*** 幸福の実現、幸福のありか きまぐれ映画案内「Always 続・三丁目の夕日」 *** 昨日は自宅で、「Always 続・三丁目の夕日」という映画のDVDを観た。そして、 今日は、自由が丘の駅頭で幸福の科学の人たちがつくった「幸福実現党」の街頭 演説を数分だけ聞いて、ビラを2枚もらってきた。 一見まるで関係なさそうな映画と政党だが、ともに幸福とは何か、幸福はどこに あるのか、どうすれば実現するのかを考える上で、見事な対照となっているよう に思ったので、簡単に紹介したい。 -1- もともと僕はノスタルジー、古きよき時代をなつかしんで思い出にひたることが 嫌いなので、何度か「三丁目の夕日」はおもしろいよと、テレビ局でプロデュー サーだった友人が絶賛するのを聞いていたのだけど、実際に映画は見ていなかっ た。先日、その友人に「ツォツィ」の話をしたら、「そういうテーマなら、三丁 目の夕日も同じだよ。君は観たかね」といわれ、あわててDVDを借りて観ること にしたのだった。「続・三丁目の夕日」と「三丁目の夕日」では「続」のほうが 面白いという助言にしたがって、続だけをまず観てみた。 正直いって、舞台は僕の生まれた昭和34年だけど、けっして過去をなつかしむ映 画ではなかった。むしろどんな時代にあっても、幸福とは愛し合うもの同士が いっしょに暮らすことであり、それだけでお金なんかなくても幸せなのだという 永遠不変のテーマを描いている。二時間半近い作品は、細部もしっかりと描かれ ていて、内容の充実した随所随所を楽しめるコメディーだった。 さりげなく描かれているエンディングは、離れ離れになっていたが再びいっしょ に暮らしはじめたカップルと、二人の子供ではないのだが一緒に暮らしている少 年と3人で夕日を見ている場面だ。「今日の夕日はいつになくきれい」と女がい うと、少年が、「知ってるよ、どうしてきれいに見えるのか。三人で一緒に見て いるからだよ」という。 さりげない少年の言葉は、悟りである。 我々がものを見るときに、心の状態や意識の状態が大きく左右する。いや、もっ と直截的にいえば、我々は目でものを見ているのではなく、心や意識によっても のを見ているのである。心が幸せであったら、心が満たされていたら、意識が正 しくつくられていたら、すべてが美しく見える。この映画は、その悟りを伝える ための映画である。 -2- かわって、今日の午後1時ごろ、自由が丘駅の駅頭には、幸福実現党の宣伝車が きていて、東京5区から立候補予定の元自民党代議士秘書 木下 真(大分県出 身、法政大学卒業)が、演説をしていた。 ビラを配っていたのでもらってみたところ、「その政党、増税しますか? 減税 しますか? 1 消費税・相続税を全廃します。2 年率3%以上の経済成長、 日経平均株価2万円代、3 世界中にリニアを走らせ「交通革命」を起こしま す。」と青いビラには書いてあり、黄色いビラには「北朝鮮のミサイルから守る 政党?守らない政党? 1 憲法9条を改正し、国の防衛権を定めます。2 毅 然とした国家として独自の防衛体制を築きます、3 日米同盟を堅持しつつ、国 益重視の外交を行ないます」とあった。 http://www.hr-party.jp/index.html もちろん政権をとるわけがないだろうから、公約は空文のままでも差し支えない のだが、公約実現の手法もみえなければ、公約相互の矛盾や優先度も気にしてい ないデタラメな公約であると思った。自民党への批判票が民主党に流れないため の防衛策なのだろうか。全国の小選挙区に294名、比例39名の合計333名の立候補 者を立てるというから、仮に運動員は信者が手弁当で奉仕するとしても、選挙の 費用や供託金だけでもものすごい金額になる。 宗教団体が設立した政党が、幸福実現の手段として経済やお金のことばかりを論 じているのが印象的で、思わずビラ配りの人に「こんなことで幸福になるのです か」とイヤミな質問をしてしまった。 今日のように、景気回復の兆しも見えず、環境危機が深刻化する予感の中を生き ている時代だからこそ、「景気が回復しなくても、北朝鮮がミサイルを撃って も、みんなで仲良く暮らしていけたら、それだけで幸せになるのだよ」という教 えを垂れるのが、真理を語るのが、宗教本来の役割ではないだろうか。 まあでも、宗教団体がそれを忘れていても、大衆向け娯楽映画である「Always 続・三丁目の夕日」がその役割を果たしているから、日本は救われているという ことかもしれない。 得丸公明(2009.6.14)