3315.ドル離れ加速



ドル資金から投資家、新興国が商品やIMF債にシフトしている。
                     Fより

米国債の大量発行で米国債の暴落を心配して、投資資金が安全資産
である米国債から商品市場に向かい始めている。このため、商品市
場は原油や大豆など全般に価格が上昇している。この原油価格上昇
を受けて米議会は規制する法律を作る意向である。これはヘッジ・
ファンド潰しである。自由な金融取引を制限することであり、金融
資本主義の根幹を壊すことになる。

それに加えて、米オバマ大統領はドイツのメルケル首相と強めの金
融規制を行うことで合意をしているが、この金融規制の骨子がでて
きている。店頭のデリバティブ取引を禁止して、公的な市場での取
引にするとか、デリバティブ取引ができるための準備資金高を決め
た。

このように、徐々に金融資本主義、新自由主義経済を止めて、金融
取引への介入を増やし、金融機関の取締役以上の報酬まで制限する
とか、金融事業で儲けたキャピタルゲインへの増税なども決めてい
る。

このため、ベンチャー・キャピタルはキャピタルゲイン増税や金融
介入に反対しているが、ヘッジ・ファンドを規制してベンチャー・
キャピタルを野放しには法の前の公平性の原則からできないので、
新しい産業を興すベンチャーへの資金もベンチャー・キャピタルが
絞り込むことになりそうだ。これは米オバマ大統領が期待する環境
ビジネスへの資金が十分に得られない可能性がある。

このようにオバマ政権は日本やドイツと同じような産業資本主義的
な色彩を増やしているが、それではドイツや日本と同じレベルで産
業を復興できるのかというと疑問がある。

テレビ東京WBSで、GMの日本支社長が、日本の小型車に対抗し
た小型車でGMが戦うことはできないと言う。スズキと提携交渉を
しているということは、米国内にGMが売るのもススキの小型車の
可能性がある。そして、GMの米国工場で製造する可能性もある。

GMは当初トヨタに救済合併を求めたが断られたので、スズキの小
型車に目を付けたようである。そして、日本で販売するのはスズキ
の販売店で400万円のGMシボレー・カロマという。
というように、GMはそう簡単には復活しないことが分かる。スズ
キは電気自動車やプラグイン・ハイブリッドの技術がないので、そ
れをGMから貰う可能性はある。

今後もGMは要注意である。売れる車を日本からの輸出に頼ること
になると、復活はできない。部品会社の仕事が無くなる。このよう
に米政府高官たちの口先介入の景気回復期待はそろそろ剥げ落ちる
ことになると見る。

日本企業は米国市場から中国・インド市場へ比重をシフトすること
が重要であり、そうすれば米国の落ち込みは関係なくなり、中国や
インド経済の上昇で日本の経済も上昇することになる。米国市場離
れが重要になっている。株価1万円になったのは先行し過ぎるが、
米国経済から中国・インドへシフトするという日本企業の戦略を先
取りした株価と見ると頷ける。

そして、米国政府の金融機関と製造会社を助ける資金は残り10兆
円しかない。当初の70兆円では絶対的に不足であるが、一方、ヘ
リコプター・ベンが指揮を取るFRBが印刷したドル札で、米国内
には資金が有り余っている状態になっている。このため、米銀行の
大量の増資がいとも簡単に実現したところで、10銀行から6兆円
分の公的資金を返却してもらい、GMやクライスラー、そして、破
綻していないフォードなどがダメになるときを見越して、資金を積
み上げておく必要があるのだ。

しかし、200兆円の赤字財政を支える米国債が売れないことで長
期金利が上昇して、住宅ローン金利も上昇してきた。消費者の購買
が少なくなったことで、消費者信用残高も減少している。米国経済
の70%は消費者の購買であるので、米国の経済回復はまだ先であ
ると思っていたが、同じような指摘をボルカー元FRB議長が行っ
ている。少なくとも回復は数年先と言っている。やっと、銀行の大
量増資が完了したので、政府高官も口先介入の路線を変更し始めて
いる。

このように米国債の暴落はドル暴落になることで、それを見越した
中国、ロシア、ブラジルが動き始めている。それが、IMF債の購
入である。7兆円のIMF・SDR債が3ケ国に買われたようであ
る。ロシアのメドベージェフ大統領は「ドル依存の通貨体制見直し
をする必要がある」と述べ、保有する米国債を売却し、ドル資産で
の運用比率を引き下げる方針のようである。

このように、新興国のドル離れが加速してきた。米国債の売却がス
ムーズには行かないことが明確になってきている。しかし、米国債
暴落で大きな損失を起こすのが大量の米国債を保有している中国で
ある。このため、中国は米国債購入を継続する必要があると全国社
会保障基金(NSSF)の戴相竜・理事長は述べている。

さあ、どうなりますか??
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米議会、原油在庫の監視強化へ 相場高騰、投機筋をけん制
 【シカゴ=毛利靖子】米議会は原油在庫などに関する情報開示規
制を強化する方向で検討に入った。金融機関や商社などが対象とな
る。ニューヨーク原油先物相場は11日に一時1バレル73.23ドルと約
8カ月ぶりの高値まで上昇。穀物なども幅広く値上がりしており、
燃料や食料調達コストの上昇が景気回復を遅らせかねないと懸念し
ているため。規制強化の方針を示して投機筋などの動きをけん制す
る。
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金融規制、数週間内に改革案 ガイトナー米財務長官
 【ワシントン=米山雄介】ガイトナー米財務長官は9日、上院歳
出委員会小委員会で証言し、金融システムの現状について「修復し
てきたが、それだけでは十分ではない」と述べ、引き続き金融安定
化に全力を挙げる考えを示した。

 大手金融機関がリスクを取りすぎないような包括的な金融規制改
革案を今後数週間内に公表することも明らかにした。
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米金融大手10社の公的資金返済を容認 米財務省、総額680億ドル 
 【ワシントン=米山雄介】米財務省は9日、大手金融機関10社に
ついて公的資金の前倒し返済を容認したと発表した。総額は680億ド
ル(約6兆6600億円)。昨秋に成立した金融安定化法に基づく公的
資金注入で、大手金融機関の前倒し返済は初めて。米金融システム
の安定化を示す動きだが、公的資金による支援の必要性を巡り、信
用力で米金融機関の二極化が進む可能性がある。 

 同省は個別の金融機関名を明らかにしなかったが、ゴールドマン
・サックスやJPモルガン・チェース、モルガン・スタンレーなど
が相次ぎ公的資金返済の承認を得たと発表。JPモルガンなどは政
府が保有する優先株などを全額買い戻すとしている。 
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米住宅ローン金利、一段と上昇 量的緩和以前の水準に
 【ニューヨーク=山下茂行】米住宅ローン金利の上昇が一段と鮮
明になってきた。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によ
ると、住宅ローン金利の11日までの1週間の全米平均値は、30年固
定の場合、前週比0.3%高い5.59%と、昨年11月下旬以来、約七カ月
ぶりの高水準。米連邦準備理事会(FRB)は昨年12月中旬に事実
上のゼロ金利に踏み切り、その後も量的金融緩和を拡大してきたが
、緩和効果が打ち消された格好だ。
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4月の米消費者信用残高、前月比7.4%減 3カ月連続マイナス
 【ワシントン=大隅隆】米連邦準備理事会(FRB)が5日発表
した4月の消費者信用残高の速報値は2兆5240億ドル(約249兆円)
となり、季節調整済みの年率換算で前月比7.4%減った。減少は3カ
月連続。消費者の支出抑制とクレジットカード会社の与信厳格化が
響いている。

 4月はクレジットカードなどの「回転信用」が11.0%減、自動車
ローンなどの「非回転信用」が5.3%減だった。(07:00) 
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米長期金利、一時4%台に上昇 8カ月ぶり水準 
 【ニューヨーク=山下茂行】10日のニューヨーク債券市場では米
10年物国債が反落し、長期金利の指標となる同国債利回りは前日比
0.09%高い(価格は安い)3.94%で取引を終了した。同利回りは一
部の取引で一時4%の大台に乗せ、昨年10月以来、約8カ月ぶりの
高水準を付けた。ロシアが米国債の売却方針を示したことや、10年
債の入札が不調だったことなどを受け、需給不安からの売りが膨ら
んだ。 

 ロシア中央銀行のウリュカエフ副総裁が同日、外貨準備として保
有している米国債の一部を国際通貨基金(IMF)債に入れ替える
可能性があると発言したと報じられ、海外勢によるドル資産離れが
一段と加速しかねないとの警戒感が台頭。10年債入札で落札利回り
が3.99%と入札前の市場取引での利回りを上回ったことも嫌気され
た。 (11:36)
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ロシア大統領「ドル依存の通貨体制見直しを」 
 ロシアのメドベージェフ大統領はこのほど米CNBCと会見し「
世界の準備通貨を増やすべきだ」と述べ、米ドルに依存する現行の
通貨体制の見直しが必要と指摘した。原油など資源輸出に頼るロシ
ア経済については多様化に努めると強調。「ルーブルもユーロのよ
うに(地域の準備通貨に)なりえる」などと述べた。 

 大統領は米国発の金融危機について「全世界がドルの健全性に依
存している」ことが原因の一つになったと指摘した。 
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ロシア、米国債を売却 IMF債は引き受け、ドル離れ進める
 ロシア中央銀行のウリュカエフ副総裁は10日、保有する米国債を
売却し、ドル資産での運用比率を引き下げる方針を示した。国際通
貨基金(IMF)の発行する債券を100億ドル(約9800億円)引き受
ける一方、価格下落懸念のくすぶるドル離れを進める。売却規模は
明らかにしていないが、世界第3位の外貨準備を保有するロシアの
売却により、ドル安を招く可能性もある。
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中国は米国債購入を継続する必要がある─NSSF理事長=金融時
報(ロイター)
2009年 06月 11日 14:05 JST

 [北京 11日 ロイター] 中国の全国社会保障基金(NSS
F)の戴相竜・理事長は28日、中国は米国債の購入を継続する以
外に選択肢はない、との見解を示した。

11日付の中国紙、金融時報が伝えた。
 報道によると、理事長は天津で開催されたフォーラムで「良い点
と悪い点を比較評価すれば、中国にとって米国債の購入は必要な選
択肢と言える」と述べた。

 一方、中国は巨額の外貨準備の運用を多様化する必要がある、と
も語った。さらに、中国は海外での直接投資を増額すべきだとし、
海外でのポートフォリオ投資を増やすため、適格国内機関投資家
(QDII)制度を拡大する必要がある、と述べた。

 中国は1兆9500億ドルの公式外貨準備高のうち、約70%を
ドル資産で運用している。中国財政省の李勇・事務次官は同じフォ
ーラムで、ドルのみならず、ユーロ、ポンド、アジアの主要通貨を
含むより「多様性のある」国際通貨システムを中国政府は追求して
いる、と述べた。
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IMF債購入、新興国が拡大 中ロに続きブラジルが表明
 【ニューヨーク=山下茂行】基軸通貨である米ドル中心の外貨運
用を多様化する動きが新興国に広がってきた。国際通貨基金(IM
F)債の購入についてロシアや中国に続いて10日にはブラジルも意
向を表明、3カ国合計で購入額は700億ドル(6兆8000億円)に達す
る見通しだ。IMF債はSDR(特別引き出し権)建てになる可能
性が高く、各国は購入と並行して外貨準備による米国債の保有を絞
るとみられる。米長期金利の押し上げ要因にもなりそうだ。
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米景気「弱いか悪化している」維持 地区連銀報告
 【ワシントン=大隅隆】米連邦準備理事会(FRB)は10日、地
区連銀経済報告(ベージュブック)を公表した。総括判断は「景気
は弱いか悪化している」との認識を維持した。地区連銀からの「下
振れ傾向が緩やかになっている」との回答は前回の4月報告と同数
にとどまった。米景気は悪化ペースが鈍化しているものの、経済全
体の底入れにはなお時間がかかる見通しだ。
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国際金融市場、ドル資金の供給急減 主要中銀、残高ピークの3割
 主要中央銀行が危機対応策として打ち出したドル資金の供給が急
減している。6月に入り、供給残高がピークだった昨年12月の3割
程度に減少。国際金融市場で危機への不安が後退し、金融機関が決
済通貨であるドルを抱える動きを弱めた。国内でも円の取引金利が
急低下している。ただ危機再燃への警戒から、各国中銀は危機対応
に軸足を置いた政策を続ける姿勢を崩していない。
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5月の米企業倒産、前月比1.3%減 金融・保険は6割減
 米国で金融機関を中心とした企業倒産の拡大傾向に歯止めがかか
ってきた。米系信用調査会社ダンアンドブラッドストリートTSR
(東京・港)がまとめた5月の米企業倒産件数(速報値)は前月比
1.3%減の5079件と2カ月連続で減少。金融市場の安定化を映し金融
・保険業で6割近く減った。
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1〜3月の米労働生産性、改定値142.1に 速報値から上方修正 
 【ワシントン支局】米労働省が4日発表した2009年1〜3月期の
非農業部門の労働生産性(季節調整済み、1992年=100)の改定値は
142.1となり、前期から1.6%上昇した。前回発表の速報値から0.8ポ
イントの上方修正となり、市場の予測(1.2%上昇)を上回った。
賃金指標となる非農業部門の単位労働コストは前期と比べて3.0%の
上昇に修正された。 (22:31) 
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店頭デリバティブ、取引記録の保管義務 米政府方針 
 【シカゴ=毛利靖子】米政府は4日、金融機関に対し、金融派生
商品の相対取引(店頭デリバティブ)について取引記録の保管を義
務付ける方針を明らかにした。原油など国際商品相場が乱高下する
なか、市場の透明性を向上させて相場操縦を防ぐ。金融危機への反
省から当局が市場の実態を迅速に把握できるようにして、金融機関
の連鎖破綻リスクを抑え込む措置をとりやすくする。

 一連の案は米商品先物取引委員会(CFTC)のゲンスラー委員
長が米議会の公聴会で明らかにした。米商品取引所法などを早期に
改正し、実行に移す考えだ。
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米失業率、9.4%に悪化 5月、雇用34万人減 
 【ワシントン=米山雄介】米労働省が5日発表した5月の雇用統
計(季節調整済み)によると、景気動向を反映する非農業部門の雇
用者数は前月から34万5000人減少した。建設業のほか小売り・輸送
などサービス部門で減少幅が縮小し、雇用減のペースは鈍化した。
一方、失業率(軍人を除く)は前月より0.5ポイント高い9.4%とな
り、1983年8月(9.5%)以来、25年9カ月ぶりの水準に悪化した。

 雇用者数の減少は17カ月連続。2007年12月以降の今回の景気後退
局面での雇用者数の減少は合計で約600万人に達した。今年4月の減
少幅は当初発表の53万9000人から50万4000人に修正された。

 事前の市場予測平均は、雇用者数が52万人減で、失業率が9.2%だ
った。

 過去半年の雇用者数の減少幅は月間平均で約64万人。減少ペースが
5月に緩やかになったのは、建設業の減少幅が5万9000人と過去半
年平均の約半分になるなど、民間部門での落ち込みが縮小してきた
ためだ。 (21:46) 
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ボルカー元FRB議長:米経済の完全回復は数年先−財政赤字増を
批判

6月2日(ブルームバーグ):ポール・ボルカー元米連邦準備制度
理事会(FRB)議長は2日、米経済の完全な回復は数年先だと述
べ、米国はいずれ海外からの借り入れを減らす必要があると語った。 

オバマ政権の経済回復諮問会議議長を務めるボルカー氏はニューヨ
ークにあるブルックリン・ロースクールの卒業式で講演し、「実に
大規模な財政・金融政策が実施されている」ものの、「完全な景気
回復は数年先の話だろう」との見方を示した。 

ボルカー氏(81)は、米国の歳出が長期にわたって身の丈を越えた
状態だとして赤字膨張を批判し、米国は「目の届く限り、想像を絶
する財政赤字」に直面していると指摘。「諸外国はこれまで長期に
わたり米国の過剰歳出に対して資金を提供することに前向きだった
が、こうしたプロセスは永遠に続くわけではない」と警告した。 

同氏は2007年12月に始まったリセッション(景気後退)が「第2次
大戦後で最長となるのは必至であり、また最も深刻なものと判明す
る可能性がある」と述べた。同氏は1979年から87年にFRB議長を
務めた。 



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