3441.国家戦略構築の基礎



 PIIEのバーグステン研究所長が、「米ドル基軸通貨制度は
もはや米国の国益に沿わない」と指摘している。このため、米ドル
基軸通貨制度を徐々に止めるべきだとした。今後、20年ほどかけ
て「米ドルと欧州ユーロなどの多極体制に移行する」との見方を示
し、アジアでの通貨調整が必要としている。

このようにドル基軸通貨体制で成り立っていた米国覇権体制の崩壊
は確定的な状態になっている。このポスト米国覇権をどう構築する
かが日本の国家戦略を考える上で最重要なことになっている。
               津田より

0.はじめに
 杉之尾さんが代表の孫子経営塾の特別シンポジウムで、平松茂雄
先生の中国の国家戦略を聞いた。1950年からの朝鮮戦争で核使
用するぞと米国から脅され、中国の毛沢東は通常兵器の開発や装備
より優先して、1950年代中頃に決断し、1960年に核開発を始める。

この成果が1965年最初の核実験で、1966年には広島クラスの原子爆
弾を作り、1970年には人工衛星で中距離ミサイルを生産可能とした。
この状況を見た米国は1971年に中国を国連に常任理事国として迎え
ることになる。そして、1972年にはニクソン訪中で米中が友好関係
になる。1980年にICBMが完成し、米西海岸まで飛ばせることができ
た。

この核開発は最初はソ連からの平和利用の核濃縮であったようだ。
それを改良に改良を重ねてできた。このため、世界は当初、プルト
ニウム型の原子爆弾であろうと思ったが、ウラン型の原子爆弾であ
ったことが核実験の残存物を収集して米国は知ったようである。

このことでケ小平は核のバランスが米中ソでできて、均衡が取れた
と見て、1985年から通常兵器の開発に向かうが、1982年の湾岸戦争
を見てハイテク兵器、地上限定戦争用兵器を中心に開発することに
したようである。

このような兵器開発の進行が、軍事ハレードで分かり、1959年では
歩兵中心のハレードであり、1984年では旧型戦車100両が中心であり
、1999年江沢民のハレードでは近代化した軍隊ではあるが、装備の
レベル的には低かった。この時、戦車50両であった。今回の2009年
では戦車38両と少なく、装甲車100両、無人機など非対称戦争に備え
る兵器が中心である。というように相当なレベルに来ていることが
分かる。今後12隻の空母の建設などで、米国の軍備を仰臥すること
になる計画のようだ。

このように60年の長期スパンで見て、中国は国家戦略を見ている。
これと同じように中国は国際的な提携でも長期的な視野で見ている
。中国の友好国はパキスタンとミャンマーであるが、1960年代には
カラコルム山脈の海抜5000Mのタンジュラフ峠を越える中国とパキス
タンを結ぶ道路を完成している。近年、この道路を全天候型にして
いる。まだ、シーレーンということが必要がない時点で中国は、建
設をし始めている。

そして、近年、パキスタンのグワダルに海軍基地を設けて、シーレ
ーンの防衛と、緊急時に道路で石油を運ぶことが出来るようにして
いる。

ミャンマーの軍事政権とは蜜月な関係であり、チャウビーから昆明
までの石油パイプラインを建設開始している。このように国家戦略
の基本は、60年程度の長期に渡る企画が必要である。

そして、軍事とエネルギーの2つが大きな柱であることが中国の国
家戦略を見ていると分かる。

一方、日本はシーレーン防衛と言いながら、何もしていないし、で
きなかった。そのため、シーレーンにいる日本のタンカーは中国の
潜水艦からの攻撃でいつでもインド洋で撃沈できることになってい
る。

非常事態時に、エネルギー・食料の確保をどうするかを論議するべ
きである。この基本的な構想なしに国家戦略はできないと分かる。

選択肢は、1案に中国との友好関係を築き、アジア全体の経済共同
体にむかうか、2案にロシアと友好関係を築き、サハリンやシベリ
アの石油、天然ガス開発を行い、エネルギー調達の中東からの長い
シーレーンリスクを下げて、当面は凌ぐかである。3案は、別観点
から国内だけで調達できる体制を構築することである。

もちろん、どちらもにしても1、2案は当面では米国との友好関係
がないと、うまくいかない。私の考えは同時に3案とも実施するべ
きであると見る。

1.日本の立ち位置は
 国家戦略を考える場合、日本の現在の状況を正確に見ないと戦略
を構築できない。

米欧日中のG4の形成という質問に答えて、バーグステンPIIE
所長は「日本を含めるか否かは、難しい問題だ。理想は、米中と欧
州のG3だ。日本は人口減や過去20年の経済成長の弱さを考えれ
ば、G3ほど強い経済ではない。ただ、欧州も政治的に一枚岩にな
れない弱さがある。だからG2を拡大する場合は、G4か、インド
も加えたG5だろう」と日本は経済力が中国より弱いと見ている。

このため、東南アジアの中心は、何も手を打たないと中国になる。
このように基礎認識を合わせてないと、日本国民の認識はばらばら
になっているようだ。

日本経済は既に中国企業がないと成り立たない構造になってきてい
る。いろいろな企業のコンサルタントをしているが、中国企業の加
工がないと、コストに見合った製品が完成しない。中国経済と日本
経済は一体的な運用になっているようにビジネス現場では見える。

特に衣料類では、縫製でも製糸でも織物でも全ての工程で中国企業
が必要になっている。また、金型でもその比重が高くなっている。
この状態を無視はできない。日本の中小企業が持つ高いスキルやノ
ウハウを中国企業が手に入れるために、企業買収に乗り出している。

このように日本を守るためには、日本企業の優れたスキル、ノウハ
ウを守ることも重要なことになっているが、そのことに目が行って
いないし、行っても無理のような気もする。というように防衛が難
しい。

それなら、次の日本経済は何で生きるのかという視点が必要になっ
ている。

2.今までの事例から考察
 日本と同様な事態にヨーロッパはなったことがある。英国では、
今の中国は、百年前の米国と同じであると見ているようだ。英国は
金融業やサービス業にシフトした。フランス・ドイツは経済共同体
になり、ドイツはハイテク産業にシフトし、フランスは観光業とブ
ランド品、原子力発電、農業に活路を見つけた。この2ケ国はお互
いに違う分野を伸ばして、両方が補完する関係にしたことが大きい。

日本もこのように製造業からシフトする分野を決めて、その分野を
強化することである。そのとき、農業とエネルギーの分野は大きな
部分を占めることになる。前原国交相のいう観光もその分野であり
、このためには羽田をハブ化するというのは非常に整合性がある企
画である。

というように日本は、ドイツ+フランスのような産業にシフトして
アジア内での文化的な中心地になることである。このアジア内中心
地は現在、シンガポールのような感じであるので、東京とシンガポ
ールが競合しているように感じる。

そして、その総合的なキーワードは、全て環境ということになるの
で、CO2排出権の25%という高い目標を掲げるのはよいことで
ある。

しかし、あくまでも実行が重要なことである。

3.ドルの崩壊後
2009/03/24中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁はドルを基軸通
貨とする現在の国際通貨体制の限界を指摘する論文を公表した。
「基軸通貨を発行する国だけで世界に流動性を提供すると同時に通
貨価値を安定させることはできない」とし、国際通貨基金(IMF
)のSDR(特別引き出し権)制度の拡充を訴えた。

しかし、2009年4月1日asahiに中国政府が、アジア域内の共通通貨体
制の実現に向け本格的な検討を進めていることが明らかにした。
世界一の外貨準備を持つ中国がドル基軸通貨体制から距離を置き始
めたことを示すという記事が出た。その後、直ぐに、中国はインド
ネシア、香港、韓国、マレーシア、ベラルーシ、そしてアルゼンチ
ンとそれぞれ二国間の「通貨スワップ」協定を結んでいる。5月に
チェンマイ・イニシアチブで東アジアでの通貨協同体を確立してい
る。

2009/09/28に世界銀行のゼーリック総裁は「米ドルが支配的な準備
通貨として地位が保証されていると当然視するのは間違いだ」と語
っている。

このように中国も日本も、ドル基軸が崩壊した後を睨んだ対応を現
にしている。この動きを加速するのが、アジア域内の共通通貨体制
であり、この体制をできると、米国やEUより大きな経済圏の通貨
が出来ることになる。このため、ACUがドルに代わる基軸通貨に
もなる。基軸通貨になると、いろいろな特典ができる。また、貿易
上の優位性も大きくなる。

アジア全体が、非常に優位な状態が出現する。しかし、この構築に
は60年の長期的な視野が必要である。このACUで中国も得をする。

4.中国は覇権国家になれるか?
 しかし、人権の保護が十分ではない中国の行動は、軍事力で強大
になっても世界から反感を受けることになり、覇権国家としては、
米国の変わりはできない。

このため、中国も、世界的な強制力ができないことで、非武装的な
日本の文化的な力を必要になる。また、米国は1隻1兆ドルもする
新しい空母を作れない。このため、軍事力でも中国に太刀打ちでき
ないことになるのは目に見えている。

このように今後、中国と日本の役割は違う。英国と米国の役割が違
うように、日本と中国との役割を調整することから始まるように感
じる。

しかし、その中国の軍事力にも対応した日本の軍事力が必要である
し、中国のシーレーン封鎖にも備えることである。このためには、
自国のエネルギーと食料は自給できることが最低限必要になる。安
全保障は軍事力だけではない。安全保障は経済合理性が欠けても行
う必要がある。

5.さいごに
 どちらにしても、日本での中国に対する感情が大きく違うことで
この感情的な部分をどうするかが問題なのであろうと思う。日本の
衰退を止めるには、中国とも関係を相互依存型にするしかないと見
ている。それをどう構築するかだ。

さあ、どうなりますか??
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世銀総裁「ドル基軸の当然視は誤り」 経済の構造変化指摘
2009/09/28
 【ワシントン=御調昌邦】世界銀行のゼーリック総裁は「米ドル
が支配的な準備通貨として地位が保証されていると当然視するのは
間違いだ」と語り、ドルが基軸通貨であり続けるか分からないとの
見方を示した。そのうえで「ドルに代わる複数の選択肢が増えてく
る」との見通しを明らかにした。背景には、中国やインドの台頭な
ど世界経済の大きな構造変化があると説明している。

 発言内容は同氏が28日にワシントンで講演する要旨を世銀が公表
し、明らかになった。ドルに代わる選択肢について具体的な言及は
ない。オバマ米政権は「強いドルは国益」と強調し続けているが、
過去に米政府の有力者だったゼーリック総裁はドルの地位が経済情
勢によって変動すると考えているようだ。

 米国の金融規制改革については「独立性の強い専門家集団である
米連邦準備理事会(FRB)に、さらに権限を移譲することは難し
い」と指摘。米財務省が金融規制当局を束ねるのが危機管理として
望ましいとの考えも示した。(16:00) 
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 中国、アジア共通通貨を本格検討 ドル基軸体制に距離
2009年4月1日asahi

 【北京=峯村健司、琴寄辰男】中国政府が、アジア域内の共通通
貨体制の実現に向け本格的な検討を進めていることが明らかになっ
た。世界一の外貨準備を持つ中国がドル基軸通貨体制から距離を置
き始めたことを示す動きで、金融サミット(G20)での議論にも
影響を与えそうだ。 

 アジアでの国際金融協力の動きは、97年のアジア通貨危機を受
け、日本が国際通貨基金(IMF)のアジア版である「アジア通貨
基金」(AMF)の設立を提案して先鞭(せんべん)をつけた。さ
らに共通通貨体制を目指す提案は日本でも有識者から出ているが、
今度は経済大国として台頭した中国が動き始めた。 

 中国政府筋によると、サブプライムローン問題への懸念が高まっ
た昨年春、「アジア通貨協力検討会」が設置された。外務省、財務
省、中国人民銀行(中央銀行)の担当者のほか、研究機関や大学の
専門家で構成された。AMFの設立や人民元、円、韓国ウォンなど
を組み込んだ「仮想通貨」であるアジア通貨単位(ACU)の活用
、将来的な通貨統合とアジア中央銀行の創設などが検討課題だ。胡
錦濤(フー・チンタオ)指導部にも定期的に報告が上がっている。

 東アジアの域内貿易比率は5割を超えているが、決済はドル建て
が多く、ドルの価値の変動で米国と直接関係しない取引まで影響を
受ける構造になっている。中国政府は最近、ドル基軸通貨体制の見
直しを迫る姿勢をちらつかせ、人民銀の周小川総裁も3月23日発
表した論文で、基軸通貨としてのドルの「限界論」を提起した。 

 日本政府がAMFを提案した際、日本の主導権を警戒する中国は
支持せず、米国の強い反対にも遭って実現しなかった。中国は01
年の世界貿易機関加盟をテコに経済規模で米国、日本に続く世界第
3位に浮上。「日本と対等に話し合えるようになった」(政府系研
究機関研究員)ことで、主導権をとる環境が整ったとの判断がある
とみられる。 

 共通通貨体制の実現には、域内の労働力移動の自由化など課題が
多いが、中国の動きが各国の議論を加速させる可能性もある。 
==============================
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2009年4月7日

 人民元のハードカレンシー化への第一歩は通貨スワップ
  大不況とドルの落ち目に乗じて通貨覇権を模索する中国の野望

 中国はインドネシア、香港、韓国、マレーシア、ベラルーシ、そ
してアルゼンチンとそれぞれ二国間の「通貨スワップ」協定を結ん
だ。

 かねて筆者は、この動きに注目してきた。
さきのIMF改革,SDR通貨発行提唱など、一連の文脈の中で、
これはいずれの日か中国が自国通貨=人民元をハードカレンシー化
させる狙いが籠められていると言い続けてきた。
 この仕組みは、たとえばアルゼンチンの中央銀行はアルゼンチン
国内の輸入業者に人民元を売り、中国からの輸入決済とさせる。そ
うやって人民元が外国に拡大蓄積される。

 昨秋以来の米国景気大後退は世界的ドル不足を産んだが、そうし
た米ドル建て決済を回避できれば貿易金融の拡充にもなると中国は
踏んだわけだ。
 秘められた中国の狙いはそうやって人民元を世界中に拡散し、ハ
ードカレンシーとするという大目標である。

 奇しくも同趣旨の分析をRSB( ロイヤルバンク・オブ・スコッ
トランド)の主任エコノミスト、ベン・シンプヘンドォーファーが
している(ウォールストリートジャーナル、4月5日付け)。

シンプヘンドォーファーは人民元が世界的通貨めざして動き出した
ことをこう分析した。
「具体的な通貨スワップの契約の中味は不透明だが、要するに当該
国は中国からの輸入に対して人民元決済するが、そのカネは他国通
貨とは交換できない。同時に香港をのぞく当該諸国はFRBとも通
貨スワップを締結してバランスをとり、ワンクッションをおいて米
ドルとの交換が二段階で可能にしているようだ。
 最大の実践は香港とのあいだですすみ、その長期的野心が一夜で
達成されることはないが、世界的通貨の位置を占めるまでのテンポ
は予測より早まる可能性がある。人民元の信用枠の拡大という、い
ずれの日かに実現しようとしている人民元ハードカレンシー化への
第一歩が開始され、中国はこの百年に一度の危機を、むしろ梃子
(レバレッジ)として応用していることに注目すべきだろう」
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「ドル基軸、米国益に沿わず」米シンクタンク所長指摘
2009年10月25日asahi

 【ワシントン=尾形聡彦】世界的にドル安傾向が強まるなかで、
米国でドルの基軸通貨体制の今後の方向性を巡る議論が高まってい
る。米政権とのかかわりが深い、米有力シンクタンク「ピーターソ
ン国際経済研究所(PIIE)」のフレッド・バーグステン所長
(68)は朝日新聞のインタビューで「米ドルの基軸通貨体制はも
はや米国の国益に沿わない」と指摘し、米ドルの支配的な役割を徐
々に下げるべきだと提言した。 

 今後、20年ほどかけて「米ドルと欧州の単一通貨ユーロの2極
体制に移行する」との見方を示すとともに、アジア各国が対ドルへ
の自国通貨切り上げで政策協調する「アジア版プラザ合意」を求め
た。 
     ◇ 
 ――米ドルの地位を次第に低下させる必要性を説いていますね。
なぜですか。 

 「国際通貨システムで米ドルが支配的な地位を占めていることは
、米国の国益に沿わなくなっている。理由は二つある。まず貿易赤
字の拡大につながる。世界からの米国への貸し出しが突然止まれば
、ドルは暴落する。巨額の資本流入は低金利や過剰流動性をもたら
し、現在のような経済危機につながってしまう」 

 「第二に、米国が自らの為替レートを制御することが困難だ。輸
出競争力を高めるため、自国通貨を弱めるための(ドル買い)介入
を行うと、米ドルは過剰に高くなってしまう」 

 ――ドル・ユーロの2極体制になるのでしょうか。 

 「現在は(世界の外貨準備に占める割合は)ドルが65%、ユー
ロが25%だが、10〜20年先にはともに40〜50%を占める
かもしれない。約100年続いたドルの時代が、10〜20年でユ
ーロとの2極体制に進化するのではないか」 

 ――ただ、米政権は「強いドルが米国の利益だ」と言い続けてい
ます。 

 「彼らが恐れているのは、ドルの価値が急激に落ちることだ。『
強いドル』の定義はなく、財務長官が言わなくてはいけない『公式
なレトリック(修辞法)』にすぎない」 

 ――米政権は、強いドル政策を実質的に放棄しているのでは。米
国は輸出主導型の景気回復を目指していて、そのためドル安は不可
避です。 

 「その指摘は正しい。米政権が世界経済の不均衡の是正や、輸出
主導型の景気回復を目指すなら、競争力のあるドルの交換レートが
必要だからだ。我々の計算では、人民元や、いくつかのアジア通貨
はドルに対して切り上げが必要だ。日本円に対しては、それほど必
要ない」 

 ――ただ、中国は実質的に1年以上人民元の切り上げをしていま
せん。アジア諸国も輸出競争力を気にしてドル買い介入を実施して
います。 

 「その通り。中国こそが一番大きなずれをもたらしている。韓国
やマレーシアなどアジア各国もドルに対し人民元が切り上がらなけ
れば、自国通貨切り上げは難しい。中国も人民元切り上げは、他国
が同調しなければ困難だ」 

 「アジア各国は共通の為替相場政策を追求すべきだ。為替政策面
での連携が賢明な選択で、アジア版の『プラザ合意』(1985年
に主要国が、ドル安を進めることで一致した合意)だ。各国が為替
政策の永続的な連携や、『2〜3年で2割の切り上げ』などの合意
をしてもいい」 

 ――米中(G2)時代の必要性を指摘していますね。 

 「私が『G2』を提唱しているのは、気候変動でも国際通貨でも
、米中が合意できれば、国際合意にできる可能性がずっと高まるか
らだ」 

 ――米欧日中のG4の形成を目指す動きもあります。 

 「日本を含めるか否かは、難しい問題だ。理想は、米中と欧州の
G3だ。日本は人口減や過去20年の経済成長の弱さを考えれば、
G3ほど強い経済ではない。ただ、欧州も政治的に一枚岩になれな
い弱さがある。だからG2を拡大する場合は、G4か、インドも加
えたG5だろう」 

 ――鳩山政権への期待は。 

 「日本は依然として貿易黒字に過剰に依存しており、不均衡を是
正する必要がある。さらに非常に大事なのは、人口減少を補う生産
性の向上だ。さらなる改革と、市場志向の戦略が必要だ。私は、現
政権が違う方向に向かっているかもしれないと懸念している」 

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