3366.欧州の戦略見直し



 欧州の経済状況を見よう。EU加盟の東欧諸国が経済破綻してい
ることと、英国の経済状況も悪い。失業率を見るとスペインの状況
悪い。ドイツは低燃費車の買替え補助金で最悪期を脱しているが、
全体的には米国より状況が悪い。欧州戦略の見直しを考えよう。
                            津田より

0.はじめに
  ユーロ圏の7月のインフレ率は、前年同月比でマイナス0.6%と
、前月に比べ0.5ポイント低下した。インフレ率のマイナスは2カ月
連続で続いている。6月の失業率は、ユーロ圏で9.4%となり、前月
の9.3%から上昇した。英国の成長率は4〜6月期、前期比マイナス
0.8%と、悪化した。

このため、イングランド銀行(英中央銀行)は6日資産買い取りプ
ログラムの規模を500億ポンド(約8兆400億円)拡大し1750億ポン
ドとすることを決めた。量的緩和政策を拡大継続することになり、
英国経済が苦境から抜け出せない状況にあることが明確化している。

欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁も6日に欧州景気について
「年内いっぱいは弱い状況が続く」と述べ、景気の見通しに慎重な
見方を示した。しかし、ユーロ圏16カ国に適用する政策金利は年1.0
%で据え置いた。

この経済環境の影響で、欧州企業の収益低迷が鮮明になってきた。
市場予想によると、2009年の欧州主要企業の純利益は前年実績比で
2割減り、減益率は米国企業の2倍に達する見通しだ。

また、「欧州の金融業の立て直しや雇用調整が米国より遅れた」た
めとみられ、企業収益の回復も遅れそうとの見方が根強い。

EU中核国と経済的に結びつきが深い中東欧諸国の経済危機が深刻
化している。大幅な経常収支の赤字にある中東欧諸国は、そのファ
イナンスをEU中核国からの多額投資で埋め合わせしていた。2008
年12月時点で1兆4000億ドルの債権残高であり、その9割がEU中核
国からの投融資である。このため信用収縮の打撃が大きい。

投融資が多いのは、オーストリアで、実に自国GDPの70%もの投
融資を中東欧にしている。次に多いのがスウェーデンで、バルト3国
に対してGDPの20%もの投融資をしている。このため、中東欧の
経済破綻は、オーストリアとスウェーデンの金融機関の破綻につな
がり、金融危機に逆戻りする可能性がある。特にラトビアはIMF
やEUの支援を受けるが国家破綻の可能性もある。

これらのことから、欧州景気の回復が日米に比べ遅れるとの見方が
強まってきた。実体経済の悪化と金融収縮の連鎖はまだやまず、ユ
ーロ圏の成長率は日米がプラスに転じるとみられる10年もゼロ近辺
にとどまりそうだ。

1.欧州の環境戦略
 このように欧州の経済環境は悪い。どちらかというと、米中の2
大経済大国の動向に目が行くが、米国と同じ経済規模のEU欧州の
動向を見ないと、世界が見えなくなる。EUは今まで米国が倒れた
ときに米の覇権を引き継ぐ存在と認識されていたが、経済的な苦境
は米国以上であり、米国の覇権を引き継ぎ存在から脱落したような
感じである。

 EUを中心とした欧州の次の産業は、持続可能な自然エネルギー
の分野で世界を引っ張り、その分野で米国を仰臥し世界標準を抑え
て、日米の技術開発競争をかわそうとして来た。ドイツは弱電系装
置産業が弱く、重電系や機械系産業が比較的強い。

このエネルギー系は、重電系・機械系の分野であり、台湾・韓国な
どが比較的弱い分野であるので、そこを成長分野として育成する方
向であった。その成果が、太陽電池のドイツ・Qセルズ社や風力発
電のデンマーク・ヴェスタス社がトップになったことである。

また、ドイツ企業連合がサハラ砂漠で太陽光熱発電を行うと宣言し
ている。しかし、この前提は、地球温暖化でのCO2排出量削減の
世界的な取り決めであり、これがないと、そもそも、自然エネルギ
ーは石炭火力発電や原子力発電の9倍程度のコストが係り、経済的
な合理性がない。

2.環境戦略に逆風
 EUは順調に環境戦略を進めてきた。CO2排出権取引も実質的
に欧州の投資銀行が中心で確立して、今後CO2排出権取引を行い
たいとしても、欧州の投資会社を無視できないことになっていた。

CO2排出権取引は証券化商品以上に胡散臭い商品であるが、その
臭いを消す努力を欧州はしてきた。やっと、そのビジネスが立ち上
がる寸前に、大きな逆風が吹き始めた。それも思いもかけないこと
から、そうなっている。

地球温暖化が起きるということに疑念を表明する多くの研究者を無
視してまで、裏工作の結果として国連機構で地球温暖化は大変なこ
とになると宣言した。しかし、今後、地球は寒冷化に向かう可能性
が高いと太陽を観察している宇宙学者の発表が相次いでいる。黒点
の発生が少なく、太陽活動そのものが弱くなるというのだ。

それを無視して、国際会議では温暖化を議論しているが、それは欧
州系政治家と財閥たちの裏工作が進められているからで、しかし、
そのような裏工作も、現実の前には無力化することになる。

日本も今年は冷夏になることは確実で、今後、地球寒冷化対策を打
つ必要が出ているのである。寒冷化対応では発展途上国での食糧問
題が先に叫ばれることになる。特に寒冷な国では農業振興をしない
と、食料価格が高騰して国家財政が行き詰ることになる。

この影響を高度の高い中東欧諸国などが受けることになると見てい
る。この地球寒冷化の問題が第一である。

もう1つが、G8など先進諸国だけではCO2排出削減を決められ
ずに、新興国・発展途上国のCO2排出権も合意しないといけない
ために、その中心である中国の合意が必要であるが、得ることがで
きないことである。時間が消費されて、その内、合意する前に地球
寒冷化の現実が明らかになるはずで、そうなると前提が大きく崩れ
ることになる。

3.自動車の環境戦略
 というように欧州の環境戦略自体が行き詰ってきた。また、自動
車の環境戦略では、欧州企業はディーゼル車をバイオ化する方向で
対応しようとしたが、軽油の価格がガソリンと同じ価格になったこ
とでディーゼル車が売れなくなっている。排気ガスのクリーン化は
日本人技術者をボッシュが獲得して、技術を手に入れたがディ−ゼ
ル車そのものが売れなくなってしまった。

ここで、ハイブリット車を日本は低価格で提供し始めた。欧州など
で開発している電気自動車は高価格である。三菱の電気自動車は
475万円もしている。リチウムイオン電池の価格が高いのでそう
なる。当分、この低価格なハイブリッド車の時代が続くことになる。

もう1つが、BMWやマツダが試行している水素エンジン車である
が、水素タンクなどが高価であることと、水素補給スタンドの建設
が必要になることが足かせになって普及が危ぶまれている。ホンダ
などの燃料電池車となるとそれよりも将来で遠いことになる。

10年内外はプラクインハイブリッド車になり、その後、存在量の
少なく高いリチウムではなくて、マゲネシウムなどの金属空気電池
になる公算が高いと見ている。この金属空気電池は今までの電子密
度の1000倍以上の効率になるので、安く軽い電池で自動車が走
るようになる。このため、ガソリン車を駆逐できる。このほとんど
の基礎研究を日本で行っている。キー技術である白金の代わりにカ
ーボン・アロイ触媒など周辺技術も開発中であり、自動車の技術イ
メージが大きく変わっている。

世界は、今やっと、リチウムイオン電池を作ろうとしているが、も
う古いのである。日本ではリチウムから空気電池に研究がシフトし
ている。

4.欧州の落日
 米国は世界標準で欧州に何度も負けてきたが、今後は中国と米国
のG2で世界標準を欧州から奪い取り方向である。日本も中国と組
んで、中国標準を開発して世界市場に展開する方向である。

米国の資格は中国でも通用することを日本も世界も無視しているが、
経済開発で米国は中国を支援して、経済単位や考え方を一緒にして
いる。法体系や単位も米国流である。

このため、米国人が大量に中国企業に入り込み、逆に中国人の資格
も米国で使えるので、中国人が米国企業に入っている。不景気で人
員削減の嵐が吹き荒れても、韓国人や日本人従業員を大量解雇した
が、中国人は解雇されていない。次の儲け先として中国を見ている
ことが分かる。

このように米国は中国と関係を作ってきた。ニクソンとキッシンジ
ャーは長期戦略として中国を取り込んできたのだ。その成果がやっ
と、出てきたと見る。

このG2で欧州を追い落とすことになると見る。日本は中国近傍に
いるために、中国も日本も相手を無視できない。中国としては日本
の技術と人がほしいために、日米中のトライアングルで当分経済関
系は動くでしょうね。

中国は最初欧州と組んできたが、VW車が凋落して、中国企業の自
動車や日本のハイブリッド車が売れることになると見ている。

英国政府は金融業界の監視を強化するなど規制を強める方向である
が、もしそのようなことをすると、英国から金融機関は逃げ出すこ
とになる。もちろん、東京から上海への動きも加速しているので、
東京も地盤が沈下するが、それ以上にロンドンの地盤沈下が大きい
ような気がする。

その代わりとして目をつけていたのが、CO2排出権取引であるが
それも上で見たような理由でない。標準化も米中連合に阻止されて
、欧州の次が見ない状態になっている。

米国はグリーン・ニューディールを掲げているが、その実は日本の
技術を利用したものになる可能性が高いし、欧州はそもそも発酵技
術が弱いので、機械系以外では苦戦する。

5.日本の戦略はどうするか
 日本は技術開発力が多分野に跨り、かつ日本の周辺に台湾や韓国
、そして中国など切磋琢磨する相手がいる。この中から生み出され
る技術開発にしか日本の取り柄はないし、それが確立している限り
、日本は強い。

このため、既得権益を確保する大企業も韓国サムソン、現代、LG
電子などやBYDなどの動きを見ながら、日本を活性化させること
を考えてほしいものである。日本企業の活力が問われていると見る。

さあ、どうなりますか??
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欧州銀、収益格差広がる RBSなど3行赤字 1〜6月
 【ロンドン=吉田ありさ】欧州大手銀の収益格差が広がってきた
。7日出そろった主要10行の2009年1〜6月期決算はドイツ銀など
7行が黒字を確保する一方、実質国有化されたRBSなど3行は最
終赤字だった。各行とも投資銀行部門が持ち直した半面、景気低迷
で融資の焦げ付きが急増。不良債権問題は長期化の様相を帯びてい
る。

 前年同期比で増益だったのはドイツ銀とバークレイズ、黒字転換
がクレディ・スイスで、赤字幅が縮小したUBSを含め4行の業績
が改善した。一方、4行(サンタンデール、HSBC、BNPパリ
バ、ソシエテ・ジェネラル)は減益、RBSは赤字幅が拡大、ロイ
ズ・バンキング・グループは赤字に転落した。(07:00) 
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7月のユーロ圏インフレ率、マイナス0.6%に 
 【ロンドン=欧州総局】欧州連合(EU)統計局が31日発表した
ユーロ圏の7月のインフレ率(速報値)は、前年同月比でマイナス
0.6%と、前月に比べ0.5ポイント低下した。インフレ率のマイナス
は2カ月連続。 (18:48)
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6月のユーロ圏失業率、9.4%に上昇 
 【ロンドン=欧州総局】欧州連合(EU)統計局が31日発表した
6月の失業率は、ユーロ圏で9.4%となり、前月(改定値)の9.3%
から上昇した。EU27カ国では8.9%となり、前月から0.1ポイント
上昇した。 (19:01) 
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英中銀:資産買い取り規模を拡大、予想上回る景気悪化で
8月6日(ブルームバーグ):

  イングランド銀行(英中央銀行)は6日の金融政策委員会(M
PC)で、資産買い取りプログラムの規模を500億ポンド
(約8兆400億円)拡大し1750億ポンドとすることを決めた。予想以
上に深刻な英国のリセッション(景気後退)を理由に挙げた。 

  キング総裁ら9人から成るMPCはまた、政策金利のレポ金利
を過去最低の0.5%に据え置いた。ブルームバーグ・ニュースがまと
めたエコノミスト調査では、44人中23人が資産買い取り規模の拡大
を予想していた。残り21人は規模を維持すると見込んでいた。 

  イングランド銀は声明で、「英国のリセッションは従来の想定
よりも深刻なようだ。生産の伸びはある程度回復する見通しだが、
経済における余剰生産能力はまだしばらく拡大し続ける可能性が高
く、中期的にインフレを抑制するだろう」と説明した。 

  ダーリング英財務相は、英経済は依然として脆弱(ぜいじゃく
)であるとのブラウン首相の懸念を反映し、買い取り規模の拡大を
承認した。 

  同財務相は、中銀あての書簡で、資産買い取り規模の「上限引
き上げは、インフレ目標達成に向けて金融政策姿勢を調整する裁量
をMPCに与えるという考えに賛成だ」と記述している。 

  イングランド銀の次の行動と同中銀の景気認識については、同
中銀スタッフが準備した最新の経済予想をキング総裁が12日に公表
する際により明白になる見込み。 

  ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査では、60人全員が
この日の金利据え置きを見込んでいた。 
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英成長率4〜6月期、前期比マイナス0.8% 
 【ロンドン=欧州総局】英政府統計局が24日発表した2009年4〜
6月期の国内総生産(GDP、速報値)指数(03年=100、季節調整
済み)の伸び率(速報値)は前期比マイナス0.8%となった。マイナ
ス成長は5四半期連続。前年同期比ではマイナス5.6%だった。 
(20:01) 
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欧州中銀総裁「年内は景気弱い」 
 【フランクフルト=石井一乗】欧州中央銀行(ECB)のトリシ
ェ総裁は6日の定例理事会後に開いた記者会見で欧州景気について
「年内いっぱいは弱い状況が続く」と述べ、景気の見通しに慎重な
見方を示した。ただ一部では悪化に歯止めがかかる兆しも見えつつ
あるため、当面は「様子見」姿勢を貫く。一方で資金を引き続き金
融市場に供給し、貸し渋りで景気が下振れしないよう配慮する。今
後は、融資機能がどこまで回復するかも焦点となりそうだ。

 ユーロ圏16カ国に適用する政策金利は年1.0%で据え置いた。据え
置きは3カ月連続。トリシェ総裁は会見で「現在の金利水準は適正
」と強調した。

 ユーロ圏16カ国の7月の消費者物価上昇率はマイナス0.6%と1999
年の通貨統合後の最大の下落幅を記録した。ECBは「物価下落は
一時的」とみるが、足元の物価上昇リスクは遠のいている。域内景
気は低迷しており、ユーロ圏の6月の失業率は9.4%と10年ぶりの高
水準に悪化。「今後数カ月間でさらに悪化しそう」(トリシェ総裁
)という。 (00:02) 
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外国金融の監督、英が人材審査厳しく 邦銀に影響必至
 【ロンドン=吉田ありさ】英国の金融監督当局である金融サービ
ス機構(FSA)は、外国金融機関で働く人材の適性審査・認可基
準を厳しくする。新たに英国外に居住する本店の担当役員や、トレ
ーダーも対象に加えるほか、一部役職者には面談も実施。職務遂行
能力や責任能力などを審査基準として重視する。欧州以外の金融機
関が受ける影響が大きく、邦銀などの間に波紋が広がっている。

 FSAは金融機関で働く人材の能力や適性を審査・認可している
。これまでは対象を主に英国内の管理職に限定していたが、新たに
「英国の経営に影響を及ぼす人材」に範囲を広げ、役職や居住地を
問わず審査・認可の対象とする。

 昨秋に米リーマン・ブラザーズの英国拠点が破綻直前に、ニュー
ヨーク本店に多額の資金を送金し、その後の英拠点の債権債務の処
理に支障をきたしたことが制度導入のきっかけ。新基準は6日から
適用する。(00:08) 
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欧州主要企業、2割減益 09年見通し、米に見劣り 
 【ロンドン=石井一乗】欧州企業の収益低迷が鮮明になってきた
。市場予想によると、2009年の欧州主要企業の純利益は前年実績比
で2割減り、減益率は米国企業の2倍に達する見通しだ。「欧州の
金融業の立て直しや雇用調整が米国より遅れた」(銀行系アナリス
ト)ためとみられ、企業収益の回復も遅れそうとの見方が根強い。
コスト削減へ雇用調整が長期化する可能性もある。 

 調査会社トムソン・ロイターが、欧州主要600社についてアナリス
ト予想値を集計した。09年通期の純利益合計額は前年比21.9%減る
見通し。米主要500社は同11.4%減を見込んでおり、欧州企業との格
差が鮮明になった。今年1月時点の予想では欧州は0.3%増益、米国
は0.6%減益だった。 (16:00)
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銀行貸し出し伸び悩み鮮明 日欧は2%台、米も減少傾向
 日米欧で民間銀行の貸し出しの伸び悩みが鮮明になっている。日
欧の金融機関融資の前年同期比伸び率はともに2%程度まで縮小。
米国では足元で企業向けが減少傾向にある。世界的な景気の先行き
不透明感から企業が前向きの投資を手控える一方、金融機関側が焦
げ付きを警戒している。だぶつき気味の資金は国債など安全資産に
滞りがちで、景気回復の足取りを鈍らせる要因になる恐れもある。
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欧州景気、回復遅れ 2010年ゼロ成長予測
 【ブリュッセル=瀬能繁】欧州景気の回復が日米に比べ遅れると
の見方が強まってきた。個人消費は2009年1〜3月期まで4四半期
連続でマイナス、企業活動も低迷が続いている。実体経済の悪化と
金融収縮の連鎖はまだやまず、ユーロ圏の成長率は日米がプラスに
転じるとみられる10年もゼロ近辺にとどまりそうだ。

 欧州の夏の風景に異変が生じている。「バカンスはあきらめた」。
仏レストラン店員のカレッドさん(45)。恒例のアルジェリア旅行
を楽しみにしていたが「今年は余裕がない」。欧州連合(EU)調
査では6人に1人が夏の旅行を断念した。(07:00) 
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EU、加盟国にガス相互供給義務付け ロシア産停止にらむ
 【ブリュッセル=瀬能繁】欧州連合(EU)の欧州委員会はロシ
ア産のガス供給が再び停止する事態に備え、安定供給を確保するた
めの規制案をまとめた。EU域外からのガス輸入量が一定以上減っ
た場合、加盟27カ国にガス融通を義務付けるのが柱。さらに調達先
の多様化などで2014年3月末までに厳冬期の60日分のガスを確保す
るよう各国に求める。

 バローゾ欧州委員長は1月に起きたロシア産ガスの供給停止を念
頭に「最悪の事態に備える」と表明。加盟国と欧州議会に今年中の
規制案の承認を求めた。(07:00) 
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北アフリカのサハラ砂漠などに太陽熱発電施設のネットワークを構
築し、欧州の一大電力源とする壮大なエネルギー供給計画「DESERTEC
(デザーテック)」が、事業化に向けて動き出す。

計画への参加を経済界に呼び掛けてきた世界的な大手保険会社「ミュ
ンヘン再保険」が10日、毎日新聞に明らかにした。 

同社は13日、独南部ミュンヘンで、独大手企業を集めた初の会議を
開く。事業の推進母体となる組織を発足させる予定で、電機会社シ
ーメンス、電力会社RWE、ドイツ銀行などの参加が予定されていると
いう。 

 デザーテック事務局(独北部ハンブルク)のシュトラウプ事務長に
よると、計画ではサハラ砂漠など北アフリカや中東諸国に広大な太
陽熱発電施設群を建設し、高電圧の送電網によって欧州に電力を供
給する。欧州の電力需要の15%を満たす発電網の構築に4000億ユー
ロ(約50兆円)が必要で、資金調達が最大の課題だ。 
ミュンヘン再保険は「2、3年かけて事業の枠組みを作りたい」として
いる。 

 同計画はハンブルク出身のエネルギー学者クニース氏が発案し、
03年ごろから地中海周辺国や欧州の学術界に訴えてきた。世界の有
識者で組織するシンクタンク「ローマクラブ」が後押しし、07年、欧
州議会に実現を求める計画書を提出している。 

 ミュンヘン再保険は、保険会社のリスクを分担する再保険業界の
世界的な大手で、収入保険料は378億ユーロ(08年)。大災害や気候変
動など地球規模のリスク問題に関心を寄せてきた。また、シーメン
スは発電施設や送電でトップ級の技術を持つ。 
13日に発表される推進母体には、関連分野でドイツ経済界を代表す
る企業が名を連ねる見通しだ。 

 政界も好意的だ。シュタインマイヤー独外相は10日、ベルリンで
開かれた外国記者協会との会見で「実現性はまだ何とも言えないが、
進めなければならない計画と信じている。北アフリカ地域には大き
な潜在的可能性があり、私自身、地中海連合に計画を紹介してきた
」と語った。 【ベルリン小谷守彦】

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