3416.鳩山政権と日本のシステム(政治構造)革命について



鳩山政権と日本のシステム(政治構造)革命について 
                         虚風老

 民主党が動き出して、自民党も体制を新たにしたところで、どの
ような政治システムの地殻変動を起こそうとしているかの方向がお
ぼろげながら浮かんできたようじゃ。

政治とは、<調整>(利害得失間の分配についての)であり、それ
を巡る決定権(最終的には力)の争いであるというのがワシの考え
方じゃ。
この決定権のことを通常<権力>と呼ぶんじゃな。

政治家には、政策の人と、調和の人と、権力の人というのがいるよ
うに思える。
まあ権力の人の代表的なのは、小沢−小泉−亀井などであろうか。
いわゆる豪腕で人の言うことはあまり聞かずしかしリーダーシップ
があって突破力があるようにみえる。
突破力どうしはガチンコの政争を繰り返す場合もおおいいがね。

調和の人とは、日本型の「座長」にあたり、いろんな対立する人の
意見をまとめながら落とし所=まとめどころをつかんで、双方の不
満を収斂させる。そのためには、自身の政策をあまり強力にもって
るというよりも、まあまあまあという方が多くなる。しかし、足し
て二で割るというような評価がつきまとってしまう。
典型的なのは、森や竹下・小渕などで、こちらの方向というものが
ない。日本では好まれる御輿の上に載せ易いタイプである。麻生や
もしかしたら友愛を掲げる鳩山などもこのタイプなのかもしれなん
のう。まあ、こんど自民党幹事長になった大森などもそうなのであ
ろう。

自民党が本当に理念別にガチンコしてしまうと、リベラル−右派−
米国型自由主義(都市大企業)−日本型地方重視派などにバラバラ
になってしまって収拾がとれなくなるじゃろううからの。
まあ、民主党だって、同じような分派はあるわけじゃが、日本型地
方重視派(公共事業派)は国民新党そのものであるし(郵政民営化
反対組み)
小泉−竹中路線が米国型自由主義であったところからの転換になっ
ている。

もう一つは政策通と呼ばれる人々で、官僚出身者も多いし、弁も立
つ。まあ、立案などに多く関わるのですぐ分かるが、政策の根底に
は、依って立つ前提(理念−哲学)があるので、うるさ型にはなる。
ただ、政治家としては、決定に持ち込むには、調整が必要になるこ
とは、知っておるので、戦術的には柔軟である場合も多い。

さて、民主党がこれからの課題は、対自民党というより、官僚−天
下り−旧・特殊法人、公益法人などを通じた<日本型官僚身分シス
テム>とそれに関わる<決定と分配の歪みと非効率性>の是正にな
るであろう。これが生んでいるのがいわゆる<無駄使い>なのじゃ
からのう。

小泉のいう構造改革というのは、自民党の中における経世会支配
(とそれに連なる利権)の歪みを打ち破るというものじゃった。皮
肉かどうかはわからぬが、小泉が構造改革を継いだのは、民主党と
言ったのは、本当の意味での<政治の決定システム>の変更が、官
僚(及びその周辺)システムの変更にあるせいじゃ。

自民党が、国会で、まあ鳩山の献金問題やいろんな議員のスキャン
ダルばかりを追求しても、国民はあまりついてこないじゃろう。ま
あ、マスコミ的には面白いネタとして自分達が売れる本のためとい
うことで(芸能スキャンダルの同様のノリで)取り上げるじゃろう
うが、既にあれだけでていた民主党のスキャンダルと同工異曲のも
のでは、それを無視して大量に民主党に票を入れたことの理由が分
かっておらんことになる。
(それに、これまで隠れてきた自民党側の政治スキャンダルが大量
に表にでてくる可能性も高い)

国民は本当に官僚(天下りシステム)=それによる利権の構造と歪
みに不信をもっておるんじゃ。まあ、特に年金問題によって地に落
ちたといってもええ。
これからの政治の中心的課題は、この官僚身分システムがどうなる
のか、また各種の政策の変更と効用、それに伴う副作用がどれくら
いの影響をおよぼすのかということになる。
本来の政治記事ならばそこに焦点を当てるべきじゃろう。

これから、官僚の抵抗は激しさを増すじゃろうし、本当に<政策そ
のものの力>が重要になってくるときなんじゃ。

システムの変更は、「革命」といっていい。システムにぶら下がっ
ていた利権者達にとっては、死活問題になるのは眼に見えている。
マスコミはいろんなところにある利権の構造をつまびらかにするがええ。
どのように突破していくのかが戦記モノのようにおもしろいはずじゃ。

      虚風老
 


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