3431.マクロ経済を考えた日本の政治へ



民主党政権は、今までの惰性を壊している。この面では非常に良い
のであるが、マクロ経済無視が問題である。    Fより

概算要求が出揃い、総額96兆円ということになった。その内容で
評価できるのは公共事業を止めて、福祉関係予算を増やすことであ
るが、CO2排出量削減対応の予算があまり付いていない。CO2
削減は技術開発が重要で、もう1つ企業支援になり雇用を生み出す
ことになると期待していた。米オバマ大統領もCO2削減施策は雇
用対策でもあると演説している。

このようなマクロ経済の活性化を考えないと、雇用は企業が生み出
すので、雇用対策もできないし、CO2排出量削減もできないこと
になるし、赤字国債が増えて、将来の日本に大きな負担を残すこと
になる。

このためには、大きな増税を行うか、大きな既存施策を削減する必
要がある。2.5兆円規模であるガソリンの暫定税率中止を止めて
、環境税ができた段階でそちらに移行することが必要である。

また、特別会計と一般会計を足した250兆円の歳出全体で、考え
ることも必要である。一般会計の分しか見ていないのはおかしい。
特別会計に大きなムダや蓄積を残していることが明らかである。こ
のため、両予算を一体で見直し、一体で管理することが重要になっ
ている。

それでも足りないのであれば、マニフェストの項目でも優先順位を
明確にして、国富増大と格差是正を両立する国民経済を守る観点を
導入してほしいと感じる。

また、直接、家庭に援助することは非常に良いことであるが、その
家庭は、低所得者の場合は安い海外製の衣料・食品を買うために、
国内産業には大きな貢献をしないことになる。ある程度の所得があ
る家庭は、貯金に回し、学資の足しにすることになる。このように
内需拡大には大きな貢献をしないということである。

というようにマクロ経済的な観点では、海外に金が流れることにな
ると見る。海外が潤い、日本の高級な製品や高級な食料などを買っ
てもらい、国内産業が潤いというような関係にする必要がある。

このため、アジア内需というように、中国、東南アジア諸国と日本
がFTAを結び、外需に期待することが必要になる。このためには
日本企業の足場を強化することが必要になる。企業がアジアの人た
ちが期待する低価格製品やサービスを作れるようにしないと日本で
の雇用拡大はできない。

企業支援と生活者支援のバランスを取った政策配分が必要になるの
である。もし、民主党が生活者の立場を強くして、企業の立場を疎
かにするなら、自民党は企業の立場を強くして復活するチャンスが
生まれる。そして、2大政党が4年か8年毎に政権交代をして、相
互牽制できるシステムを完成してほしい。

しかし、このシステムの前提は、政治主導体制の確立である。この
部分は民主党・菅副首相の双肩にかかっていると見る。2度と官僚
・党主導という国家戦略ではなくて企業・地域エゴの利権構造を作
り、日本全体で見て必要が薄い分野への国費投入をしないことであ
る。

その前提の上で、自民党も復活することである。もし、今までの組
織運営を復活するなら、国民は自民党には投票しないであろうと思
う。

それだけ、前原国交相の行動は多くの国民の支持を集めている。世
界との競争を考えずに地域エゴを優先することはできないし、必要
もない道路や空港、ダムを作ることは日本の国富の消耗でしかない。

政治の基本原則は、日本全体の国富を増大して、その国富をなるべ
く均等に国民に還元することである。格差を容認する新自由主義的
な思想は、アジア的・日本的ではない。そのような社会は犯罪が多
くなり、暮らしにくい社会になる。

江戸時代のあかるい町人たちの雰囲気を作れることが為政者の勤め
である。助け合う社会、自然の循環を基礎とした社会であると見て
いる。


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