3291.天皇賞の馬身通過時間



天皇賞の馬身通過時間

 かつて5月3日は、憲法のことについてあれこれと考える日であ
ったが、今年はまったく何も考えなかった。
 言語学や情報理論を学ぶと、ヒトの言語で定められた法について
考えたり、語ることが、いかに空しいことであるかを知る。もはや
憲法については、考えること、語ることが、なんとなく無駄に思え
てくる。

 むしろ今日私が考えたことは、マイネルキッツが競馬の天皇賞で
優勝したことだ。
「中央競馬の139回天皇賞・春(GI)は3日、京都競馬場の芝
3200メートルに18頭が出走して行われ、単勝12番人気のマ
イネルキッツが3分14秒4で優勝し、重賞初勝利をGIで成し遂げ
た」そうだ。
 この馬の体長が正確にどれだけか知らないが、競馬では一馬身は
2.4mだという。
 すると、3200mを194秒で駆け抜けたマイネルキッツの鼻
がゴールを通過してから尻尾が通過するまでの時間はどれだけにな
るだろう。 
  まず馬の秒速を求め、3200 / 194 = 16.5 m/s その速度で一馬身
の距離を駆け抜けるのに必要な時間を求めると、  2.4 / 16.5 = 0.15 秒
 もちろん文明も競馬も、初速と最終速度では最終速度のほうが速
いだろうから、平均速度16.5m/sではなく、最高速度である20m/sを
使って求めるべきかもしれない。そうすると、2.4 / 20 = 0.12秒と
なる。
 馬は一瞬のうちにゴールするように見えて、鼻から尻尾までがゴ
ールを通過するのに0.15秒あるいは0.12秒かかっていることがわか
る。

 さて競馬の全コース走行にかかった194秒と、馬身がゴールを
通過する時間0.15秒(0.12秒)の関係をひとつの参考とし
、人類文明を7万年とした場合に文明が終焉に到達してから、崩壊
し終わるまでに何年かかるかを計算してみよう。
 これは、0.15 / 194 x 70000 (= 52.5) または0.12 / 194 x 70000
 (= 43.3)で求めることができ、52.5年あるいは43.3年という数字が
出てくる。
 今われわれが文明の崩壊の真っ只中を生きていると考えるのは、
意外と的を得ているかもしれない。

得丸公明(2009.5.3)
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得丸さん

数値の追求には溜飲が下がる想いです。エヴァリスト・ガロアと呼
ばれた男がある時から数値が無機化して行き、長いトンネルの後、
もう数値のデジタルに戻れない、此れも運命かなと。

しかし、これを如何したら此れからの生に転化できるか。

あの6年の暗黒の後、川崎の小向厩舎で、泥にまみれながら自転車
を漕いでいたとき、早朝から起きて寒い朝にも、雨の日にも小柄な
体つきの騎手、名前から推して鹿児島弁で話しかけて親しくその後
、競馬のことを聞いた日を思い出しました、彼によると馬の速さを
見るのは足首の括れを見るのだとか、もう忘れてしまいましたが。

得丸さんの説かれる「進化」でしょうか。しかし、人間の射幸心の
根源は何処に有るのでしょうか、脳のある部分の興奮が見える気が
します。

明日の、こどもの日、今の日本の子どもは何を喜ぶのか、その何パ
ーセントかは社会の基準では量れない所に向かうのでは。

時として貴種は吉野の桜にもなり、人を楽しませる物にもなり、存
在の価値があると、他者を通してですが、評価が出るのでしょう。

ラボで谷川雁が「表彰制度を如何考えるか」を提案して、考えさせ
ています、彼はラボを離れ、その後、そのことに触れることなく逝
きましたので。応用問題を解く気分です。

ともあれ、時候良く、楽しい時間を、皆々様へ。草々

浅山
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浅山さん、
>
> 「進化」でしょうか。しかし、人間の射幸心の根源は何処に有る
>のでしょうか
>
いえいえ、私は競馬の射幸心も賭博性もまったく興味はありません。

私が競馬の話をしたのは、単純に、馬の鼻がゴールに達したときに
レースは終って、それから馬の尻尾がゴールを過ぎるまでに十分の
一秒以上かかっているということを言いたかったのです。

そして、その0.12秒というものを、人類の歴史にあてはめて考えて
みたのです。

人類がデジタル通信システムである言語を生み出したのが今から7万
年前の出来事だとして、文明を7万年だと考えると、その文明が終焉
を迎えてから、崩壊しつくすまでに40年以上かかるかもしれない。

そして、今我々が生きているこの時代は、競馬でいえば、鼻先は
ゴールを通過したが、尻尾はまだゴールに達していない時間、
レースは確かに終ったのに、まだ終ったという認識が共有されて
いない一瞬の時間の一部であるということです。

得丸




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