3411.日本の成長戦略



民主党政権は、日本のあり方を変革するために誕生したように感じ
る。吉田茂内閣が対米追従と国内経済成長、途中から国家建設中心
主義の国家戦略を追求してきた。

この戦略は経済成長が終わり、かつ冷戦終結とともに止めざるを得
ないのに、自民党政権は惰性で続けてきた。
                   津田より

八ツ場ダムなどの全国にあるダム建設も、治水にも洪水にも発電に
もいらない無用の長物である。惰性で続けてきただけだ。国家予算
は拡大しないから、その分、社会福祉などの予算に振り向けられな
い。どっちが重要であるのかという国家全体の優先順位が自民党に
は無かった。

外交戦略でも同じ構造であった。対米従属という政策も惰性で続け
てきたが、円高容認ということを明言するのは良いとは思わないが
、米国債を買わないと宣言することで、新しい道が開けることは確
かである。米国の覇権体制は終焉に向っている。

この米国に従属的に仕えても意味がない。金の切れ目が縁の切れ目
でもあるということは確かである。米国も金・軍事をくれという親
米国家が重荷になっている。対等な関係で利害を調節する方が良い
とオバマ大統領も米国首脳も見ている。

それは今回のサミット前後で米国が首脳会談を開催したのは、全て
非米国家である。中国、ロシア、ブラジルなどであり、親米的では
ない国家と利害の調整をする方向で首脳会談を開いている。米国と
の利害を調節する必要がある国と行っている。英国やEU諸国とは
首脳会談を行わなかった。金をくれという通貨問題など調整できな
い問題が山積で、話し合いができると思っていないようである。

ロシアとは東欧にMDを配備しない変わりにイランへの圧力を増す
ことで合意したようであるし、中国とは経済不均衡是正を了承させ
るためであるし、事前に非米と思われた日本の鳩山政権とはアフガ
ンの対応であろう。このように米国は軍事的にも余裕がないために
、非米国家との交渉で果実を得るしかない。それだけ、米国は形振
りを構わずに自国の利害を前面に出して交渉をしているのだ。

米国の内部でも消費経済から産業経済にシフトする必要性が増して
いる。得意の金融業だけでは国家経済は成り立たないという至極当
然なことに気が付き始めている。金融業、特に投資部門は大幅な黒
字であるが普通銀行が赤字から抜け出せない。

個人クレジット破綻の赤字が19億ドルと大きい。雇用を増やして
、消費者が消費を増やさないと、経済全体の活性化はありえない。
経済の活性化がないと不良債権は増え続ける。このため、普通銀行
の赤字は時間経てば、経つほど赤字が増えることになる。

0.はじめに
 日本も同様である。雇用を確立しないと、消費者は消費をしない。
このため、産業政策、成長戦略が重要になる。日本のGDPの60%
が消費である。その消費の内30%がサービスになっている。という
ように米国と状況が似ている。GDPの50%程度がサービス業を除
く第3次産業である。

この中心は介護・医療・通信・情報サービスであり、日本の製造業
はGDPの20%しかない。建設業はGDPでは5%以下である。
このGDPを見ずに議論しているために、日本はムダなことに予算
を配分していたのである。

日本は高齢化社会になり、GDPの構造を見ても医療・介護が重要
であり、雇用を必要としている分野であるが、福祉予算を増やせな
いでGDPで5%以下の建設業にダムや道路、橋などの公共事業で
金をばら撒いてきた。このバラマキを止めて、福祉に金をつぎ込め
ば、GDPで見ても医療・介護の雇用は建築業での雇用より大きい。
GDPで見ても国家予算の有効な使途になる。

もう1つが、成長分野が農業である。農業はGDP2%程度である。
いかに中間搾取が大きいかが分かる。市場経由の卸などの中間業者
が多いことで、農家の手取りが市場価格の10%程度である。末端の
市場で300円の野菜は、農家での価格は30円にしかならない。
1/3価格が農家であれば100円で農家は自立できるが、今の価格で
は難しい。

この市場構造がおかしいのである。スーパーが直接取引をしている
が、この流通であれば、100円と市場の1/3の価格で農家から
直接仕入れても、農家もスーパも得をする。中間業者の介入を無く
した市場改革ができれば、農業も水産業も儲かる産業になる。

それは一重に農業政策にかかっている。もう1つが、公共事業期待
の土地値上がり待ちの兼業農家の存在である。この期待を無くして
兼業農家から土地を売ってもらい専業農家や一般の会社が農業を行
える環境を整えることである。

もう1つが、環境技術の革新である。それを見よう。

1.環境技術
 革新的な技術が日本には沢山あるが、大企業の許認可で全て止め
られている。たとえば、107V問題である。今の電力会社の電灯
線への接続基準では、100V+−7Vでは接続できない。しかし
、現状の技術では、位相合わせするためには、数V高めの電圧にす
る必要がある。電流が流れるためには、電圧を電灯線に比べて数V
高めでないと、流れ出さない。

このため、太陽光発電装置がある地域全体で設置すると、7V以上
の電圧が高まり、その地域全体の太陽光発電は電灯線に電力を供給
できないことになる。現に太田市の集合住宅で問題が起きている。
今の方式であると、太陽光発電を大量に同一地域に設置できないと
いう問題が起きる。これを経産省は知っている。お話もしている。

この対応技術も既にあるが、それを大会社は認めようとしなかった
事実がある。許認可権を盾にした自己利益を守る姿勢であり、大き
な問題であると考えている。

このように現にある技術が日の目を見ないで埋もれたままになって
いる。日本は宝の山を前に利権保護という官僚と大会社が結託して
認めようとしない。それを無くすと、優れた技術が沢山あるのだ。

電気自動車でも30年前から研究してきた民間の先生がやっと、認
められるようになってきたが、それと同じように30年来研究して
きた民間の技術者が沢山いるのである。その人たちに光を当てるこ
とで、大きな宝が掘り起こせると見ている。

2.技術の掘り起こし
 日本のよさは、長期に渡り1つのことをじっくり研究している技
術者やグループが多くいることである。しかし、その人たちと詐欺
師の区別がつかない。このため、私もいろいろな物を持ち込まれた
が、ほとんどの物は所定の能力を発揮しなかった。

このため、警戒しないといけないが、しかし、数は少ないが非常に
よい装置があった。どうして、その商品が日の目をみないかという
と、ほとんどが許認可権と国家の研究費が大企業にしかいかないこ
とで研究が頓挫していることである。もったいないと会社時代から
思っていたが、CO2排出削減25%となると、そのような技術を
使わないと、実現できない。

日本に埋もれた宝を掘り起こす必要がある。官僚と大会社の利権保
護で優れた技術が埋もれることを無くすことが必要になっている。

3.成長戦略として
 為替のレートを下げることで中国は経済成長を成し遂げた。この
ように為替レートを引き下げると、優れたものを真似して類似の製
品を元製品より安く売ることで、経済は発展する。誰でもどう作る
かだけを見ればよいので、簡単に製造業が始められる。

しかし、今の日本は、円のレートが高く、これから既存分野に新し
く参入できない。既存のメーカや企業はその分野を研ぎ澄ました付
加価値を作り、新規参入者を寄せ付けない。

新規事業はどうしても新しい分野でしか起こせない。または海外の
安い製品を輸入して売るしかない。このため、日本で雇用を増やす
ためには新規分野を開拓する必要があり、環境分野は日本人に大き
な可能性を与える分野のように感じる。

この環境分野は広いことも重要である。リサイクル事業ではリユー
ス、リデュース、リサイクル、リペアーが違う産業である。それと
省資源化した製造業、植物などに発酵させて新物質を生む素材産業
や竹や木材など自然素材の新しい加工産業や太陽光など自然エネル
ギー産業も重要である。特に成長が早い竹の利用は大きな可能性を
秘めている。

昔のノウハウを掘り起こす必要があるが、製造方法は難しくない。

4.おわりに
 日本の技術分野を支えているのは、技術者である。この技術を次
に伝える必要があるが、この部分で問題が起きている。若い技術者
が理系離れとチャレンジ精神がなくて、昔の技術者を乗り越えてい
けない。

教育の質や少子高齢化は大きな問題であり、伝統文化を守る意味か
らも海外からの移民ではなく、日本生まれの日本人が必要である。

経済の発展がないと、国力は弱ることになる。民主党は早く経済成
長戦略を構築するべきである。
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米銀のトレーディング収入、4〜6月は52億ドル
 【ニューヨーク=伴百江】米通貨監督庁が25日発表した統計によ
ると、米銀1110行の4〜6月期のトレーディング収入は総額52億ド
ルと、過去最高を記録した前期(98億ドル)に比べ47%減少した。
ただ四半期ベースでは過去6番目の高水準。信用取引関連の不良資
産償却の減少や信用スプレッドの縮小によるデリバティブ収入の増
加がトレーディング収入全体を底上げした。

 取引別の内訳は為替が21億ドル、金利が11億ドル、クレジットが
19億ドル、商品が2億ドル、株式は2億ドルの損失となった。米銀
全体が保有するデリバティブの想定元本は203.5兆ドルと前期比で
0.7%増加した。(07:26) 
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イラン核問題で制裁検討、露大統領が示唆
9月26日13時26分配信 読売新聞

 【モスクワ=緒方賢一】ロシアのメドベージェフ大統領は25日
、ピッツバーグでのG20首脳会議後の記者会見で、イラン国内第
2のウラン濃縮施設建設が判明したことについて、「この上なく深
刻な事態だ」と述べ、強い懸念を表明した。

 大統領は、イランが10月1日にジュネーブで国連安保理常任理
事国などと行う核協議で協力的な姿勢を見せなければ、「別の方法
をとるべきだ」とも語って、制裁などを検討するべきだとの考えを
示唆した。

 メドベージェフ大統領は別途発表した声明でも、イランが国際原
子力機関(IAEA)の査察に協力し、施設が民生目的であること
を説得力ある証拠で示すよう呼びかけていた。声明は、イランが
IAEAへの通告なしに施設建設を進めていたのは国連安保理決議
違反だと指摘している。 


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