3407.別の角度からの韓国



帰国後司馬遼の「街道をゆく」を読んでいたら、金大中のことが出ていてましたので
別の角度からの韓国を記してみました。

“朝鮮の姓には、それぞれ本貫があり姓の故郷である。金という姓は最も多い姓の一
つで約500万人以上は金姓である。金姓にも諸流があり数多くの本貫に分かれてい
る。慶州金氏とか金海金氏が多い。中国風の儒教体制をとり入れてから「同姓は娶ら
ず」ということになって、同一氏族である以上血族同然で、同姓同本貫は、結婚でき
ない。 金大中は、金海金氏の宗家のような家柄らしく、朴正煕との大統領選挙でも
韓国の金海金のひとびとは、ほとんど投票したらしい。“

この本は1971年―72年に連載されたものでかなり遠慮して書かれたと思われ
る。金大中が大領領になった選挙時にはもっと金海金氏の支援が多かったのではない
かと思う。 

更に、この金海の地は、日本人にとって興味ある場所である。任那と大和朝廷との関
係については、諸説あるも、任那は、伽那諸国の中の金官伽那国で、その場所は慶尚
南道金海市であるとの有力な説がある。戦後日本では、任那との関係について明らか
にすることは、教科書問題同様、ご法度になっていたようです。今回慶州では円墳を
見学しましたが、この場所には前方後円墳があるとの説もあり、古代から日本に近い
ところにあって、因縁ある地ではないのかと思います。

韓国では李氏朝鮮500年の時代から儒教に対する原理主義のようなところがあって
個人的な政治思想とは、現代の選挙においても特別に働く朝鮮独特の政治の要素があ
るのではないかと思います。

近代の朝鮮の歴史については、日本と文明開化に反対してきた人工的なイデオロギー
の朝鮮ナショナリズムの歴史ではないかと私見しますが、この辺りは、皆様の話を聞き
たいところです。

2.朴大統領の国葬は、戒厳令下の葬儀であったが、今回の金大中の国葬は、平穏で
した。それだけ影響力が小さかったということでしょうか?

朴政権が北朝鮮という国外の敵と、親北の半権力勢力という国内の敵に対抗するため
の強権政権であったとすれば、金大中、ノムヒョン両政権の政策実績への幻滅とグ
ローバリゼーションの進展によって、国際環境への現実的な理解が、深まり再び脱
ナショナリズムに変わりつつある現状ではないかと思う。

民主化により、近代以降の文明開化度が経済のみならず、政治面でも日本と比べて、
遜色ないレベルまでに達したことで、対抗意識が大幅に軽減され、また草の根レベル
での交流が活発になり、対日意識も以前とは少し変わってきたように感じました。

30年ぶりの韓国に対する私の色は、グレーがかったブルーでしょうか?

また、道教は、中国人の土俗宗教のようなものと思っていましたが、陰陽道、風水な
ど日本の文化に強い影響を与えていますね。道教の神像が展示していましたが、微笑
のある仏像とは、異なる怖い顔が印象的でした。

小川

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