3399.円高恐怖



円高恐怖で東京株式市場は株安であるが、ドルが独歩安の時には、
石油価格が上がらないし、輸出産業も対中国・アジアが今後主流に
なるから、中国の人民元と円の相場を重要視することである。

中国も米国への輸出は無くなる。どうしてかというと、中国製タイ
ヤに特別セーフガード(緊急輸入制限)として上乗せ関税を3年間
かけると米国は発表した。というように中国製商品の輸入を止める。
逆に米国産商品を対抗上、輸入を中国は止める。

このため、人民元とドルをリンクする必要が無くなる。中国が内需
拡大すると原材料の価格を下げないといけない。このためには人民
元を上げないといけない。

ドルだけが安い状態にすれば、日本も中国もEUもあまり傷付かな
い。米国消費者が消費しないから、ドルを基軸通貨にすることもな
い。

米国だけがじゃぶじゃぶにドルを垂れ流して、「徳政令」にありつ
ける状態は、そろそろ止めることである。

そのためには中国が米国債を買わないことである。中国が米国の財
布をしないことである。
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中国、反ダンピング調査 米国製の一部自動車と鶏肉
 【北京=高橋哲史】中国商務省は13日、米国製の一部輸入自動車
と鶏肉製品について、反ダンピング(不当廉売)・反補助金調査の
手続きを始めたと発表した。米政府は11日に中国製タイヤに特別セ
ーフガード(緊急輸入制限)を発動すると発表したばかりで、今回
の調査開始は米国への対抗措置とみられる。米中間の通商摩擦が激
しさを増す可能性が出てきた。

 中国商務省の声明によると、今回の調査は国内の自動車や鶏肉業
界から寄せられた「(米国企業が)ダンピングや補助金など不公平
な貿易方式で中国市場に進出しており、国内産業に打撃を与えてい
る」との申し立てに基づいて始める。商務省は「中国の国内法と世
界貿易機関(WTO)の規則に基づいた措置」と強調している。

 米政府は11日、米国市場で急増する中国製タイヤに特別セーフガ
ードとして上乗せ関税を3年間かけると発表した。上乗せ幅は最大
で35%。中国商務省は直ちに「重大な貿易保護主義」と反発する声
明を出し、WTOへの提訴を含めた対抗措置を取る可能性を示唆し
ていた。(00:40) 
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タイヤ、米中関係のトゲに 中国製に輸入制限、双方譲れず 
 米オバマ大統領が11日夜(日本時間12日朝)、中国製タイヤへの
特別セーフガード(緊急輸入制限)として上乗せ関税の実施を発表
した。国内企業や雇用への打撃を重く見た決定だが、中国は「重大
な貿易保護主義だ」と反発を強めている。米中間の他の通商摩擦に
影響が及ぶのは必至で、モノとカネの両面で相互依存を強めてきた
米中関係は難しい局面に入る。 

 オバマ大統領が「最も適切な行動」と強調した上乗せ関税は3年
間で最大35%。米通商代表部(USTR)のカーク代表は「世界貿
易機関(WTO)のルールに基づく米国の権利としっかりとした経
済的な算定に基づく」と指摘。「中国政府とも相談した」うえで決
めたと強調した。(ワシントン=大隅隆、北京=高橋哲史) 
(18:23)
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中国製タイヤ輸入制限 米、関税を3年間上乗せへ
 【ワシントン=大隅隆】オバマ米大統領は11日、米国市場で急増
する中国製タイヤに特別セーフガード(緊急輸入制限)として上乗
せ関税を3年間かけると発表した。上乗せ幅は最大35%となる。米
国内の雇用保護を優先させた結果といえるが、中国は事実に基づい
ておらず法的根拠もないと反発している。世界的に保護主義の懸念
が強まるなか、米中間の通商摩擦が一段と激しくなっている。

 対象となるのは乗用車や軽トラックなどに使う中国製タイヤ。現
行の関税率4%に、1年目は35%、2年目は30%、3年目は25%を
それぞれ加える。オバマ政権にとっては初めてのセーフガードであ
り、月内に発動する見通し。6月末に米国際貿易委員会(ITC)
が大統領に勧告した関税率(55〜35%)よりは圧縮された。

 オバマ大統領は「ITC調査のあらゆる側面を検討した結果、追
加関税の実施が最も適切な行動と判断した」との公式声明を発表。
米通商代表部(USTR)に追加関税の準備を指示した。(13:11)
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21世紀米国版「徳政令」
「強いドル」という仮面の下で進む「基軸通貨の緩やかな減価政策
」により「徳政令」は既に実行されて

  9月14日(ブルームバーグ):米経済底打ちとともに、基軸通
貨離れが鮮明になり、ドル安バブルの胎動が始まった。オバマ政権
はクリントン政権時代のルービン財務長官が編み出し、ブッシュ政
権へと引き継がれてきた「強いドル政策」をそのまま継続している
が、実体は「弱いドル政策」に転換している。

  ガイトナー米財務長官は7月15日に歴訪中のアラブ首長国連邦
(UAE)で、「強いドルを変わらずに支持するのが米国の政策で
あり、今後もこの政策を継続する」と表明。バーナンキ米連邦準備
制度理事会(FRB)議長も7月26日にミズーリ州カンザスシティ
ーで開かれたタウンミーティングで「強いドルを実現するという財
務省の政策を支持する」と言明。財政当局と協調して「強いドル政
策」を追求していく姿勢を強調した。

  さらに、バーナンキ議長は「強いドルを維持するには強い経済
を持つことが最善の道だ」と表明。「強いドル」を実現するため、
米経済を強化する決意を示したが、現在の緩やかなドル安を心地よ
く思っていることは間違いあるまい。同議長はプリンストン大学教
授を務めていた当時、バブル崩壊後の日本に対し、まず金融システ
ムの整備と自国通貨の減価を指南していた。

米国の主要貿易相手国6通貨に対するドル指数はリーマン・ブラザ
ーズ破たん直後の昨年9月半ばを起点に上昇波動を描き、今年3月
5日の89.1でピークに到達。バーナンキ議長がその直後に「米経済
に緑の新芽が現れてきた」と発言するとほぼ同時に下げ足を速めて
きた。9月11日には76.6と、今春のピークから14%も下げている。

          急激なドル安は制御

  米財務省・FRBにとって緩やかなドル安は好ましい。折に触
れて「強いドル政策は国益」などと繰り返すのは、ドル安は好まし
いものの、急激なペースを避けるためのレトリックである。「強い
ドル政策」とは、ドル暴落を防止しながら、緩やかなドル安を実現
するための制御装置の役割を果たしている。しかし、これは危険な
綱渡りであることに変わりはない。

  そして、同じく綱渡りである巨額の財政赤字政策や超金融緩和
策とも密接に結び付いている。米議会予算局(CBO)が8月25日
発表した見通しによると、2009年度(2008年10月−09年9月)の財
政赤字は大型景気対策のほか、金融機関や自動車メーカーなどへの
公的資金投入で1兆6000億ドルに達する。赤字幅はこれまで米史上
最大を記録した前年度の4548億ドルの何と3.5倍だ。

  米政策当局者の財政赤字に対する感覚麻痺を裏付けている。米
国の財政赤字は「強い米国」の復活を訴えたレーガン政権から急速
な拡大トレンドを続けてきたが、1980年代から90年代は先代ブッシ
ュ政権、クリントン政権とも財政赤字削減への意欲を保っていた。
実際、クリントン政権末期には長期的な好況も手伝って財政黒字を
一時的に実現している。

         ドル印刷機がフル稼働

  2000年11月の大統領選挙で勝利したブッシュ大統領は2001年の就
任とともに歳入の裏付けのない減税を実行。さらに無謀なイラク戦
争へ突入し、財政を再び危機的状況へと誘うことになる。

  財政収支は2002年度に早くも赤字に転落。04年度には赤字額が
4130億ドルとそれまでの過去最大に膨らむ。その後、バブル膨張に
伴う景気拡大で財政赤字幅が縮小するが、2007年度の1615億ドルの
赤字でストップ。金融バブル破裂に伴う景気後退入りで08年度には
財政赤字の再膨張過程に突入、オバマ政権発足で青天井の様相を呈
している。

  1930年代の大恐慌を克服したとされるフランクリン・D・ルー
ズベルト大統領のニューディール政策に心酔するオバマ大統領と、
大恐慌を回避するためには紙幣を印刷してヘリコプターから撒けば
良いと提唱してヘリコプターベンの異名をとるベン・バーナンキ
FRB議長が出会ったことでドル紙幣印刷機の回転が加速された。

           歴史のアイロニー

  そのオバマ大統領は8月25日に記者会見し、バーナンキ議長の
再任を発表。その理由として、バーナンキ議長が最悪の金融パニッ
クを克服し、「大恐慌を回避した」ことを挙げた。そして、同議長
を「大恐慌のエキスパート」と賞賛。さらに「議長が自らその再来
を防ぐ役回りになろうとは夢にも思わなかっただろう」と述べ、歴
史のアイロニーに思いを馳せた。

  しかし、ルーズベルト大統領の政策に心酔するオバマ大統領と
1930年代のFRBを反面教師と見立てて、大量資金供給政策に絶大
な自信を持つバーナンキ議長の出会いが、将来「歴史の皮肉」とし
て振り返られるシナリオは夢にも浮かばないのだろう。

  米政府が8月25日に議会に提出した財政見通しによると、2010
年度から19年度まで10年間の財政赤字は合計9兆510億ドルに膨ら
む。景気後退の長期化による失業給付金の支出増加や国債の大量発
行による利払い負担などがかさみ、財政健全化など夢物語の世界に
なろう。

         隠密裏に始まった「徳政令」

  オバマ政権とバーナンキ議長のドル紙幣膨張策への自信はどこ
から来るのだろうか。米国政府は建国時代に欧州からの移民に対し
、資金を貸与して開拓予定地を供給していた。こうした政府融資を
原動力に国土を拡張してきた歴史を背景に、米国では「借金は善」
とする思想が底流にある。しかし、これはあくまでも、経済がまだ
若い時代の話だ。

  経済の発展と成熟と同時にベビーブーマーも老齢期にさしかか
っており、「借金は悪」へと変貌してきた。高齢者向け公的医療保
険(メディケア)など社会保障費も一段とかさむ。今後10年間に財
政赤字累計が9兆ドルにも拡張する中で、借金の返済どころか、利
子も雪だるま式に膨れ上がってくる。

オバマ大統領もバーナンキ議長もなお米国の先行きに強い自信を表
明している。確かに、ドルは世界の基軸通貨であり、基本的に対外
債務は輪転機を回せば返済できる。「強いドル政策」という仮面の
下で進む「基軸通貨の緩やかな減価政策」により、21世紀の「徳政
令」は既に実行に移されている。

(FRBウオッチの内容は記者個人の見解です)

更新日時 : 2009/09/15 06:50 JST


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