3437.ある予兆



      ある予兆          虚風老 
 
今朝の新聞に小さなベタ記事に、FBIが、イスラエルのモサドのふり
をして、アメリカの宇宙開発に関わり重要な情報に接する機会のあ
る政府機関で働く博士を、情報漏洩の罪で逮捕したというのがあった。
これは、ある意味で、アメリカ国内の政治状況では、大きな衝撃を
生むかもしれない。
アメリカ政府内や、学会で、ユダヤ系の人達は多く、彼等がモサド
からの情報提供の要望に応じていたというシーンは多いいはずじゃ。

しかし、それがおとり捜査であげられたとなると、協力者も疑心暗
鬼になる。
ユダヤ系は、今どちらの政権政策にも手を突っ込みすぎて、合理的
なアメリカの外交政策を難しくしてしまっている。

今、アメリカ政府にとって、剣が峰の政策はアフガニスタン問題で
ある。
これをどう処理をつけようか、兵を出し続けるのか、アメリカの世
論も割れている。
選挙戦の関係で、イラクからの兵を引き上げることを主張するかわ
りに、弱虫と見られない為に(軍事上、弱気と見られることは大統
領選では致命的)アフガニスタンを重視してみせたが、オバマとし
ては、ここをどう引くかが、「現実的な政策」としてのしかかって
いる。
軍からは、人員の増派をを求められているが、増派をしたからとい
って、アフガニスタン情勢を転換できる切り札にはならんじゃろう。
軍の顔を一度は立てて、一回だけの一時増派はしても、それが出口
戦略(アフガンからの兵力の引き下げ)に繋がっていることを求め
るじゃろう。

だが、ほとんどうまくいくシナリオがない。
そうすると、世論に押されて撤退(人も金ももうつぎ込めない)と
いう形をとることにならざるをえないじゃろう。

本当の、日本のアフガン支援というのは、「力で押す」アメリカ戦
略のかわりに、アフガンの安定化への道筋(敵との和解の道とか)
に糸口をつけて、民生を安定させることのプログラムを提示し、タ
リバーンとかそういう区別ではなくて、現地の人・部族とも話して
どのような民生支援なら彼等も受け入れられるのか(実際に未来の
生活設計に役に立つのか)とかをさぐることじゃろう。

現地の部族に直接受け入れられることなら、彼等が攻撃してくるこ
とはない。(他所からタリバーンや山賊が入ってくる場合はあるが
、現地住民を積極的な信頼を得、仲間にしてもらうしかないじゃろ
う。軍事が目的ではないとわかればそれが評判になる。

ペシャワール会の中村哲医師にたくさんの金と権限をやってもええ
くらいじゃ。
ただし彼は自衛隊も別の軍隊も嫌いじゃがね。
しかし、それらを実行し、アメリカとナトーの出口戦略に寄与する
ことが、回り道のように見えて、本当は役に立つのじゃろう。

そのアフガン戦略が転換された時に、共和党系のゲーツ国防長官を
民主党系の国防長官に交代させることになるじゃろう。
もともと、ゲーツが居残ったのは作戦の途中という意味もあったし
、情報部(CIA長官)であった、ゲーツはそれほど党派色も国防総省
色も強くない上に、共和党も民主党も白人も黒人もなく、みんなア
メリカ人だという、分断色の強まっていた政治情勢を、それこそ、
みんなでやろうぜ。みたいなキャッチフレーズのために残したとい
う面がある。
共和党とも融和を図りたいのだと、手を差し伸べていたわけだ。

しかし、現実は共和党はますます、党派化して対立しているし分断
も解消されたとはいいがたい。

おそらく、中間選挙(来年)が一つの政策転換になり、人事もそこ
で変わるだろう。
中間選挙に(民主党)オバマが勝って、民主党の国防長官になった
場合、そこから一年くらい(つまり再来年)でいろいろ方針に変更
がでてくるのではないか?(人によるが、まあ、中東イスラエルの
み重視する偏った人になる可能性もある)

もしそうなったら、一度全部の日本側の要求を提示してみてはどうか?
横田基地返還・横田空域(管制)の返還。在沖縄米軍基地の縮小。
地位協定の見直し。思いやり予算の縮減。
今の段階ではどれも絶対に認められないどころか、怒らせるだけじ
ゃろう。だからアメリカにぶつけても無駄じゃ。
しかし、国防長官が民主党系にかわったら、一度全部だしてみる余
地はある。
再来年であれば、日本の民主党も各省庁内も、さすがに手綱を握っ
ておるじゃろう。(今は、どのレベルでも意思が浸透しておらん)
おそらく、かんたんに首を縦にふるとは思えぬが、日本側の要求の
深さもわかるじゃろう。
交渉はそこからはじまる。

                  虚風老
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高速道路無料化は以外に反対が多い。 虚風老 
   
 ところで、民主党マニュフェストの中で、アンケートで意外にも支
持が低い政策が、高速道路無料化である。

これに反対している理由などを聞いていると、反対の層の中核が4
つあるように思える。
@ 現在、高速道路を頻繁に利用している営業関係の運転手。
これは、混雑・渋滞すると高速道路の利便性が下がり、運行上の支
障(定時につくのが難しくなる)がでるというもの。基本的に自費
で高速道路料金を負担しているわけではないので、(経費参入でき
る)利便性は特急券であるという考えかたじゃな。

A 自家用車に対抗する別の交通機関
高速バス・電車・フェリー・航空など、直接的な競合関係にあるも
の。その関係者。

B ほとんど、高速道路に乗らない人達。高速の無い場所はもちろん
恩恵にあずからないが、ほとんど生活上必要がなく、乗っても年1
・2回という人達。これは、利用者負担の原則が崩れるということ
だろう。その分税金が投入されるのが自分にとって無駄におもえる
わけじゃ。

C高速道路の関係者や道路建設関係者。無料化されれば、道路予算
や職場が縮小されるからそこでの仕事を失うおそれがある人や業者
、あるいは資材等を扱っている業界やその関係者。

こうしてみると、この対象に含まれるのは、家族も含めればかなり
広いといえる。

賛成にまわりそうなのは、月に2・3回以上は家族・友人で高速を
利用して旅行に行く人。
長距離のドライブが好きな人。車の販売関係の仕事をしている人。
地方の旅館や商店など観光業に関わりのある人達。やや郊外で、頻
繁に高速も利用するが、高速料金を自腹で払わなければならない人
などである。
民主党の主張では、無料化することでの経済効果が2,5兆円でて
くるとしている。
これは主に、流通や人の動き、地方への観光が活発になるという効
果からそう見込まれるのであろう。

ところで、6000億ほど、この為の社会実験の為の予算が組んで
ある。では、当初何処を無料化するのであろうか?
また、なぜその為の費用が6000億なのであろうか?全部無料化
すると2兆くらいかかるともいわれている。

例えば、無料化する部分を高速交通会社から借上げるとしてもそこ
を通過した車の台数分をそのままカウントして替わりに代金を支払
うということは考えられない。(なぜなら無料化したことで台数が
増えたのだからそのまま逸失利益に相当するとは思えない。

例えば、以前の利用実績、(無料化等国費で補助措置をともなった
サービスを行わないまえの)「ある期間の平均値」を定額が払うと
いうのならわかる。

あるいは、ここの高速道路会社の株というは国が持っているので、
国が→高速道路会社(維持・運営費用)→国に払う形になっている。
これは、高速道路の借財の償還にかかるお金を利用料金から捻出す
るためにそうなっている。今返済しているのは、年間6000億ぐ
らいだそうだ。これを4・50年かけて返すらしい。

何処を無料かできるかを考えてみると、大都市周辺は渋滞をひきお
こすので、止めた方がいいという考えかたは納得できる。
すると何処が該当するか、またしても大雑把な地図帳を引っ張りだ
してきた。

無料化が有効でかつあまり競合に問題がなく、もともと交通量が多
く無さそうな場所をみると。。。
北海道があがっておるが、その他には九州では熊本(あるいは八代
)以南の鹿児や宮崎まで。(北部九州は入らないだろう)
中国地方は山陽道と競合している山口(小郡)から山ん中の津山あ
たりまで、(関西へ入る手前じゃな)東北はよく分からぬが、白河
の関あたり以北かな。中央道ならせいぜい甲府から飯田か中津川あ
たりまでか?上越方面は軽井沢あたりより向こうとかね。(関東・
東海・名古屋・大阪京都神戸付近は当面みおくる)

大都会から出入りするアプローチまではしっかりと料金をとれば、
車が混雑するのを防げるし(それでも数が増えれば料金収入が増え
る)その区間を越えて、より遠くへ行きたいという人と地方奥地の
観光意欲と地方の利便性は増すじゃろう。

それとも全面的ではなく、少しずつやってみるのかな。
まあ、マニュフェストに書いたのだから、一度は実験的に期間限定
でもやってみるのじゃろう。

                   虚風老
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高速道路の無料化の問題補足       虚風老
   
 
高速道路の以前の平均収益−無料化で減った場所の金額+増加した
場所の金額=補填すべき金額であろう。

もう一つは、一部無料化(田舎の場所)したとき、1000円で機
械を附けた乗用車だけというのはやめにすべきであろう。
それから、機構上無料部分はとうめん、実質「割引扱いにするしか
ない」ということだ。
割引区間内で出入りをすれば、無料(ただし、券の発行とかはしな
ければならない)だが、無料区間外から出入りした人はその部分の
支払はしなければならない。

この問題の中心は、これが、地方観光−地方活性化を促す。と活用
度の低い部分の高速を利用して、混雑する市中道路の円滑化という
面、遠くからの物流費の低減ということの効果に限定されるべきだ
ということじゃ。

 虚風老

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