3417.米国金融政策に変調



米国のバブル生成戦略が実体経済から揺り戻しを受けている。
                       Fより

米国の経済指標がL字の底にあり一進一退の数字であるが、FRB
と財務省の景気刺激策からの出口戦略で、政策が終了されている。
この影響を米経済は受け始めた。9月米ISM製造業景気指数は52.6
で、前月の52.9から低下した。

9月の米新車販売、22.7%減で米政府の買い替え支援制度により8
月の販売が急増したが、同制度が終了したため9月はこの反動によ
る販売不振が目立った。年率換算では922万台で、昨秋の金融危機以
降で最低だった今年2月(912万台)の水準に迫った。 

このため、9月の米失業率9.8%に悪化し、非農業部門の雇用者数は
26万3000人減で、8月(20万1000人減、改定値)より減少幅が拡大
。米景気は底入れ局面にあるが官需依存が強く、企業が雇用を増や
す本格回復はなお遠い。

米住宅販売の持ち直しに一服感が出て、8月の住宅販売は7月まで
の急速な販売増加にブレーキがかかった。そして、米消費者信頼感
指数、9月は1.4ポイント低下し、予想に反して悪化した。

これだけの指標が悪くなったので、2日の米株式相場は4営業日続
落。ダウ工業株30種平均は前日比21ドル61セント安の9487ドル67セ
ントと、9月4日以来ほぼ1カ月ぶりの安値で終了した。

IMFは、米国のドルキャリーのバブル生成で、世界景気が戻って
いる。特に新興国や新興国候補国の成長が著しい。このため、世界
的に損失額が4月に4兆ドルとしたが、約3兆4000億ドルになったと
した。そして、昨秋以降の危機「急激な為替変動回避できた」と金
融危機終了と報告している。

しかし、米地銀の95行が破綻しているが、米国で融資の返済や利
払いが90日以上滞っている債権が全体の20%以上となった銀行の数
が26行と、18年で最悪の水準となっていることが、最新の調査で分
かった。また、このような非稼働債権の割合が半分に近い銀行も3
行あった。 FDICは銀行の破たんにより2013年までに1000億ドル
(約8兆9500億円)の資金負担が発生すると試算している。

このため、FIDCは加盟銀行に3年分の約450億ドルの保険料先
払いを提案したが、現時点でFDICには100億ドルしかないた
め、1000億ドルの破綻準備金を確保できない事態になっている。
このFDICに対して、FRBも財務省も支援をしない方針であり
、今後預金がなくなった場合は、どうするのか心配な事態になって
いる。

今まで、FRBは銀行や企業にMBC(不動産担保証券)などの買
取で資金提供をしてきたが、ドルの暴落が起きる可能性が出てきた
と認識して、慎重な対応になっている。MBC買取を来年3月には終
了するが、現時点でも買取量を大幅に減らしている。米国の財務省
、FRBは出口戦略を急いでいるような感じである。このため、米
地銀を支援する余裕が米国政府全体で無くなっている。

グリーンスパン前FRB議長は欧州会議で、インフレに関する懸念
を表明し、「向こう2、3年のうちにわれわれは深刻な問題に直面
するだろう」と指摘した上で、インフレが「米国とその貿易相手国
に多大な損失」をもたらすと警告した。

この見解を補強して、世界銀行のゼーリック総裁は「米ドルが支配
的な準備通貨として地位が保証されていると当然視するのは間違い
だ」と語り、ドルが基軸通貨であり続けるか分からないとの見方を
示した。

これに対して、FRBのバーナンキ議長は1日、ドルに代わる国際
的準備通貨について、実現すればドル安につながるが、短期的なリ
スクとはみていないとの認識を明らかにした。ある面でドルを基軸
通貨から外す事も仕方がないという見解のようである。今までとは
違う動きである。

連銀が買い取ったMBCの価値は、大きく損なっていると見られる
が、その損失を9/30時点の数値で、10月後半や11月に公表
することになる。どれだけの損失がでているのであろう。買取資産
の1/3がMBCである。相当大きな数字になることは確かである。

このため、米ドル通貨に対して、国際通貨としての安定性が不足し
てるという疑念が出ているのである。

また、2008年秋のリーマンショック前に似た現状が起きている
。当時は円キャリー取引で、商品市場で投機資金が流入して高騰し
たが、今回はドルキャリー取引で金や食料が高騰している。

現在、日本円はドル以外の資源国通貨にキャリーしているし、危険
であると株から国債にシフトし始めている。

しかし、米国では2008年秋の損失を埋め合わせようと、米年金
資金、米銀投資部門などが高レバレッジで、新興国に投資している。
このため、世界的な景気は新興国で回復している。ショックがある
と、巻き戻しが起こり、大きな損失がでるが、それを考える余裕が
ないようである。

銀行には売れない証券化商品の山やクレジット破綻、商業不動産の
損失があり、この損失を埋めるべく自己売買部門は利益を稼いでい
る。大きな儲けを出さないと埋めることができない。

あくまでも大きなショックが無いときには大きな儲けが出るが、
大丈夫なのであろうか??

さあ、どうなりますか??
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世界の金融損失額、306兆円 09年4月比16%減、IMFが推計
 【ワシントン=御調昌邦】国際通貨基金(IMF)は30日、貸し
出しや保有証券の劣化などによって世界の金融機関が2007〜10年に
被る損失が約3兆4000億ドル(約306兆円)になるとの推計を発表し
た。金融市場の安定化で各種証券の価格が上昇したため、今年4月
の推計に比べて約6000億ドル(約16%)減少した。ただ貸し出しの
評価損は今後も続く見通しで、資本の積み増しや収益性の向上が課
題と強調した。

 損失額の見通しは「世界金融安定性報告書」で明らかになった。
IMFは現在の金融情勢について「改善してきたが、依然として厳
しい」とみている。

 米国の金融機関は既に想定の6割について評価損を出したが、ユ
ーロ圏や英国の金融機関は4割にとどまる。欧州勢の損失処理が遅
れている状況を示唆した。(16:01) 
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昨秋以降の危機「急激な為替変動回避できた」 IMFが報告書

 国際通貨基金(IMF)は27日、昨秋以降の金融危機について、
過去のアジアの通貨危機などでみられた為替相場の急激な変動や資
金移動の大幅な減少をおおむね避けられたとする報告書を発表した
。IMFによる大規模な融資が効果を上げたという。ストロスカー
ン専務理事は「生産・雇用の持続的な拡大といった課題が依然とし
てあるが、安定化の兆候も認められる」と主張した。 

 同報告書は金融危機の影響が大きかったアイスランドやウクライ
ナなど15カ国を対象に分析した。(ワシントン支局)
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米銀、「90日以上の延滞債権が20%以上」が26行も−18年で最悪

10月2日(ブルームバーグ):米国で融資の返済や利払いが90日以
上滞っている債権が全体の20%以上となった銀行の数が26行と、18
年で最悪の水準となっていることが、最新の調査で分かった。 

  調査はブルームバーグ・ニュースの委託で、銀行調査会社SN
Lファイナンシャルが米連邦預金保険公社(FDIC)のデータを
基にまとめた。データは6月30日時点。調査によると、このような
非稼働債権の割合が半分に近い銀行も3行あった。 

  FDICは銀行の破たんにより2013年までに1000億ドル(約8
兆9500億円)の資金負担が発生すると試算している。FDICは延
滞債権を20%以上抱えた銀行に業務停止を命じはしないものの、資
本増強や融資圧縮は求め、こうした銀行を抱えるフロリダ、イリノ
イなど米9州の景気回復の足かせとなる可能性がある。 

  銀行コンサルティング会社、エリーのバート・エリー最高経営
責任者(CEO)は「ゾンビのような銀行が幾つかある」とした上
で、「弱い銀行を残しておくのは業界のためにも景気のためにもな
らない」と指摘した。 

  今年は既に95行が破たんし、FDICの資金は逼迫(ひっぱく
)。FIDCは加盟銀行に3年分の保険料先払いを提案した。
約450億ドルである。
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米消費者信頼感指数、9月は1.4ポイント低下 
 【ニューヨーク=河内真帆】米調査会社コンファレンス・ボード
が29日発表した9月の米消費者信頼感指数(1985年=100)は53.1と
、前月の54.5から1.4ポイント低下した。市場予想平均は57.0で、前
月より上昇するとの見方が多かったが、予想に反して悪化した。先
行きの景況感を示す期待指数も前月の73.8から73.3に低下。同指数
は前月にいったん改善傾向を示したが、再び低下に転じた。 (00:58) 
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米住宅市場、持ち直し一服 長期回復基調だが不透明感
 米住宅販売の持ち直しに一服感が出ている。8月の住宅販売は新
築・中古ともに市場予想に届かず、7月までの急速な販売増加にブ
レーキがかかった。市場関係者は「長期的な回復基調は変わらない
」とみるが、取引の多くは差し押さえ物件の安値販売が中心で、住
宅価格にもなお不透明感が漂う。

 「住宅市場の回復を当然視してはならないという証しだ」。全米
不動産協会(NAR)の主任エコノミスト、ローレンス・ユン氏は
24日の記者会見で市場関係者に注意を呼びかけた。NARが同日ま
とめた8月の中古住宅販売が年率510万件と、5カ月ぶりに前月を下
回ったためだ。(07:00) 
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9月の米失業率9.8%に悪化 雇用、予想超す26万人減
 【ワシントン=大隅隆】米労働省が2日発表した9月の雇用統計
(季節調整済み)によると、失業率(軍人を除く)は9.8%となり、
前月より0.1ポイント上昇した。一方、非農業部門の雇用者数は26万
3000人減で、8月(20万1000人減、改定値)より減少幅が拡大。米
景気は底入れ局面にあるが官需依存が強く、企業が雇用を増やす本
格回復はなお遠い。失業率は近く10%を超すとの見方が大勢だ。

 9月の失業率は市場予測通りだったが、1983年6月に記録した10.1
%に次ぐ水準。雇用者数減は市場予測(17万5000人)より悪かった。
雇用者数減は21カ月連続で、この間に720万人の雇用を失った。ただ
5月からの減少ペースは月平均30万人強で、同60万人超だった昨年
11月から今年4月までと比べ、減少ペースは緩やかになっている。

 業種別では製造業で5万1000人、建設業で6万4000人それぞれ減
ったのに加え、小売業(3万8500人)も減少幅を広げた。財政難の
地方自治体でも雇用調整が進行、政府部門が5万3000人減少した。
(07:00) 
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マネー、株から債券へ 日米欧、市場に「安全志向」 
 2日の東京市場で株安・債券高の流れが強まった。世界経済は最
悪期こそ脱したが、先行きには不透明感が強いとみる投資家が多い
。日米欧の証券・金融市場では株式を買い進めることをためらい、
安全資産といわれる国債に投資マネーが向かっている。株安や日米
の長期金利差の縮小を背景に円高が再び進み、同日の海外市場では
一時、1ドル=88円台に上昇した。 

 東京株式市場では2日、日経平均株価が前日比2.47%安と続落し
た。ハイテクや自動車など主力の輸出関連株を中心に売りが膨らん
だ。ソニーとシャープがともに5%台の値下がり。トヨタ自動車と
ホンダは2カ月半ぶりの安値水準となった。 (07:58)
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9月米ISM製造業景気指数は52.6、予想外の低下(ロイター)

 [ニューヨーク 1日 ロイター] 米供給管理協会(ISM)
が発表した9月の製造業部門指数は前月の52.9から52.6に
低下した。
 ロイターが集計したエコノミスト75人の予想中間値54.0を
下回った。

 50が景気を見極めるうえでの分岐点となる。

 リッジワース・インベストメンツ(バージニア州リッチモンド)
のシニア投資ストラテジスト、アラン・ゲイル氏は「50を超えて
いることは心強いが、製造業の勢いについて懸念が残る。データを
見ると、製造業は過去1年―1年半にわたる積極的な生産縮小を経
て、新たな通常水準を確立しようとしているようだ」と述べた。
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9月の米新車販売、22.7%減 支援制度の終了で 
 【ニューヨーク=小高航】1日まとまった9月の米新車販売台数
(速報値)は、前年同月比22.7%減の74万5997台だった。米政府の
買い替え支援制度により8月の販売が急増。同制度が終了したため
9月はこの反動による販売不振が目立った。年率換算では922万台と
、昨秋の金融危機以降で最低だった今年2月(912万台)の水準に迫
った。 

 米調査会社オートデータによると、9月の新車販売は米ゼネラル
・モーターズ(GM)が約15万5000台と44.8%減。クライスラーも
42.1%の大幅減だった。フォード・モーターは約11万台と5.8%の減
少にとどまった。 

 日本勢ではトヨタ自動車が12.6%減の約12万6000台、ホンダが
約7万7000台(20.1%減)、日産自動車が約5万5000台(7%減)
だった。 (05:41)
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世界経済の不均衡是正、米政府の出方が焦点
 【ピッツバーグ=大隅隆】米政府高官は25日、世界経済の不均衡
是正に向けた新たな枠組みに関し「経済政策全般が対象になる」と
語り、通貨政策を各国による相互政策監視の対象から排除しない考
えを示した。ただ通貨問題に実際に焦点をあてるかは不透明感が強
い。中国の通貨人民元の切り上げ問題など政治的な問題の扱いは、
米政府の出方が当面の焦点になりそうだ。(07:00) 
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新たな国際準備通貨、ドル安につながるが短期的リスクでない
          =米FRB議長(ロイター)

[ワシントン 1日 ロイター] 米連邦準備理事会(FRB)の
バーナンキ議長は1日、ドルに代わる国際的準備通貨について、実
現すればドル安につながるが、短期的なリスクとはみていないとの
認識を明らかにした。
 同議長は下院金融委員会で証言し「(国際的な準備通貨は)ドル
を下落させる。インフレにつながる可能性について注視する必要が
ある」と述べた。

 その上で「米国が財政の管理で適切な措置を取る限り、これは短
期的なリスクではないと考えていると繰り返しておきたい」と語っ
た。

 また「中期的にインフレを引き起こさずに経済を支援する政策運
営にわれわれは自信を持っている。これを達成するために必要な手
段と政治的な意思を備えていると確信している」と述べた。
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黒田ADB総裁、金融危機の再発防止にアジア単一通貨提案
                2009年 09月 30日 12:09 JST

 [ソウル 30日 ロイター] アジア開発銀行(ADB)の黒
田東彦総裁は30日、世界的な金融危機の再発防止策の一環として
、アジア単一通貨の創設を提案した。

 黒田総裁はソウルで開かれた世界金融危機対策に関する国際セミ
ナーに出席し「アジアは、第3の国際通貨ともなる単一通貨を近い
将来に創設することが可能だ」と述べた。

 同総裁は、世界的な経済危機により新興国は深刻なドル不足に見
舞われ、その結果、多くの国がドル資金を獲得するにあたり困難に
直面したと指摘。基軸通貨に付随するリスクを考えると、地域的な
アプローチと世界的なアプローチの双方で流動性問題に対処するこ
とが、危機の再発防止に有効だと述べた。

 その上で、国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)
が実質的な国際通貨として利用されるようになるまでには何10年
もかかると予測されるため、こうした国際的なアプローチより地域
的なアプローチの方が現実的な対処法となるとの考えを示し、「複
数の準備通貨システムを作ることが、より現実的なアプローチとな
る」と述べた。
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世銀総裁「ドル基軸の当然視は誤り」 経済の構造変化指摘
 【ワシントン=御調昌邦】世界銀行のゼーリック総裁は「米ドル
が支配的な準備通貨として地位が保証されていると当然視するのは
間違いだ」と語り、ドルが基軸通貨であり続けるか分からないとの
見方を示した。そのうえで「ドルに代わる複数の選択肢が増えてく
る」との見通しを明らかにした。背景には、中国やインドの台頭な
ど世界経済の大きな構造変化があると説明している。

 発言内容は同氏が28日にワシントンで講演する要旨を世銀が公表
し、明らかになった。ドルに代わる選択肢について具体的な言及は
ない。オバマ米政権は「強いドルは国益」と強調し続けているが、
過去に米政府の有力者だったゼーリック総裁はドルの地位が経済情
勢によって変動すると考えているようだ。

 米国の金融規制改革については「独立性の強い専門家集団である
米連邦準備理事会(FRB)に、さらに権限を移譲することは難し
い」と指摘。米財務省が金融規制当局を束ねるのが危機管理として
望ましいとの考えも示した。(16:00) 
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グリーンスパン氏:インフレが米国の深刻な問題に

 9月26日(ブルームバーグ):グリーンスパン前米連邦準備制度
理事会(FRB)議長はウクライナ・ヤルタでの欧州会議で、イン
フレに関する懸念を表明した。一方、同じ会議で国際通貨基金
(IMF)のストロスカーン専務理事は、インフレの問題に取り組
む前にまず景気回復を確実にする必要があると強調した。 

 グリーンスパン氏はワシントンからテレビ会議システムを通じ、
「向こう2、3年のうちにわれわれは深刻な問題に直面するだろう
」と指摘した上で、インフレが「米国とその貿易相手国に多大な損
失」をもたらすと警告。インフレは「政治問題」となり、それと戦
うための「政治的手腕」が必要となると説明した。 

 ストロスカーン専務理事もテレビ会議で、「金融危機からの脱却
には結果を伴うことから、出口戦略を議論する必要がある」とした
一方で、インフレの「問題に対処する前に景気回復を確実にする必
要がある」と語った。


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