3343.日本の国防の危うさについて考える



日本の国防の危うさについて考える


                           日比野

1.二大政党制の最低条件 

次回衆院選で、民主党政権になる可能性が高まっている。少なくと
もマスコミの世論調査上ではそうみえる。

もし仮に、自民・公明の与党が過半数を確保できたとしても、今の
衆院のように2/3以上の議席を確保することは到底無理な話。

これは国防上重大な危機に直面することを意味してる。

まず、民主党政権ができた場合、北朝鮮の脅威に対抗するのが難し
くなるどころか、日米安保すら危うい。第7艦隊だけで十分だと発
言する人が代表代行をやっている。党首は友愛などと言っている。
現時点で国防に対する考えが、自民党より甘いことはほぼ確実。

隣に核を持ち、ミサイルをどんどん撃って脅しを掛けている国が現
にある。7月4日には計7発のミサイルを発射した。本格的に危な
いことをもっと自覚する必要がある。

次に、自公政権が過半数をなんとか取った場合。だけどこれでも全
然ダメ。2/3以上の議席が取れないかぎり、国防に関してはほぼ
機能不全に陥る。

衆院で2/3以上の議席がないと、これまでのように参院否決後の
衆院再議決ができない。出す法案、出す法案が全部参院で否決され
てしまう。通せる法案は、民主党の意を汲んだものだけ。だから国
防に限っていえば、事実上国会がストップしてしまう。

そんなとき、ミサイルを撃ち込まれたらどうするのか。

被災地の救援は。

防衛出動は。

反撃は。

そのために必要な法案が整備されていなかったとしたら。

いくら法案を作っても、国防を考えない政党の議席が大半を占めて
いたら、まったく通らない。なんとかしようとしたら、内閣が全部
超法規的措置で動かなければならなくなる。

そのための備えはあるか。覚悟はあるか。

こうしてみると、二大政党制が許されるには、その二大政党が二つ
とも日本の国益を第一に考える政党でなければならないという最低
限の条件があるのではなかろうか。

確かに、アメリカは二大政党制だけれど、どちらもアメリカの国益
を優先するという態度だけは共通してる。共和党政権だろうが民主
党政権だろうが、ミサイルでアメリカを脅そうものなら、全力で叩
き潰すことだけは間違いない。

埼玉県の上田清司知事が「日本の国旗や国歌が嫌いな教員は辞める
しかない」と県議会で発言したけれど、県庁に寄せられた声の9割
以上が「知事に同感」だった。国民は政治家は愛国であるべきと思
ってる。当たり前といえば当たり前。

ましてや、国政において、愛国でない政党が一方の雄であるのはど
うなのか。

「日本列島は日本人だけの所有物じゃない。」と発言した”友愛な”
党首を頂く政党がある。

党大会壇上に日の丸を掲げることすらできない政党が、果たして日
本の国益を考えているのか疑念は拭えない。

民主党が政権を担う気があるのなら、国民を守る気があるのかない
のか、その方策も含めて、はっきりと国民に提示する必要がある。



2.戦うべき時は戦う
 
麻生総理は6月7日の都内での街頭演説で、北朝鮮の核・ミサイル
問題について「戦うべき時は戦う、という覚悟だけは持たなければ
、国の安全を守れるはずがない。」と発言した。

総理自ら「戦うべき時は戦う」と発言した意味は重い。もちろん、
勇んで戦いに行く必要は全然ないけれど、覚悟を決めてから事に望
むのとそうでないのとでは雲泥の差がでる。

日本がその気になれば、世界は震撼する。

事実、敵基地攻撃論やら核武装論が日本で少し出てきただけで、そ
れも政治家の発言ではなくて、世論の声として少し上がっただけで
、世界中が震え上がってる。

キッシンジャーは、5月31日放送のCNNの番組で、中国が何も
しなければ、中国は、韓国と日本が核兵器を持つから中国から北朝
鮮に圧力をかけるべきだと発言しているし、中国の崔天凱駐日大使
は日本国内世論が日本の正式な立場にならないように、と警戒感を
示してる。

日本人が「覚悟」を示すだけで、ことほど左様に世界に影響を与え
るという事実はもっと知っておいたほうがいい。
 


3.「友愛」は北朝鮮に通用するか
 
麻生総理は、6月7日の夜に細田幹事長らと会談して自民党のマニ
フェストは、経済対策や外交・安全保障政策などに重点を置いて検
討するように指示をしている。その狙いは、民主党との政権担当能
力の違いを明確にするためだとしている。それはそのとおり。

民主党鳩山代表は5月26日、党の定例記者会見で記者の質問に答
えて、北朝鮮への対応に関して政府と民主党とでは、そのスタンス
が大きく変わることはないと言っている。だけど同時に、北朝鮮の
ように、何を行うか分からないような国には北風と太陽の両面が必
要かもしれないとしつつも、お互いに認め合わないような外交とい
うものは駄目だと発言している。

これは、つまるところ「今の北朝鮮を認める」ということに他なら
ない。仮に北朝鮮という国を認めたとして、そのお返しにミサイル
を打ち込まれたらどうするのか。相手を認めたからと言って安全が
保障できるとは限らない。経済援助を貰うために、ミサイルで脅す
ような《ヤクザ》な国を認めたところで、脅しを止めるとは思えな
いし、実際に止めていない。だから、誰それ構わず「友愛」を振り
かざすのは相当に危険だといえる。

そして、具体的に北朝鮮に対してどうするのかといえば「中国とい
うものをどのようにうまく協力をして、活用をして、北朝鮮の扉を
開かせるかということを考えるべき」と答えている。つまり中国に
お任せ論。小沢前代表の国連にお任せ論と対して変わらない。

現にこれまで六者間協議をやって、国連安保理決議などを取り纏め
てきたけれど、北朝鮮の核実験を止めることはできなかった。

何よりお任せするはずの当の中国自身が腰砕けになっている。6月
8日に中国の梁光烈国防相は、国際社会が中国に対して北朝鮮への
影響力行使を求めていることについて「中国だけが全責任を負うの
は不公平だ。」と発言している。そして、あろうことか「(北朝鮮
は中国と)親密とはいえ、他国の命令にそのまま服従するような国
ではない。」とまで言っている。

当の中国がこのようなヘタれた状態で、鳩山代表は一体どうやって
中国を活用して北朝鮮の扉を開かせるというのか。もっと具体的で
実現可能性のある案を提示する必要がある。

それにどんなに説明をしたところで、万が一、納得できる説明があ
ったところで、中国を活用するという時点で、そこに「覚悟」はな
い。どこまでも貴方任せの論から出てくることはない。
 


4.覚悟という試金石
  
単に記者会見なり、街頭演説なりでの発言を聞いているだけでは、
自民党と民主党の外交政策に違いはそれ程無いように見えるかもし
れない。だけど決定的に違うのがこの「覚悟」の部分。

麻生総理がしめしたように、こうした「覚悟」を選挙公約に盛り込
むというのは、自民党と民主党との違いを浮き彫りにする上ではと
ても効果がある。だけど、それを総選挙の争点に据えるというのは
一種の賭けでもある。それは国民がどこまで、国家の安全保障とい
うものに意識が向いているかの程度に依存することになるから。こ
れは普段から平和ボケだといわれる日本人が本当にボケているのか
どうかを示す試金石となるだろう。

それ以前に、この「覚悟」が選挙の争点になるのかどうか、という
話もある。民主党は自分に不利となる国家安全保障にはできれば触
れたくないだろう。岡田民主党幹事長は毎日新聞のインタビューで
総選挙の争点について聞かれ、「政権交代そのものが争点だ。官僚
中心の政治から、政治家が中心の国民のための政治に転換する。そ
のほか具体的な争点はもう少し近づいたところで設定すべきだ。」
と答えている。

国家安全保障は目的だけど、政権交代は単なる手段。政権公約に手
段にしか過ぎない政権交代なんぞを掲げるのは少々筋が違う。

世間の様子を見ながら、争点を決めるのも良いかもしれないけれど
、万が一、北朝鮮のミサイルが国内に着弾するに及んで、慌てて安
全保障をマニフェストに盛り込んだところで、付け焼刃になる可能
性が高い。

あとは、マスコミがどう報ずるか。麻生総理がどんなに「覚悟」を
示したところで、それらを一切無視して、選挙の争点は世襲問題だ
とか、官僚政治の打破だとか、無論それらも大切なことなのだけれ
ど、目前に迫った危機を一切知らせないのであれば、日本の安全を
危機に陥れる可能性だってある。

CNNの世論調査では、米国に最大の脅威与える国は北朝鮮だと、
52%が回答し、仮に米国にミサイル攻撃を仕掛けた場合、90%
強が、米国は軍事手段で報復すべきだとしている。

日本と比較して北朝鮮の脅威度が低い筈のアメリカでさえ、このよ
うな世論調査をし、発表もしているのに、日本のマスコミの世論調
査といえば、政権交代だとか、首相に相応しい人物は誰だ、とかそ
んなのばっかり。危機意識に対するピントがズレていないか。

「覚悟」という試金石は、国民だけでなくて、民主党にもマスコミ
にもその存在を問うことになる。
 


5.MD破れて焦土有り

一国の政治を行う上で、国の安全、国防というものはまず第一に考
えられるべきもの。

なぜそこまで国防を重視しなければいけないかというと、国の安全
は国家の土台だから。国の安全が保障されて始めて、その上に経済
や日々の生活が成り立っている事実を忘れちゃいけない。

いくら追加経済対策がどうだ、国民生活が第一だとか言ったとして
も、どこかの国から核ミサイルを打ち込まれたら、経済対策も何も
ない。国が破れて山河だけ残って、国民が死に絶えてしまったら、
元も子もない。

国の経済力、通貨の強さは、その国の安全度によって担保されてい
る。戦争の危険が迫って、安全ではないとなった途端に、資金は一
斉に逃げ出す。有事のドルというけれど、それはアメリカが戦争で
負けるわけがないと皆知っているから。アメリカは潰れないという
安心感がドルを買わせる。

アメリカの覇権が弱まり、いつまで日本を守ってくれるか分からな
い。早いうちに自分の身は自分で守る方向に転換できないと、残っ
たものは焦土だけなんて洒落にもならない。

だから、もし、今度の衆院選をなになに解散と銘打つなら、政権交
代解散なんかではなくて、いっそのこと国防解散としたらどうか。
マニフェストにもしっかりそう書いて解散すればいい。

国防について書いていないマニフェストは論外。北朝鮮や中国の属
国になってもいいというのなら別だけれど、それでも、属国ならま
だいいほうで、日本の資金を根こそぎ強奪され、反対者を次から次
へと粛清されていったらどうするのか。アメリカはまだ先進国だけ
れど、北朝鮮はミサイルで恫喝してくるような野蛮な国。しかも反
日のオマケつき。無事で済むと考えるほうがおかしい。

外国人犯罪を例にあげて、外国人参政権や移民は問題だという人も
いるけれど、北朝鮮に占領なんかされた日には、移民どころの騒ぎ
じゃない。

ミサイル以外の通常戦力で比較すると、自衛隊が北朝鮮に負けるこ
とは有り得ない。だけどそれは、互いに艦船や航空機を揃えたイー
ブンな状態で戦ったときの話。

戦争になったら、そんなイーブンな状況は訪れない。いきなり核を
撃って、沖縄、厚木、三沢などの基地を壊滅させるか、首都圏を壊
滅させたらもうアウト。反撃能力の殆どが失われてしまう。

しかも国民は数十万単位で死んでいく。そんな状況で反撃できるの
か。降伏しない日本政府であるのか。それほど核ミサイルの威力は
大きい。日本国民はいつからそのことを忘れてしまったのだろうか。



6.半島の南

「日本は周辺国が大変な時は率先し、積極的に支援の手をさしのべ
 てほしい。アジア諸国が日本にふがいなさを感じるゆえんだ。」

7月6日に日経新聞のインタビューを受けた、韓国の尹増鉉企画財
政部長官の発言。

民主党が政権をとると、韓国に大量の資金援助をするという噂があ
る。

昨年の11月に民主党は、金融危機に対する追加経済対策というも
のを打ち出している。その中で、「IMFへの資金支援だけでなく
、特定国への個別支援」という項目があって、一部では、特定国っ
て何処だと論議をよんでいる。

また、同じ民主党の追加経済対策の中には、「民間金融機関の安易
な海外出資は自粛」という部分もあって、海外支援は政府主導で行
うとしている。これと、さっきの特定国への個別支援という項目を
重ね合わせて考えると、「政府の一存で好きな国に好きなだけ経済
援助をするぞ」という意図が透けて見える。

資金援助を二国間でダイレクトに行うときには、相手国が成長し、
自分に帰ってくる形での援助ならまだしも、その使い道や返済につ
いてしっかりと取り決め、監督しないと自由に使われてしまう危険
がある。

1997年の韓国通貨危機時に日本は、IMFとは別に韓国に直接
100億ドルを融通したのだけれど、2007年末時点で63億ド
ルがまだ返済されていない。

特定国が何処だとははっきり分からないけれど、仮に韓国だとした
ら、このような状態で、いったい何のために資金援助するというの
か。

たとえば、韓国と何かの裏取引があって、民主党が政権を取ったら、
韓国に大量に資金援助して、外国人参政権も与える。その代わり、
日本の身代わりになって北朝鮮と戦ってくれなんて画策していると
か。

そんな権謀術数を駆使しているのなら、なかなかのものだといえる
のかもしれないけれど、友愛党首を頂く民主党にそんな手腕がある
かどうかは甚だ疑問。

それに、万が一そうだったとしても、韓国が勝ってくれる事が前提
の話。負ければ全てパー。同じ金を使うのなら、自分で制御できる
自身の国防に使ったほうがよっぽどいい。

それに、こちらが敵対したくなくても、北朝鮮ははっきりと敵対宣
言してる。もはや準戦時下と考えるべき。南が北の防波堤となって
頑張ってくれる間はいいかもしれないけれど、南が崩壊したり、北
に取り込まれてしまったり、果ては北に併合されたりなんかしよう
ものなら、一気に戦線が日本列島にまで後退することになる。その
為の備えは、今から考えておかなくちゃいけない。

ただ、韓国が北朝鮮と戦ってくれている間は、日本としても出来る
限り協力して、戦線を半島に押しとどめておくべきだとは言える。



7.日本を占領する手段

北朝鮮が日本を侵攻するとしたら、まず韓国を落として、韓国の国
力を全部自分のものにしてからと考えるのが現実的な選択。人の褌
で戦争をする。いきなり自衛隊の戦力とドンパチやるほどバカじゃ
ない。

核を本当に実用化できるところまできたら、工作員を紛れ込ませて
おいて、ソウルを火の海にするぞとかなんとか言って、無条件降伏
を迫るのではないかと思う。韓国の戦力や燃料はなるべく無傷で手
に入れたいだろうから。

仮に、北朝鮮が韓国を武力併合したとして、次に日本を攻めようと
したらどうなるか。

まず、次の手順が考えられる。

1.まずミサイル攻撃で相手の反撃力を削ぐ。指令部、主要都市、
  自衛隊基地が目標。
2.上陸して首都圏を制圧

1に対する日本の対策は、対ミサイル防衛網、または敵ミサイル基
地先制攻撃だし、2に対する日本の対策は、制空権、制海権の確保
になる。

1について述べると、特に核ミサイルが相手だと、一発でも着弾し
たらアウト。数十万単位で死者がでる。MD体制がどれくらいの防
御力を示すか分からないけれど、兎に角一発でも着弾したら駄目。
したがって、求められるべき撃墜率は100%以上。

だけど、戦争になって、ミサイルを撃つときに、敵国に知らせてか
ら撃つ馬鹿はいないから、いきなり撃つはず。しかもMDで迎撃さ
れないために、一度に大量に撃ってくる可能性が高い。

北朝鮮単独であれば、ミサイル用の液体燃料にも事欠いていたのだ
ろうけれど、今度は、併合した韓国の燃料を使えばいいからそれほ
ど問題にはならないと思われる。

北朝鮮は日本の大半を射程に収めるノドン型を200基から320
基程度保有しているとされている。

これらが一斉に発射されても日本は迎撃対応できるのか。

ただ、脅しにつかう場合は、知らせてから撃つこともあり得る。た
とえば、10発だか100発だかミサイルを撃つぞ、そのうちの1
発は核だとかなんとか言って脅しをかける。通常弾に1〜2発、核
を混ぜておかれるのはとても厄介。どれが「当たり」か分からない
と、大パニックになるし、迎撃するほうは全部完璧に撃墜しないと
いけなくなるプレッシャーを負うから。

もっと狡猾にやるなら、撃つぞ撃つぞと言うだけで、ちっとも撃た
ない狼少年の振りをして、油断させておいてから、いきなり本命を
撃つことだってあり得る。そうなったときのパニックは想像する必
要さえない。政府はそうしたことすら見越して準備しておかなくち
ゃいけない。

今の日本のミサイル防衛体制は、SM3とPAC3との2段構え。
近々、PAC3より射程の長いTHAAD(サッド)を導入して、
3段構えの体制をとろうとしているけれど、仮にそれぞれのディフ
ェンス網でミサイルを半分づつ落とせたとしても、撃墜率は2段構
え体制で75%、3段構え体制で87.5%。やはり10発に1発
は着弾してしまうことになる。

仮に、各々の撃墜率が90%もあったとしても、現行の2段構え体
制で、トータルの撃墜率は99%。100発撃たれたら1発は着弾
する。

実際は、相手の1発のミサイルに対して、迎撃ミサイルを複数発射
することで、命中率を高める努力をする筈。計算上では、相手の1
発に対して、こちらが10発撃てば、一発あたりの命中率が50%
であっても、トータル命中率は99.9%にはなる。

もちろん、その分だけ大量のミサイルが必要になることは避けられ
ない。北朝鮮がノドンを300基持っているとするなら、日本は最
低でもその10倍の3000基ぐらいの迎撃ミサイルを持つ必要は
あるだろう。

だけど、その肝心の迎撃ミサイルを使おうと思ったら、4月のテポ
ドン発射時の破壊措置出動のように日本海にイージス艦を展開して
、首都圏や都市部を防衛できるようにPAC3を配備しておかなく
ちゃいけない。警告なしで、いつミサイルを撃ってくるか分からな
い状況になったとしても、きちんと迎撃準備体制を整えられるのだ
ろうか。

一番いいのは、相手がミサイルを撃つ前に叩いて撃たせないこと。
敵ミサイル基地の先制攻撃。ミサイルは発射台で動かずに鎮座して
いてくれるのだから、簡単に破壊できる。

また、車載化されて、普段は地下に隠れていたり、山中に潜んでる
タイプのノドンだと、その破壊は更に難しい。早期警戒衛星と巡航
ミサイルによる精密爆撃ができる体制の整備が求められる。もちろ
ん自衛隊は巡航ミサイルなんか持っていないし、対地攻撃できる爆
撃機すらない。しいて言えば、F−2支援戦闘機に搭載される対艦
ミサイルを対地攻撃に転用するくらい。



8.F22とF35はガンダムとジムくらいに違う 

次に制空権、制海権の確保について。

島国の日本で領海の制空権、制海権を持つことはとても重要。相手
国を占領しようと思えば、最後には陸軍が必要になる。上陸して、
政府中枢機能を抑えるだけの最低限の兵が要るから。

今も昔も大量の兵を上陸させるには、船を使うしかない。輸送機や
潜水艦では大量の人は運べない。

守る方は、最低限、日本に上陸させてはいけない。その為には、制
海権と制空権を握っておかなくちゃいけない。

相手の船を沈める為には、対艦ミサイルを積んだ戦闘機と相手の戦
闘機を蹴散らす制空戦闘機が必要になる。次期主力戦闘機の選定問
題がここに絡んでくる。

なぜかというと、もしも韓国が北朝鮮によって併合されてしまった
ら、韓国軍の武器弾薬一式がまるごと北朝鮮のものになってしまう
から。

北朝鮮空軍のMig−23とか、Mig−29は合わせても80機
くらいしかなく、その程度であれば、現状の空自の戦力で十分対応
できるけれど、これに韓国空軍のF16が130機、そして更に、
自衛隊の主力戦闘機と同じF15が39機加わることになる。

まるで、将棋で飛車を取られた直後に、その飛車をいきなり打たれ
て攻めてこられるようなもの。

先日、航空自衛隊の外薗空幕僚長は、来年度の予算概算要求までに
次期主力戦闘機の有力候補であるF22の情報が得られない場合、
1年先送りする可能性があることを明らかにした。

アメリカは輸出禁止しているF22に代わってF22同様にステル
ス能力を持つF35を勧めているのだけれど、日本政府はまだF2
2を諦めていない。

F22は、第5世代の戦闘機と呼ばれていて、そのステルス性能が
注目されているけれど、そこに使われている技術や性能を見ると、
現代のゼロ戦と呼ばれるに相応しいものを備えている。

F22はF16、F15、F18と模擬戦闘をして、100戦無敗
。しかもその結果はF15相手に144機撃墜、損害0。F16相
手でも241機撃墜、損害2と圧倒的。

特に、超機動性と呼ばれる高い運動性能は他を寄せ付けない。上昇
しながらの方向転換(Jターン)とか、水平姿勢を保ったままの急
旋回(ペダル旋回)、速度の急変更なんて仕様は、ほとんどゼロ戦
の格闘戦時の運動性能を彷彿とさせる。ゼロ戦も大戦初期では、そ
の運動性能、航続距離で他国を震撼させ、絶対に戦ってはいけない、
見つけたら逃げろと言われていた。F22もその性能をみると同じ
かそれ以上の隔絶した性能を備えてる。

F22は、ステルス性を考慮して継ぎ目や凸凹のない機体設計がな
されているけれど、これなんかもゼロ戦に沈頭鋲と呼ばれるネジ頭
が飛び出さないリベットを使って空気抵抗を減らした工夫と同じだ
し、滑らかな機体を実現することで航続距離を伸ばしているところ
なんかもゼロ戦と同じ。

またF22は推力の高いエンジンとステルスによる空気抵抗の小さ
さによって、アフターバーナーなしでもM1.7以上の超音速飛行
が可能とされている。

アフターバーナーは、ジェットエンジンの排気にもう一度燃料を吹
きつけて燃焼させ、高推力を得る装置のことで、50%程度の推力
上昇が期待できる半面、それだけ余分に燃料を必要とする。F18
を例にとると、アフターバーナー使用時の燃料消費量は2.15倍
。連続使用時間も15分以内と制限がある。

F18の巡航速度はマッハ0.8くらいで、通常は音速を超えては
飛ばない。アフターバーナーを使ってようやくマッハ1.8。

これまでの戦闘機はマッハ以上の速度を出すには、アフターバーナ
ーなしではほとんど不可能。だから、いくら最高速度がマッハ2だ
の、マッハ2.5だのいったところで、ほんの少ししか使えない一
時的な最高性能にしかすぎなくて、実使用上の性能じゃない。

したがって、作戦行動が取れる時間と質を考えると、F22が持つ
超音速巡航(スーパークルーズ)機能は、現行機に大きく差をつけ
る要素になっている。

では、そんなスーパーなF22とF35では何処か違うかというと
、エンジンの推力差が一番の違い。F22は双発エンジンを積んで
いるのに対してF35は単発エンジン。F22の超機動性や超音速
巡航機能はそのエンジン推力の大きさに拠るところが大きいから、
諸元性能でもエンジンに依拠した差が出る。

F35には超音速巡航(スーパークルーズ)機能はない。

それでもステルス性とか基本設計思想はF22と同じだから、F3
5だってF22を除けばユーロファイターと並んでほぼ世界最強の
戦闘機と言っていい。

もともとF35は開発費を抑えるために、各国の次期新型機の開発
を一本化して各国の要求を満たす共通の機体として共同開発をして
いる経緯もあって、汎用性が高い仕様になっている。

アメリカ空軍はF16やA10−Aの後継機として、アメリカ海兵
隊はF/A−18の後継機として、そしてイギリスはハリアー戦闘
機の後継機として開発しているから、F35は通常離着陸型、短距
離離陸・垂直着陸型、艦載型の3タイプを製造出来るように単座、
単発機の開発計画を持って進められている。

その意味では、F22は格闘戦に重きを置いたスペシャル仕様で、
F35は何でもかんでも使える汎用性の高い(マルチロール)仕様
だと言える。

基本設計思想が同じで、実仕様はスペシャルと汎用量産型という関
係は、無茶な例えだけれど、アニメの「ガンダム」とガンダムの量
産型で雑魚キャラの「ジム」のそれに近いようにも思える。アメリ
カは世界各国に「ジム」を売り込んで、日本は「ガンダム」を欲し
がる構図。どちらがいいかは、それを実際にどう使いたいかによる
のだろう。

アニメ作品中の「ガンダム」は殆ど無敵の強さを発揮していた。F
22の強さを「ガンダム」だとすると、F15やF16なんかの現
行戦闘機はあっという間にやられてしまう雑魚キャラになる。それ
くらい性能が違う。



9.F22の驚異的なステルス性能

今、イギリスなどは日本に対して、4カ国共同開発の新型戦闘機で
ある、ユーロファイターを猛烈に売り込んできている。

ジェット戦闘機は1940年代に初登場したジェット戦闘機を第1
世代として、現在最新のF22までの第5世代までに分類されてい
る。おおよその分類と代表機種を次に示す。


世代   年代    特徴  代表機種
--------------------------------------------------------
第1世代 1950〜1950 亜音速 F86F,MIG-17
第2世代 1950〜1960 超音速 F100,MIG-21,ミラージュV,サーブ35ドラケン
第3世代 1960〜2000?超音速 F4ファントムU,MIG-25,ミラージュF1,三菱F-1
第4世代 1980〜2010?多目的 F14,F15,F16,MIG-29,Su-27,ミラージュ2000,J11A
第4.5世代 1990〜2020?高機動 F15E,F18,Su-33,ユーロファイター,殲10,三菱F-2
第5世代 2000〜2025?ステルス  F22,(F35,Su-47,心神)
--------------------------------------------------------


ユーロファイターは、イギリス、イタリア、スペイン、ドイツの四
カ国が共同開発した戦闘機で、第4世代と第5世代の中間に位置づ
けられていて、第4.5世代戦闘機に分類されている。

とはいえ、第4.5世代の第5世代との差はステルス性くらいであ
って、武器積載量なんかは第5世代を上回っている場合さえある。
これは、第5世代戦闘機がそのステルス性を確保するために、武器
弾薬を機体内に納めたという理由に拠る。

ユーロファイターとF22の緒元性能を比較すると、空戦能力もF
22に次ぐとされ、ステルス性くらいしか大きな差は見当たらない
。F22と比べれば速力は劣るものの、全備重量でマッハ1.3の
超音速巡航(スーパークルーズ)も可能だという。

ステルスといっても全くレーダーにキャッチされないというわけじ
ゃない。距離がうんと近づけば通常レーダーでも探知されてしまう。

レーダーは自身から発したレーダー波が、対象物体にぶつかって反
射した信号をキャッチすることで探知する仕組みだから、ステルス
は基本的に、自機に向かってくるレーダー波を吸収するか、そのま
ま反射させずに横方向とかに散らすことを基本コンセプトにしてい
る。

だからステルス戦闘機は、向かってきたレーダー波を180度反射
させないようにレーダー波に対して垂直になる面を極力さける形状
をとることになる。尾翼なんかをわざと斜めに取り付けたりするの
なんかはその例。

また、レーダー波を吸収するような特殊な素材を使ったり、電波を
吸収する性質を持つ塗装を施したりする。その反面、機体の僅かな
傷とか塗装の剥げなんかにも気を使わなくてはならなくなって、メ
ンテナンスが大変になる。

今では、ステルス能力を示すのに、RCS(Radar cross section)
という指標が良く用いられる。RCSとはある物体をレーダーの電
波で捉えたときに、その電波の反射波が発信したレーダーに戻って
くる部分を面積で表したもの。

F15のRCSは6uであるのに対して、F22のRCSはわずか
0.01uで600分の1。レーダーの探知距離はRCSの4乗根
に比例するとされているから、F22はF15と比べて大よそ5分
の1の被探知距離しか持っていない。更に付け加えるなら、F22
の正面のRCSはなんと0.0001〜0.0006uであり、小
鳥か昆虫と同レベルだという。

無論、ステルス対策自身は、ユーロファイターにも施されてはいる
。だけどそれは、電波吸収材の使用などによる前方からのRCSの
低減に特化している。よって、空戦のように正面の敵機からのレー
ダー探知には威力を発揮するけれど、地上からのレーダー探知みた
いに正面以外からのレーダー波には弱い。

ユーロファイターのRCSはトーネードー爆撃機の4分の1以下で
、F18スーパーホーネットのRCSである約1.0uより小さい
とされている。仮にユーロファイターのRCSを1.0uと仮定し
て被探知距離をF22のRCSの0.01uと比較すると、ユーロ
ファイターはF22の約3倍の被探知距離になる。尤も正面RCS
同士で比較すると彼我の被探知距離6.4〜10倍にまで広がって
しまうから、相当に差があると見ていいだろう。

いずれにせよ、これを致命的とみるかそうでないとみるかが一つの
指標になるように思う。

F22が眼前に迫るまでレーダーで捉えられず、逆にF22からは
攻撃されるということは、F22と空戦をする戦闘機はほぼ一方的
にやられてしまうことになる。

実運用面を別として、世界一の性能を持つF22に関しては、導入
するだけで発揮する効果がある。それは、その圧倒的性能を見せつ
けることで相手の侵攻意欲を挫くこと。

F22を配備することができれば、制空権はほぼ掌握できるから、
敵国は、ミサイルは別として、おいそれと通常戦力では攻撃できな
くなる。
 


10.自衛隊がF22を持つ意味

海岸線が長い日本において、敵兵の上陸を阻止するには、足の長い
戦闘機が要求される。航空自衛隊の飛行場が全部使用可能であれば
いいけれど、たとえば、敵国の先制ミサイル攻撃かなにかでいくつ
かの飛行場が使用不能になっていたとしたら、別の基地から救援に
飛ばなくちゃいけない。最低でも日本列島を往復できるくらいの航
続距離は欲しい。しかも即救援にいけるためには、巡航速度もうん
と速い方がいい。

だから、スーパークルーズ機能がある機種のほうが望ましい。F2
2とかユーロファイターとか。

特にF22は格闘戦闘力は他を寄せ付けないから性能的には申し分
ない。

F22は1機でF15を同時に5機相手にできるといわれている。
すなわちF22を100機持てば、格闘戦においてF15が500
機あるのと同じだということ。

仮にF22の戦闘力を別機種との模擬戦闘結果をベースに見積もっ
たとすると、対F15、対F16の模擬空戦成績は、対F15で、
144機撃墜して損害なし。対F16では241機撃墜して、損害
2機だから、おおよそ150から250倍の戦闘力があると言える。

この戦力比の圧倒的な差は、パイロットの養成を考えるとこの上な
く大きい。とくに隣の人口大国のように人だけはやたらいる所とは
違って、自衛隊の人員は不足してる。ましてやパイロットとなった
ら言うまでもない。

だから、たとえば、F22を100機調達して、そのパイロットを
養成できれば、戦力比をそのまま掛けると、およそ15000機の
F15に相当する戦力を持つことになる。

中国空軍は、最新鋭のSu-27/Su-30MKKシリーズを300機以上持っ
ていると言われているけれど、仮にそれが3000機になっても十
分対応できる。

確かに、格闘戦になれば撃墜される可能性はゼロじゃない。だけど
、実際の戦闘では、いちいち格闘戦をしなくたっていい。相手機が
探知できない距離から、ミサイルをぶっぱなして反転離脱すればい
いだけのこと。それを何回か繰り返せば、ほぼ無傷で勝てる。イラ
ク戦争でアメリカ空軍が使用した精密誘導弾のような使い方をする
だけ。

仮にもし、F22が駄目でユーロファイターにするのなら、パイロ
ットの養成および自衛隊の人員拡充の可能性をも考えておかなくち
ゃいけない。場合によっては徴兵制だってあるかもしれない。

北朝鮮空軍だけが相手なら、自衛隊の現行戦闘機で十分対応可能だ
けれど、韓国を併合して、韓国のF15やF16を分捕った統一半
島軍とか、毎年10%以上の軍拡を続けている隣の人口大国が相手
となるとそうはいかない。ただでさえ数で負けているのに、質でも
負けようものなら完全に勝ち目はなくなってしまう。

F22が輸出できたとして、その値段は一機250億とも言われて
いる。100機で2兆5千億。それでも定額給付金程度。それに、
戦争の危機が迫って、株価が暴落したら、2兆円、3兆円なんてあ
っという間に吹っ飛ぶ。それを考えたら、F22調達にたとえ10
兆円使っても安い買い物だと思う。

だけど、F22が調達できずに、現行戦力のままで統一北朝鮮軍と
空戦をすることになったら、旧韓国軍のF16やF15Kと、空自
のF4、F15、F−2が戦うことになってしまう。双方の機体の
性能はほぼ互角、機数も同じくらいだから、かなりの被害がでるこ
とを覚悟しなくちゃいけない。

北朝鮮が韓国を併合することは、日本の安全保障を根本から揺るが
す程の事態を引き起こす事を知っておくべき。だから、結局のとこ
ろ、F22を導入できなかったとしても、ユーロファイターなり、
何なり、第4.5世代か第5世代の主力戦闘機の配備を急がないと
いけない。残された時間はあまりにも少ない。



11.F22の対日輸出可能性検討修正条項可決 
 
米下院軍事委員会は、2010会計年度の国防予算権限法案の中に
「対日輸出の可能性の検討」を求める修正条項が盛り込まれ、6月
16日の下院軍事委員会で可決されていたことが明らかになった。

といってもまだ下院を通過しただけであって、本成立には本会議で
の採択と大統領の署名が必要だから、まだまだどうなるか分からな
い。だけど、もし本成立した場合は、30日以内に以下の5項目に
ついて、議会に報告するよう要求されている。

〈1〉輸出型の価格
〈2〉輸出型開発の技術的な可能性と開発に必要な期間
〈3〉日本にF22を売却した場合の戦略的な影響
〈4〉米航空産業への影響
〈5〉必要な法改正

今回の修正条項は、日本に限定した輸出の検討を求めていることに
大きな特徴がある。もちろんF22のような高価な機体を購入でき
る国は日本くらいしかないというのもあるのだけれど、米議会多数
派民主党の重鎮ダニエル・イノウエ上院議員がゲーツ国防長官と藤
崎一郎駐米大使にF22の輸出解禁に期待感を表明する書簡を送っ
たことも大きいのではないかと思う。

ダニエル・イノウエ議員は、第二次大戦中、アメリカ陸軍日系人部
隊である第442連隊戦闘団に配属され、ヨーロッパ前線で戦い抜き、
多くの部隊員とともに数々の勲章を授与され帰国し、日系アメリカ
人社会だけでなくアメリカ陸軍から英雄として讃えられている存在
。今もアメリカ軍の予算に大きな権限を持つ上院歳出委員会国防小
委員会の民主党長老議員として活躍している。

イノウエ議員は、従軍慰安婦に対する2007年の対日非難決議案
について「不必要なだけではなく、日本との関係に悪影響を及ぼす
」として採択するべきでないと発言している。日本にとっては有難
い存在。

だけど、ただ有難がっているだけじゃなくて、日本政府は、もっと
もっとこういう人を大切にすべきだし、こういう親日・知日議員を
増やしていく努力、味方を増やしていく努力をしていかなきゃいけ
ない。

最低でも反日議員を増やすことなく、中立議員を増やして、それを
さらに親日に持っていく努力が必要。

アメリカの覇権後退に伴って、世界中が不安定と混乱の度を進める
昨今であればこそ、同盟関係が持つ意味が大きくなってくる。もは
やアメリカ一国で世界を警察する時代は終わりを迎えつつある。

世界の各地域の平和は各国の軍事力とプレゼンス、そして経済的繋
がりといった各々の微妙なバランスによって保たれる時代に移り変
わろうとしている。そんなとき、自国の周りが敵ばかりで、味方が
いなかったとしたら、攻撃され、侵略されてしまう危険がうんと高
くなる。

できる限り味方は増やしておくほうがいい。それも友愛でなくて、
信頼によって培われるほうがずっといい。

BBCのアンケート調査では、世界で好影響を与える国の上位に日
本は位置しているけれど、この設問を軍事プレゼンス、軍事的に信
頼できるかにしてみると、日本は下から数えたほうが早くなるので
はないかと思う。

日本が憲法で軍隊を持つことを許されていない事実を世界がどれだ
け理解しているかは分からない。だけど、軍隊としての権限を与え
られていない日本軍を信頼して共同戦線を張ることができるかとい
えば、首を傾げざるを得ない。

安全保障や同盟で一番大事なのは、相手が信頼できるかどうか。同
盟条約の内容にもよるけれど、自分で自分の身を守ることは勿論の
こと、相手の危機にもサッと助けにいける体制になっているかどう
か。

いくら憲法で武力行使できないことになっていると日本の立場を説
明したところで、相手はそれなら軍事同盟は無理ですね、となるの
が普通ではないのか。

アメリカがF22を日本に売ってくれるかくれないかは、日本が「
軍事的に」信頼できる存在になれるかどうかにかかっている。
 
もしも、次の選挙で民主党が政権を獲ったとしたら、ただでさえ、
反米だと見なされている日本の民主党相手に、F22なんか絶対売
ってくれなくなる可能性はとても高い。



12.日本の防衛体制が整うまで日米安保は維持する必要がある

日本の防衛体制が整うまでは、日米安保は維持しなければならない。

7月8日、与那国島に浜田防衛相が訪れ、与那国町の外間町長と会
談した。与那国島が要望している陸上自衛隊の部隊配置を受けての
訪問だそうだけれど、勿論、領土防衛を睨んでのこと。

こうした方針が、民主党政権になっても維持されるのか疑問が残る。

今までの日本が安全だったのはアメリカの核の傘の下に入っていた
から。

日米安保は、日本、アメリカどちらか一方の通告によって、一年後
に破棄できることになっている。日米安保が破棄されると、当然、
沖縄米軍も撤退するし、どこかの代表代行がいればいいと言った第
7艦隊すらいなくなる。北朝鮮のミサイル発射準備に伴う偵察衛星
からの情報提供もなければ、イージス艦の派遣もない。全部自前で
やらなくてはならなくなる。偵察衛星だってどんどん打ち上げなく
ちゃいけなくなる。

勿論、本来は全部自分でやらなくてはいけないのだけれど、その為
の装備や人員が、明日になったら全部揃ってるなんてことはある訳
ない。

だから、日米安保を破棄するのであれば、何年も前から準備を進め
ておいて、法整備も含めて自衛隊の装備を充実させて、近隣諸国と
の軍事バランスが取れた時点を見計らって粛々と進めるべきもの。

日米安保の解消は、もう準備ができました、自分の国は自分で守れ
そうなので、どうかお引き取りください、と破棄されても問題ない
体制を整えてから考える問題であって、アメリカから先に破棄する
と言わせるものじゃない。

その時の日本は核武装も含めて、別に核じゃなくてもいいけれど、
日本にミサイルを向けている国々に対して対抗できるものを備えて
いなくちゃならない。特に、北朝鮮のような外交努力が通じない国
が隣にあるという事実を認識することが大切。

ところが、鳩山党首は自身の政権構想として、『文芸春秋』96年
11月号の論文で米軍の「常時駐留なき安保」をとなえた事がある
。とたんに、米国のキャンベル国防次官補代理が「紛争が起きたと
きの対応は二次的要素で、プレゼンスそのものが抑止になっている
」と正面から批判した経緯がある。

アメリカのほうがまだ、日本を守ろうという意識を持っている。

「常時駐留なき安保」なるものが実現したら、事実上日米安保など
無いも同じ。仮に、日本が侵略されたとして、米軍がグアムやハワ
イから駆けつけるのにどれくらい時間がかかると思っているのか。
いかな米軍でも「どこでもドア」は持っていない。

また、岡田幹事長は雑誌「世界」7月号で、「米国の核の傘から半
分はみ出す」とまで発言してる。これが何を意味するのか分かって
の発言なのか理解に苦しむ。

まず、きちんと国を守れる体制を作ること。どんなに腐っていたと
しても、国民を守る意思がある政権の方がはるかに良い。そうした
国防体制が整うまでは、まだまだ米軍には居てもらわなくちゃいけ
ない。日米安保は堅持されなくちゃいけない。



13.2012年を待つ金正日

北朝鮮による韓国攻撃について考えるならば、おそらく、金正日は
2012年を待っている。韓国を攻撃するのは、2012年前後に
なるのではないかと思う。なぜかというと、2012年には、韓国
の戦時作戦統制権がアメリカから韓国に移管されるから。尤も、核
兵器の実使用見込みができれば、前倒してくる可能性もあることは
ある。

従来の在韓米軍司令部はハワイに移転することになっているけれど
、有事に司令部が直ちに韓国に戻って作戦遂行できるよう、組織や
施設は韓国内に現在のまま維持する方針とされている。

だけど、作戦統帥権が韓国の手に渡るということは、戦闘指揮は勿
論のこと、戦争停戦や降伏などに関する武装解除など諸々に関して
も全て韓国が行わなければならないということになる。

アメリカは、作戦統帥権移管後も韓国に対する支援は変わらないと
いっているけれど、アメリカが統帥権を持っていれば、米韓軍一体
で作戦指揮をとって、必要とあらば、アメリカ本国に援軍を呼べる
態勢がとれるのだけれど、統帥権が韓国に移ると、あくまでも韓国
の指揮で戦闘を行い、アメリカには支援を請う形になる。韓国指令
部の判断で全てを決めることになる。

アメリカは、人命を失うことにとても敏感ではあるのだけれど、一
端戦争になってしまえば、相手をぶちのめすことくらいは平気でや
る。少なくとも、脅されたからといって降伏するようなタマじゃな
い。

だけど、韓国はどうなのか。北朝鮮に核ミサイルを撃つぞ、とか、
紛れ込ませた工作員にスーツケース核爆弾を爆発させるぞ、と言わ
れたとき、討ち死に覚悟で反撃できるのか、ということ。

その意味で、先ごろ自殺したノムヒョン前大統領の足跡を振り返っ
てみると、その政権が持っていた意味が見えてくる。

すなわち、北朝鮮側からみれば、ノムヒョン政権時に韓国を煽って
、反米に仕立て、在韓米軍を撤退させる方向に持ってゆくことが、
そもそもの狙いでなかったのか、ということ。

金正日にしてみれば、戦時作戦統制権の韓国への移管はしてやった
りで、あとは核兵器が実用化するための時間、即ち、2012年ま
でのらりくらりと時間稼ぎをするだけだ、とほくそ笑んでいるよう
に思えてならない。

だから、もしも、韓国が北朝鮮に併合されるようなことがあれば、
ノムヒョン政権こそが亡国の政権であったと言われることになるだ
ろうと思う。

その意味において、今の時期に、日本に反米政権ができることの危
険性が見えてくる。即ち、日本に反米政権ができるということは、
ノムヒョン政権を後追いする、ということになるから。

駐留なき在日米軍などが実現しようものなら、金正日は手を叩いて
喜ぶに違いない。金正日は自衛隊など恐れていない。唯一アメリカ
軍だけを恐れている。

国防姿勢が整わないままの在日米軍撤退そのものが、金正日の思う
壷なのだ、と知っておくことが大切。
 
平和な時期であれば、反米な民主党であっても、一度政権を取らせ
てやらせてみようか、なんていう余裕があったかもしれないけれど
、今は国難のとき。挙国一致体制で事に臨まなければいけないとき
にそんな余裕はない。

核ミサイルが落とされて、占領されてしまったら、その腐った、腐
ったと言っている与党や、政権交代したい野党、そして官僚もろと
も日本が滅ぼされてしまう。そんな未来を受け入れたいのかどうか
をこそ問うべき。

マスコミも安易な政権交代論や、特定政党の応援をするんじゃなく
て、現実に起こっていること、目の前に迫っている危機を報道しな
くちゃいけない。

もしも日本が北朝鮮に占領されてしまったら、真っ先に粛清対象に
なるのは、マスコミそのものになる可能性が高い。今、自分達がや
っていることは危険な火遊びだったのだと、その時知っても、もう
遅い。

今の日本が、繁栄と滅亡の分水嶺にいないことを望む。

(了)


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