3492.日本国家、百年の大計



 日本は、戦略も無く時代の波に漂流すると国家破綻となり、国民
の多くも貧乏になり、衰退した国家になる。このため、時代に漂流
する政権から国家維新を起すべく、政権交代を国民は選択したが、
本当に民主党政権はこの難局を切り抜けられるのか非常に心配にな
り始めている。

閣僚の皆様が、明治維新と同様に死を覚悟して、国民に迎合せずに
国家百年の計を立てて、国民に説明することが今、必要である。
この維新の政権を担う政治家の使命であるはずだ。その使命感が不
足しているように感じる。いろいろなことに迎合しすぎである。何
事も、正しいことを正しく行うことが基本だ。その正しいことに命
を掛けないから迷いが出る。         津田より

0.はじめに
 日本はその時代が難局になると、その難局に合わせたように傑出
した人物が現れる。良いか悪いかは別にして、その1人が小沢さん
であろうと見る。

しかし、小沢さんだけでは国家維新はできない。改革には命を掛け
る、胆力がある人間が何人かいる。その人物がいるかどうかででき
るかどうかが決まる。胆力がある人間とは修羅場を潜り抜けた人物
である。

そして、明治政府ではどんどん方針が変わり、国作りはまず、味方
であるはずの薩摩藩の士族を潰すことから始まる。このようなこと
は胆力がないとできない。

明治政府は西欧文明に追いつくことが正しいことと見たから、味方
の武士をも古臭いと捨てて、国民平等として一君万民の体制にした
のだ。天皇の在りようも西洋風にしていく。

今回の国家維新は、東洋の自然的な科学技術を使って、西欧的な石
油文明からの離脱を図ることと貧富の差がない資本主義を確立する
ことである。この政治維新の観点がないと何をしているのか分から
なくなる。民主党が訴えてきた基本中の基本は何かをもう1度確認
する必要がある。マニフェストはその具現化したものであり、その
方向を間違えると、維新はできずに、また漂流する国家になり日本
は衰退することになる。

この衰退にならないように、このコラムも時の政権にアドバイスを
してきた。自民党が好きとか民主党が好きという概念ではない。

そして、この政権交代に大きな力を発揮したのが、団塊の世代であ
り、この世代は司馬遼太郎の明治維新の群像たちの物語と「坂乃上
の雲」を読んでいる。衰退に向かう日本をこのままではいけないと
して、維新を起すべく民主党に政権を移したのである。その「坂之
上の雲」をNHKは大河ドラマでやる。これが時代の雰囲気である。

団塊の世代の集まりにいき、民主党政権の悪口を言うと、団塊世代
は民主党政権を擁護して反論してくる。若い世代にはそのような雰
囲気はない。若い世代は批判的に民主党政権を見ている。

このように民主党政権は団塊の世代をバックにしているので、強い
のだ。それを国民や沖縄に迎合すると、いつかは失望感に変わる可
能性があるので怖い。団塊の世代は全学連時代であり、改革が好き
なのであろう。若い世代からはそう指摘されている。

もう1つ、リベラル的であり、環境問題の解決に非常にこだわって
いる。下の世代は環境にあまり拘りがなく、自分の収入をどうする
かに拘っている。というように団塊の世代が民主党政権を作ってい
る。その団塊の世代が見放すと政権の動向は分からなくなる。団塊
の世代の支持を取るために、政権は国家百年の大計を立てることで
ある。

戦後の吉田ドクトリンも冷戦終結と米中G2時代には、その戦略の
有効性はないし、日米関係の見直しが必要であり、反対にアジアと
の関係も見直すことである。また、戦後の経済成長戦略としての高
付加価値産業へのシフト戦略もより高付加価値産業がないことと円
高となりその戦略の有効性がなくしている。国家百年を見た新しい
外交戦略や経済戦略が必要になっている。これが国家、百年の大計
が必要な理由である。

そして、次の外交・経済戦略も、資源環境問題や日本人が世界に出
る時代になり、戦略方向性も予測でき、見通せる所まで来ている。
このコラムはその方向性を見通すためにやっている。

これを整理して、国民に見せるだけである。そう難しくない。そし
て、細部はそれが出来る人間を政権は連れてくればよいだけだ。

1.基本方針の確認
 民主党の基本の基本は、政治不信を払拭して国民目線で人間愛に
根ざした自然にもやさしい国家を目指すことではないですか??
このため、「事業仕分け」を国民監視の下で行ったことで、報道機
関が現場を取材しないで否定したが、国民から大きな支持が寄せら
れたのだ。身の丈にあった国家を作るために、ムダを省くことが必
要であり、この有効な手段であることが分かる。

国家財政以上の福祉も教育も出来ない。そうしないと、現在の人間
だけにやさしく、将来の子供達には負担を掛けることになるため税
収の許す範囲で行政を行う必要があるのだ。

国家は国民へのサービスを行うことで、その見返りに税金を納めて
いただいている。その一番にしなければならないサービスは、国民
の生命・財産・文化を現在・将来に渡って守ることである。この基
本的な根底部分での日米安保体制の見直しを無意識に民主党連立政
権は行っているように感じる。

日本の基本戦略の部分での見直しであり、戦略的分析に基づいた見
直しを行う必要がある。鳩山さんの意見は、米国の意図とは違う方
向に向かうことになる。それなら、世界的な情勢分析を的確に行っ
て、対米追従離脱後の姿を想定して、準備することが重要である。

辺野古移転反対として、沖縄の負担軽減という観点でしか見ないこ
とは、それ自体普天間基地の存続ともなり、沖縄の人たちの期待と
も違うことになるし、日本の基礎戦略を変更することになる。吉田
ドクトリンの完全破棄である。

戦後体制の変革として、対米追従から自立するという日本の戦略的
な変更を伴う視点が必要である。東アジア共同体でも米国の意図と
は大きくずれている。このため、自主防衛などの検討が必要になる。
鳩山首相を反米のノムヒョン韓国前大統領と同様と見なされると、
在韓米軍撤退の瀬戸際まで行った事態を想定する必要がある。

日本国家、百年の大計が必要になる。米国は今後将来的には、グア
ムまで撤退する方向であり、その意味では日本は対応を検討する必
要が将来には起こることになる。その意味では、鳩山首相の構想は
ありえる。

2.資源環境問題
 鳩山首相は国連で2020年までにCO2排出量を25%削減す
ると宣言した。この具体的な姿を求められている。COP15が不
調でも、日本は公約したことで、その遵守をどこかで世界は求める
ことになる。

もう1つは、シーレーン防衛ができなくなる。米海軍の力で中東諸
国の安定ができている。しかし、この米国が力を無くして、インド
洋のあちこちに海賊が出現する事態が想定できる。この時の日本の
必要な物資はどう確保するかを検討する必要がある。特に基本戦略
的に米軍を頼れないことも想定する必要がある。

技術的な優位はまだ日本にあるが、輸出・輸入が出来ないと日本は衰
退する。この解決を数量的な観点から見る必要があるのだ。

3.戦略の構築
 環境問題は、日本に必要なものをリサイクルすることで、どの程
度の物資が手に入るかを見ることになるし、コストの許容範囲と確
保できる量をバランスシート化することでできる。物資として海外
から必要な量が分かることになる。エネルギーも同様である。太陽
光発電など自然エネルギーとのバランスシートを作ることが重要。

離米することで軍事的なバランスがアジアで崩れることになる。
そのとき、そのバランスを取り戻す手段を考えることである。量的
、質的な量の把握が必要になる。すべて、地道な数値の積み重ねで
ある。

この上で対応手段を模索することである。感覚的な政治的思惑だけ
では、日本の今後の戦略はない。地道な検討が必要なのである。

4.国家、百年の大計
 戦後65年が経ち、世界は変化した。米国の覇権国家としての力
は確実に落ちている。その変化で日本も吉田戦略を破棄して、新し
い戦略を立てることが必要になっている。しかし、日本は覇権国に
はなれない。このため、どこかと同盟・連携を組む必要がある。連
携構築まで自立することも必要である。その上で、日本の将来を見
通すことが重要なのであろう。

どうか、国家百年の大計を立てて、新しい日本の基礎戦略を作って
ほしいものである。

コラム目次に戻る
トップページに戻る