3503.逆風の力を変換して前に進む



逆風の力を変換して前に進む。 虚風老

 間切って前進するという方法がある。
これは、帆船やヨットが向かい風に対して、三角帆を斜めに使いな
がら向かい風で前進する方法であるそうな。

密教では、<煩悩の力>を「変換」して用い、善のための力となす
ということがある。

柔よく剛を制すでも相手の力の流れを利用する。
力とまっとうに対抗するだけが能ではない。利用しよう。

アメリカの権力といえば、「軍産複合」と「金融=ウォール街」で
あり、オバマ政権でもその内実が変わったわけではない。

アメリカの国防総省はほとんど独立した強い権力を有しておるとい
ってもよい。その中で陸・海・空・海兵などの閥争いもある。普天
間なども、海兵隊がどうしても確保しておきたい戦略上の利益を手
放さないということじゃろう。

日本としては、海軍同士の付き合いは緊密じゃし、これからも重視
していく必要がある。
結局日本の防衛の根幹は「制海権」につきるからじゃ。敵が海を渡
って大量の軍備を補給上陸できないかぎり、根幹が揺らぐことはな
い。「海の方」をもう少し充実させるという手で、渡りをつけると
いう筋はないじゃろうか。

「東アジア共同体」といっても具体的なその利益の狙いは、「域内
の人・モノ・金のスムーズな流れの確保と、安定にある。」その為
にはどちらも各国間の「法的整合性」が必要になるから、それを総
合的にいえば共同体といっておるわけじゃ。昔のEECの枠の取り方じ
ゃな。そこで独仏が無用な形で争わずにすむようになった形にもっ
ていきたいわけじゃ。

で、そこで、現場的に重要なのは「アジアン・シー・ポリス構想」
じゃといっておこう。海上といっても公海がほとんどであるので、
それらは各国海軍・沿岸警備などによって公権力が関与し、あるい
は覇権争いの一部となっておる。
これれの間に確固たる情報・連絡網をカタチにすることが日本の安
全保障上役にたってくると思う。

米中の軍事対話なども進んでおる昨今、日米中三国の海軍の交歓会
などを、佐世保・長崎などでもようしてはどうじゃろうのう。

空でも昔FX自前の戦闘機開発の話しがあった。(米側の逆鱗にふれ
て頓挫したが)実際エンジンだけ少し前のモノ(安定性で定評があ
るやつ)のライセンスを買い取って改良し、機体を日本独自に新し
い設計思想でやるという方法もある。なにもエンジン開発から最新
鋭である必要はないわけじゃしね。
日本の航空産業にとっても、空軍にとっても、「自前」というのは
魅力ある話しじゃがね。

まああまり圧力をかけすぎると、ふくれてそういう動きもでるかも
しれないというふうな風評を流すというのもある。こっちの方がア
メリカは問題視しそうじゃが。

正面から突破しようとしても、国防総省のほうが、国務省や大統領
より力を持っておる場合がある。軍産複合内部の力関係を綿密に分
析しておく必要があるじゃろう。

もちろん中国側の分析もかかせない。

それと、国の機関の防諜報システムって、ちゃんとしてるのかな。
日本はスパイ天国だというけれど、年明けに全部再チェックしたほ
うがええんじゃないかい。各国の国内側エージェントはどうつなが
っておるんじゃろうか?

             虚風老
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経営者は軍学好きが多い。        虚風老
   
 戦術ということにかけては、官僚達の方が、政よりもはるかに長け
ておるようじゃ。
事業仕分けの時にしたって、公開で大衆に受けして、それがパワー
ななるとみると、カウンターで、マスコミ受けする有名人を揃えて
、反対を表明させたりしている。

彼等や、経営者なども(プレジデントなどの特集によくあるように
)昔の武将などの軍略を読むのが好きなのじゃろう。また、実際に
「経営戦略」や、「社内力学」などでは重なる部分やヒントなども
たくさんあるのじゃろう。

官僚達の動きをみると、表では従うふりをして、「数字」ではぜん
ぜんしたがっておらぬのが見える。政治家は「数字」などわからぬ
モノだとたかをくくっておるのやもしれぬ。

官僚達の統率ツールは人事(天下りのポストなどを含めた)であっ
た。その中心が官房である。(大臣官房なんじゃろうけど実体は次
官官房じゃしね)
政がすすめている天下りの禁止や、政への決定権の移行はちっとも
彼等に得するところを与えない。ますます協力したいとはおもわな
いじゃろう。

制度改革をする予定らしいが、省に<常駐>の政務の官房官を置く
必要があるかもしれない。
大臣や副大臣などは国会に出たり、選挙区へ帰ったり省を空けるこ
とが多くなるので、事務の官房長室と同じ部屋に机を並べて、国会
へも極力出ず(本会議ぐらいか)すべての官房へ上がってくる書類
を同じように見ることができるようにしてほうがええのかものう。
組織人にとって、人事こそ死命を制するわけじゃから。

そういえば、財源と国債発行額の上限でいろいろ苦労しておるが、
まあ、国債を引き締めるという態度を<アナウンス>し続けておか
ないと、すぐに長期国債の利率が上がってしまうので、それは続け
ねばならぬじゃろうがの。ちょっとした思惑で反応するからのう。

ところで、外為特会には100兆ぐらい米国債があるんじゃっけ?
まあ、外為にそんなにおいておく必要はないが、米国債を売るとい
うとコリャアメリカが許さぬし、為替にも影響がでるし。

で、10〜20兆ぐらい日銀で買い入れ処理してもらうというのは
できないのじゃろうか?(日本国債を20兆発行するのではなく、
米国債の有りかをかえるだけで20兆の日本円を供給できる)
別に日銀としては、バランスシート上問題はなかろうし、それを担
保にドルも後々市中に供給できるとかできないのかな?このへんは
詳しくないのでわからんが。

戦術が、国内の闘争ばかりに向けられているのは、やや不毛でもあ
る。国際戦略の観点で考える人がいないといけないのじゃが、そん
な人材はちゃんといるのかしらん。

             虚風老

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