3486.ドバイショック後の世界



ドバイ・シュックで、新興国投資案件の見直しが進んでいる。そし
て、世界の投資銀行が、懸念の目で見ている国々として名前が挙が
っているのは、アイルランド、ギリシャ、バルト3国、ウクライナ
、パキスタン、ルーマニア、ブルガリアといったところだ。
            津田より

0.はじめに
 ドルキャリーでドルが大量に米国から世界に、特に新興国や資源
国に流出している。リーマンショック後、円キャリーで流出した円
の巻き戻しで、資金的に世界は大混乱になり、アイスランドなどの
ように多額の海外短期資金が流出して、破綻状況になりIMFに助
けを求めた。

しかし、1年も経ち米FRBの0%金利で円からドルに代わったが
、米銀や米ヘッジファンドを中心として、再度世界にドルキャリー
をし始めている。このため、リーマンショック後、大混乱に陥った
国々は再度、短期資金が舞い戻り、息を付いている。

このように米国が世界に、特に新興国にドル・バブルを輸出してい
ることは明確であるが、バーナンキFRB議長は米上院銀行委員会
で、米国の低金利政策が新興国での資産バブルを助長しているとの
批判について「米国の責任ではない」としている。各国が金融監督
の強化や為替政策の見直しなど、それぞれ取り組むべき問題との考
えを示した。

バーナンキ議長は米経済の実情を踏まえて実質ゼロ金利政策の継続
が適当との考えを示唆し、米投資銀行のレバレッジを利かした海外
への投機で儲けることが米国にとって必要であると言うことである。

FRBの株主であるJPモルガンやゴールドマンサックスの行為が
正当であるとしたのだ。

しかし、ドバイショックで、世界の投資銀行はリスクを意識し始め
て、ギリシャのように、公的債務が120%程度の国で、かつ資源
のない国への投資を見直している。このため、EUは急速に財政悪
化が進んでいるギリシャについて「効果的な対策を講じなかった」
と警告し、抜本的な財政再建策を促した。

このように新興国でのリスクを意識したことで、資金が米国債に戻
り長期金利が3.7%から3.2%に急低下した。それと、金価格
が1200ドル/オンスになり、資金が危険な新興国から安全な金
などに行き、金価格を押し上げている。金や原油など国際商品市場
への投機マネー流入が鮮明だ。持ち高の合計は、底から金で7割急
増し、原油やトウモロコシで1〜3割増えた。このように資源では
インフレの芽が出ている。

もう1つ、資金が向かっている先がある。それがアジアだ。

1.米国の現状
 米国経済はL字的な傾向にあり、なかなか底から抜け出せない。
しかし、下降局面は徐々になくなり、底に張り付く状態になってい
る。このため、米の雇用減は大幅に改善して、11月は1万1000人の
減少であり、失業率は10%に低下した。7〜9月期の米住宅ローンの
差し押さえ・延滞が14%になり、過去最悪になっている。
というように底の状態は続く。

このような底から上昇するためには、米国での生産が必要である。
このためにはドル下落が必要であり、その下落には大量のドルから
他国通貨へのキャリー必要であるが、現時点で実現し下落している。

しかし、日本の円とは違い、中国の人民元がリンクし、かつその中
国と競合関係にあるアジア諸国が、ドル買い介入を繰り返して対ド
ルレートを押し下げているので、米国へのアジアからの輸入商品は
安く、米国内での生産は増えないことになる。このため、雇用問題
は解決しない。リーマン前の日本のように外需にも頼れない。

しかし、この状態は米金融機関、ヘッジファンドにとっては都合が
良いことになる。アジア新興国への投資が安く出来ることになるし
、将来の通貨上昇にも利益を見出すことが出来る。

このため、懸念のある新興国からアジア新興国に投資することが一
層重要になるのだ。このため、中国やインドに米国の資金が集中的
に集まり、高度成長をしている。

雇用問題とアフガン新戦略で、CNNの世論調査では、オバマ政権
支持が48%、不支持が50%となり、政権発足後、初めて不支持が支
持を上回った。先月のギャラップの世論調査でも支持率は49%とな
り5割を割り込んでいたが、不支持率は44%で支持が不支持を上回
っていた。白人層の「大卒以上」では支持率は4ポイント下落にと
どまったが、「高卒以下」では18ポイント下落していることから、
雇用問題が大きいようである。

このため、オバマ「民間部門の雇用促進策について詳細を8日に発
表する」と述べ、新たな雇用対策を打ち出す意向を明らかにした。

2.中国の政策は
 この米金融機関のアジア重点投資に加えて、中国政府は「中央経
済工作会議」で、今後も金融緩和策の継続で合意した。共産党は政
治局会議で来年も今年の基本政策を変えない方針を決めており、こ
の方針を確認したことになるが、中国への資金供給量はとんでもな
い量になることが確実である。

また、中国・外貨管理局も、2兆ドルの外貨準備の運用に関連して
「ドルの基軸通貨としての地位は短期的に変わりようがない」と指
摘し、今後もドル主体の運用を続けるとした。外貨準備に占める米
国債などドル資産の割合は7割程度とみられ、ドル安は外貨準備の
価値下落に直結する。中国はこれまでドル基軸体制の限界を唱えて
きたが、最近になって「ドル擁護」とも取れる姿勢が目立つ。

この裏に通貨マフィアの存在があると見ている。周小川中国人民銀
行総裁とガイドナー財務長官などは30人委員会メンバーであり、
現時点、30人委員会のメンバーのほとんどが国の財務省高官か中
央銀行総裁か経験者で構成されている。

この米中通貨マフィアで、取引がされているようである。米国は金
融機関の中国投資への制限撤廃と米国債買取を要求し、その交換条
件としてドルと人民元のリンクを容認することになっていると見る。

訪中前には米政府は人民元切り上げを要求していたが、現在、米国
では人民元切り上げ問題は下火になっている。

しかし、このため、中国では資金が飽和して、北京や上海のマンシ
ョン価格が上昇しているし、欧米日のブランドが売れて、世界は中
国からの資金で息を付いている状態でもある。

3.日本の現状
 日本の製造業も国内や欧米から新興国へ投資をシフトしている。
国内の二番底を意識して、国内での設備投資は大幅な減少している。
二番底の危機感から、7.5兆円の第2次補正予算と日銀の金融緩
和策の両方の政策を組んだが、企業はまだ、大きな反応をしていな
い。
雇用問題解決には、環境事業などの今後成長が期待できる産業の立
ち上げが必要であるが、まだ環境事業に魅力を感じ、かつ銀行が投
資するほどには燃え上がっていない。

また、クライムメイト疑惑などで、COP15などの国際会議など
でも環境事業はどうなるか見えない状態である。

日本の産業力を見ると、環境事業が一番大きな産業になる可能性を
秘めているので、どうしても環境事業を多角的に展開して、その事
業で、雇用を生み出しかつ世界展開することであると見るが、まだ
政府での明確な戦略が出ていない。

さあ、どうなりますか??

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米、新興国バブル「責任ない」 FRB議長、低金利批判に反論 
 【ワシントン=大隅隆】バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)
議長は3日の米上院銀行委員会で、米国の低金利政策が新興国での
資産バブルを助長しているとの批判について「米国の責任ではない
」と反論した。金融監督の強化や為替政策の見直しなど、各国が
それぞれ取り組むべき問題との考えを明確に示した。FRBが来春
で打ち切る予定としている住宅ローン担保証券の購入に関しては「
必要なら対応する」と語り、延長に含みを残した。 

 バーナンキ議長は米経済の実情を踏まえて実質ゼロ金利政策の継
続が適当との考えを示唆。FRBの金融政策への批判に関しては「
各国当局が為替、金融、財政、金融システム監視などの手段をとれ
る」と強調した。 

 3日の公聴会ではオバマ大統領が求める議長の再任に賛成する議
員が相次ぎ、当初案通り承認される公算が大きくなった。ただ「
FRBは危機を防ぐために何をしたのか」(シェルビー議員)など
の批判も続出。ドッド銀行委員長がFRBから金融監督機能を分離
する上院の金融改革案に同意するよう求めた。 (19:03)
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ギリシャの財政悪化警告 EU財務相理事会 
 【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)加盟27カ国は2日、
財務相理事会を開いた。急速に財政悪化が進んでいるギリシャにつ
いて「効果的な対策を講じなかった」と警告し、抜本的な財政再建
策を促した。独仏伊など主要国は2012〜13年までに財政健全化を達
成する目標を採択し、非常時の財政運営を平時に戻す「出口戦略」
の全体像がほぼ確定する。

 EUは安定・成長協定(財政協定)で、財政赤字の国内総生産
(GDP)に対する比率を3%、政府債務残高の対GDP比率を60
%にそれぞれ抑えるよう加盟国に求めている。金融危機で協定違反
が相次いだことから、執行機関である欧州委員会が各国ごとの新た
な財政健全化目標を提案。今回の理事会の合意を得る予定だ。

 財務相理事会に先立ち、議長国スウェーデンのボリ財務相は「財
政悪化が最も深刻な国にとって健全化までの道のりは長く険しいが
、秩序だった方法ですぐに旅立つ必要がある」と語った。 (22:01) 
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「外貨準備、ドル主体の運用続ける」 中国・外貨管理局が報告書
 【北京=高橋哲史】中国の国家外貨管理局は4日発表した報告書
で、2兆ドルを超す外貨準備の運用に関連して「ドルの基軸通貨と
しての地位は短期的に変わりようがない」と指摘し、今後もドル主
体の運用を続ける方針を表明した。ドルが主要通貨に対して下落傾
向を強めるなか、世界最大の外貨準備を抱える中国はドルを支える
姿勢を鮮明にしている。

 国家外貨管理局は中国人民銀行(中央銀行)の下部組織で、外貨
準備の運用を担当する。報告書は運用方針について「ドルを主体と
して適度に分散し、安定的で多元化された通貨構成にする」と明記
した。

 外貨準備に占める米国債などドル資産の割合は7割程度とみられ
、ドル安は外貨準備の価値下落に直結する。中国はこれまでドル基
軸体制の限界を唱えてきたが、最近になって「ドル擁護」とも取れ
る姿勢が目立ち始めた背景にはこうした事情があるようだ。(01:18) 
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中国、金融緩和の継続を確認へ 経済工作会議が開幕
 【北京=高橋哲史】中国国営の新華社によると、共産党・政府が
来年のマクロ経済政策の基本方針を話し合う「中央経済工作会議」
が5日、北京で開幕した。金融危機対応でとってきた金融緩和策の
継続を確認する見通しだ。

 金融危機対応が最大のテーマだった昨年の中央経済工作会議では
「積極的な財政政策」と「適度に緩和的な金融政策」を今年の基本
方針とした。共産党は11月27日に開いた政治局会議で来年も今年の
基本政策を変えない方針を決めており、今回の会議はこれに基づき
「危機対応の政策を平時の状態に戻すのは時期尚早」との認識を打
ち出すとみられる。(00:19)
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オバマ大統領、不支持50% CNN調べ、支持率を上回る
 米CNNテレビが4日発表したオバマ米大統領の支持率調査で、
支持が48%、不支持が50%となり、政権発足後、初めて不支持が支
持を上回った。同社調査で支持率が5割を切ったのも初めて。世論
調査の直前に大統領が発表したアフガニスタン新戦略への疑問に加
え、雇用情勢への不満を反映したもようだ。

 先月17〜19日に米調査会社のギャラップが実施した世論調査でも
支持率は49%となり5割を割り込んでいたが、不支持率は44%で支
持が不支持を上回っていた。

 CNNの調査はアフガン新戦略の発表翌日の12月2日から3日に
実施。11月13〜15日の前回調査との比較では支持が7ポイント下落
、不支持は8ポイント上昇。白人層の「大卒以上」では支持率は4
ポイント下落にとどまったが、「高卒以下」では18ポイント下落。
CNNは「経済情勢が影響している」と指摘している。
(05日 21:40) 
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米の雇用減、大幅に改善 11月1万1000人、失業率は10%に低下
 【ワシントン=御調昌邦】米労働省が4日発表した11月の雇用統
計によると、失業率(軍人を除く)は10.0%となった。前月に比べ
て0.2ポイント低下し、4カ月ぶりの改善となった。非農業部門の雇
用者数は1万1000人の減少にとどまり、前月の改定値(11万1000人
減)からマイナス幅が縮小した。市場では予想を上回る改善を受け
米株やドルが買われる展開となっている。

 11月の失業率は市場予測の平均(10.2%)を下回り、雇用者数の
減少も予測(12万5000人減)より少なかった。

 雇用者数の減少は23カ月連続となったが、このうちで11月のマイ
ナス幅が最も小さかった。米企業は依然として従業員を増やすこと
には慎重な姿勢を崩していないが、新たな失業者の発生は減ってき
ている。失業者数は1537万5000人で、前月に比べてわずかに減少し
た。(07:00)
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オバマ大統領、新たな雇用対策を8日発表へ【読売】
【米東部アレンタウン=岡田章裕】
オバマ米大統領は4日、ペンシルベニア州アレンタウンで演説し、
「民間部門の雇用促進策について詳細を8日に発表する」と述べ、
新たな雇用対策を打ち出す意向を明らかにした。
対策には中小企業への減税策などが盛り込まれる見通しだ。
オバマ大統領は、11月の失業率が小幅改善したことについて「よ
いニュースだが、いまだ長い道のりだ」と強調。
本格的に失業率が下がるにはなお時間がかかるとの見通しを示し、
「雇用を回復するために、あらゆる手だてを講じなければならない
」と述べた。
オバマ大統領は、国民の生の声を聞いて雇用対策に生かそうと、4
日から全国行脚を開始。今後数か月にわたって全米を回る。
(2009年12月5日12時08分 読売新聞)
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NY連銀、資金吸収策で実証試験へ 将来的な「出口戦略」に備え

 【ワシントン=御調昌邦】米連邦準備理事会(FRB)傘下のニ
ューヨーク連銀は30日、金融市場から資金を吸収する手法である「
リバースレポ」について、数週間以内に実証試験を実施すると発表
した。FRBが米連邦公開市場委員会(FOMC)で同手法を利用
すると決定する場合に備えて、実務面で問題がないかどうかを確認
。将来的な「出口戦略」をにらんで、事前に体制を整備する狙いが
ある。

 ニューヨーク連銀はFRBが決定した金融政策の方針に基づき、
金融市場で資金量の調節などを実施している。このためリバースレ
ポの検討でも実務を担っている。

 リバースレポは市場参加者に国債などを一定期間売却し、資金を
吸収する手法。実証実験は主要金融機関との間で、小規模ながら実
際の取引として実施される。金融市場で、出口戦略の実施時期が近
づいているとの思惑が出ないように「金融政策の姿勢変更を表すも
のではない」と強調している。(10:22) 
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製造業の投資、新興国シフト 09年、欧米向け逆転も 
 日本の製造業が国内や欧米から新興国へ投資をシフトしている。
トヨタ自動車やコマツが2009年度、設備投資全体を絞る中でアジア
向けを増やすほか、住友金属工業はブラジルでの製鉄所建設などへ
の投資を増額。今年は製造業全体の対新興国投資額が対欧米を初め
て逆転する可能性がある。日欧米の景気の足取りが弱い中、成長が
続く新興地域に経営資源を再配分する動きが強まりそうだ。 

 トヨタは09年度の設備投資総額を下方修正して7600億円と前年度
から4割減らす。うち生産能力過剰となっている国内向けが4800億
円へと4割、欧米が1900億円へ5割強の引き下げとなるが、逆にア
ジア向けは700億円へと2割拡大。中国・広州や天津で工場を拡張、
インド第2工場の建設を予定通り進める。 (07:00)
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金の需要、投資が主役に 1〜9月、初めて宝飾品を上回る
 価格高騰が続く金の需要の主役が宝飾品から投資にシフトしてい
る。国際調査機関などが19日発表した1〜9月の世界需給統計によ
ると、投資需要が1996年の調査開始以来初めて宝飾品を上回った。
宝飾品は買い控えが強まる一方、投資需要は機関投資家などのマネ
ーの流入で拡大した。金価格が投資主導で上昇していることが需要
動向からも浮き彫りになった。

 需給統計は金の国際調査機関、ワールド・ゴールド・カウンシル
(WGC)と英貴金属調査会社ゴールド・フィールズ・ミネラル・
サービシズ(GFMS)がまとめた。調査対象は地金やコインなど
の現物で先物は含まない。

 1〜9月の世界の金需要は全体で2958トンと前年同期比17%増え
た。このうち投資需要は1450トンと約3倍に急増、宝飾品需要は1221
トンと25%減った。全体に占める比率は投資が49%、宝飾が41%と
なった。昨年1年間はそれぞれ25%、62%だった。(10:12) 
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差し押さえ・延滞が14%=過去最悪に−7〜9月期の米住宅ローン
11月20日5時41分配信 時事通信

 【ニューヨーク時事】米抵当銀行協会(MBA)が19日発表した2009
年7〜9月期の全米住宅ローン調査によると、住宅ローンを借りてい
る世帯のうち、差し押さえ手続きの対象となったり、返済を延滞し
たりした件数は全体の14.41%(季節調整前)を占め、過去最悪を
記録した。住宅融資の7件に1件が問題を抱えている計算で、高失業
率を背景に借り手の苦しい経済状況が浮き彫りになった。 
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国際商品にマネー流入 金や原油、資金残高1〜7割増 
 金や原油など国際商品市場への投資マネー流入が鮮明だ。投資家
がリスクをとって未決済のまま抱えている持ち高の合計は今年の底
から金で7割急増し、原油やトウモロコシで1〜3割増えた。欧米
の低金利政策で余剰感のある資金が資源高を見込んで商品に向かっ
ているうえ、ドル安傾向を受け、ドル資産から実物資産に乗り換え
る動きも出てきた。マネーは買いが売りを上回る形で流入し、金が
史上最高値を更新するなど相場を押し上げている。 

 米商品先物取引委員会(CFTC)によると、9日時点のニュー
ヨーク市場の金先物の未決済残高は53万500枚(枚は最低取引単位)
。今年の底である1月中旬時点に比べ67%増えた。昨年1月下旬以
来、約1年10カ月ぶりの高水準だ。未決済残高とは市場に残る買い
と売りの持ち高のことで、取組高(とりくみだか)とも呼ばれ市場
の資金量の目安になる。 (16:00)


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