3348.米政権の景気回復戦略とは



米国NYの株価が1週間で597ドル上昇と急上昇している。この背
景は何であろうか。失業率が上がり、クレジットカードの破綻が拡
大しているので、個人消費が落ち込んでいる。

米国は1億5000万人の労働人口であるが、2008年307万
人、2009年上半期で338万人の雇用が失われている。9.5
%の失業率ということは、1400万人が失業していることになる。

このような状況で、4月〜6月の企業決算が発表されているが、
企業業績は回復してきている。この企業業績の回復がNY株価の急騰
を起こしている。
                      津田より

0.はじめに
GS(ゴールドマン・サックス)、MS(モルガン・スタンレー)
BOA(メリルリンチ)の利益が拡大しているのは、FRBが無制
限に社債やCPを買取るために、大企業が起債を証券会社に依頼し
ているためである。この発行手数料と自己売買部門の2つで利益が
拡大している。

自己売買部門はある程度、政府の動きを知って、それに先行連動し
たオプション取引をするために、利益は確実に上がることになる。
この米政府の情報を的確に掴んでいるのが、GSであり政府要人を
多数送り出していることによるが、米政府もウォール街と連携して
金融機関の収益を上げる方法に出ている。

この作戦で狙われているのが日本や欧州の個人投資家である。株式
投資などはゼロサムゲームであり、勝つ投資家がいるということは
、それと同額の損をした別の投資家がいることになる。どうも損を
した投資家は個人投資家のような気がする。今の米政府とウォール
街は連携しているので気をつけてくださいね。

今のオバマ政権でもガイドナー財務長官、サマーズNEC議長など
はウォール街との連携で米国経済を立て直すことを考えているのに
対して、顧問をしているボルガーさんは、ウォール街を規制する必
要があるとの意見であり、オバマ政権下で意見の対立が起こってい
るようである。

そのサマーズ・ガイドナーの作戦の意味はウォール街の金融事業し
か米国を早期に立て直せないと強く思っているということである。

しかし、ウォール街以外の金融機関であるCITや地方の中小銀行
は助けないという方針である。CITは中小企業の資金繰りを助け
る金融機関であるが、その倒産は仕方がないと言う。

米政府にも資金がない。助ける対象を絞り込んでいかないと資金獲
得のためにより以上の米国債の大量発行を必要となってしまう。
現時点でも消化できるかどうか分からない米国債の発行をこれ以上
増やすと、ドル暴落などに結びつくし、FRBも国債の買取枠を増
やさないということで、米政府をけん制している。

そして、米政府、FRB連動で国全体が証券会社のようになってき
た印象を受ける。投資先を選別して、儲けや効果の大きな所を強化
するという投資戦略のようである。

このため、地方の中小銀行はすでに52行も破綻しているし、この
ままであると、年間で500行程度の破綻があるという。このよう
に、まだ落ち込む銀行と収益を上げる銀行に2極分化してきたし、
不良資産買取機構は設立したが買い取り量は当初の100兆円から
4兆円規模に縮小させている。銀行は時価会計緩和で証券化商品を
持ち続けることになる。

このように選別を米政府は行っているのだ。

1.米企業の業績回復の背景
 IBMやインテルなど多くの企業で利益が上昇して、4月〜6月
期は黒字を計上している。このため、NY市場は大幅高になったの
であるが、この増益の企業群は、赤字幅分以上の大リストラを1月
〜3月の時期に行っている。2000人から1万人規模の雇用を切
っている。

この固定費が無くなったので、黒字に転換した。売上高が増えたわ
けではなく、人件費などの固定費を落としたことで黒字化した。サ
ンのように、オラクルに吸収されてしまった企業もある。米国企業
は迅速な雇用調整を行って、人件費を削減している。もし、それで
も売上高が落ちると、身売りと対応も早い。

この対応を迅速にしないと、米国で経営不振企業の資金調達環境が
悪化している。企業再建の関係者で構成する業界団体の調査による
と、破綻後に経営再建を目指す企業に対する運転資金融資の手当て
が難しくなってきた。

大企業はCPを発行してFRBに買い取ってもらえるので、資金繰
りに窮することはないし、時間的な余裕を持ちリストラや身売りな
どの対応策を生み出すことができるが、CP発行などできない中小
企業は、資金繰りをCITなどのノンバンクに頼っていた。

しかし、この中小企業の資金繰りを助けるノンバンク大手CITグ
ループが景気後退の長期化で焦げ付きが増加、資金繰りに行き詰ま
った。CITは米政府に支援を求めたが、財務省は15日、支援には
「非常に高いハードルがある」との声明を発表、要請を拒否したこ
とを明らかにした。

資産規模は約756億ドル(約7兆円)で、米破産専門サイトによると
、実際に破産法適用を申請し経営破綻すれば、米史上5番目の規模
。6月の自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)に次ぐ大型破綻
となるが、リーマンブラザースの1/10の資産規模であり、金融
シュックはないと政府は判断したようである。

政府はCITを助ける代わりに、金融安定化法で定めた最大7000億
ドルの公的資金枠を活用して、中小企業向け融資の円滑化を図る新
たな案などが検討されているもようだ。

というように、政府は公的資金枠を中小企業の融資に使う。25兆
円の規模がまだ手元にある。その資金を流用することになる。

政府は、自動車部品会社への支援も拒否しているなど、企業選別を
強化している。大きな自動車会社は助けたが、基本的に中小企業は
助けないが、優秀な技術を持つ企業は選別して融資を行うというこ
とのようで、ここでも投資先を選別して、儲けや効果の大きな所を
強化するという投資戦略のようである。

このため、米NEC委員長ローレンス・サマーズは、11日経済危機
問題について、最悪の事態はまだ訪れていないと語った。

サマーズ委員長は英紙フィナンシャル・タイムズに対し、「最悪の
事態が過ぎ去ったとは思わない。雇用がさらに失われる可能性は非
常に高い。国内総生産が今後まだ底をつくとしても驚きではない」
と語ったとなる。

時間が必要であり、まだ企業のリストラが完了していないと見てい
るのである。

2.オバマ政権の中核に投資専門家
 GMの再建案を作ったグループもほとんどが投資会社出身のメン
バーで、自動車業界や技術を知るメンバーがほとんどいなかった。
この政権はクリントン政権と同じで金融危機から経済危機になった
ために、経済の再建が重要であり、その再建には製造業が分かる人
材がキーになるべきであるが、そのような人材は環境研究のチャン
氏しかいない。

クリントン政権では経済復活を託されたのが製造業に詳しいMIT
のローラ・タイソン女史であったが、今回はこのような人物が政権
の中核にもいない。オバマ政権の経済立て直しの中核メンバーはウ
ォール街出身者だけになり、製造業も技術も知らない。

これでは製造業の復活はありえないし、GMなどの製造業の復活は
できないであろうと感じる。というように、オバマ政権は製造業の
復権を画策するメンバーではなく、先端のベンチャーに資金を融資
するベンチャー・キャピタルのような役割を担うことになる。

どうしてかいうと、世界の富裕層が金融危機で大きな損失を出して
、かつ金融規制強化でベンチャーキャピタルの資金力がなくなって
いる。投資減税も米国は廃止する方向である。このため、ベンチャ
ーへの資金支援が途絶え始めている。このベンチャーを助けないと
次の産業を育成できない。このため、ベンチャー・キャピタルのよ
うな役割を政府が担うことになるのだ。

その代わりに、既存の企業への補助金はなくす方向であると見える。

3.州政府の対応
 このように米国政府自体に資金が無いので、州政府の税収も大き
く落ち込んでいるが、州政府の資金支援を米政府は行わないと宣言
している。

このため、カリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事は1日、
同州の財政危機を受け非常事態宣言を発令した。250億ドル削減
した予算案を議会が承認しなかったことによるが、この案では教育
・警察などで大幅な人員削減になり、多くの失業者が出てくること
になる。

しかし、税収不足である州はカリフォルニアだけではなく、20州
以上でも同じ状態にあり、今後、州の対応では、失業者が増えるこ
とになる。自治体が失業者の就職機会を増やすのではなく、失業者
を生み出すことになるのだ。

4.追加経済対策は
 このため、失業対策は米政府の追加景気対策による下支えに頼ら
ざるを得ないが、バイデン米副大統領は、刺激策第2弾が必要か、
との質問に対しては「その判断をするのは時期尚早だ」と応じた。

景気刺激策は「1年半をかけて実施するよう設計されている」と述
べ、ブロードバンド拡張や高速鉄道、新たな送電網の敷設など、大
規模なプロジェクトがまだこれから控えている、と強調した。

米政府は連携して、より一層投資会社の収益を上げて、その収益を
社員に分配して、社会に資金を供給する方法を重要視している。

しかし、このような対応する米国の戦略は、他者の金を奪うことに
なるので、米政権の口先介入や米企業の動きには注意が必要である。

米GMが本社の戦略力によって大型車を売れるようにしたが、小型
車の技術を持たないことで、最後には行き詰ったように、米政権の
姑息な戦略はいつか行き詰るように感じる。現時点で抜本的な製造
業の建て直しをしないと、手遅れになるように感じる。

さあ、どうなりますか??
==============================
NY株、1週間で597ドル上昇 08年11月以来の大幅高
 17日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均が5日続伸し
、週間の上昇幅は597ドル42セントと昨年11月第4週以来の大きさと
なった。ダウ平均が週間ベースで上昇するのは5週間ぶりで、過去
4週分の合計下落幅(652ドル)の約9割を1週で取り戻した。発表
が本格化している4〜6月決算で予想を上回る業績を出す企業が相
次ぎ、株価回復を後押ししている。

 ダウ平均はこの日、前日比32ドル12セント高で取引を終了。週間
の上昇率は7.33%と3月第2週以来の大きさとなった。週初から金
融大手ゴールドマン・サックスや半導体大手インテルなど幅広い業
種で好決算が相次いだ。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価
指数は17日までに2005年5月以来、約4年ぶりとなる8営業日続伸
を記録した。(ニューヨーク=山下茂行)(18日 17:23) 
==============================
米ゴールドマン、最終益65%増 4〜6月 
 【ニューヨーク=財満大介】米金融大手ゴールドマン・サックス
が14日発表した2009年第2四半期(4〜6月)決算は、最終利益が
34億3500万ドル(約3200億円)となり、前年3〜5月(決算期の変
更に伴い前年同期に相当)に比べて65%増加した。市場予想に対し
ても約40%上回った。証券市場の回復に伴い、トレーディングや株
式の引き受けで大きく収益を伸ばした。 

 4〜6月期は最終利益、純営業収益とも四半期ベースで過去最高
の水準に達した。同社は昨年の金融危機を背景に赤字へ転落したが
、09年1〜3月期に黒字へ転換。4〜6月期で2四半期連続の黒字
となった。 

 収入から金利費用を引いた純営業収益は137億6100万ドルで前年同
期比46%増えた。大部分を占めたのはトレーディングや自己資金を
使った投資。1〜3月期に続き債券・為替の売買が好調だったほか
、住宅ローン関連や商品取引も回復した。デリバティブ(金融派生
商品)の収益も拡大した。 (14日 22:25)
==============================
シティとバンカメ、2四半期連続黒字 4〜6月 
 【ニューヨーク=松浦肇】米銀大手シティグループとバンク・オ
ブ・アメリカが17日発表した4〜6月期決算はともに最終損益が2
四半期連続の黒字となった。シティは証券子会社スミスバーニーの
売却益を計上、バンカメは米証券大手メリルリンチを買収した効果
が出た。一方で融資の焦げ付きに備える貸倒引当金の計上が急増し
ており、収益環境は依然として厳しい。 

 シティの最終損益は42億7900万ドル(約4000億円)の黒字(前年
同期は24億9500万ドルの赤字)。事業会社の粗利益に相当する純営業
収益が71%増となった。スミスバーニー売却で111億ドルの利益を計
上したうえ、M&A(合併・買収)や証券化に伴う損失が減少した。 

 ただ、スミスバーニーの売却益を除くと事実上の赤字決算となる
うえ、融資の焦げ付きに備える貸倒引当金への繰り入れが前年同期
比79%増の約127億ドルと急増した。米国を中心に融資の担保である
住宅の価格が下げ止まらず、失業率も上昇して借り手の資金繰りが
悪化。個人向けを中心に住宅ローン、カードなどの融資債権の不良
化が進行した。 (17日 23:01)
==============================
米CIT、17日にも破産法申請へ 米メディア報道
 【ニューヨーク=共同】米CNBCテレビ(電子版)は15日、米
ノンバンク大手CITグループが17日に連邦破産法11条(日本の民
事再生法に相当)の適用を申請する見通しだと報じた。資産規模は
約756億ドル(約7兆円)で、米破産専門サイトによると、実際に破
産法適用を申請し経営破綻すれば、米史上5番目の規模。6月の自
動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)に次ぐ大型破綻となる。

 景気後退の長期化で焦げ付きが増加、資金繰りに行き詰まった。
CITは米政府に支援を求めたが、財務省は15日、支援には「非常
に高いハードルがある」との声明を発表、要請を拒否したことを明
らかにしていた。(16日 22:32)
==============================
米再建企業、運転資金の調達難しく 貸し渋り強まる
 【シカゴ=毛利靖子】米国で経営不振企業の資金調達環境が悪化
している。企業再建の関係者で構成する業界団体の調査によると、
破綻後に経営再建を目指す企業に対する運転資金融資(DIPファ
イナンス)の手当てが難しくなったとする回答は2008年に比べて倍
増した。金融機関が米景気冷え込みが長引くとみて、貸し渋り姿勢
を強めているという。

 弁護士や再建請負人、銀行で構成する米企業再建協会が会員から
聞き取り調査した。企業再生の現場で、DIPファイナンスの調達
で苦戦したと答えた再建請負人の比率は4割を超え、昨年(21%)
の2倍に跳ね上がった。金融機関が経営不振企業に対する融資に慎
重になっているとの答えも7割に達した。(07:00) 
==============================
米、中小支援拡充へ 公的資金活用を検討 
 【ワシントン=米山雄介】オバマ米政権は10日、中小企業向けの
支援策を拡充する方向で検討に入った。雇用情勢の悪化に歯止めが
かからず、2月に成立した総額7870億ドル(約73兆円)の景気対策
法の効果に疑問符が付き始めているためだ。金融安定化法で定めた
最大7000億ドルの公的資金枠を活用して、中小企業向け融資の円滑
化を図る新たな案などが検討されているもようだ。 

 米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)などが同日、関
係筋の話として報じた。 

 米政権はすでに、景気対策に中小企業向けの資金支援を盛り込ん
でいる。中小企業庁(SBA)が保証する中小企業向けのローン債
権を公的資金で買い上げて、貸し渋りの解消を目指す計画なども打
ち出している。ただ同紙によると、公的資金によるローン債権の買
い取りは、制度を利用した経営者の報酬制限などへの懸念から、ま
だ実現していない。 (14:38)
==============================
二極化する米金融機関
http://www.y-asakawa.com/message2009-1/09-message42.htm

アメリカ金融機関の09年4〜6月期の決算発表が本格的に始まり
出した。

ゴールドマン・サックスやモルガンスタンレーのように巨額な利益
を計上する銀行がある一方、CITのように不良債権問題が解消せず、
自力で経営危機を乗り切るのが困難となり、明日にも破綻に追い込
まれそうな銀行も出て来ている。

投資銀行であるゴールドマンサックスは純益が3200億円と2期
続けて大幅黒字となった。債券や株式などの自己売買部門が好調で
あったのがその 主要な要因である。

こうした投資銀行は景気の善し悪しや株価の高い低いというより、
債券や株式の売買口数が増えればそれで儲(もう)けが増えるわけ
であるが、それにもまして今期、自己売買部門の儲けが大きかった
のは、株や債券の値動きが彼らの狙い通りになったということを意
味している。

1月末頃から株式の暴落が始まるシナリオを描いた彼らは、アナリ
ストなどを使って景気先行きの不安をあおり、取引先には売りを推
薦する。一方、自分たちは「プット・オプション」と呼ばれる株価
が下げれば下がるほど儲かる先物オプションを大量に買い込む。

==============================
米不良資産買い取り、400億ドル規模で開始 金融改善で規模縮小
 【ワシントン=米山雄介】米財務省は8日、官民投資基金による
金融機関の不良資産買い取り制度の詳細を発表した。基金の投資・
運用業務を手掛けるファンドマネジャーに民間9社を選び、当初の
買い取り規模は400億ドル(約3兆7000億円)とする。米政府は最大
1兆ドルの買い取りを目指していたが、金融状況の改善を受けて規
模を大幅に縮小した。

 政府と民間投資家が共同で金融機関の不良資産を買い取る「官民
投資プログラム」は、オバマ政権が打ち出した包括的な金融安定化
策の柱の一つ。不良資産を切り離すことで金融機関の財務内容を改
善し、融資拡大につなげるのが狙いだ。

 財務省は応募があった100社以上の中から資産運用大手のブラック
ロック、インベスコなど9社をファンドマネジャーに選定。9社は
12週間以内にそれぞれ5億ドル以上を民間から調達し、同省から出
資を受けた上で金融機関から住宅ローンや商業用不動産ローンを担
保にした証券化商品の買い取りを始める。(12:00) 
==============================
米経済、雇用なき回復「ありうる」 バーナンキFRB議長
 バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は13日の米議員との
会合で、米経済が雇用なき回復に直面する可能性があるとの認識を
示唆した。議長と面会したシェルビー上院議員(共和)がCNBC
テレビとのインタビューで、議長の認識を明らかにした。同議員に
よると「雇用なき回復に陥る可能性があるか」との質問にバーナン
キ議長が「それはありうる」と答えたという。

 米国では6月の失業率が9.5%に上昇し、非農業部門の就業者数の
減少幅も再び拡大した。家計部門の債務削減などの構造調整が長引
く結果、米経済のけん引役である個人消費が停滞し、雇用回復を通
じた経済の正常化も遅れるとの懸念が浮上している。

 これに関連し米大統領経済諮問委員会(CEA)は同日、労働市
場に関する調査報告を公表した。同報告は中期的には医療や環境な
どの分野で雇用増が見込めるとしたが、当面は景気対策による下支
えに頼らざるを得ない。オバマ政権は難しい政策のかじ取りを迫ら
れそうだ。(ワシントン=大隅隆)(11:01) 
==============================
サマーズ米NEC委員長「経済危機、最悪はこれから」
http://www.afpbb.com/article/economy/2620286/4277912

7月12日 AFP】米ホワイトハウスの経済問題顧問にあたるローレンス
・サマーズ(Lawrence Summers)米国家経済会議(National Economic 
Council、NEC)委員長は11日、経済危機問題について、最悪の事態
はまだ訪れていないと語った。

 サマーズ委員長は英紙フィナンシャル・タイムズに対し、「最悪
の事態が過ぎ去ったとは思わない。雇用がさらに失われる可能性は
非常に高い。国内総生産(GDP)が今後まだ底をつくとしても驚きで
はない」と語った。
 
 一方で、そうした予測をしながらも、景気に変化が現れている点
は認め「市場のパニック感と景気の落ち込みに歯止めがないという
感覚は下火になり、数か月にみられた制御不可能の状況だという感
覚はなくなっているというのは、本当だろう」と分析した。

 前月発表された第1四半期GDPは、年率換算で前期比5.5%減で、
08年第4四半期の6.3%減よりマイナス幅は縮小した。しかし、米商
務省が31日に発表する09年4〜6月期のGDP成長率でも、前年冬から続
く下落傾向は変わらないだろうとエコノミストらは予測している。
 
 今週の米紙ウォールストリート・ジャーナルで発表されたエコノ
ミストを対象とした世論調査によると54%が、07年12月に始まった
米国の景気後退は、今夏の終わりまでに収束するだろうと回答した。

 しかし、一方で雇用状況については現在9.5%の失業率は年内に
10%に達し、2010年6月ごろまで尾を引くとの予測が多くを占めた。
==============================
ホワイトハウス、景気刺激策第2弾を支持せず=バイデン米副大統領
2009年 07月 6日 08:53 JST

 [ワシントン 5日 ロイター] バイデン米副大統領は、AB
Cとのインタビューで、オバマ大統領と大統領の側近は景気刺激策
第2弾の実施を支持しないと述べた。インタビューはイラク訪問時
に行われた。

 副大統領は(政権発足時には)「われわれは皆、経済がどれほど
悪いのかについて、読み違えていた」と述べた。「われわれが実施
した景気刺激策は、状況に応じた適切なものだった」とし、刺激策
第2弾が必要か、との質問に対しては「その判断をするのは時期尚
早だ」と応じた。

 6月の米非農業部門雇用者数は、前月比46万7000人減とな
った。失業率も9.5%に上昇し、ほぼ26年ぶりの水準まで悪化
した。雇用者数の減少幅が市場予想を上回ったことから、米経済の
リセッション(景気後退)からの回復には時間がかかるとの見方が
広がった。

 副大統領は(景気刺激策は)「1年半をかけて実施するよう設計
されている」と述べ、ブロードバンド拡張や高速鉄道、新たな送電
網の敷設など、大規模なプロジェクトがまだこれから控えている、
と強調した。
==============================
「さらに数百万件の住宅差し押さえも」 米財務次官補
 【ワシントン=岩本昌子】アリソン財務次官補(金融安定化担当
)は16日、米上院銀行委員会の公聴会で証言し、「政府の住宅ロー
ン返済支援策は成功しているが、今後さらに数百万件の住宅差し押
さえが出ると予想しておくべきだ」と述べた。

 同次官補は「財務省は金融機関に対し、迅速にサービス提供能力
を拡充し、ローンの借換件数を伸ばすよう要請した」と差し押さえ
防止に積極的に取り組んでいると強調。ローン返済不能になった住
宅所有者でも、賃借人としてその住宅にとどまれるような救済策を
検討していることも明らかにした。(07:27)
==============================
米医療保険改革「財政赤字は増やさない」 オバマ大統領
 【ワシントン=岩本昌子】オバマ大統領は17日の会見で「医療保
険改革で財政赤字を増やしてはならない」と述べ、無保険者解消な
どを盛り込んだ改革に必要な財源の3分の2は経費削減で賄えると
強調した。残りの3分の1は増税などで実施する見通しだが、大統
領は会見では明言を避けた。

 米下院では、17日に歳入委員会と教育労働委員会が、下院民主党
がまとめた法案を可決した。これを受けて会見した同大統領は「医
療保険改革を達成しなければ、医療費が天文学的に高騰していくの
を抑えられなくなる」と、年内の法案成立の必要性を強調した。
(07:42) 
==============================
米USTR代表、貿易相手国の監視強化 摩擦増える可能性も
 【ワシントン=大隅隆】カーク米通商代表部(USTR)代表は
16日ピッツバーグで演説し、通商政策の基本方針を表明した。同代
表は貿易相手国の労働・安全基準などの監視を強化すると言明。知
的財産権侵害に関しては米包括通商法(スペシャル301条)に基づき
是正を迫る考えを示した。国内雇用の維持を重視するオバマ政権の
方針に沿っており、中国を含む貿易相手国との紛争が増える公算が
大きい。

 カーク代表は「(貿易相手国による国際協定の確実な)実施は通
商政策の中核」と指摘。相手国が設けている非関税障壁の是正が重
要との考えを表明した。国務、労働など関係省庁と連携。国内企業
から不公正競争の申し立てがない場合でも、相手国に是正を求める。

 通商政策では、米国が巨額の貿易赤字を計上している中国との関
係が焦点。カーク代表は鉱物輸出の制限を巡り米国が6月に中国を
世界貿易機関(WTO)に提訴した点に言及。「解決しない場合は
、次の措置をとる用意がある」とし、中国側の譲歩を求めた。
(00:31) 
==============================
米雇用46万人減、再び拡大 6月、失業率9.5%に悪化
 【ワシントン=大隅隆】米労働省が2日発表した6月の雇用統計
(季節調整済み)によると、非農業部門の雇用者数は前月から46万
7000人減った。減少規模は5月(32万2000人、改定値)を上回り、
市場予測の平均(36万5000人)よりも悪かった。失業率(軍人を除
く)は前月より0.1ポイント悪化し9.5%。米雇用情勢は底入れがま
だ見えにくい状況だ。

 雇用者数減は18カ月連続で1981年8月〜82年12月を抜き戦後最長
。今年1月の74万1000人減をピークに減少ペースが鈍っていたが再
び減少幅が拡大した。

 製造業が13万6000人減と引き続き低調なうえ、底入れの兆しが見
え始めていた建設(7万9000人減)、小売り(2万1000人減)も減
少幅が再び拡大した。2007年12月からの景気後退局面での雇用減は
合計で約650万人になった計算になる。(02日 22:26) 
==============================
エコノミストらは増大する負債が次の危機と指摘
結果として高い税と減少した連邦収入とサービスとなろう
【7月4日 AP】
 建国の父祖らは独立記念日には祝うことのないある遺産を残した
。我々全員に影響を与える国家債務だ。
 最初の負債は、独立戦争の戦費を賄うためだった。それ以来増大
し続けた負債は、今日驚くべき額である11兆ドルに達した。これは
アメリカ人一人で3万7000ドルの借金を抱えている勘定になる。そし
てこれは毎年1兆ドルずつ増えている。
 この山のような負債は、連邦政府がきっちりとした対策を採らね
ば当然全面的な経済危機につながる、とあらゆるエコノミストが警
告している。
 「長期にわたる財政の持続性を確保するべく強い決意を示さねば
、金融の安定性も健全な経済の成長も望めない」と議会でバーナン
キ議長は語った。
 結果として、高い税金、連邦政府の収入とサービスの減少、ある
いはその両方が避け得ないものになるだろう。
 この負債があるため、オバマ大統領と議会もこの数十年なかった
ような景気後退と取り組む努力をしても、なかなか効果を発揮でき
ずにいる。景気刺激策と救済のための支出と収入が減ったことが一
緒になりギャップが更に広がった。
 金利支払いだけで、昨年は4520億ドルで連邦政府の支出の中では
、メディケアー・メディケイド、社会保障費、国防費に次ぐ最大項
目となっている。これは他のすべての政府支出を抑えることになる
。しかも財務省はもう新たな借入先を見つけるのが困難になってい
る。
==============================
米カリフォルニア州が非常事態宣言、財政危機で 
 【シリコンバレー=田中暁人】米カリフォルニア州のシュワルツ
ェネッガー知事は1日、同州の財政危機を受け非常事態宣言を発令
した。合計で243億ドルに膨らんだ財政赤字解消への施策について同
州議会が6月30日までに合意できず、7月1日の新年度を迎えたこ
とに伴う措置。公共サービス・施設などの休日を増やすなどのコス
ト削減策も発表した。

 州当局は今後、民間企業などへの支払いに借用書を発行すること
になる。同知事は同日「財政赤字の解消に全力で取り組む」との声
明を出した。州議会は特別議会を開催して財政赤字の解消を目指す
ことになる。 (13:29) 

コラム目次に戻る
トップページに戻る