3449.米経済政策に矛盾?



米国はドル基軸通貨制度維持と人民元とドルのリンク制のために経
済政策に矛盾を生じている。   Fより

米国経済は7〜9月年率GDP3.5%成長になり、米景気の底入れを裏
付けたが、個人消費の前期比年率3.4%増が大きな要因であった。
この個人消費の伸びは、米政府が8月下旬まで実施した低燃費車へ
の買い替え支援で押し上げたものである。

このため、9月の米個人消費0.5%減で、政府支援が切れると元に戻
ることが確認されて、30日のNY株は急反落して、前日に上げた140
ドルを帳消しにした240ドルの大幅な反落となっている。自動車など
の耐久消費財の9月消費が前月の6.1%増から7.0%減に落ち込んだ。

10月の米消費者信頼感指数も前月の53.4から5.7ポイント低下して、
雇用情勢の改善の遅れなどから、消費者心理に再び陰りが出てきた
ことが分かる。米ローマーCEA委員長は「米失業率は2010年末ま
で弱含む」と語り「失業率低下には2.5%以上の経済成長が必要」と
も指摘して、当分失業は増えると言う。

そして、9月の新築一戸建て住宅販売件数は前月と比べ3.6%減った
。このように米国の景気は、底に達したがV字回復はなく、底に着
いたままの状態が続くことになる。

このため、中小企業金融を行う経営危機に陥っている米ノンバンク
大手CITグループは早ければ11月1日にも連邦破産法11条(日本の民
事再生法に相当)の適用を申請する見通しである。また、23日まで
に米地域金融機関の破綻件数が17年ぶりに100件を突破した。

オバマ米政権は景気対策を拡大する方向に動き始めた。失業率上昇
や民需低迷など実体経済は依然厳しく、来年の中間選挙をにらみ家
庭や中小企業向けの施策の継続や一部拡充案が浮上している。だが
、政権内では財政赤字の拡大を懸念する声もある。

この一環として、米下院民主党は、医療保険制度改革として、新た
な公的保険の創設を盛り込み、現在80%台半ばの国民の保険加入率
を96%に引き上げるで10年でコスト81兆円という案を提出している。

このように財政赤字は拡大する方向にある。この財源は米国債の発
行になるが、この米国債の買い手は限られている。FRBは、購入
枠上限に到達して長期国債買い切りを終了した。ということは、買
い手は主に中国しかないことになる。米国債の購入希望者が少なく
なると、長期金利が上昇して、金融引き締めが起こり、景気刺激効
果をなくす。また、人民元がドルとリンクしているので、ドル下落
でも中国製品は価格上昇を起こさないことになる。

中国製品を米国は輸入され続けて、国内産業を圧迫することになる。
このため、米商務省は中国の鉄鋼2製品をダンピングと仮決定して
輸入を抑えること政策に出た。タイヤに続いてダンピング制裁関税
を設けることでしか中国製品を抑えることが出来ない。

これに対して、中国側も米国製自動車に対して反ダンピング(不当
廉売)調査を実施している。このように米中間貿易戦争が起こって
いる。米国債購入と人民元レート維持がリンクしていることによっ
て、価格的に輸入品のガードできずに、米国内産業の雇用が失われ
るという矛盾が生じている。

もう1つ、ルービニ教授は、ドル札の大量供給が「巨大な」資産バ
ブルの形成につながっており、新たな金融危機を引き起こすリスク
があると「すべてのキャリー取引の源がある。みんなが同じゲーム
をしており、このゲームは危険になりつつある」とし、FRBは利
上げを実施し、国債購入などの刺激策を解消する必要があると述べ
ている。これと景気対策による米国債発行の間にも矛盾が生じてい
る。

このような背景からフレッド・バーグステンは、「基軸通貨として
のドルはもはやアメリカの国益に合致しない」と述べることになる
のだ。

そのドル基軸通貨制度は石油とリンクしていることから来ているが
、サウジアラビア国営のサウジアラムコが、米国向けの原油販売価
格を決める基準として米国産標準油種(WTI)を使うのを止め、来年
1月から英アーガス社の指標に切り替えると発表した。これはWTIの
意味が無くなることになる。世界の石油価格はドルリンクしている
米国が決めていたが、これで米国の石油に関する力も無くなる事に
なる前兆でもあると見える。

早く、アジア諸国は共同して米ドル基軸通貨体制から離脱する動き
を明確にして、中国の人民元や日本の円を中心とした体制を作るこ
とである。米国の覇権が崩壊する前に、次の世界体制をアジアが作
ることであると見る。その中核は日中韓の3国である。

さあ、どうなりますか??
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NY株急反落、ダウ終値249ドル安の9712ドル 
【NQNニューヨーク=横内理恵】30日の米株式市場でダウ工業株
30種平均は急反落。前日比249ドル85セント安の9712ドル73セントで
終えた。9月の米個人消費支出(PCE)が減少したことなどから
、米景気の回復に対する不透明感を背景に売りが出た。前日に大き
く上げた金融株や素材株が大幅に反落。投資家がリスクを取りにく
くなるとの見方から、株安に加えて、外国為替市場でドルが相対的
に金利の高いユーロなどに対し大幅反発。原油相場が水準を切り下
げるなど、リスク資産への投資を手じまう動きも目立った。 

 ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は同52.44ポイン
ト安の2045.11で終えた。 (05:41)
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9月の米個人消費0.5%減 新車購入補助、終了響く
 【ワシントン=大隅隆】米商務省が30日発表した9月の米個人消
費支出は、季節調整済みの年率換算で10兆1667億ドル(約927兆円)
となり、前月の改定値(1.4%増)と比べ0.5%減った。政府の新車
購入補助制度が8月に終了した反動が出て5カ月ぶりに減った。昨
年12月の1.2%以来の減少幅。景気は復調傾向にあるものの、民需の
弱さが改めて浮き彫りになった。

 9月の消費支出は市場予測通りだった。自動車や家電などの耐久
消費財が前月の6.1%増から7.0%減に落ち込んだ。政府の景気対策
の有無で個人消費が大きく振れている格好。衣料などの非耐久消費
財は0.7%増だった。(02:11) 
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10月の米消費者信頼感指数、前月比5.7ポイント低下 
 【ニューヨーク=河内真帆】米調査会社コンファレンス・ボード
が27日発表した10月の米消費者信頼感指数は47.7(1985年=100)と
、前月の53.4から5.7ポイント低下した。前月水準を下回ったのは2
カ月連続。市場予想の前月比横ばいより悪化した。先行きの景況感
を示す期待指数も前月の73.7から65.7に低下。雇用情勢の改善の遅
れなどから、消費者心理に再び陰りが出てきた。 (23:45) 
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米GDP3.5%成長 7〜9月年率、5四半期ぶり上昇
 【ワシントン=御調昌邦】米商務省が29日発表した7〜9月期の
米実質国内総生産(GDP)速報値(季節調整済み)は、前期に比
べ年率換算で3.5%増加した。2008年4〜6月期以来5四半期ぶりの
プラス成長で、市場予測の平均(3.2%増)もやや上回った。米景気
の底入れを裏付けたが、政府支援が個人消費を押し上げたほか、設
備投資はマイナスが続き、回復の持続にはなお不透明感が残る。

 成長率は07年7〜9月期以来2年ぶりの高水準となった。個人消
費や住宅投資、政府支出などが全体を押し上げた。前期までは現行
の統計方式になった1947年以降で最長のマイナス成長が続いていた。

 個人消費は前期比年率で3.4%増で、2期ぶりのプラス。07年1〜
3月期以来の高い伸び率だった。8月下旬まで実施された政府の低
燃費車への買い替え支援が全体を押し上げた。(07:00)
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9月の米住宅販売、6カ月ぶり減 新築戸建て 
 【ワシントン=大隅隆】米商務省が28日発表した9月の新築一戸
建て住宅販売件数は季節調整済みの年率換算で40万2000戸となり、
前月の改定値と比べ3.6%減った。6カ月ぶりの減少で、市場予測の
平均(44万戸)も下回った。住宅市場ではなお一進一退の状況が続
いている。

 前年同月比では7.8%減。地域別では中西部が34%増えたものの、
南部や西部がいずれも約10%の減少。9月末時点の在庫件数は前月
と同じ7.5カ月分。8月に下落に転じた販売価格(中央値)は20万
4800ドルで前月比2.5%上昇した。

 9月の住宅販売市場では中古住宅が9.4%増える一方、新築住宅が
減少。まだら模様の状況となっている。11月末に打ち切りとなる住
宅購入減税の動向が市場の先行きに影響を与えそう。 (00:57) 
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米景気対策、拡大の動き 議会主導、家計・雇用支援の継続案
 【ワシントン=御調昌邦】オバマ米政権の景気対策が事実上、じ
わじわと拡大に動き始めた。米連邦準備理事会(FRB)が景気底
入れの認識を示すなど景況感は改善が進むが、失業率上昇や民需低
迷など実体経済は依然厳しく、来年の中間選挙をにらむ議会が主導
する形で家庭や中小企業向けの施策の継続や一部拡充案が浮上。政
府は小出しに応じざるを得ない状況だ。だが、政権内では財政赤字
の拡大を懸念する声もある。

 米ホワイトハウスは27日、民主党が議会に提出した失業保険の拡
充法案への支持を表明した。2月の景気対策法で最大79週まで失業
保険を受け取れるようにしたが、民主党はさらに延長する方針を示
していた。ホワイトハウスは声明のなかで「仕事を見つけられない
米国民を支援していく」と強調した。(07:00) 
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米医療保険改革、10年でコスト81兆円 下院法案固まる 
 【ワシントン=御調昌邦】米下院民主党は29日、医療保険制度改
革の法案を固めた。新たな公的保険の創設を盛り込み、現在80%台
半ばの国民の保険加入率を96%に引き上げるのが柱。今後10年間に
必要な費用は8940億ドル(約81兆8000億円)で、富裕層に対して増
税する計画だ。上院も法案作業を進めており、今後調整が本格化す
る。

 米下院では歳入委員会など3つの委員会がそれぞれ医療改革法案
を可決しており、これまでペロシ下院議長らが法案の一本化を検討
していた。
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米CIT、調整型破綻へ=5000億円融資確保
10月31日7時33分配信 時事通信

 【ニューヨーク時事】経営危機に陥っている米ノンバンク大手CIT
グループは30日、総額55億ドル(約5000億円)の追加融資を確保し
たと発表した。経営再建期間中に必要な資金手当てがこれでほぼ確
保されたとみられ、同社は事前調整型の破綻(はたん)に向け大き
く前進した。米メディアによると、早ければ11月1日にも連邦破産法
11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請する見通しだ。
 総額55億ドルのうち、10億ドルは著名投資家で大口債権者のカー
ル・アイカーン氏が、残り45億ドルは他の債権者が融資する。
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貸し渋り、米景気に重荷 地銀破綻、17年ぶり100件突破 
 米連邦預金保険公社(FDIC)によると23日までに米地域金融
機関の破綻件数が17年ぶりに100件を突破した。FDICは「地銀の
破綻は景気の遅行指標」(ベアー総裁)と強調。景気の本格回復と
ともに破綻は減るとしているが、その道筋は不透明だ。地銀の苦境
は家計や企業への貸し渋りの形で景気回復の重荷にもなりそうで、
オバマ政権の悩みは深い。

 「FDICへの問い合わせが増えているが対象預金は安全だ」。
ベアー総裁は23日、ネットを通じ異例の声明を公表。貯蓄金融機関
(S&L)危機に陥った1989年に破綻件数が500を超した事例に言及
し、冷静な対応を呼びかけた。 (07:00) 
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「米失業率、2010年末まで弱含む」 CEA委員長
 【ワシントン=大隅隆】米大統領経済諮問委員会(CEA)のロ
ーマー委員長は22日、上下両院の合同経済委員会で「米失業率は
2010年末まで弱含む」と語った。「失業率低下には2.5%以上の経済
成長が必要」とも指摘。来年の成長率がこの水準を持続的に上回る
可能性は低いとの見方を示した。

 財政・金融などマクロ政策の拡張によるインフレ懸念については
「経済の供給力を上回る需要を喚起した時に限られる」と説明。財
政・金融政策を積極的に活用した日本でデフレが起きた事例を挙げ
ながら、オバマ政権と米連邦準備理事会(FRB)が進める緩和的
な政策の正当性を強調した。

 今回の金融・経済危機の影響は「どんな指標をとっても1929年の
大恐慌時よりも大きかった」とも分析。大恐慌時の家計資産の減少
率は3%にとどまったが、住宅価格が大幅下落した今回は17%に達
したことなどを紹介した。(16:57)
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ルービニ教授:安価なドル資金、「巨大」バブルを形成

10月27日(ブルームバーグ):米ニューヨーク大学のヌリエル・ル
ービニ教授は27日、世界中の投資家がドルで資金を調達し、株式や
商品などの資産を購入していると指摘。「巨大な」資産バブルの形
成につながっており、新たな金融危機を引き起こすリスクがあると
語った。 

  ルービニ教授は南アフリカのケープタウンでの会合向けに衛星
回線を通じて話し、「すべてのキャリー取引の源がある。みんなが
同じゲームをしており、このゲームは危険になりつつある」と述べ
た。同教授は今回の金融危機を予想したことで知られる。 

  主要6通貨に対するインターコンチネンタル取引所(ICE)
のドル指数は過去1年に12%下落。米連邦公開市場委員会(FOM
C)が景気浮揚に向け、事実上のゼロ金利政策を採用していること
がドル売り材料になっている。ルービニ教授はFOMCが利上げを
実施し、国債購入などの刺激策を解消すると、ドルはいずれ底入れ
すると予想した。そうなった場合、一部の投資家がキャリー取引の
巻き戻しを余儀なくされ、「持ち高解消に殺到する」こともあり得
ると指摘した。 

  調査・顧問会社、ルービニ・グローバル・エコノミクスの会長
でもある同氏は、「リスクは次の金融危機の種を植えていることだ。
この資産バブルは弱い景気回復や金融市場のファンダメンタルズ(
基礎的諸条件)とはまったく相反するものだ」と述べた。 

  ルービニ教授は新興市場国の株式市場でバブルが発生している
と指摘。一部発展途上国の通貨の上昇は「行き過ぎだ」と述べた。
原油相場の上昇については「需給要因では正当化されない」という。 

  ただ、同教授は流動性の大きな波が価格を押し上げているため
、資産バブルは今後1、2年、破裂しない可能性があるとの見方を
示した。 

  米国のリセッション(景気後退)については、終わったようだ
としたが、先進国の景気回復は脆弱(ぜいじゃく)なものになると
話した。一方、新興市場国の成長見通しには「もっと楽観している
」と語った。 
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FRB、長期国債買い切り終了へ 購入枠上限に到達 
 【ワシントン=御調昌邦】米連邦準備理事会(FRB)傘下のニ
ューヨーク連邦準備銀行は29日、市場参加者から長期国債を買い切
って資金を供給する金融調節を実施した。この結果、3月からの購
入総額は設定上限の3000億ドル(27兆4000億円)に到達。FRBは
買い切りを10月末で終える方針を決めており、金融政策の一環とし
て導入した危機対応策では、最も早く終了することになる。

 FRBは3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融市場の
安定化を狙い、長期国債の買い切りを決めた。当初は購入期間を9
月末までとしていたが、市場に混乱を生じさせないように、購入ペ
ースを緩めて期限を1カ月延ばした経緯がある。ニューヨーク連銀
は3月以降、計60回の金融調節を実施した。

 長期国債買い切りでは、住宅ローン金利などと関係の深い長期金
利を低下させる効果が期待されたが、政策的な評価は分かれる。日
銀も金融市場から金融調節で長期国債を買い取っている。 (19:06) 
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米商務省、中国の鉄鋼2製品「不当支援」と仮決定
 【ワシントン=御調昌邦】米商務省は27日、中国が米国に輸出す
るコンクリート材の補強用などに使う「PC鋼より線」など鉄鋼製
品2品目について、中国政府が不当に支援していると仮決定した。
今後、米関税当局に対し中国からの同製品に預け金などを徴収する
ように指導し、事実上の関税引き上げを視野に入れるという。米政
府は9月に中国製タイヤへ特別セーフガード(緊急輸入制限)の発
動も決めており、中国との通商摩擦が激しさを増している。

 米商務省によると、中国政府の支援とみているのは同製品を製造
・輸出する際の金融支援。補助率は7.53〜12.06%に相当するとした。
2008年の輸入額は約1億7800万ドル(約163億円)で前年に比べ74%
増加した。このほか鉄製格子も不当な支援が認められる対象に指定
した。

 今回は商務省の仮決定だが、今後は関税当局が中国からの同製品
に対し中国企業から現金の預け金や証書を求めていく可能性がある。
実際に預け金などの徴収を始めれば、事実上の関税引き上げになる。
(15:07) 
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米国車をダンピング調査 中国、米のセーフガードに報復?
 【杭州(中国浙江省)=高橋哲史】米中両国政府が閣僚級で通商
問題を話し合うため杭州で開いた「米中合同商業貿易委員会」は29
日閉幕し、両国は「共同で保護貿易主義に反対する」との認識で一
致した。ただ、中国側が米国製自動車に対して反ダンピング(不当
廉売)調査を実施していることを表明。中国製タイヤに対する米国
の特別セーフガード(緊急輸入制限)発動に対抗する措置とみられ
、通商をめぐる米中対立に事態打開の糸口はみいだせなかった。

 商業貿易委は1983年に始まり、米国と中国で交互に開いている。
米オバマ政権の発足後、初の協議となった今回は米側からロック商
務長官、カーク米通商代表部(USTR)代表、中国側から王岐山
副首相、陳徳銘商務相らが参加した。

 今回の協議では「保護主義とどう戦うか」が大きなテーマになっ
た。王副首相は「米中両国はいかなる形の保護主義にも断固として
反対しなければならない」と指摘。これに対しロック商務長官は「
オバマ政権は自由貿易を約束している」と応じた。(07:00) 
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サウジがWTI(米国向け原油価格基準)の使用中止
更新2009年10月29日 10:56米国東部時間

 エネルギー相場の査定を手掛ける英アーガス・メディア(本社ロ
ンドン)は28日、サウジアラビア国営のサウジアラムコが、米国向
けの原油販売価格を決める基準として米国産標準油種(WTI)を使う
のを止め、来年1月からアーガス社の指標に切り替えると発表した。

 アラムコは1994年以来、WTIを基準価格として使っているが、投
機資金の影響で乱高下するなど、実際の原油需給を反映していない
として、サウジ政府や顧客である米大手石油会社に不満が強まって
いた。世界で最も有力な原油価格とされるWTIの影響力が低下しそう
だ。

 WTIはテキサス州を中心に生産される原油から算出。アーガス社は
生産増が見込まれるメキシコ湾岸の原油から指標を出しており「ア
ラムコの動きはアーガスの原油価格の査定方法が正しいことを示す
ものだ」としている。(共同)
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支配的な準備通貨としてのドルはもはやアメリカの国益に合致しな
い」=フレッド・バーグステン氏
http://www.foreignaffairsj.co.jp/archive/kaidai/200911.htm
Foreign Affairs  2009.10.26公開

 米その発言が為替相場に大きな影響力を持つことでも知られるフ
レッド・バーグステン(ピーターソン国際経済研究所所長)は、「
大規模な対外赤字、支配的な準備通貨としてのドル、そして、対外
赤字とドルの覇権を必然とする大規模な資本の流入は、もはやアメ
リカの国益に合致しない」と11月10日発売のフォーリン・アフ
ェアーズ リポート誌に寄せた論文「ドルとアメリカの赤字=The 
Dollar and the Deficits」(フォーリン・アフェアーズ英語版
2009年11・12月号からの転載)で指摘している。

 「アメリカの大規模な財政赤字を各国が米国債を購入してファイ
ナスし続ければ、現在の危機を引き起こした金融メルトダウンのリ
スクが再び高まり、一方で、各国が将来のどこかの段階で米国債の
購入を止め、赤字を埋め合わせる資金が入ってこなくなれば、ドル
価値は暴落し、インフレと金利は上昇し、アメリカ経済、世界経済
の双方にとってのハードランディングは避けられなくなる」。
同氏は、すでに「アメリカの運命は、中国だけでなく、日本、ロシ
ア、産油国などの、債権国の手に握られている」と警鐘を鳴らし、
アメリカ財政の均衡と輸出主導型経済への転換を説いている。

 この論文をG20で合意されたグローバル・インバランス(世界
的な経常収支の不均衡)是正に向けたアメリカ側からの包括的な提
言とみなすこともできるが、ドルの地位を低下させていくことを前
提とした議論だけに大きな論争となることは必死とみられる。
仮にオバマ政権の政策が、政府に大きな影響力をもつことで知られ
る同氏の提言に即した路線を取れば、世界の金融、貿易の流れが劇
的に変化することになるからだ。


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