3453.シリーズ「日本と朝鮮半島2000年」



ETV特集 シリーズ「日本と朝鮮半島2000年」

この番組は面白い。月1回で10回シリーズで、すでに7回まで進
んでいるが、この番組のディレクターは田容承さんという韓国の方
である。

日韓両方の現場や学説を紹介している。歴史問題という微妙な問題
を韓国の方に任せると、どう描くのかが楽しいし、ある程度、公平
性を担保するために両論を併記した形にしている。

NHKは日韓の歴史という微妙な問題を韓国の視点でやるという決断
を良くも悪くもしたものだという感じである。日韓の相互理解を
この番組が狙っていることも分かる。このため、番組への非難が多
いのもうなずける。

韓国人ディレクターの番組ではあるが、任那日本府の解釈でもテソ
ンドン古墳が発掘されて否定できなくなったことで、韓国の学者も
伽耶を無視できなくなり、日本府否定の苦しい解釈をしていた。テ
ソンドン古墳から巴型銅器が見つかっている。当時の倭国が連盟す
る勢力に配った物であり、倭国の勢力範囲であることが明白である
のに、それを倭人が居住していただけと否定していた。日本書紀の
記述が正確であるという証明をテソンドン古墳は示したのだと番組
を見ていた私は感じた。

仏教伝来は、百済の寺院を模倣したことが分かってきた。また、白
村江敗北で百済が滅亡して、日本に大量の百済貴族が渡来して、大
和朝廷の実力は強化されたという。この回では日韓の学者の意見は
大体同じであった。

渤海の歴史では、日本へ明確に朝貢していた姿が出ていた。韓国が
ロシアに協力して発掘している。

中国の元に抵抗した「三別抄」の話とそれに対する鎌倉政府の対応
などは、日韓両国が中国に対応した歴史を感じて、共感できる話に
なっていた。

逆に、倭寇の話ではユンソナさんが日本の歴史では倭寇を非常に小
さくい扱っているが、韓国では非常に大きいと感情的な表情で日本
の学者に食って掛かっていた。対馬の倭寇の大将である早田(そう
だ)家が朝鮮の将軍になる所もユンソナさんは割り切れたいような
顔をしていた。韓国から見ると良い気分ではなかったようである。

韓国人のナショナリズムと日本人のナショナリズムが日韓の大きな
溝になっているが、このような番組で日韓の歴史問題を冷静に取り
上げる必要があるようだ。

日本の学者ももう少し、韓国の学者と論戦を交える強硬派の学者を
出演させた方が面白かったと見る。どちらかというと、日本の学者
が韓国の学者に遠慮している感じになっている。

しかし、全体的には意外と公平な歴史の見方をしていると感じる。
韓国人デレクターも一定の配慮をしているように思う。今後も日韓
の問題を冷静な視点で見る番組を作ってほしいと思う。それが相互
理解に重要なキーになるようだ。

また、当初、司会は石澤典夫さんであったが、番組の評判が出たの
か6回目からは司会のエース・三宅民夫さんに代わっている。
==============================
http://www.nhk.or.jp/japan/program/prg_090426_3.html

韓流ブーム以後、民間交流が進んだ日本と韓国だが、いまなお歴史
認識は大きな溝となっている。その溝を埋めようと、2002年以来、
日韓両政府が主体となり、歴史共同研究プロジェクトが進められて
いる。また、民間レベルでも歴史共通教材が次々と発表され、歴史
を共有しようという努力が続けられている。朝鮮半島と日本はどの
ような関係を築いてきたのか。最新の学術的成果をもとに、古代か
ら現代まで2000年の交流史を2年がかりで通覧する大型シリーズ。

第1回は、その源流をたどる。 

ぺ・ヨンジュン扮(ふん)するタムドク(高句麗・広開土王)が騎
馬軍を率いて朝鮮半島を疾走する。ドラマ「太王四神記」で描かれ
た古代の朝鮮半島には、東西南北にいる神たちが、4つの方角から
人々を守るという世界観があった。ドラマにも登場した架空の神獣
「白虎」「青龍」「玄武」「朱雀」の「四神」たちである。

時空を超え、2009年の日本。国宝・高松塚古墳壁画の修復作業が国
を挙げて進められている。7世紀に描かれたと考えられている極彩色
の女性像、飛鳥美人。その絵の側にもまた、「四神」が描かれてい
る。描いた絵師は、朝鮮半島を経てやって来た人と見られている。
その一方で、日本列島から海を渡った人々もいた。彼らが、風俗や
文化だけでなく、双方の古代国家形成にも深く関わっていたことは
、意外と知られていない。しかも、その関わり方を巡って、今様々
(さまざま)な議論が日韓双方で繰り広げられている。日本が朝鮮
南部に置いたとされる“任那日本府”とは、いったい何だったのか。
仏教伝来の真相とは。「四神」の絵を道しるべに、海を越えた人々
の旅路をたどりながら、日本と朝鮮半島の交流の実相に迫る。



コラム目次に戻る
トップページに戻る