3322.米国の経済状況と金融規制案



徐々にオバマ政権の金融規制案が出てきた。高官達も経済状況を冷
静に見始めたようである。      Fより

米国のバブル崩壊による金融危機をFRBの資金供給と政府の財務
出動で金融崩壊を防止したが、ここからが実体経済危機の防止の正
念場である。米政府も無限の財政出動は米国債の長期金利上昇や商
品市場への投機資金流入でインフレが加速してしまうのでできない。

このため、追加の自動車部品会社への資金提供はしないことや州政
府の税収入が大幅に減少していることでの追加的な援助もできない
と米政府は宣言した。消費者は貯蓄をし始めて、レジャーへの支出
も抑えているためにテーマパーク大手も破綻している。自動車部品
メーカの破綻もこれからである。GMの幹部社員を34%削減する
というし、失業問題もこれからが本番である。

このように、これからが米景気後退の本番になる。米国は経常収支
を20年以上に渡り赤字化しているために、諸外国の外貨準備に占
める割合も高い。日本とは違い、米国債の暴落の可能性も高くなる。

このように景気後退が迫る中に金融危機を起こさないための金融規
制案が公表された。

この金融規制案を見ると、全ての金融機関を監視するというFRB
の権限が強化された案である。金融機関の利益を増したSIVなど
は簿外処理できず、デリバティブ取引も制限され、ヘッジ・ファン
ドも監視下に置くという。米国は金融資本主義で儲けを出して、G
DPを稼いでいた。しかし、金融機関の利益を制限するために、国
家経済の中心的産業が無くなる印象を受ける。

自動車産業もGM、クライスラーが縮小して、米国の中心的な産業
ではない。IT系も台湾・韓国メーカに移り、米国は販売をしてい
るだけという存在である。軍事産業も軍事予算縮小からF22を生
産中止するなどメイン産業ではなくなる。

この上、医療・薬品など米国のもう1つの中心産業分野でも改革が
進んでくる可能性が高い。これは医療保険のコストを削減するとい
うことであり、オバマ米大統領はこの削減後国民皆保険制度の導入
を政権の最重要課題と位置づけている。医療コスト削減は、米国医
療の水準を下げることになるし、医療・医薬品市場の縮小を意味す
る。

このようにオバマ政権は米国の今までの中心産業を潰し、新しい環
境系のビジネスを米国のメインにするという。この環境系ビジネス
に多額の補助金を付けるために、日産は2010年に米国で電気自
動車の一貫生産工場を立てるが、その建設費用のほとんどを米政府
からの補助金で賄うようである。

このように米国企業ではなくても、環境系ビジネスを構築支援する
が、技術や経営を海外企業、特に日本企業に期待すると米企業の技
術力はなくなり、技術がないと新製品が作れないことになり、米企
業の衰退が早まることになる。リチウム電池ではA123などとい
うベンチャー企業を米政府は支援していたが、製品化するというこ
とはいろいろな物理現象を確立しないとできない。

製品化のためには、過去の現象研究を長期間行っている日本企業の
データがないと無理がある。中国企業は、日本人研究者の引抜きや
中国人を日本企業に入れて、日本のリチウム電池と同じものを作る
ため、早期にリチウム電池ができた。米A123は独自方式である
ため製造するのは難しいようである。

このため、米企業はGMも研究に時間がかかる技術開発商品ではな
く、金融で儲けていた。インターネットなどITを先導した軍事技
術転用という奥の手もない米国は、日本の技術に頼るしかないよう
である。GMのボルトもLG電子のリチウム電池であり、日本技術
のまね製品である。

米人気TV番組やエンターテイメントには日本人が活躍しているが、
日本文化が確実に米国で根付いて、日本=クールという雰囲気にな
ってきたようだ。成功したときに「ヤッター」というのが米国で流
行り言葉になっている。

さあ、どうなりますか?
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米金融規制案、信用膨張に歯止め FRB、証券・保険も監督 
 【ワシントン=米山雄介】米政府高官は16日、金融危機の再発防
止に向けた金融規制改革案の概要を明らかにした。金融システム上
、重要な大手金融機関は証券・保険などを含め米連邦準備理事会
(FRB)が一元的に監督。過剰融資を招いたとされる証券化商品
などへの規制導入や、住宅・消費者ローンなどの借り手保護を図る
「金融消費者保護庁」の創設、大手金融機関の迅速な破綻処理制度
の整備などを盛り込んだ。信用膨張に歯止めをかける内容で、米金
融規制は転換点を迎える。 

 改革案はオバマ米大統領が17日に発表する。米政府は年内導入へ
議会との調整を本格化する。米政権として具体案を示すことで、国
際的な金融規制改革を主導する狙いもある。 (12:46)
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ヘッジファンド監督も=FRB、権限強化で−米政府高官
6月18日8時56分配信 時事通信

 【ワシントン17日時事】ガイトナー米財務長官とサマーズ国家経
済会議(NEC)委員長は17日会見し、オバマ大統領が発表した金融規
制・監督改革案について、将来的にヘッジファンドが連邦準備制度
理事会(FRB)の監督対象になる可能性があることを明らかにした。
 改革案では、証券会社や保険会社の経営危機が相次いだ金融危機
の教訓として、銀行だけでなく、金融システムに重大な影響を及ぼ
すノンバンクも監督できる権限をFRBに与えることになっている。
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簿外の運用会社も連結対象 FRB、自己資本規制見直し
 米財務会計基準審議会(FASB)は12日、金融機関が簿外で管
理する資産運用会社などの連結範囲を広げる会計基準の導入を決め
たと発表した。同会計基準は透明性の向上につながる一方、金融機
関の財務の負担となるため実施時期が延期された経緯がある。FA
SBの決定を受け米連邦準備理事会(FRB)は同日、金融機関の
自己資本規制を見直すと発表した。

新しい会計基準は2010年から導入する。対象は金融機関が運営し、
証券化商品の運用などに利用する特別目的会社(SPC)。
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5月の米鉱工業生産、1.1%低下 
 【ワシントン=大隅隆】米連邦準備理事会(FRB)が16日発表
した5月の鉱工業生産指数(2002年=100、季節調整済み)は95.8と
なり、前月に比べ1.1%低下した。前月比マイナスは7カ月連続。下
げ幅は前月(マイナス0.7%、改定値)と比べ拡大している。需要の
低迷を反映し企業の生産活動は底ばいの状況が続いている。

 5月の同指数の低下幅は市場予測平均(1.0%)とほぼ同じだった
。同時に発表した5月の設備稼働率は68.3%で過去最低水準で推移
している。1972年から2008年の平均(80.9%)と比較すると、設備
の余剰感が目立つ。 (22:45) 
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カリフォルニア州支援、米政府は困難視 大統領報道官が表明
 【ワシントン=大隅隆】ギブズ米大統領報道官は16日の定例記者
会見で、カリフォルニア州からの金融支援要請に関し「同州(自身
)が解決しなくてはならない問題だ」と語り、連邦政府の支援は困
難だとの考えを明らかにした。同州は7月末にも資金繰りが行き詰
まる可能性がある。格付け会社が同州発行の債券の格下げの可能性
を示唆しており、金融市場への影響を懸念する見方が出ている。

 ギブズ報道官は「オバマ大統領は(2月に成立した)景気対策を
通じ、自治体支援に取り組んでいる」と発言。「多くの州が厳しい
財政事情に直面」しており、特定の州だけを支援するのは困難との
見方を強調した。(14:02) 
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米政府、自動車部品への追加支援せず 米メディア報道
 【ニューヨーク=小高航】米政府は自動車部品メーカーへの追加
支援を実施しない方針を固めたもようだ。複数の米メディアが16日
、伝えた。政府関係者が部品メーカー側の代表者に「業界はすでに
潤沢な支援を受けており、追加支援の必要があるとはみていない」
などと語ったという。

 米メディアによると、部品メーカーの代表者は、工場の閉鎖など
で自動車生産に支障を来す事態になれば政府は追加支援を検討する
、との見方を示した。ただ政府関係者は「現時点では部品が不足し
て業界が混乱しているわけではない」との認識を示したという。

 部品メーカーの経営悪化を受け、業界団体の米国自動車部品工業
会(MEMA)は10日、米政府に80億〜100億ドル(約7700億〜9600
億円)の追加支援を要請。オバマ政権が追加支援に踏み切るかどう
かについて検討している。(14:23) 
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米レジャー産業、不振鮮明 テーマパーク大手が破綻
 【ニューヨーク=杉本晶子】米国でレジャー産業の不振が際だっ
てきた。米テーマパーク大手シックス・フラッグスは連邦破産法11
条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請し、経営破綻。米ウォ
ルト・ディズニーもテーマパークの客数が伸び悩んでいる。夏休み
シーズン本格化を控えるなか、失業率上昇などで消費者心理は冷え
込んでおり、旅行などレジャーにも手控えムードが高まっている。
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オバマ大統領、医療保険「いま改革しないと米国がGMと同じ道」
 【ワシントン=大隅隆】オバマ米大統領は15日、シカゴで医療保
険改革について演説し「医療保険のコスト(膨張)は米経済の脅威
だ。ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーの経営危機は従
業員向けの医療保険(コスト増)が主因だった。改革をいま実施し
なければ米国がGMと同じ道を歩み破産する」と語った。

 オバマ米大統領は、コスト削減を前提とする国民皆保険制度の導
入を政権の最重要課題と位置づけている。この日は米国の医療関係
団体の年次総会に出席。「(米経済の復活と)繁栄には医療費削減
が不可欠」と協力を要請した。
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30兆円超の財源上積み 医療保険拡充で米大統領 
 【ワシントン=共同】オバマ米大統領は13日の国民向けビデオ演
説で、医療保険制度拡充の財源に充てるため、低所得者や高齢者を
対象とした現行の公的保険の無駄を節約するなどし、今後10年間に
3130億ドル(約30兆8千億円)を捻出する方針を表明した。 


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