3400.公共事業は景気対策でベストか



ある評論家が前原さんの国交相就任に反対して、公共事業を中止す
ると景気が下がると論じている。しかし、これは本当であろうか?

この時、景気浮揚に一番良い方法は何かという考察が欠いている。
今までの惰性でそう思っているだけだ。

世界景気が回復局面になっているというが、その回復を引き出した
のは、中国を除いて公共事業ではなく、自動車の消費者向けの補助
金である。

もし、ここに100億円の予算があったら、景気浮揚策として何に
使うかというと、自動車購買への補助金が良いに決まっている。
20万円の補助金で200万円の自動車を購入してくれるので、予
算100億円は10倍の1000億円の価値になる。また、これに
輪をかけて、自動車業界は、産業連鎖の広いので10倍以上の流動
性が生まれる。
というように、100億円が1兆円以上の効果を生み出す。

これに対して、公共事業は100億円は高々3倍程度の流動性であ
り、300億円程度の価値流動性しかならない。

公共事業は自動車に対する補助金に比べて景気浮揚効果は低いこと
になる。

中国の公共事業は幹線道路や幹線鉄道建設であり、この完成後その
施設が経済効果を生み出すために、公共工事は景気浮揚効果がある
のだ。

しかし、日本の公共工事は山の中や地方の人がいない地域での工事
であり、完成後の経済効果がほとんどない。このため、景気浮揚効
果が薄いことになる。このため、日本など先進諸国は高額商品の補
助金にする方が景気浮揚効果が高いのだ。

もう1つ、景気回復に寄与するのは、通貨の流動性を高めることで
ある。このため、貧乏人に資金を供与すると、その資金はすぐに使
うために流動性は高いことになる。

金持ちに資金を供与しても、ただ貯金になるだけで流動性は高まら
ない。よって、生活への補助金が必要なレベルの高い人に渡すこと
である。低い人は貯金になるだけである。

このため、金持ちからお金を貧乏人に渡すことで、景気は良くなる
。しかし、やりすぎると仕事をしなくなる人が増えてしまい、国力
が全体で落ちることになる。

このため、天海和尚ではないが、富と権力と権威を集中させずに分
散して、分配ることが重要で、やる気を3倍に引き出すことに繋が
ると言うのである。


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