3432.ドル基軸通貨維持へ



アラブ諸国、原油取引での通貨バスケット建て移行を協議という記
事で鮮明に米国のドル基軸通貨体制が揺らいでいたが、米ガイトナ
ー財務長官やバーナンキFRB議長、サマーズ米NEC委員長など
米政権トップがドル基軸体制維持に向けて発言している。このため
、円の対ドルは91円と円安にシフトしている。
            津田より

0.はじめに
 米国経済状況はNY株が1万ドル大台を回復して約5割高と反発して
いるので、この株価だけ見ると景気は底を打ち、経済は回復したと
見える。ゴールドマンサックス(GS)は前四半期の3倍の利益が出
て、順調に見える。また、シティも黒字を確保した。投資部門は、
完全に復活したようである。ヘッジファンドに個人資産がシフトし
て、リスク投資が始まっている。投資銀行は復活のようである。

しかし、投資部門が弱いシティは子会社の売却益で黒字にしたのだ。
次四半期決算対策では商品取引子会社フィブロを売却する。売却額
は、約2億5千万ドルになる見通しである。自己投資部門しか売れな
いので、この分野の子会社を矢継ぎ早に売却している。このため、
収益力が確実に減少することになる。

そして、米バンク・オブ・アメリカは910億ドルと大幅な赤字に
なっている。クレジットカードなどの焦げ付き増加が響き、3四半
期ぶりの赤字に転落した。大手証券メリルリンチの買収で強化した
証券部門の黒字を食いつぶす格好となった。

このように、クレジットカードローンや住宅ローンなど米金融機関
の個人向け融資の損失リスクが一段と高まっている。8月のカード
ローンの貸倒償却率が過去最高を更新、住宅ローンも貸し倒れリス
クが比較的低い「プライムローン」の延滞率が上昇している。

また、クレジットカードなど個人消費者信用残高は8月119.8億ドル
減と大幅な減少が止まらず、消費は底入れしていない。

このため、カリフォルニア州の地銀サンウォーキン・バンクが10月
16日に経営破綻した。今年に入り、米国での金融機関の破綻は99件
目となる。昨年の金融機関の経営破綻は25件で、既に約4倍に達し
ている。FRBのタルーロ理事は米上院銀行委員会で、米銀の経営
状況について「製造や雇用などの見通しから考えると、引き続き相
当の損失を被るだろう」との予測を示した。商業用不動産関連のロ
ーンが、今後も銀行にとって非常に大きな難題と指摘した。

それを受けて、サマーズNEC委員長は、市場規律を機能させるた
めに金融機関の秩序だった破たんを可能にすべきとの見解を示した。
これはFDICの預金保険残高が2012年までの保険料を前払いして
もらっても450億ドル程度しかなく、今後起きる金融機関の破綻処理
には非常に少なく、預金保護ができない事態を想定しているので、
このような発言になるのだ。

しかし、このように米国経済はいろいろな問題を抱えているのに、
政権トップ層は、米国経済は回復していると常に発言をしている。

この理由はドル基軸通貨体制を守るためなのである。
次にその状況を見ていこう。

1.ドル基軸通貨体制の揺らぎ
 米政府は、2009会計年度(08年10月〜09年9月)の財政赤字が
1兆4171億ドル(約130兆円)になったと発表した。このため、財政
赤字から米国債が増えることで、ドル安になることが明らかなので
、バークレイズ・キャピタルの最新データによると、外貨準備の内
訳を発表する各国は4−6月に、新規資金の63%をユーロと円に振
り向けている。これは、800億ドル以上の外貨準備高の増加があった
四半期の中では最も高い割合となる。

ちなみに、回復傾向を強める中国経済への期待から、海外から短期
の投機資金が流れ込んでいるため、中国の通貨当局は国内輸出企業
を支援する狙いで元売り・ドル買いの市場介入を強化したことで、
中国政府の外貨準備高は9月末時点で前年同月末に比べて19.3
%増の2兆2726億ドル(約204兆5340億円)となり、過
去最高を更新し、月末の日本政府の1兆526億ドルに対し2倍以
上の規模となっている。

その外貨で米国債を大量購入することで対米発言力強化につなげて
いる。このため、巨額な対中貿易赤字を抱えながらもオバマ政権が
、人民元の切り上げ要求をトーンダウンさせている。しかし、それ
も限界に来ている。

世界の指導者らがドル離れを警告する行動を見せる一方で、オバマ
米政権はドル資産購入者の逃避を招くことがない限りは、輸出押し
上げと景気回復のために弱い通貨を許容する姿勢を示していた。

過去最高水準の外貨準備を積み上げている各国の中央銀行は、ドル
よりもユーロや円を選好する姿勢を一段と強めており、ドルに対す
る圧力がさらに強まっていた。 

これを受けて、ドル・円相場は2010年後半から11年にかけて1ドル
=50円前後までドル安・円高が進む−。三井住友銀行の宇野大介チ
ーフストラテジストは、その理由を米国経済の悪化とドルの中長期
的な下落が重なる中、1944年のブレトン・ウッズ協定から続くドル
基軸体制が崩壊するためとしていた。

しかし、アラブ諸国、原油取引での通貨バスケット建て移行を協議
という記事でドル離れが鮮明になり、米政権の態度が変化したよう
だ。口先だけかもしれないが、それでも変化した。

2.ドル基軸通貨維持へ
 ガイトナー米財務長官は、米国とドルの地位に対する世界的な信
頼を維持するために、米国は歳入に見合った国家運営をしなければ
ならないとした。長官はテレビインタビューで、ドルが主要準備通
貨であるため、米国は歳出の規律維持などの特別な責任を負うとの
認識を示した。この根底にあるのは、中国が米国債をいつまで買う
かである。

また、経済再生諮問会議議長のボルカー元FRB議長は、FRBが
米金融システムに注入した多額の流動性について、「現時点では」
インフレ高進につながっていないが、いずれはインフレを加速させ
るとの見方を示した。これは中国が金利を上げるのに合わせて、米
国も金利を上げるしかないということである。

そして質疑応答で失業率が高止まりしていても、流動性の吸収を始
める必要があると指摘した。また、中国にとって「ドルの安定は大
きな関心事」との見方を示したが、これが先ほどの米金利上げの原
因である。

そして、米財務省は、国際経済と為替政策に関する半期報告を公表
した。4月の前回報告に続き、中国などを含む主要貿易相手国で、
「不当に為替を操作している例はなかった」と指摘。中国の「為替
操作国」認定を見送る一方、人民元については「なお過小評価され
ている」との見方を継続した。

これに対して、中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は、世界的
な金融危機に対応するため1年前に導入した金融緩和政策の解除を
いつ始められるか検討していることを示唆し、利上げが近々にある
と示した。そうすると、米中の金利差が大きくなり投機マネーが中
国に流入し、人民元の上昇圧力がさらに強まることになる。

このため、中国政府は対ドルでの人民元上昇を再び容認する「適当
なきっかけ」を待っているように見える。金融市場でも、人民元の
上昇再開を織り込んだ動きが、すでに出始めている。

「適当なきっかけ」の1つは輸入インフレを抑制する必要性だ。原
油先物は1年ぶり高値に上昇、銅などその他商品も全般に強含んで
いる。

中国が人民元上昇を容認すると、介入が必要なくなり、ドルの下落
を引き起こして、ドルを買い支える大きな柱が無くなる。

このため、米中間でドル基軸通貨体制を守れるかどうかのせめぎ合
いが起きると解釈できる。しかし、米政権トップがドル防衛を発言
したことで、1ドル91円と若干円安に振れている。中国の財布が
なくなった時が米国の試練であろう。

3.基軸通貨国の姿
 米国は今まで、世界各国の供給を一手に消費する役割であったこ
とで基軸通貨ドルが米国にも世界にも有効であったのだと見る。
しかし、米国も他の国と同様に供給国に成り下がると、基軸通貨を
持つ国としては不適切になる。米国が世界経済の中心に居ることは
米国以外の世界には少なくとも有害になる。

このため、次の世界各国の消費市場となる国の通貨が基軸通貨とな
る方向にシフトすることになる。この時、候補としては人民元とユ
ーロであろう。しかし、人民元はまだその準備ができていないし、
ユーロは世界の消費市場になるつもりがない。

そして、残念ながら円は人口が少ないので、世界の消費市場にはな
れない。チャンスとしては、日銀が伝統的なオペレーションから離
れないので、世界の金融機関から信頼感が高いことである。この信
頼感を使って、移行処置としての一時的なバスケット制になるとき
に、円が入る可能性が高い見る。

さあ、どうなりますか??
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NY株、1年ぶり1万ドル回復 企業収益に底入れ期待
 【ニューヨーク=山下茂行】14日のニューヨーク株式市場で、ダ
ウ工業株30種平均は大幅反発し2008年10月上旬以来、約1年ぶりに
1万ドル台を回復した。早朝に発表された銀行大手JPモルガン・
チェースの決算内容が事前予想を上回ったことなどから企業収益の
底入れ期待が強まった。景気の回復基調が続いていることも株式市
場への資金流入を促している。

 ダウ平均の終値は前日比144ドル80セント高の1万15ドル86セント
。ダウ平均は3月に6547ドルと終値ベースで1997年以来、約12年ぶ
りの安値を記録したが、それから半年余りで約5割高と大幅に反発
した。
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ゴールドマン、利益3.8倍 株高追い風、シティも黒字維持 
 【ニューヨーク=山下茂行】米金融大手ゴールドマン・サックス
が15日発表した7〜9月期決算は純利益が31億8800万ドル(約2900
億円)と、前年6〜8月期(決算期変更に伴い前年同期に相当)の
約3.8倍に急増し、市場予想も上回った。株式相場の上昇を追い風に
株式や債券などのトレーディングによる利益が伸び、3四半期連続
の黒字となった。

 一方、米大手銀シティグループが同日発表した7〜9月期決算は
、純利益が1億100万ドル(約90億円)となり、3四半期連続で黒字
を確保した。前年同期は28億1500万ドルの赤字だった。ただ優先株
配当などを差し引いた普通株ベースでは赤字となった。
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米バンカメ、910億円赤字 7〜9月期
 【ニューヨーク=財満大介】米バンク・オブ・アメリカが16日発
表した7〜9月期決算は、最終損益が約10億ドル(約910億円)の赤
字だった。前年同期は11億7700万ドルの黒字。クレジットカードな
どの焦げ付き増加が響き、3四半期ぶりの赤字に転落した。

 事業会社の粗利益に相当する純営業収益は260億ドルと前年同期比
33%増えたが、融資の焦げ付きに備えるための貸倒引当金が急増し
た。主力業務のクレジットカードと住宅ローンで計27億ドルの損失
を計上。大手証券メリルリンチの買収で強化した証券部門の黒字を
食いつぶす格好となった。(16日 21:56) 
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米個人融資、リスクなお拡大 失業増響く、金融の業績圧迫
 【ニューヨーク=山下茂行】クレジットカードローンや住宅ロー
ンなど米金融機関の個人向け融資の損失リスクが一段と高まってい
る。8月のカードローンの貸倒償却率が過去最高を更新、住宅ロー
ンも貸し倒れリスクが比較的低い「プライムローン」の延滞率が上
昇している。返済能力に直結する雇用の回復が遅れていることが背
景。金融危機の一服で回復に向かいつつある金融機関の業績が再び
悪化すれば、貸し渋りなどを通じて景気回復に水を差す可能性があ
る。
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8月米消費者信用残高は119.8億ドル減、予想以上の減少(ロイター)

[ワシントン 7日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)が
発表した8月の消費者信用残高は前月比119億8000万ドル減
の2兆4600億ドルと、減少幅が予想を上回った。高水準の失業
率を背景に消費支出がさえない状況となっていることを示唆した。
年率では5.81%減。7月は189億8000万ドル減と、前回
の216億ドル減(過去最大)から修正された。

ロイターがまとめたアナリスト予想は100億ドルの減少だった。

消費者信用残高は7カ月連続で減少した。
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米シティ、商品取引子会社を売却 トレーダーの高額報酬に批判 
 【ニューヨーク=清水石珠実】米シティグループが商品取引子会
社フィブロを売却することが9日決まった。売却先の石油・天然ガ
ス大手のオクシデンタル・ペトロリアムが同日、発表した。今夏、
フィブロを率いるトレーダーの年俸が約1億ドルであることが明る
みに出て、公的資金を受けた立場にあるシティの高額報酬に批判が
高まっていた。

 オクシデンタルによる買収額は、約2億5000万ドルになる見通し
。年末までの買収手続き完了を目指す。
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米金融機関、加州で今年99件目の破綻 08年の4倍に
 【ワシントン=御調昌邦】米連邦預金保険公社(FDIC)は16
日、カリフォルニア州の地銀サンウォーキン・バンクが経営破綻し
たと発表した。今年に入り、米国での金融機関の破綻は99件目とな
る。預金は全額保護され、5支店は同州内の別の地銀が引き継ぐ。

 昨年の金融機関の経営破綻は25件で、既に約4倍に達している。
ゴールドマン・サックスなどの米金融大手は証券業務で収益を伸ば
しているが、地銀は商業用不動産への融資の焦げ付きなどを背景に
資産内容の悪化が目立つ。個人向けの不良債権も増加傾向にある。
FDICは来年にかけて破綻が高水準で続くとみている。(18:31) 
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米銀の損失、さらに拡大も タルーロFRB理事が証言
 【ワシントン=岩本昌子】米連邦準備理事会(FRB)のタルー
ロ理事は14日、米上院銀行委員会の公聴会で証言し、米銀の経営状
況について「製造や雇用などの見通しから考えると、引き続き相当
の損失を被るだろう」との予測を示した。

 商業用不動産関連のローンが、今後も銀行にとって非常に大きな
難題と指摘。「銀行は必要な最低資本額を満たしていても、近い将
来に備え、配当の制限などさらに自己資本を底上げする努力が必要
」と語った。

 また、FRBは現在、商業不動産関連融資の処理・再編に関する
組織内ガイダンス作成の最終段階にあると公表。FRBの金融政策
に関しては言及しなかった。(08:01)
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金融機関の秩序だった破たん可能にすべき=米NEC委員長(ロイター)

[ニューヨーク 16日 ロイター]サマーズ米国家経済会議
(NEC)委員長は16日、市場規律を機能させるために金融機関
の秩序だった破たんを可能にすべきとの見解を示した。
委員長は講演で「金融システムは破たんが起きても安全であるべき
だ」と語った。
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米財政赤字、130兆円 09年度、景気対策で歳出増
 【ワシントン=御調昌邦】米政府は16日、2009会計年度(08年10
月〜09年9月)の財政赤字が1兆4171億ドル(約130兆円)になった
と発表した。赤字幅は前年度の約3.1倍に膨らみ、年間で初めて1兆
ドルの大台を突破した。国内総生産(GDP)比でみると10%に達
し、第2次世界大戦が終わった1945年以降で最大となった。大規模
な景気対策の実施に加え、米景気の低迷を受け歳入が落ち込んだこ
とが背景だ。

 日本でも税収の不振と歳出削減の難しさから、10年度予算で国債
の大量の増発が避けられないとの見方が多い。欧州では英国、フラ
ンス、ドイツなどの財政赤字が軒並み拡大。日米欧で同時に深まる
財政難は国債の増発を通じて長期金利の高止まりを招きやすく、各
国の中央銀行は景気を冷やしかねない金利上昇への対応を迫られそ
うだ。米国財政の窮状についてはドル資産の信認低下に結びつく懸
念もある。(10:30) 
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ドルへの下押し圧力さらに強まる−各国中銀が準備外貨分散化の動き

 10月12日(ブルームバーグ):過去最高水準の外貨準備を積み上げ
ている各国の中央銀行は、ドルよりもユーロや円を選好する姿勢を
一段と強めており、ドルに対する圧力がさらに強まっている。 

 ブルームバーグのデータによると、各国中銀の外貨準備高は7−
9月(第3四半期)に、4130億ドル増の7兆3000億ドルになった。
7−9月の増加は、少なくとも2003年以来で最大。

 バークレイズ・キャピタルの最新データによると、外貨準備の内
訳を発表する各国は4−6月に、新規資金の63%をユーロと円に振
り向けている。これは、800億ドル以上の外貨準備高の増加があった
四半期の中では最も高い割合となる。 

 世界の指導者らがドル離れを警告する行動を見せる一方で、オバ
マ米政権はドル資産購入者の逃避を招くことがない限りは、輸出押
し上げと景気回復のために弱い通貨を許容する姿勢を示している。

 外貨準備の分散化はドルの反発がすぐには起きないことを示唆す
るものだ。ドルは過去6カ月に、貿易加重ベースで10.3%下落して
おり、これは1991年以降で最大だ。 

 かつて米連邦準備制度理事会(FRB)で調査を担当し、現在は
バークレイズ(ニューヨーク)のチーフ米国通貨ストラテジストを
務めるスティーブン・イングランダー氏は、「世界の中銀は以前、
準備外貨の分散化を口にするだけだったが、今ではより真剣に分散
化に取り組みつつある」と指摘。

「本当にドルから離れつつあるようだ」と話した。
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「ドル来年にも50円」、40年の下落で基軸体制崩壊
−三井住友・宇野氏 

10月15日(ブルームバーグ):ドル・円相場は2010年後半から11年
にかけて1ドル=50円前後までドル安・円高が進む−。三井住友銀
行の宇野大介チーフストラテジストは、その理由を米国経済の悪化
とドルの中長期的な下落が重なる中、1944年のブレトン・ウッズ協
定から続くドル基軸体制が崩壊するためと言い、世界経済はブロッ
ク化に向かうと指摘している。 
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米国は歳入に見合う国家運営必要=ガイトナー財務長官(ロイター)

[ワシントン 16日 ロイター]ガイトナー米財務長官は16日、
経済成長が持続可能な軌道に乗った後は、米国とドルの地位に対す
る世界的な信頼を維持するために、米国は歳入に見合った国家運営
をしなければならないとの見解を示した。
長官はCNBCテレビとのインタビューで、ドルが主要準備通貨で
あるため、米国は歳出の規律維持などの特別な責任を負うとの認識
を示した。

「インフレを長期的に低水準で安定させ財政規律を確実にする米国
の能力への信頼維持に向け、あらゆる可能な手段を講じていく必要
があるということを、米国民が理解することが非常に重要だ」と述
べた。 

過去1年間に多くの投資家が米債券に投資しドルが上昇したことは
、米経済の運営に対する強い信頼感が依然として存在することを示
していると指摘。「世界は米国債を必要としている。最も安全で最
も流動性の高い市場だ。世界の将来が最も不安視されているときに
ドルが上昇した」と述べた。

その上で「これは非常に大切なことだ。当然視してはならない。
われわれが理解し、引き続き維持していくものであり、われわれは
そうしていく」と語った。

優先課題は多額の財政赤字の削減とし「経済成長が回復すれば、長
期債務を削減し、歳入に見合った国家運営に立ち返ることを確実に
する必要がある」と話した。

ただ、景気刺激措置の解除が早すぎないよう慎重でなければならな
いと付け加えた。
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FRB、政策転換を長期先送りすれば手遅れに=ボルカー元議(ロイター)

ケンブリッジ(米マサチューセッツ州) 15日 ロイター]オバ
マ米政権の経済再生諮問会議議長を務めるボルカー元連邦準備理事
会(FRB)議長は15日、FRBが米金融システムに注入した多
額の流動性について、「現時点では」インフレ高進につながってい
ないが、いずれはインフレを加速させるとの見方を示した。
元議長は、ハーバード大学ケネディースクールでの講演後の質疑応
答で、失業率が高止まりしていても、流動性の吸収を始める必要が
あると指摘。そうした決定の難しさに言及しながらも「一見常識と
思われる認識に反して行動する必要がある。待てば時機を逸する」
と述べた。 

4キャストのストラテジストによると、元議長の発言を受けて、ド
ルの対円相場はアジア取引で3週間ぶり高値となる90円99銭を
つけた。15日のニューヨーク市場終値は90円55銭だった。 

ボルカー元議長は質疑応答で、中国がドル建て資産を大幅に削減す
るとは思わないと述べ、ユーロや円といったドルに代わる選択肢が
さほど有望でないことが理由の一つだと指摘。中国にとって「ドル
の安定は大きな関心事」との見方を示した。
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資産バブルの予防、中銀は力不足 FRB副議長が不安吐露 
 【ワシントン=大隅隆】コーン米連邦準備理事会(FRB)副議
長は9日の講演で、危機再発防止に向けた中央銀行の役割について
「資産バブル抑制に中銀が取り組むよう求められる機会が増えたが
、専門の研究者ですら資産価格の評価能力は極めて限られたものだ
」と語った。資産バブルの監視・予防で中銀の役割への期待が高ま
っているが、当事者として不安を吐露した格好だ。 

 大量の資金供給の副作用としてのインフレ懸念については「高イ
ンフレを一時的にせよ容認すれば、市場のインフレ予想を元に戻す
コストはかなり高い」と指摘。必要に応じて迅速に対応する考えを
示した。ゼロ金利政策などの採用では、1990年代後半以降の日本の
金融政策を参考にしたことも明らかにした。 (15:12)
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中国の「為替操作」認定せず 米財務省、ドル「今後も基軸通貨」 
 【ワシントン=御調昌邦】米財務省は15日、国際経済と為替政策
に関する半期報告を公表した。4月の前回報告に続き、中国などを
含む主要貿易相手国で「不当に為替を操作している例はなかった」
と指摘。中国の「為替操作国」認定を見送る一方、人民元について
は「なお過小評価されている」との見方を継続した。今回は国際通
貨制度におけるドルについても分析。健全な政策運営などを前提に
「基軸通貨であり続ける」と自信を示した。

 巨額の貿易赤字の相手国となっている中国の為替政策については
、議会内で人民元の切り上げを要求すべきだとの意見が根強い。今
回の報告では為替操作は指摘しなかったものの、中国の外貨準備が
約2兆ドルを超えたことなどを挙げ、世界経済の不均衡問題に取り
組むよう要請した。

 一方、中国が金融危機に積極的な財政・金融政策で対応し「世界
経済の需要回復に大きく貢献した」と評価した。 (16:00) 
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人民元に切り上げ圧力 当局は市場介入を強化
 【北京=高橋哲史】中国の通貨、人民元に切り上げ圧力が高まっ
ている。緩やかな回復傾向を強める中国経済への期待から、国内に
短期の投機資金が流れ込んでいるためだ。中国の通貨当局は国内の
輸出企業を支援する狙いで元売り・ドル買いの市場介入を強化、元
相場の上昇を食い止めている。しかし、介入の拡大は国内の過剰流
動性を膨らませ、資産バブルやインフレの芽を育てかねないとの懸
念も浮上している。

 為替政策を所管する中国人民銀行(中央銀行)は16日、人民元相
場の基準となる「中間値」を1ドル=6.8270元に設定した。人民銀
が毎朝発表する中間値は8月まで6.83元台で推移していたが、9月
上旬以降は6.82元台にわずかながら上昇している。元相場は2005年
7月の制度改革で、事実上の固定相場から1日あたり一定の範囲内
(現在は上下0.5%)で変動を認める「管理変動相場制」に移行した。
その後、人民銀は市場介入を調節しながら元相場を切り上げ方向に
誘導したが、世界経済の低迷で輸出企業の業績が悪化した08年7月
以降は元相場の上昇を1ドル=6.83元前後で止めている。(09:33) 
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中国の外貨準備高、9月も過去最高 日本の2倍で世界一更新
 10月15日 産経新聞

【上海=河崎真澄】中国政府の外貨準備高が9月末時点で前年同月
末に比べて19.3%増の2兆2726億ドル(約204兆5340
億円)となり、過去最高を更新した。外貨準備高で中国は2006
年2月に日本を追い抜いて世界一となってからも膨張を続け、9月
末の日本政府の1兆526億ドルに対し2倍以上の規模となってい
る。輸出などで得た民間企業の外貨も金融当局が吸い上げる「外貨
中央集中性」が背景にあり、その外貨で米国債を大量購入すること
で対米発言力強化につなげている。

 15日付の中国紙、上海証券報によると、中国人民銀行(中央銀
行)の調べで9月末時点の外貨準備高は6月末比でも1410億ド
ル、6.6%増加している。中国の輸出入は11カ月連続で減少し
、貿易黒字も縮小傾向が続いているものの、金融当局による元売り
ドル買いの為替介入や、成長が続く中国へのホットマネー(投機資
金)の大量流入、民間からの外貨の吸い上げ策などで「ドル箱」拡
大が続いている。

 日中の外貨準備高が逆転し、わずか3年で2倍以上も差が開いた。
ただ、みずほ総研の鈴木貴元・上席主任研究員(中国駐在)の推計
によると、日本の場合は民間が保有する外貨が政府保有の約5倍の
約5兆ドルなのに対し、中国の民間保有は政府の2分の1の約1兆
ドルという。しかもその1兆ドルの大半は国有の石油大手や商業銀
行などの保有で、民間企業や個人保有は制限されている。

 中国は、民間も含む経済活動で得た外貨の大半を中央に集中させ
ることで、「強大な政治パワーを与え、国際市場の注目を集める」
(鈴木氏)ことに成功した。中国は外貨準備高のうち約8千億ドル
を米国債で、約6千億ドルを米政府機関債で保有する米政府にとっ
ての“世界最大のスポンサー”だ。

 巨額な対中貿易赤字を抱えながらもオバマ政権が、人民元の切り
上げ要求をトーンダウンさせているのもそのためだ。米国から見て
同盟国の日本とは異なる共産国家の中国が「世界一」となったこと
は脅威で、仮に中国が突然、米国債を大量売却する意向を表明した
だけで、米国債の暴落は避けられない。中国が外貨準備で米国債を
買い続けることで、ドルと米経済が最終的に支えられるとの「人民
元アンカー論」も登場した。

 こうした米中の構図が続く限り、中国の外貨膨張は当分続きそう
な気配だ。
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中国人民銀行総裁、金融緩和政策解除の開始時期検討を示唆(ロイター)

[北京 16日 ロイター]16日付の中国紙によると、中国人民
銀行(中央銀行)の周小川総裁は15日夜の講演で、世界的な金融
危機に対応するため1年前に導入した金融緩和政策の解除をいつ始
められるか検討していることを初めて示唆した。
中国証券報によると、同総裁は、適切な金融引き締めの度合いを判
断する通常の基準の利用を一時的に停止していたが、いつまでもそ
のようにしておくことはできないと述べた。

総裁は「適度に緩和的な金融政策は危機に対応した措置だった。中
央銀行による危機対応措置は、通常時のインフレ期待に関する指針
とは異なる」と指摘。

金融緩和政策をいつ解除し始めるかについては言及しなかったが「
中銀が過去に金融緩和政策を導入したことはほとんどなく、金融危
機が起きなければ、現在の適度に緩和的な金融政策は存在しなかっ
ただろう」と語った。

チャイナ・ビジネス・ニュースも同様の内容を報じた。

また、上海証券報によると、周総裁は「金融政策を決定する上で、
中銀はインフレ期待の影響に多大な注意を払う。危機への対応にお
いてはインフレ期待に関する指針は通常時と異なる」と述べた。
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人民元の上昇再開、当局は「適当なきっかけ」待ち(ロイター)

[上海 15日 ロイター]中国当局は、対ドルでの人民元上昇を
再び容認する「適当なきっかけ」を待っているのかもしれない。金
融市場でも、人民元の上昇再開を織り込んだ動きが、すでに出始め
ている。
人民元は08年半ばまでの3年間、上昇が続いていたが、昨年7月
からは輸出産業保護のため1ドル=6.83元付近で事実上固定さ
れている。しかし人民元上昇に向け、外交上・通商上の圧力が強ま
っている。

「適当なきっかけ」の1つは輸入インフレを抑制する必要性だ。原
油先物は1年ぶり高値に上昇、銅などその他商品も全般に強含んで
いる。

中国当局は、人民元の将来の上昇を見込んだ投機マネーの流入を抑
制する措置をとる可能性がある。また輸出の回復傾向を受けて、当
局は人民元の上昇を容認しても問題はない、という考えになるかも
しれない。

中国の税関当局が発表した9月貿易統計によると、輸出は前年比で
は減少したが、労働日数調整後で前月比6.3%増加した。商務省
報道官は、第4・四半期は前年比でもプラスになる、との見方を示
している。

ある国有銀行のシニアトレーダーは「中国政府は、人民元が過小評
価されていることの経済上の損失の可能性を考えている。政府に必
要なものは、人民元上昇に伴う懸念を和らげる一定の正当性だ」と
指摘した。

中国政府はまた世界経済のリバランスに協力する姿勢を示している。 

中国国家発展改革委員会のエコノミスト、Zhang Yansheng氏は「中
国も他国と同様、為替については国益に基づいて判断する。輸出が
依然として急減している今、元上昇を容認することができようか」
と述べた。

欧米政府はこれまで長年、人民元の自然な上昇を抑制しているとし
て中国を批判。人民元の上昇ペースを加速するよう再三、要求して
いる。

一方、ファースト・キャピタル証券のエコノミストであるWang Haoyu
氏は、世界経済の最近の改善が世界の金融システム回復につながり
、余剰なマネーが生まれれば、通貨が過小評価されている諸国にそ
のマネーが向かう、と指摘。「ホットマネーが中国市場に流入、資
産バブルが発生し、経済の安定性や長期的な発展が損なわれる」と
の見方を示した。

金融市場はすでに、人民元の将来の相場上昇を織り込み始めている。

中国外国為替取引システムで取引されるスポットの人民元は、12
日は1ドル=6.8234元と、4カ月超ぶりの高値で終了。

オフショアでは、ドル/人民元の期間1年のノンデリバラブル・フ
ォワード(NDF)は08年8月以来で最も高い人民元上昇を織り
込んだ。ドル/人民元NDFは15日は1年2カ月ぶり低水準の
6.6120元と、スポットからの3.25%の元上昇を示唆した。

中国は世界の主要国の景気回復をけん引しており、アナリストらは
、中国は米国よりも早期に、金融引き締めを開始する、と予想して
いる。

中国が利上げすれば、米中の金利差は一段と拡大する。そうなれば
投機マネーが中国に流入し、人民元の上昇圧力がさらに強まる見通
しだ。  
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ブラジル、外貨準備高が急増 資金流入が要因、過去最高の21兆円 
 【リオデジャネイロ=檀上誠】ブラジルの外貨準備高が増え続け
ている。ブラジル中央銀行によると、15日時点の外貨準備高は過去
最高の2322億ドル(約21兆1000億円)。10月に入り3.5%(約80億ド
ル)増え、年初を13%上回る。新興国の成長を見込んだ株式市場へ
の資金流入や、通貨レアル高に対抗するための中央銀行による為替
介入が増加要因になっている。 

 外貨準備高は今月8日の1日だけで前日比50億ドル増えた。直前
にスペイン大手のサンタンデール銀行のブラジル法人が公募増資を
実施し、その際のレアル高局面で中銀がドル買い介入した影響が大
きいとみられている。 

 投資資金の流入でレアル高には拍車がかかっており、今年3月に
つけた対ドルでの年初来安値に比べ40%以上上昇している。今後、
工業品の輸出などに影響が広がるのは必至で、中銀の為替介入は当
面続く可能性がある。 (17日 23:20)
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アラブ諸国、原油取引での通貨バスケット建て移行を協議=英紙
10月6日11時57分配信 ロイター

 [シドニー 6日 ロイター] 英インディペンデント紙(電子
版)は6日、アラブ湾岸諸国が原油取引での米ドル利用を中止し、
通貨バスケット建て取引移行に向け、ロシア・中国・日本・フラン
スなどと極秘に協議していると報じた。
 ロバート・フィスク中東特派員によるこの記事を受け、ドル相場
は軟化した。
 同紙がアラブ諸国の関係筋および香港にいる中国の銀行関係者の
情報として伝えたところによると、通貨バスケットは、円・人民元
・ユーロ・金のほか、サウジアラビア、アブダビ、クウェート、カ
タールなど湾岸協力会議(GCC)関係国が計画している統一通貨
などで構成される。


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