3500.ドバイ事情



ドバイ事情
From: 松本

ドバイからのトニー高橋さんを迎えて、異常なまでに面白くて収獲
多大な会となりました。

ドバイに住むようになって15年(ということは現在40歳ですから25
歳という若い時期からということですね)、しかし現地の人たちの
懐に入るのに6年半もかかったというだけあって、その話のひとつひ
とつがすべて驚きであり、感嘆するほかないくらいに濃密なもので
した。

まずは気候が日本にいる者からすれば信じることができないくらい
の猛暑に彩られているということ。
八月の平均気温が50度で、日中は70度、80度になることもあり、昼
間は寝てるほかなく主な仕事や人づき合いは夕刻からで、殆どが夜
中になるとの話。

また砂漠の国なので住所というものがなく、すべて北緯何度、東経
何度で確認し合う由。
男女が1対1で会うのは、ある年齢からはイスラム法により厳禁な
のだが、最近はメールでお互い北緯何度云々で落ち合う砂漠の中の
しかるべき場所を確認し合い、2台の車で隣接するのがデイトのぎ
りぎりの限界だという話にも、砂漠を舞台にしたその情景がイメー
ジとしてありありと思い描けて、妙にセツなくなるほどでしたね。

で、このような過酷な、などと一言で形容してはいけないくらいに
日本とは違う自然条件、気候や風土の只中からイスラム教やキリス
ト教といった一神教が生まれてきたのだということを改めて認識で
きた次第です。
外国の客が一緒の場合も含めて仕事や会議がどんなに大事で忙しく
ても、祈りの時間がくれば、全員が仕事をやめて、祈りに没頭する
との話にも逆に新鮮な感銘を受けたといっておきましょう。

あわせて今回のドバイ・ショックなるものの実体についても「朝日
」等の報道では絶対にわからない話をたくさん聞くことができまし
た。

まずはドバイ開発の主役企業には、今回債務返済の繰り延べを通告
したナキールを含めて三つあり、その企業規模は、三者同格(これ
またイスラム法の規程によりそうなっている由。奥さん4人いる場
合もすべて同等同格に扱わねばならぬというコワ〜イ決まりと全く
同じく、とのこと)で、そのうちのひとつがコケた段階なのだとい
うこと。まだドバイ全体が繰り延べを通告したわけではなく、その
三分の一の出来事とおさえるべきで、もう少し長い目でみる必要が
あるとの話にも納得。

また石油資源に恵まれたアブダビが支援の動きをみせているのは事
実だが、ただしもともとお互い気位が高いし、見返り交渉が難航し
ているので、これまた今後を見守る必要がある、と。

こうやって書いているとキリがないし、もうイスラム法では厳禁の
飲む会に出かけなければならないのでやめますが、日頃目が塞がれ
ているアラブの風土やそれに由来するものの考え方や現状がよ〜く
わかって、この上なく愉快な会でした。
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各位
from:浅山

T/Tさんのお話は参加者全員にとり、初めて聞く話で満載でした。
それだけ地政学的にか?知らない世界、知らされていない世界が「
中近東」、この言葉自体、西欧諸国の大航海時代の造語と思います
が、今の日本で我々は現代のメディアの限界にもある、この少数派
のお仕事を続けておられる方の存在を知る機会になりました。
Y様のご紹介にも感謝します。

大航海時代、海賊の収奪から成功した首長が砂漠のオアシスを見つ
けて住み始め、国境を、その幾つかがまとまりながら連邦化して行
き、今に見る産油国へ発展して現代のオイルマネーを得て、安い砂
漠の土地を買いあさり、そこをUAE諸国、ドバイのインフラ整備と開
発してきた歴史。

今回、日本では「ドバイショック」と政財界が慌てる風にメディア
が取り上げているショックを感じていた小生など、その国内事情、
140万人の人口と外国からの出稼ぎ労働者の5倍?相当の数。

さらにそれより再考させられたのは、イスラム教の基本「平等、イ
コール」から来る取り決め方、海岸地域開発ディヴェロッパーのナ
キール、地上開発専門のドバイホールディング、インド・パキスタ
ン・ヨルダン等の外のイスラム社会、三者が支える中で起こったバ
ブル、日本の過去のバブルとは違う、このバブルはソフトランディ
ングになると言う見方で語られました。

この視点から欧米の投資国の動揺があっても、この鼎立の資金調達
方法、中断はあっても問題ないことなどと高橋さんの話は続きまし
た、首長の意思決定で全て決まる、聴く方の中には昔の日本の天皇
制を連想した方も在ったようです。

高橋さんの説明の中に何度か、江戸時代の「為政システムの譜代、
外様のたとえ」の引用がありましたがこれは、後進性を語る意味で
は有りませんでしたが。

聞く者の中には小生を含めて、男女の性差別に感じられる、結婚の
多くが自由恋愛ではなく、見合いであること、4人の妻を得ること
が可能で有ること、そしていつの時代でもあった裏事情とそのハザ
マをかいくぐる知恵(悪?)の存在の話は実に現地で過ごしてこら
れた氏の話は限りない興味が尽きないもの。

「民主主義」と言う制度での後進性を何度か感じていましたが。

しかし、氏の実体験の多くは「言語の区分」にも見られるように「
マシュレック地域、湾岸語」と「マグレル語圏(西アラブ、アルジ
ェリア、パレスチナ北アフリカ、モロッコなど」とあり、謙虚に氏
は前者に多くコミットしている所がある、日本人の首長(総理大臣
)の現地への訪問、これは先述の「イコール」の考え方で首長同士
が合う前提で始まる諸交渉。

そしてその語圏で違う交渉内容の評価の違いなど、日本メディアで
は未だ十分でない指摘などがありました。

ーーこのあたりで背後の廊下をスーツと擦る音が聞こえ、得丸さん
と目が合いましたので、小生が立ち上がり、戸を開けて窺いますと
男が「今、掲示板を取り替えています」と。

後になると小生を見止めた瞬間に即答した男、体格もよくエイジェ
ントの一人と疑えなくも無く、「がらっ」と無造作に開けた小生も
軽率で、昔のこうした時の動作に比べれば、、、、。

いや、長くなりました。

文章中、記憶違いや間違いの表現訂正をお願いします、まだ書きた
いことは続きますが、駄文が長くなりました。
草々



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