ5.7%上昇し
た。金融緩和で膨らんだ投機資金が市場に流れ込み、6カ月連続の
プラスとなった。バブルを懸念する中国政府は住宅の転売を促す優
遇措置の打ち切りを決めたが、景気への配慮から金融緩和策の本格
的な修正には踏み込めないでいる。

 不動産販売価格はマンションなど居住用と、オフィスなど商業用
不動産の両方を含む。11月の上昇率は10月の3.9%を大きく上回った
。都市別にみると、広東省深センが16.6%と突出したほか、浙江省
杭州の9.6%や寧夏回族自治区銀川の8.9%などが大幅な伸びを示し
た。 (20:34) 
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人民元切り上げ「来春以降」 市場で大勢に
 【北京=高橋哲史】金融市場で、中国人民銀行(中央銀行)が人
民元相場の切り上げを再開するのは来年3月の全国人民代表大会(
全人代、国会に相当)以降になるとの観測が大勢になってきた。11
月の輸入が1年1カ月ぶりに前年同月の水準を上回り、輸出もプラ
ス転換が視野に入っている。ただ輸出の先行きに不透明感が残るな
か、政府内では早期の切り上げ再開に慎重論が根強い。インフレが
顕在化するまで元相場の上昇は期待しにくいとの見方もある。

 中国税関総署が11日発表した11月の輸入は前年同月比26.7%増の
945億6000万ドル(約8兆5000億円)で、昨年10月以来、初めてプラ
スに転じた。輸出は1.2%減の1136億5300万ドルと13カ月連続のマイ
ナスだったが、減少率は10月の13.8%を大きく下回った。(07:00) 
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中国、11月末の通貨供給量29.7%増
 【北京=高橋哲史】中国人民銀行(中央銀行)は11日、11月末の
通貨供給量(マネーサプライ)が前年同期比29.7%増になったと発
表した。伸び率は10月末の29.4%を上回り、月ごとの統計データを
さかのぼれる1999年以降の最高を更新した。

 金融機関による11月末の人民元建て融資残高の前月末比の増加額
は2948億元。1〜11月の累計は9兆2100億元に達し、政府の2009年
通年の目標である「5兆元以上」を既に大きく上回っている。
(07:00) 
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中国企業、海外M&A加速 09年最高3兆円に 
 【上海=戸田敬久】中国企業による海外企業のM&A(合併・買
収)が急拡大している。2009年の買収総額は350億ドル(約3兆円)
前後に達し、過去最高を更新する見通し。資源関連の国有企業を中
心に大型M&Aが相次いだほか、民営企業が先端技術や新規市場を
求めて海外企業を買収するケースも出てきた。世界最大の外貨準備
を抱える中国政府の後押しを受け、中国企業による日本企業も巻き
込んだ海外M&Aが加速しそうだ。 

 買収金額は米会計事務所のプライスウォーターハウスクーパース
(PwC)が、トムソン・ロイターのデータをもとに推計した。中
国企業による海外企業の09年のM&Aは11月末時点で前年の3割増
の166件、金額は同3.5倍の335億ドルにのぼる。PwCは通年では買
収金額が350億ドル前後に達するとみており、これまでの過去最高だ
った07年(281億ドル)を大幅に上回る。 (16:00)
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中国の電力消費、11月27%増 鉄鋼など増産で、通年も5%増に 
 【北京=多部田俊輔】中国国家エネルギー局がまとめた11月の全
国電力消費量は前年同月比27.6%増の3283億8800万キロワット時だ
った。寒波の到来で暖房用の電力消費が伸びたほか、鉄鋼などの生
産増が電力消費をけん引した。1〜11月の累計電力消費量は前年同
期比4.8%増の3兆2990億7800万キロワット時となり、2009年通年で
は約5%増に達する見通しだ。

 11月の電力消費を産業別でみると、全体の7割強を占める第2次
産業が31.7%増。特に鉄鋼、化学、冶金、建材が好調だった。外資
系証券アナリストは「素材価格が上昇するとの予測から、需要家が
在庫を積み増したことが生産増につながった」と分析する。

 09年の電力消費量は5月まで前年同月比マイナスが続いたが、6
月からプラスに転じ、9月からは2ケタ増となっている。10年の見
通しについては「最近の勢いからみると、当面の電力需要は堅調に
推移するだろう」(電力会社幹部)との見方が多い。 (20:09)
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土地取得規制、中国が強化 投機的取引を抑制 
 【北京=高橋哲史】中国政府は18日までに、不動産開発業者の土
地取得規制を強化する通知を出した。土地を取得する際に、まず代
金の50%以上を頭金として支払うことを義務付ける。中国では不動
産価格の高騰が続いており、新規制の導入で開発業者の投機的な土
地購入の抑制を目指す。

 通知は財政省や国土資源省、中国人民銀行(中央銀行)など5省
庁が連名で出した。国務院(政府)は14日の常務会議で投機的な不
動産購入を抑制する方針を決めたばかり。今後も不動産取引の規制
策が相次ぐとの見方から、18日の上海株式相場(総合指数)は前日
終値比2%下げた。 (00:35) 
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東アジアFTAの動き活発、中台が交渉を開始へ 日本出遅れ 
 【台北=新居耕治】台湾と中国は22日に双方の交流窓口機関のト
ップが会談し、自由貿易協定(FTA)に相当する経済協力枠組み
協定(ECFA)の交渉開始で合意する見通しだ。来年1月に中国
と東南アジア諸国連合(ASEAN)の間で原則ゼロ関税が実現す
るのを前に、東アジアでFTAを目指す動きが広がってきた。韓国
も中国とのFTAに向けた動きを強める。FTAへの対応で日本の
後れが目立ってきている。 

 中国の窓口機関である海峡両岸関係協会の陳雲林会長は21日に台
湾中部の台中市に入り、22日に台湾側の江丙坤・海峡交流基金会理
事長とのトップ会談に臨む。台湾側は中台対話の正式議題にECF
Aを組み入れて早期に交渉を開始し、来年前半に開く次回の窓口機
関トップ会談で一気に合意したい考え。江理事長は17日の記者会見
でECFAの議題組み入れについて「当然できる」と自信を示した
。 (10:41)
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中国の財政、徐々に悪化 10年の赤字、1兆元の大台も
 中国の財政が徐々に悪化している。2009年の財政赤字額は9500億
元(約12兆6千億円)程度と大幅に拡大し、国内総生産(GDP)
比2%台後半に達したもようだ。10年は1兆元との見方も出てきた
。財政の健全性を示す目安とされるGDP比3%に迫っているが、
来年も3%以内を堅持するという。

 21日付の中国経済紙、第一財経日報によると、財政省財政科学研
究所の賈康所長は19日に北京で開いたフォーラムで、10年の中国の
財政赤字はGDP比2.9%を上回ることはないが、1兆元を突破する
可能性があるとの見方を示した。

 09年の財政赤字は中央分が7500億元、地方債務の肩代わり分2000
億元の計9500億元になったもよう。08年は1800億元(中央分)だっ
ただけに、数倍の規模に膨らんだ。(07:00) 
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中国・吉利がボルボ買収へ フォードと基本合意
 【北京=多部田俊輔】中国の民営自動車大手、浙江吉利控股集団
は23日、米自動車大手フォード・モーターから同社傘下の高級車ブ
ランド「ボルボ」(スウェーデン)を買収することで基本合意した
と発表した。中国の自動車市場は2009年に米国を抜いて世界1位と
なることが確実視されており、急成長する中国メーカーの存在感が
一気に高まりそうだ。

 吉利によると、フォードとは10年1〜3月にボルボ買収を巡る契
約の詳細を詰める。政府などの承認を得て4〜6月に正式に買収す
るとしている。買収金額は公表していないが、約20億ドル(約1800
億円)との観測も出ている。

 吉利はボルボ経営陣や労働組合に、工場や販売網、労働契約など
を維持する方針を打ち出している。雇用維持を目指すボルボや地元
政府の思惑と一致したとみられる。(21:04) 
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中国、EU製ファスナーに反ダンピング措置 欧州とも摩擦激化
 【ブリュッセル=瀬能繁、北京=多部田俊輔】欧州連合(EU)
加盟27カ国が22日に中国製革靴への反ダンピング(不当廉売)関税
の延長を決定、中国商務省はそれに対抗する形で23日、EU製ファ
スナーに臨時的な反ダンピング措置を発動すると発表した。世界経
済の先行きに不透明さが残る中、各国は自国の産業保護や雇用維持
に動いている。油井管などを巡り米国との貿易摩擦を抱える中国が
、欧州との間でも激しい通商対立を展開する可能性が高まってきた。

 EUの反ダンピング関税は中国の革靴が不当な安値で輸出されて
いるとの理由から、2006年から最大16.5%の税率を課すもの。これ
を期限を過ぎた後の10年1月以降も15カ月間、延長することにした。

 革靴業界を抱えるイタリアやフランスなどが延長を支持し、北欧
などが反対したが、制度的には「最長5年」まで可能な延長期間を
15カ月間に圧縮して意見集約した。EU域内でも流通業者や消費者
団体などから「反ダンピング関税の延長で小売価格の上昇につなが
る」との批判がある。(00:11) 
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中国、米国製自動車のダンピング調査開始 首脳会談の焦点に
2009/11/07
 【北京=高橋哲史、ワシントン=大隅隆】米商務省が5日、中国
製の油井管に最大で約99%の反ダンピング(不当廉売)課税を適用
すると仮決定したのを受けて中国商務省は6日、セダン型の米国製
自動車などを対象に反ダンピング・補助金の調査を正式に始めたと
発表した。15日から訪中するオバマ米大統領と中国の胡錦濤国家主
席との首脳会談でも通商問題が大きな焦点となりそうだ。

 中国商務省の姚堅報道官は6日昼に「保護主義的な手法の乱用に
断固として反対し、国内産業の利益を守るための措置を取る」とコ
メント。その数時間後には排気量2000cc以上の米国製セダンとスポ
ーツタイプ多目的車を対象に反ダンピング・補助金調査を始めたと
発表した。米国から直接輸入されるセダンなどは台数が限られてお
り、米企業が実質的に受ける影響は大きくない。中国は米政府が9
月に中国製タイヤを対象に発動した特別セーフガード(緊急輸入制
限)などをふまえ、米国産のイメージが強い自動車で対抗措置を取
ったとみられる。「貿易戦争も辞すべきでない」などと訴える世論
に対する配慮ともいえる。 (01:22) 
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中国、10年の成長率目標は8%前後 工業情報化相が表明
 【北京=品田卓】中国の李毅中・工業情報化相は今週前半に開い
た全国工業情報化工作会議で、来年の中国の経済成長率目標を今年
と同様、8%前後に設定したことを明らかにした。「中央が経済成
長率8%前後という目標を設定したことに基づいて、工業生産の成
長率目標を11%前後に設定した」と述べた。

 中国政府・共産党は12月上旬の中央経済工作会議で、来年の経済
運営の基本方針とともに、実質国内総生産(GDP)伸び率(成長
率)目標を決めた。来年3月の全国人民代表大会(国会に相当)ま
で公表しない見通し。日米欧の成長率が弱い中、中国が何%の成長
率に設定するかは市場の関心を集めていた。

 工業情報化省は中央経済工作会議を受けて省内の工作会議を21、
22日に開き、来年の産業分野の主要目標を決めた。工業情報化相は
同省が所管する産業関連指標の目標を説明する中で、中央経済工作
会議が来年の成長率目標を8%前後に設定したことを説明した。
(00:19) 
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国連予算、新興国の負担上げ決定 中国やインド
 【ニューヨーク=杉本晶子】国連総会は24日未明に本会議を開き
、通常予算について中国やインドなど新興国の分担率を引き上げる
決議案を正式に採択した。分担率引き上げは経済規模の拡大を反映
させており、国連で新興国の発言力がさらに高まる可能性がある。
日本の分担率は12.530%で現行16.624%から大幅に低下する。

 分担率は2010年から3年間にわたって適用される。ブラジル、ロ
シア、インド、中国のBRICsの分担率はそろって上昇。とくに
中国の分担率は3.189%(現行比で0.522ポイント上昇)、ブラジル
は1.611%(0.735ポイント上昇)となる。

 米国の分担率は22.0%で維持されたが、日本や欧州の主要国は軽
減された。日本の分担率は米国に次ぐ2位だが、低下幅は主要国で
最大となった。国連平和維持活動(PKO)予算でも日本の分担率
は低下する。(06:55) 
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中国人民銀、緩和的金融政策の継続を確認 
 【北京=高橋哲史】中国人民銀行はこのほど四半期に1度の金融
政策委員会を開き、危機対応で実施している「適度に緩和的な金融
政策」の継続を確認した。同時に生産能力が過剰な業種などへの融
資を厳しく抑制する方針も示し、ハイテク産業など構造改革につな
がる分野への融資を重点的に増やしていく姿勢を鮮明にした。

 人民銀が24日までに議事要旨を公表した。景気の現状については
「総体として良い方向に向かっている」としたものの「自律的な回
復力は乏しく、構造問題も突出しており、発展方式の転換の必要性
は一段と差し迫っている」と指摘。金融政策を進める上で構造改革
の推進が目標の一つになるとの認識を表明した。

 共産党・政府が今月上旬に開いた中央経済工作会議の決定に基づ
き「インフレ予想の管理」の重要性にも言及。インフレの兆しが表
れれば、金融緩和策を機動的に見直す姿勢をにじませた。 (22:01) 
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中国、08年成長率を9.6%に上方修正 GDP総額、日本に迫る
 【北京=高橋哲史】中国国家統計局は25日、2008年の国内総生産
(GDP)成長率を速報値の実質9.0%から9.6%に上方修正したと
発表した。名目GDP総額も速報値より多い31兆4045億元(約420兆
円)に膨らみ、世界2位の日本(約505兆円)に一段と迫ってきた。

 GDPの上方修正は4年ぶりに実施した経済に関する国勢調査の
結果、第3次産業の数値が当初より増えたためとしている。中国の
ドル換算のGDPは07年にドイツを抜いて米国、日本に次ぐ世界3
位に浮上。09年も8%を超す成長が確実視されており、為替相場の
動向次第では10年にも日本を抜くとみられる。

 GDP総額が膨らんだため、GDPを一定額生み出すために排出
する二酸化炭素(CO2)の量は前年比5.2%減となり、速報値段階
より減少幅が拡大した。中国は11月、単位GDPあたりのCO2排出
量を2020年までに05年比で40〜45%削減する目標を発表したが、08
年までで既に05年比の減少率は12.45%に達したとしている。
(25日 23:55) 
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中国、日本に環境基金の設立提案 環境42事業の協力で合意
 【北京=高橋哲史】日中両国の官民が環境対策について意見交換
する「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」が11月8日、北京の
人民大会堂で開かれた。家電リサイクルや水処理、省エネなど計42
の事業を推進することで合意した。中国側は環境協力を一段と強化
するため、両国政府が出資する「日中環境基金」の設立を提案した。

 フォーラムには日本側から直嶋正行経済産業相、三村明夫日中経
済協会副会長(新日本製鉄会長)、中国側からは李克強副首相、発
展改革委員会の解振華副主任らが参加した。このほか産官学の代表
として日中双方から約500人ずつ、1000人を超す専門家が一堂に会し
た。

 直嶋経産相は「中国のエネルギー消費量は2030年に現在の2倍に
なる」と指摘したうえで「長年にわたる省エネの経験を持つ日本と
、エネルギー消費量が急増する中国の協力は地球温暖化問題の解決
のために必要不可欠」と強調した。(12:27) 
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中国の高い経済成長内包するさまざまな「歪み」2009.11.13

2008年9月の「リーマン・ショック」発生で、世界経済が米国経済に
カップリングして急激に悪化していった局面で、中国政府は同年11
月、総額4兆元(1元=13円で計算すると約52兆円)の大規模な景気
対策を打ち出した。中国の実質GDP成長率は、10-12月期は前年同期
比+6.8%、今年1-3月期は同+6.1%へと急低下していたが、4-6月
期になると経済対策の効果が早くも発現し、同+7.9%へと急速に持
ち直した。雇用を中心とする国内情勢の安定を確保できる、すなわ
ち暴動など社会騒擾の頻発を回避するために必要な最低ラインとさ
れている+8%の成長率を、この段階でほぼ取り戻した。さらに、
7-9月期は前年同期比+8.9%へと、中国の経済成長率はさらに加速
した。

 だが、厳しい言い方をすると、中国経済の高成長は、様々な歪み
を内包している。「世界経済の救世主」として、中国に過度に期待
している一部の楽観論に対し、筆者としては違和感を覚えざるを得
ない。

 一人っ子政策を取り続けてきたことによる人口構成のひずみゆえ
に、高齢化社会の到来が視野に入りつつあるものの、中国の社会保
障制度整備はきわめて不十分なままである。このため、中国人の間
では将来不安が強く、貯蓄率が高止まりしやすい。したがって、中
国の場合、個人消費が経済成長のメインエンジンになってこないと
いう大きな弱点がある。確かに「家電下郷」と呼ばれる農村部での
家電普及策や、自動車の購入促進のための減税・補助金政策は、き
ちんとした成果を上げている。だが、これらは将来分の先食いを含
む耐久消費財の需要喚起策であって、消費全体を持続的に上向かせ
る性質のものではない。

 沿海部の高成長地域に立地している外資系企業は、かなりの程度
輸出に依存しているが、頼みの米国経済が構造不況に陥っているた
め、見通しは明るくなりにくい。中国の今年10月の輸出は前年同月
比▲13.8%で、12カ月連続の減少。1〜10月の累計は前年同期比
▲20.5%。中国当局は鋼材などの品目について、輸出増値税の還付
率を段階的に引き上げるという減税措置を講じるなどして輸出を促
しているが、国内で過剰な製品の輸出をあまりに露骨に促すと、貿
易摩擦が激化してしまう。また、管理変動相場制を取っている外国
為替市場では、人民銀行が人民元の対米ドル相場の上昇を完全に止
めている。1ドル=6.83元前後の狭いレンジ内での推移が1年以上も
続いており、事実上、ドルペッグ状態に戻っていると言えよう。
様々な通貨に対してドル安基調が続いており、人民元がドルに連動
していることから、ユーロなど米ドル以外の通貨に対し、人民元は
結果的に切り下がっている。これも輸出促進策の1つと受け止めるこ
とが可能。実際、ユーロ圏では人民元相場に対する不満が高まって
いる。ただし、グローバルな需要レベルが米家計過剰消費崩壊によ
って大きく下方シフトした後であるだけに、輸出押し上げ効果は限
られざるを得ない。

 中国の高度経済成長実現に大きく寄与してきた輸出が、当面頼り
にならない。消費にもメインエンジンとしての期待はしにくい。消
去法的思考の帰結として、中国の経済成長を牽引するのは、固定資
産投資(公共投資や設備投資)ということになってくる。

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