3485.米国のアフガン新戦略



オバマ米大統領はアフガニスタンを巡る新戦略について演説した。
その検討。      Fより

軍事力を使えば、問題が解決するという米国の考え方自体が問題を
生み出し、問題を複雑にしている。宗教上、民族上の対立で起きて
いる問題を米国として有利に軍事力で問題解決できないことは、ベ
トナム戦争で米国は経験している。つい最近のフセイン・イランは
非宗教国家であり、民族的にも多数派を味方に着けたことで、問題
が比較的少なく撤収できたのだ。

しかし、タリバンは宗教団体であり、よりベトナムに近い。この場
合の解決手段として軍事力に頼るのは危険である。しかし、来夏ま
でに約3万人の米軍を追加増派し、イランの削減兵力をアフガンに
回して、アフガンのタリバンとアルカイダを殲滅するという。
米国は、イランと同系とアフガンを見ているようだ。ここで、問題
の立て方を間違えているように見える。

そして、2011年7月に米軍の撤収開始を目指すとした。その間、米
国は農業分野を軸に、民生面でもアフガン復興を全面的に支援する。

そして、ゲーツ国防長官は10年12月に「包括的な再評価を行う
」と表明。その結果次第で新戦略を見直す可能性に言及した。
他国のアフガン支援についても、ゲーツ長官はNATOに5000
〜7000人の増派を求める」と明言。

これに対して、NATOは7000人以上を追加増派することで合意し
た。イタリアは1000人、ポーランドは600人、英国は500人の増派を
それぞれ表明。スロバキア、スペイン、ポルトガルも、前向きな姿
勢を示した。

しかし、「ペシャワール会」現地代表の中村哲医師は、「アフガニ
スタンがテロの主戦場だという基本的な認識そのものが誤りだった
ということを認めない限り米国とイスラム教徒との仲はよくならな
いし、住民のほとんどを敵に回してしまったという点は非常にベト
ナムとよく似ている」と話している。

軍事予算は3兆円追加するというなどから、産学軍の体制が米国に
は出来ていて、イランでの戦費が要らなくなり、軍事費の削減が起
こるのを避けるためにアフガニスタン戦争を拡大したようにも見え
る。

軍事費を削減して、国民皆保険に回すべきであるが、支配階層は自
分達の利権を保護したことになる。どうも、米国社会は金融業界と
産学軍組織の2つが支配階層である。金融業界にはFRBが大量の
資金を流している。このため、もう1つの軍産学の支配階層も資金
を流せと言うことのようだ。

ギャロップ世論調査では、撤退するべき39%、現状維持9%、増
派やむなし47%である。

日本はインド洋からも撤退、普天間移転でも米国と問題を起し、米
国との同盟関係がギクシャクしている。このため、日本の存在感は
米国内で相当薄れることになるようだ。これに対して、日本はアフ
ガンの支援を行うとして5000億円も支出する。

さあ、どうなりますか??
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NATO、7000人以上をアフガンに増派 外相理事会で合意 
 【ブリュッセル=瀬能繁】米欧の軍事同盟である北大西洋条約機
構(NATO)は4日の外相理事会で、オバマ米大統領が1日に発
表したアフガニスタンを巡る新戦略を受け、7000人以上を追加増派
することで合意した。イタリアやポーランドなどが相次ぎ増派を表
明。ドイツやフランスなどは来年1月以降に検討する方針で、各国
の対応は2段階で進む見通しだ。7000人からどこまで増派規模を上
積みできるかが焦点となる。

 ラスムセンNATO事務総長は4日の記者会見で、25カ国が増派
の意向を示し、現時点で増派規模が約7000人に達したことを明らか
にした。米軍が追加増派する約3万人と合わせ「来年に3万7000人
を増派できる。力強い結束のメッセージだ」と強調した。

 イタリアは1000人、ポーランドは600人、英国は500人の増派をそ
れぞれ表明。スロバキア、スペイン、ポルトガルも、前向きな姿勢
を示したもようだ。7日に加盟国の増派計画を集約する。 (21:49) 
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<アフガン新戦略>再評価後見直す可能性を示唆 米国防長官
12月3日11時7分配信 毎日新聞

 【ワシントン古本陽荘】米上院軍事委員会などは2日、オバマ大
統領が発表したアフガニスタン駐留米軍の3万人追加増派を柱とす
るアフガン新戦略に関する公聴会を開き、ゲーツ国防長官らが証言
した。議員からは「2011年7月に撤退開始」とした出口戦略の
解釈についての質問が相次ぎ、ゲーツ長官は10年12月に「包括
的な再評価を行う」と表明。その結果次第で新戦略を見直す可能性
に言及した。

 ゲーツ長官は、撤退開始の時期を明示したことについて「オバマ
大統領の強い意志を明確に示したもの」と強調。そのうえで、米軍
からアフガン治安部隊への権限移譲は「最も戦闘活動の少ない地域
から始まる」との見通しを示した。

 一方で、「大統領は自らの決定について調整を行う自由を持つ」
と戦略に柔軟性があることも指摘。「もし難航して11年に権限移
譲が不可能と思われる場合、戦略自体を見直すことになる」と語り
、来夏に3万人増派が完了した後の12月に戦略の再評価を行う方
針を示した。

 これに対し、共和党のマケイン上院議員は増派には賛成する意向
を示したうえで、撤退開始時期の明示を「敵の攻撃準備や計画を許
すもの」として批判。さらに、「目標を達成して撤退するか、撤退
時期を決めて退くかのどちらか選ぶ必要がある。両方同時は不可能
だ」と述べ、新戦略は矛盾したものと指摘した。

 一方、他国のアフガン支援について、ゲーツ長官は「北大西洋条
約機構(NATO)に5000〜7000人の増派を求める」と明
言。クリントン国務長官もNATO外相会合に出席し「同盟国から
追加の部隊派遣や支援について確約を得たい」と語った。
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アフガンの米軍、11年7月に撤収開始 オバマ大統領が新戦略発表 

 【ワシントン=弟子丸幸子】オバマ米大統領は1日夜(日本時間
2日午前)、米ニューヨーク州の陸軍士官学校でアフガニスタンを
巡る新戦略について演説し、2011年7月に米軍の撤収開始を目指す
と発表した。撤収に先立ち、来夏までに約3万人の米軍を追加増派
するとも表明。兵力の集中投入で対テロ戦争の終結を急ぎ、アフガ
ンによる自前の治安体制確立を加速させる方針を明らかにした。追
加増派でアフガンの駐留外国軍数は同国史上最多の約14万人に達す
ることになる。 

 01年秋に始まり、今年で9年目となったアフガンの対テロ戦争で
、米国が軍の撤収方針を明言したのは初めて。オバマ氏は「アフガ
ン軍への(治安)権限移譲を加速することで、11年7月に我々の軍
隊がアフガンの国外への移転を開始することが可能になる」と説明
した。 

 米報道によると、3年程度で完全撤収する戦略を描いているもよ
う。その間、米国は農業分野を軸に、民生面でもアフガン復興を全
面的に支援する。 (10:47)
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8300人余がタリバン離脱=雇用や報復警戒不可欠−アフガン
12月2日14時40分配信 時事通信

 【ニューデリー時事】アフガニスタンの反政府勢力との和解を進
めるため、同国政府が設置した「平和と和解委員会」の当局者は2日
までに、タリバンなどを離脱し政府側に投降した戦闘員が2005年5月
の同委発足以降、これまでに8333人に上っていることを明らかにし
た。

 カルザイ大統領は、反政府勢力との和解を2期目の優先課題に掲げ
ており、同委などを通じた戦闘員への投降呼び掛けを強化する方針
だ。
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「増派、良い結果生まぬ」 中村医師、米新戦略を批判 
 
 アフガニスタンの民生支援に取り組む福岡市の非政府組織(NGO)
「ペシャワール会」現地代表の中村哲医師(63)は2日、オバマ大統
領が発表したアフガン新戦略について「(米軍増派の方針は)良い
結果を生まない。現地の治安は悪化するだろう」と批判した。一方
で「初めて撤退方針とその時期を示した点は良かった」と評価も示
した。一時帰国中の福岡市内で報道陣に答えた。

 中村医師は「米軍はアフガン文化を理解せず入ってくるので住民
の反発を招く。福祉政策を安定の礎と考え、少しずつ身を引くべき
だ」とした。

 同医師は7日に再びアフガン入りし、干ばつ対策として建設中の農
業用水路の補修工事を続ける予定だ。(共同)
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「ペシャワール会」現地代表の中村哲医師

「アフガニスタンがテロの主戦場だという基本的な認識そのものが
誤りだったということを認めない限り米国とイスラム教徒との仲は
よくならないと思う」
「誰が敵だか分からない。前からも後ろからも撃たれることになる」
「住民のほとんどを敵に回してしまったという点は非常にベトナム
とよく似ている」


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