3487.天水の恵み



天水の恵み
                 平成21年(2009)12月4日(金)
              「地球に謙虚に運動」代表 仲津 英治

 最近親交を得た友人で、鉢ケ峯の自然を守る会代表かつ関西雨水市民
の会会員の米道 綱夫さんという方がいます。雨水の利用に関して、自
宅のお風呂はおろか飲料水化を目指すなど、大変な取り組みをし、記
録も丹念にとり、論文などを発表している方です。

 彼に刺激されて、私も天水(雨水)の利用をさらに心がけるように
試み始めました。かといって米道氏のように本格的雨水貯水タンクや
ポンプを設けて利用推進を図るのは、工事、経費も要し、出来上がっ
てからのマメさが相当必要と思われるので、身近にあるものを活用す
ることにしました。
 今までは、単に塗料などの入っていたプラスチック空き缶を庭に置
いていただけなのですが、この貯水だけでは庭木、プランターなどに
水遣りしますとすぐ底をついて水道のお世話にならざるを得ませんで
した。例え50ミリの豪雨が降っても空き缶に溜まる雨水は深さ50
ミリしかない訳です。

 ところが9月に勝手口側に取り付けている洗濯干しのための小屋根
(自動車用の屋外車庫のようなイメージのもの)から、集中的に水滴
がポタポタと落ちていることを発見したのです。小屋根の樋には14
箇所の直径25ミリくらいの穴を開けてあり、そこから水滴が下の生
垣に落下して庭木を潤している単純なものです。ところが、14箇所
の穴からは均等に水滴が流れ落ちているのではなく、そのうちの4箇
所辺りに集中してポタポタと連続的に水滴が落下しているのでした。

 これだと思い、その4箇所の穴の下に4個のプラスチックバケツを置
いておきますと、雨天の折、一夜にしてバケツには溢れんばかりに
雨水が溜まっていたのです。
 小屋根の面積は2メートル掛ける6.3メートルで約12.6平米あり
ます。しかし家の大屋根が上に被っており、有効面積は0.9メート
ル掛ける6.3メートル=5.7平米位です。そこに降る雨は旧志賀
町の年間雨量2.080ミリ=2.08メートルとしますと,単純計算で
すが、年間雨水量は約12立米=1.2万m2にもなります。18ml缶
にして660杯分です。全部これら雨水を集めることはできないに
せよ、毎月の水道使用量が11−12立米の我が家(3人家族)に
とっては1ヶ月分くらいの水量となります。確かに10ミリ程度の降
雨でも57ミリの水量が得られる計算となり、18ml缶3杯分です。
シトシト雨でも一晩で4つのバケツが一杯になるはずだと納得が行
きました。

 年間12立米の雨水をフル活用できれば、水道水1立米あたり0.58
kg の炭酸ガスを排出しているそうですから、年間約7kgの炭酸ガス
を減らせることにつながりましょう。
また、今まで生垣が一部を吸収し、地下浸透していた雨水は、プラン
ターなどの水源となりました。生垣にはそのまま水滴が降り注いで
いますから、彼らの水分は奪っていません。

 それから3ヶ月、数日から10日位毎に降る雨で4杯のバケツは、
貯水が切れたことが無く、常に鉢植え、野菜プランター、庭木などの
給水源となってくれています。水道による補給はゼロとなりました。
如雨露(じょうろ)は6リットルの容量で、これ一杯分の水遣りが私
の日課となっています。

 鉢植えと 庭木潤す 雨水かな 四杯のバケツ 乾く間もなし

 我が家では、生ごみをEMぼかし(Effective―Microorganisms=有用
微生物群、光合成菌、乳酸菌、酵母菌をメインとした微生物群を含ん
でいる)を使って堆肥化しています。毎日出る野菜類の切りくず等を
刻んでEMバケツに入れ、EMぼかしを混ぜて、ある程度の量になると
密閉しておきますと1か月位で漬物のような状態になります。それを
プランターの土と混ぜて1ヶ月も置けば、良い堆肥ができるのです。
このプランターを使って野菜をままごとのように作っていますが、EM
バケツの底には醗酵液が溜まります。これは下水に流すと下水管に溜
まりがちな堆積物を分解浄化してくれます。家の寿命は水周りで決ま
ると言われます。下水管の浄化は家屋の長持ちにつながります。

 そしてEM発生液は、肥料にもなります。毎日出るEM発生液を先ほ
どの雨水で千倍以上に薄め、鉢植え、プランターと弱った庭木にあげ
ているのです。プランターで収穫できる無農薬野菜は、胃腸を満たす
までは行きませんが、時折食卓に花を添えてくれます。

 また、弱っていた庭木は、今までの経験から枯れてしまうと思って
いましたが、蘇って来たのです。10年程前に植えて、一時枯れ掛
けた息子の手植えの梅は、数年がかりで昨春初めて花を数輪咲かせ
ました。また以前、落下雪の直撃を受けて枝葉も折られ、一時黄色
がかった葉っぱばかりになっていた山茶花は、この4年程のEM発
生液の水遣りで、今冬久々に花を咲かせてくれました。4輪が花び
らを開き、蕾もあります。命の蘇りを実感しています。

 そして今秋から雨水のみで、水遣りを行なうようになり、経費も掛
り、エネルギーも消費している水道水を使わずにすむようになりま
した。天の恵みに対し、深甚の思いを持つようになりました。どな
たが呼んだか正に天水ですね、雨水は。水に恵まれた日本に住むこ
とができる有難さを感じています。

 今回この一文を書きながら、雨上がりに一戸建て住宅街を観察して
見ますと、愛車のための屋根を設けておられる屋外駐車場が多く、
それらの樋、雨水管から結構水滴が地面に落ち、そのまま排水溝に
流れているのが結構目に入りました。あれらの水を遣り水として使
えればな、と思った次第です。

 ただ問題がひとつ。来夏にはバケツの水にぼうふらが湧く事でしょ
う。今飼っているメダカを増やして蚊の発生を防ぐ対策に当てたい
と思っています。 
 別添、写真入り文書もお送りします。ささやかな話題にお付き合
い、有難うございました。

「地球に謙虚に運動」代表


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