3397.民主党政権の構図



民主党政権の樹立は、維新である。明治維新、戦後のGHQ革命、
そして、今回の民主党政権維新である。今回の革命は21世紀に日
本が果たす世界への役割を担う体制を作ることであると思う。

戦後吉田首相が築いた安保の米国への丸投げと国内経済優先主義で
あることと、55年体制で自民党が築いた税金のバラマキ構造を変
革することである。

そして、最大の支持者である労働者層の権利拡大と貧富の格差是正
で中産階級の再構築である。ヨーロッパと同様な福祉国家にするこ
とでもある。現時点の労働者層、医師会などが支持しているので、
この層への利益は拡大することになる。

それに反して、建築業界や日本経団連など自民党への支持を拡大し
た業界は利益の縮小が起きることになる。大企業から中小企業重視
がそこから見える。

それは既得権益を持つ人から権利を剥奪することになる。このため
、混乱があって当然であろうと見る。批判が出てくるのも、既存権
益を侵される人たちからは当然出てくる反応である。

その混乱をどう調整して、どういう日本を築こうとしてるかを早く
示して、その方向を官僚、国民や関係業界に納得してもらうことが
重要である。

まず、来年度予算が重要であるが、構図を作ることも重要である。
戦略の構図は多人数ですることではなく、少数の人間で行うことで
あり、その構図には明確なポリシーが必要である。
                津田より

0.はじめに
 日米民主党は、きわめて似た政策を行う。なぜかというと、どち
らも労働者階層が支持基盤であり、富裕層が支持基盤の政党から政
権を奪い取り、新自由主義的、新古典派経済のマネタリスト的な金
持ち優先の経済体制を、福祉的な資本主義のケインズ経済的な中産
階層優先の経済体制に移行するためである。

このため、米国では国民皆保険制度を目指し、富裕層には増税、中
低所得層は減税となり、国家予算の大きな部分を占める防衛費は削
減する。

日本では、後期高齢者保険を廃止して福祉予算を増額し、富裕層に
は増税、中低所得層には減税となり、国家予算の多くを占める公共
工事費は削減する。

どちらも、国家予算の組み立ての考え方が同じである。政策も似る
しかない。

もう1つ、似ているのが既存産業から新規産業を立ち上げる産業政
策である。クリントン政権ではIT産業の育成に力を入れ、オバマ
政権では環境産業の育成に力を入れる。この中からグーグルなどが
誕生した。

日本の鳩山政権は、オバマ政権と同様に環境産業の育成に力を注ぐ
ようである。CO2の25%削減は大きなブレークスルーがないと
無理である。

というように、日米政権の政策が似ることで日米指導者の考え方が
似ている。案外、日米指導者は共感できて、良い関係になると見て
いる。

しかし、留保条件はある。現在の米国の国家戦略上重要なことは、
アフガン戦争である。この戦争は米国にとって、非常に苦しい状態
にある。この戦争から日本が離脱することは、米国にとっては許し
がたいことである。

このため、インド洋での給油に代わる提案をする必要があり、日本
はイラクで行ったような航空自衛隊のC130で輸送を請け負うこ
とが良いと見ている。キルギスタンのマナス空軍基地からアフガン
までの物資空輸は、インド洋での給油より危険であるが、アフガン
に陸上自衛隊を出すよりマシである。

本当のことを言うと、インド洋での給油が一番安全であるので、そ
れが良いが、鳩山新首相が言明した事を代えるのは、信用がなくな
り、政権確立の当初であるのでよいことではなく、代案としては次
善の策になる。

1.現状日本の欠陥は何か
 日本は官僚が政策を作り、政治家がその政策を国民に説得するこ
とで成り立っていた。日本では、立法府である政治家が法律を作る
ことをしていない。官僚が法律を作っていたのだ。

しかし、日本の構造が変化したのに、省庁間のバランスはそう簡単
に変更できずに、予算も国民が望む方向とは違い、公共事業に注ぎ
込まれているし、大企業の既得権益を経済産業省は保護している。
また、業界団体に多くの官僚が天下りしていて、予算配分も業界団
体に考慮した予算配分になっている。

しかし、日本の税収が拡大している時には、この構造でも予算を新
しい国民が望む方向に配分できるが、税収が減少になると国民の望
む方向ではなく、官庁組織の維持を図る予算になり、現状維持の傾
向が強くなる。国民が望む方向には予算が付かないという矛盾が起
きてきた。また、国民要望を取り込むために予算は拡大傾向になる。

このため、小泉首相は予算規模の縮小に向けたが、国民が望む方向
の予算も縮小する。国民が望まない方向の予算は官庁維持のために
温存された。このため、新自由主義という欧米の思想を利用したが
、政府の規模は大きいままであった。

もう1つが、日本国としての戦略がなくて、各官庁の省益や局益が
優先で、日本の方向を統一した戦略として大胆に変革できなかった
。このため、国民が望む方向とは違うことになっている。

これが、日本の閉塞感を生み出している大きな原因であると見てい
る。官僚中心体制から政治家が国民の志向を考慮した政策を実施す
る体制にシフトする必要があると見ていた。この体制を政治家中心
体制と民主党は命名したが、それに期待したい。

これに対応する自民党も体制を立て直して、中心思想を確立するこ
とが必要になる。社会主義に反対するだけの政党では、民主党は社
会主義の政党ではなく、思想的にも無理がある。米国の共和党的な
思想が必要になると見ている。

2.日本の維持・成長には
 日本の経済維持・成長には、世界の経済成長が必須である。日本
の国内市場は、人口減少や少子高齢化と買いたい物がないという豊
かさで、経済成長しない。このため、日本企業は世界に出て行く必
要がある。しかし、欧米市場も日本市場と同様に経済成長をしない
ために、アジア新興国などの世界に出て行く必要がある。

日本企業の良さは、企業が地道で気長い研究開発を行い、その蓄積
データで世界で真似ができない製品や部品を作っている。特に最先
端の部品や工作機械などは日本の独壇場にある。

もう1つが、手の感覚や表情を読むなど感覚重視であり、論理的な
説明ができない感覚などの暗黙知を体系的に継承する仕組みを伝統
的な徒弟制度で行っていることである。ナノメートルレベルの加工
には手の感覚や火の色を見て温度管理する手法が必要であるが、伝
統的な徒弟制度で継承している。このように日本の製造業は基本的
には強い。

この製造業である程度の貿易黒字があれば、国内サービス業で国内
の人員吸収を行うことである。このためには、銀行や観光、介護な
ど多くのサービス分野を拡大することだ。

もう1つが企業は、若い日本人を海外で技術育成していくことであ
る。製品製造のラインを確認する母工場も海外に出ている企業も多
くなっている。講演に行ったT社でも300社以上の世界の子会社
があり、家電の母工場は海外になっているという。日本ではアセン
ブリ・ラインは人件費が高くて、無理のようである。最先端部品な
どの高付加価値な物以外には日本での製造は無理なのかもしれない。

しかし、付加価値の高い環境技術製品は日本の独壇場になるはずで
ある。

3.環境技術について
 温暖化問題は、まもなく寒冷化の事実の前になくなるはずである。
黒点が少ないことで、太陽活動が低調であり、地球に降る注ぐ太陽
光も少なくなっている。このため、寒冷化対応が必要になっている。

日本では寒冷化の環境技術や資源が枯渇するリスクに対応するリサ
イクル技術などの研究開発を積極的に行う必要があるし、今までの
研究開発でも相当レベルまで進んでいる。

ヒートポンプ、EV(電気自動車)、電車(新幹線、リニアモータ
)、原子力発電、太陽光発電、風力発電、マイクロ水力発電、水の
システム、炭素繊維・カーボンナノチューブなどの素材、リサイク
ル技術、農業の植物工業化などである。

この技術を発展させるためには、結果としてのCO2削減は良いが
、EUが狙う金融派生商品としての温室効果ガス取引には反対であ
る。温暖化自体がないので、環境が狙いなのは、資源不足や石油資
源の枯渇に対応するビジネスである。

この環境を良くするためには、日本の文化も関係している。この日
本文化をマータイさんは「もったいない」という言葉で表したが、
日本文化は環境にやさしい文化である。この文化を世界に拡大する
ことが重要である。

漫画などの文化が世界に拡大するのは日本文化に魅力があり、その
魅力は全てにやさしいものであるからだ。

4.日本文化の拡大
 日本文化が次の世界の意識改革の中心である。日本が次の世界を
作ることになる。これが日本民族に与えられた使命である。米国の
使命は終わり、日本が使命を果たす順番に来たように感じる。

江戸時代が本当の伝統的に優れた日本を作った。今後の日本が使命
を果たすためには、まず、現在の日本は江戸時代の倫理を取り戻す
ことが必要である。

江戸時代の石門心学の倫理観と織田信長の楽市楽座のような革新性
がある経済システムである。このため、政府が市場に介入すること
である。

江戸時代は、皆が幸せにする自立的な仕組みがあった。町役人など
町人の自治組織が相互扶助していた。

このような江戸時代を作った天海和尚の社会の考え方は、大いに参
考になる。富を分散するとか権力を富と分けるという考え方は面白
い。

5.最後に
 日本は単一民族国家として、貧富の差の少ない国家を江戸時代に
確立した。弱い者を助ける社会である。極端な金持ちを作らない仕
組みである。皆で幸せになる社会を作る努力をしてきたが、制度疲
労と欧米文化の影響でその日本の原則が近年、大きく崩れてきた。

この昔の日本の仕組みを民主党政権は作ることである。

==============================
民主新政権、事務次官会見を廃止 岡田氏が意向
 民主党の岡田克也幹事長は11日の記者会見で、各省庁の事務次官
による記者会見について「事務次官会議がなくなることに伴い、必
要ないのではないか」と述べ、新政権発足後、廃止する方向で検討
していることを明らかにした。そのうえで「閣僚、副大臣、政務官
が説明していく。閣僚がきちんと会見すれば本来なら十分なはずだ
」と強調した。

 従来、各省庁の事務次官は週2回の事務次官会議の後、記者会見
し、質疑に応じてきた。民主党は「官僚主導から政治主導への転換
」を訴えており、記者会見の廃止で、官僚による世論誘導などを抑
える狙いがある。(11日 21:39) 
==============================
民主が戦略局の工程表 年内は予算編成に特化 国家ビジョンは来
年 (09/12 09:30) 

 民主党は11日、新政権の目玉組織となる国家戦略局の整備に向
けた工程表をまとめた。政権発足後から年末までを第1段階として
2010年度予算編成に集中的に取り組み、政治主導で年内に予算
編成を終える。年明け以降を第2段階とし、外交、地域主権などを
含む国家ビジョンを構築。首相直属の司令塔組織としての位置付け
を明確にする。 

 第1段階を予算編成に特化するのは、政権交代で例年より編成作
業が1カ月遅れているため。国家ビジョンづくりなどに手を広げず
、年度内に予算を成立させたい考えだ。 

 工程表によると、鳩山由紀夫代表が16日の特別国会で首相に選
出された直後の初閣議で、首相の指示により戦略局の前身の国家戦
略室を設置。予算の無駄削減などのため新設する行政刷新会議と連
携して、09年度補正予算のうち執行停止する事業を選定。10年
度予算の財源を捻出(ねんしゅつ)する。 

 並行して衆院選マニフェスト(政権公約)の目玉である子ども手
当などを優先的に盛り込んだ10年度予算の編成方針を9月中に策
定。各省の概算要求を全面的に見直し、方針に沿った編成作業を財
務省に指示する。省庁縦割りの積み上げ型の予算編成を排し、複数
年度予算を適用する事業の拡大も図る。 

<北海道新聞9月12日朝刊掲載>
==============================
「日米同盟強化を最優先」 駐日米大使、アフガン貢献も期待
 ジョン・ルース駐日米大使は9日、東京・赤坂の米大使公邸で日
本経済新聞の取材に対し、安全保障分野での日米同盟関係の強化に
取り組む決意を明らかにした。「対等な日米関係」を主張する民主
党主導の連立政権が誕生することになったが「新政権と引き続き強
固、前向き、そして生産的な関係であり続けると確信している」と
語った。

 ルース大使は8月20日に着任した。「日米関係は米国の東アジア
における戦略的、経済的な礎石」と説明。とくに安全保障分野での
日米連携は「決定的に重要な意味を持つ」と強調した。来年が日米
安全保障条約の改定から50年となることを踏まえ「私の最優先課題
は同盟を強化し、50年後に日米関係100周年を祝えるように基礎を築
くことだ」と語った。(10:06) 
==============================
インド洋給油「日本が判断」 駐米大使、米国防総省に反論
 【ワシントン=弟子丸幸子】藤崎一郎駐米大使は10日の記者会見
で、モレル米国防総省報道官が海上自衛隊によるインド洋での給油
活動の継続を求めたことに関して「(米政府ではなく)日本政府が
判断すべき問題だ」と反論した。「日米間は報道官を通じてやり取
りする関係ではない」とも語り、“外圧”と誤解されかねない報道
官の発言に不快感を示した。

 藤崎大使は給油活動について「日本が主体的に判断した国際貢献
であり、要請されてやってきたものでは全くない」と強調した。今
後のアフガニスタンへの貢献のあり方に関しては「新政権が発足し
た時に、日本政府として検討することだ」などと述べ、日本の主体
性を尊重するよう米政府にくぎを刺した。

 モレル報道官は9日の記者会見で、日本の給油活動に関して「活
動継続を強く促したい」と言明し、海自を撤収する方針の民主党を
けん制していた。(11:01) 
==============================
役員報酬の公表義務に 金融庁方針、今3月期から

 金融庁は2010年3月期から上場企業などに役員報酬の公表を義務
付ける方針を固めた。現在は任意になっている有価証券報告書での
公表について、役員報酬総額のほか、支払い形態や報酬額の決定方
法を掲載するように求める。報酬の透明性を高め、経営陣が高額報
酬を目的に短期的な利益追求に傾斜していないかを投資家が監視し
やすくする。

 昨年秋以降の金融危機を受け、欧米では高額報酬目的の短期利益
追求が危機の根底にあるとの指摘が強まっている。日本では欧米ほ
どの高額報酬を出す企業は比較的少ないが、こうした国際的な機運
が公表義務付けを後押しした面もある。役員報酬を巡っては、ロン
ドンで開いた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも
金融機関幹部の報酬制限の指針策定で合意している。(10:01) 
==============================
補正予算、未執行8.3兆円に 民主、回収可能額詰め
 2009年度補正予算の執行状況の全容が10日分かった。不明だった
内閣官房と内閣府の分を加え、国庫から交付していない未執行は
54.5%の8兆3328億円、執行済みは6兆9599億円だった。民主党は
連立政権発足後に一部予算の執行を停止し、新たな政策財源として
活用する方針で、資金回収対象の予算や活用法を詰める。

 新たに判明した内閣府は2兆4089億円の予算額のうち、2兆3932
億円が未執行だった。民主党は執行済みに分類した予算の一部も使
っていないとみており、回収可能な予算額の確定を急ぐ。回収した
予算は新たな景気対策やマニフェスト(政権公約)に盛った政策の
財源に充てる。(07:00) 

コラム目次に戻る
トップページに戻る